大澤真幸のレビュー一覧
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購入済み
なるほどね―と感心しました
キリスト教の思想が現代の底流にあるというのは、なんとなく皆が感じているのではと思う。
この本はその辺の事をハッキリと感じさせてくれます。
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Posted by ブクログ
自由なはずの研究は、権威に拘束された探究よりもはるかに浅薄な命題しか導き出せない。何者かに不法侵入されたことによって思考は深まり、歩みを続けるのだ。そして、いい問いとは、こうした事情から思考せざる負えなくなったテーマ(問い)である。切実なテーマは、一見何の関係性も無さそうな様々な事象と結びつく。”答えはある”と信じ、理論や概念を利用しながら、自分自身が対峙する問題との折合いをつけていくことが、思考する楽しさなのかもしれない。
一人は間違える。聞いて欲しい、理解して欲しいというテーマについて、他者との対話、”説得力”が思考を深める上で必要だ。それは実際の対話でなく、文章にする際も同じ。但し、”説 -
Posted by ブクログ
いろいろと「おどろき」ました。
中国は3回旅行しましたが、その時に感じた疑問のいくつかが解決しました。
2013年2月に出版されていますが、台湾問題なんかは、橋爪先生の予言通りに推移してますね。
本書で触れられる日中関係等の近代史の解釈は納得できない人もいるでしょうが、
それ以外の中国についての話は誰しも一読の価値ありです。
巷に溢れる中国評は、現在の利害だけを強調し、危機を煽るようなものばかりで辟易します。
中国は反日教育をしてる、と言う。
なら日本の教育はどうか。日本史を選択したら、世界史は選択しない…というのは常識ですしね。
そのような論法に欠けているのは、現在を歴史の流れの中で捉 -
Posted by ブクログ
言うまでもなく、今、世界を席巻しているのは、
欧米由来のルールや習慣、文化などだったりします。
欧米の様式をデファクトスタンダードとして、
世の中は成り立っているところがある。
つまり、欧米のやり方が、世界のあらゆる場面の常識になっているということです。
そんな欧米の考え方を成り立たせているのは、
近代になって世俗化し、一部ではもはや形骸化してきているなどとも
言われているキリスト教だったりするのです。
哲学や科学が発展し、人間の理性を重視して宗教への態度が希薄になったことで、
キリスト教の考え方に縛られなくなったかといえば、
それはまったくそうではなく、その根本に、キリスト教の考えかたから -
Posted by ブクログ
13年前に中国に1年ほど留学したときの感想は、
「なんなんだ、この国は!」
本書でも紹介されている小室直樹先生の『中国原論』でその“特異さ”はある程度予習したつもりだったが、実際見て体験した国はまさに驚きの連続だった。
本書は3人の社会学者の鼎談で、中国なるものの原理、日中の近代化の近代社会学的な考察、日中の歴史問題、そして今後日本が取るべき針路などについて語っている。
国家や国民と行った欧米のフレームにはおさまらない国、カリスマ毛沢東は現代の皇帝、「改革開放こそ文革の最終的な仕上げ」などなど、「おどろき」の理由がだいぶ明らかになった。
歴史問題も含め、「日本は米中関係の付随物にすぎな -
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より良い社会を作るにはどうしたら考え、行動したら良いか。そういうことを論じて、提示してくれる本だと思って読んだのですが、そうではなくて、あくまで「正義」を「考える」という体裁です。つまりは、より良い社会を作るための土台としての知識、勉強をこの本を通してしようじゃないかというもの。一つの答えをドンと提示してくれていたら、星5つでした。喩えるならば、ゴール前までドリブルで切り込んでいって、シュートを打てるようなところなのに、誰かにパスするFWでしょうか。
「物語」というものが失われがちな現代というところからはじまって、
これまで考えられた、「正義」を位置づける数々の思想の紹介と論考。
そして、そ -
Posted by ブクログ
サンデルの「これからの「正義」の話をしよう」を意識して書いたと思われる、大澤版「正義についての話」だと思う。
サンデルは、コミュタリアンとしての正義を書籍で語っていたが、大澤氏は、サンデルと同じように功利主義、リベラリズム、コミュタリアン、アリストテレスと展開しながら、コミュタリアンの限界も指摘している。
その上で、資本主義や普遍的な正義も絡めながら、冒頭の1章で引用した「八日目の蝉」の物語のように人は感動することから、「癒し」というキーワードで現代社会ををまとめている。
サンデルが講義から始まったように、この本も講義から文章を起こしたようでわかりやすいが、前半が非常にまとまっているのに -
Posted by ブクログ
※ 超単純化した、独断的な説明です。
本書のテーマは、終戦から現在までの「戦後日本」の時代の移り変わりです。
日本人が時代ごとにどんな生き方をしてきたか?また、今どんな生き方をしようとしているのか?
この疑問に答えてみた、という本です。
本書の内容に関して、まず人が生き方を決めるときの「基準」・「指針」について考えてみます。
かつて日本では、その基準や指針の典型的なものは「親父」でした。
これについては、今NHKでやってる『梅ちゃん先生』なんか見てると、少しはイメージできるかと思います。
「親父」が家族の生き方について、これは良い・あれは悪い、と決めるポジションに就いている。
だいた