大澤真幸のレビュー一覧

  • 戦後の思想空間
    大澤真幸の本には、いつも『考える』ことの楽しさ、面白さに満ちている。
    社会学の先人には、見田宗介という存在がいるが、昨今は、あまりにも抽象的過ぎる。
    その点、大澤真幸は、具体的な事件を扱いながら、誰も想像しないような解きほぐし方をする。
    最初に出てくる、慰安婦問題。
    なるほど、そういう読み解き方かあ...続きを読む
  • 考えるということ 知的創造の方法
    この頃読んだ本の中では比較的面白かった。特に文学編における読解の仕方やアプローチは刺激的だったし、読みたい本も増えた。が、副題の「知的創造の方法」そのものは取り立てて一般的で、目新しさはない。ただこれに関しては本質とは得てしてそういったものだと言えるかもしれない。
    あとは一冊の本としての構成がややア...続きを読む
  • アメリカ
    そもそもアメリカは、プロテスタントであるピューリタンがメイフラワー号に乗って、理想の国の建設を目的として米国はマサチューセッツ州プリマスに到着し、メイフラワー契約に基づき建国された、という前提から出発し、その歴史の中でキリスト教がどのように変遷、分派し、人々の心性に影響を与えていったかが、社会学者で...続きを読む
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学
    この話は鮮度が大事で、仮に3.11から数年を経てこの本が出されたのだとしたら大澤氏にしてはあまりに思考が浅いのでは?と思ったけど3.11から1年も経たずに出版されてたことをあとがきで知り、そのスピード感はさすがだなと思った。
    震災・津波や1F事故を宗教的、哲学的観点から捉えて社会構造、意識構造を問う...続きを読む
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    ざざざざーっとみただけだが、やはり対談本でお勉強するのは難しいという印象。ファン向けではないだろうか。
  • 不可能性の時代
    戦後から現在までを社会学的に丹念に分析したのち、現代の閉塞を突破する門を見出す。新書レベルでは中々お目にかかれない密度の高さ
  • アメリカ
    20181220〜20190109 橋爪・大澤両氏によるアメリカ論。プログマティズムについての解説は、対談形式だから泣きながら相手に分かりやすく説明する体をとっているから、門外漢の私でもかろうじて分かった。アメリカを理解することで、日米関係を、ひいては日本の明治維新以降の政治外交関係と戦争に対する意...続きを読む
  • げんきな日本論
    日本史において、普通に出てくる数々の「キーワード」、社会システムの変換点を表す「時代」、そういうものとして当然と受け取っていた日本の歴史が、いかに特殊なものであったのか、どうしてそうなったのかを膨大な知識量を背景に対話方式で展開していく本であり、それぞれの論点はかなり興味深いものでした。
    歴史の純粋...続きを読む
  • おどろきの中国
    少し中国寄り過ぎるとは思うが、いろいろ参考になる。
    先の大戦での日本の戦前拡大にはビジョンがない。日本は現在に至るまで空気で物事をきめるので戦略を立案遂行できない。日本がアジアのキャスティングボードを握れるとは思わない方が良い、など。
    それにしても低レベルなメディアが国に及ぼす害は大きい事を改めて痛...続きを読む
  • げんきな日本論
    『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(ともに講談社現代新書)と同様、橋爪大三郎と大澤真幸の二人の社会学者が、日本史についての解釈をおこない、現代にまでいたるこの国のありようを解き明かそうとしている本です。

    著者たちの日本史の解釈は、専門の研究者から見れば大胆にすぎるのではないかと思われる箇所も...続きを読む
  • 憎悪と愛の哲学
    真の愛は憎悪からの転回としてのみありうる。事前に憎悪がなければ理想主義的な平和を導くような愛が事後に現れることはなかっただろう。憎悪と愛は繋がって居て、むしろ本質的には同一であり、愛の真実性の前提として憎悪がある。
  • 考えるということ 知的創造の方法
    私は考える,この世界を。

    難しいところもあったけど,とりあえず読みとおした。考えること,そして書き表すこと。決して止めてはならないと思う。最近,あまり考えてないけど。
  • 日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか
    タイトルが内容を正しく表わしていないように思う.「革命の条件」とでも言った方がいい.「御成敗式目とは何だったか」とか.
    わが国の権力の中心は空虚だ,と看破したのは猪瀬直樹だったが,その分析をもう一歩進めた感がある.
  • げんきな日本論
    この書名の「元気な」は「日本」ではなく「論」にかかる言葉。日本史の18の質問を社会学的観点から語り合う。まずはなぜ日本は土器が発展したのか?から。なぜ日本で大きな古墳が発達したのか。なぜ日本は貴族階級、そして武士階級が生まれたのか、天皇を超える存在になろうとした信長を象徴する安土城など、興味深い根源...続きを読む
  • 日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか
    <目次>
    第1章  革命家はただ一人
    第2章  東の革命/西の革命
    第3章  天皇なき天皇制

    <内容>
    日本唯一の革命家は、北条泰時だという。説の根本は、山本七平の『日本的革命の哲学』。大筋はわかった気がするが、キリスト教との比較や中国の比較などは手に負えなかった。
  • げんきな日本論
    年末年始に何読もうかと書店を物色して目に留まった本。
    「元気な日本論」というタイトルと橋爪大三郎さんに魅かれた。413ページと新書にしては大部だけど、対談形式なので苦にならず読めた。
    「なぜ日本には、天皇がいるのか」、「なぜ日本には、幕府なるものが存在するのか」、「なぜ信長は、安土城を造ったのか」な...続きを読む
  • げんきな日本論
    とてつもなく賢いおっさん二人の話を立ち聞きしたら、ちょっとは分かる部分もあったし、分からない部分は分からないなりに面白かった。
    そんな感じ。
    全部理解しようと思わなくていいし、どんどん読み飛ばしたっていい本だと思います。

    何しろ、「一人で考えていたら悶々としちゃいそうな話も、二人で話したら膨らむん...続きを読む
  • げんきな日本論
    橋爪氏と大澤氏の日本史に関する対談。
    古代から幕末までですが、もう少し近代史も範囲として
    話をしていったほうが、と思います。
    なんとなく日本史って幕末。もしくは明治・大正までで
    終わってしまう傾向にあるので。
    日本の特殊性やその必然性など、中国やヨーロッパと
    比べて日本の武士や封建制の特殊さなど。
    ...続きを読む
  • 憲法の条件 戦後70年から考える
    憲法について騒がれることが多くなったので学びのために手に取った本。
    集団的自衛権、憲法9条といった世の中で騒がれているようなポイントだけではなく、憲法そのものについての基本的な考え方を学ぶことができる。
    ただ、法に対しての人の解釈が無数あるように、法そのものに対しての基本的な考え方も他にも多くあるの...続きを読む
  • おどろきの中国
    ■読んだきっかけ
    ・中国出張するにあたり、行く土地の歴史・地理・文化・国民性を知っておきたかったから。
    ・ニュースや人の話で聞く、中国の悪いイメージ(自己中心的・反日)は、あくまで日本側の視点なので、中国側の視点も知りたかった。
    ■本の内容
    ・社会学者3人による、「中国」についての鼎談であり、どちら...続きを読む