大澤真幸のレビュー一覧

  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    資本主義の「終わり」を大きな観点から論じた対談。目先のこまごました事象は気になるが,こうした大局的な見方を自分のものにしておくのは大事。
  • 不可能性の時代
    大澤「先輩」の書.
    随分昔に読んだので詳細は覚えていないのだが,今の自分の思想の根本にはこの本があるといっても過言ではない.
    今生きる時代を考えるのには不可欠の書であるといえる.
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    水野和夫と大澤真幸の顔合わせは意外だったが、以前より知り合いだったらしい。2人の対談を通じて、経済学的な観点と社会学的な観点から、いまにも崩れそうな資本主義について、歴史的なスパンでとらえ直している。
    近代とともに発展した資本主義は、現代に至ってかつてないレベルでグローバル化した。この帰結として、搾...続きを読む
  • 思考術
    序章と終章で、読んだり書いたりすることを通しての、批評眼の養い方みたいなことを解説。結構大事なことを言っている。

    本書の中心になってるのは、古典文学はじめさまざまな作品の批評だが、序章と終章だけでも収穫はでかい。買いです。

    書店によってビジネスの棚にあったり思想や文芸批評の棚にあったりする。なか...続きを読む
  • おどろきの中国
    これは面白い!中国庶民の日常感覚を知っている人だから語れる、中国近代史の本当の意味。変に西洋基準で見ると不思議な中国だが、儒教国家として見れば納得できなくはない。確かに日本人の感覚の方が、より変かも知れない。世界の双頭であるアメリカと中国に対して、より良い関係を築いていくためには、お互の歴史と庶民感...続きを読む
  • おどろきの中国
    「ふしぎなキリスト教」に続き、橋爪、大澤コンビに加え、宮台真司まで加わった、ハイレベルの鼎談。ハイレベルといえども決して難解ではなくわかりやすく「中国」を読み解く。帯にあった通り、そもそも中国というものが「国家」なのか、というあたりから議論は始まる。文字通り、その二千年以上の歴史を知らずして、昨今の...続きを読む
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学
    尊敬する社会学者の一人、大澤真幸さん。今回もおもしろかった。どこかでもう一度読み返したい。『不可能性の時代』と合わせて読むと、より効果的かと。

    原子力を巡る「信と知の乖離」や、「例外の守備範囲の拡大」などは、多くの人が共感できると思う。また、ロールズの正義論の限界を乗り越えられる理由として、「未来...続きを読む
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    資本主義は普遍的なものなのか、過渡期的なものなのか?なぜ西洋〜キリスト教の下で発生したのか?国民国家と資本との関係は?

     ローマから始まって、スペイン、オランダ、イギリス、アメリカ、日本、EU…。歴史上、ヘゲモニー国家は生産拡大→金融拡大→バブル→崩壊というサイクルで移行して行きます。その指標とし...続きを読む
  • 生権力の思想 ──事件から読み解く現代社会の転換
    大澤先生の新書での著作。いつもの議論の展開ではあるが、権力と身体とのあり方についての考察。個人的には「見られているかも知れない不安」から「見られていないかもしれない不安」への転換についての議論は非常に面白かった。まだ自分の頭も十分に整理は出来ていないので、何度か見返したい。
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学
    震災・原発事故のお話を、フロイト、ロールズ、江夏、イエス・キリスト…と相変わらずの「そんな無茶な」と思わせるアクロバティックさを保ちつつ、その説得力に今回も驚きました。
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学
    『夢よりも深い覚醒へ』岩波文庫・大澤真幸

    正直言って自分の手には余るテーマだけれど、こういう時世だからこそあえてレビューを。3.11を受けて、原発のありかたの是非を根源的に問う哲学書。この問題設定をおこなう以前に答えは決まっている。かくも危険な存在であると分かっている原発をなぜに容認してしまうのか...続きを読む
  • 二千年紀の社会と思想
    「これからの千年を人類はどう生きるべきか?」

    震災をはさんで『atプラス』でおこなわれた対談に加筆を加えて収録するとともに、90年代の重要な対談、そして大澤さんの原発事故に関する論考 を収録。ものごとを大きな射程でとらえるという前提に立ち、「人間とはどう生きるべきか、社会はどうあるべきか」について...続きを読む
  • ふしぎなキリスト教

    興味がある人は必読!

    個人的には無宗教ですが、マイケルムーア監督の西洋社会への風刺をかいた映画を見てから、
    西洋社会が政教分離できていないことに驚きと関心があったので、この本を購入。

    そもそも興味がないと読まないジャンルだと思いますが、社会学、心理学的にキリスト教にせまっていて
    興味のある人にとっては大変おもし...続きを読む
  • 文明の内なる衝突
    伝統的な善の判断、人々間での合意を前提とした定式化した善、普遍的な善など不可能という3つの立場、これらはそれぞれが絡み合い普遍的な解にたどり着く事は出来ない。
    そこで著者は9.11のテロを引き合いにし、人間の言葉を原始テキストとしたキリスト教、神の言葉を原始テキストとしたそれぞれの宗教と、現代社会の...続きを読む
  • 文明の内なる衝突 テロ後の世界を考える NHKブックスセレクション
    [ 内容 ]
    9・11テロは、文明の「外敵」が引き起こした事件というだけではない。
    アメリカを含む「私たち」の内にも、イスラーム原理主義に呼応する側面があるのではないか?
    テロリストは、私たちの内なる欲望を映し出す鏡ではないか?
    文明間の衝突は、同時に私たちの文明の内なる衝突ではなかったか?
    現代世...続きを読む
  • 「正義」を考える 生きづらさと向き合う社会学
    201103/
    ウォルター・リップマンの『世論』/
    世論の形成においてエリートの存在がいかに重要か/
    個々の市民は群集の中におぼれている。だから、彼らにはローカルなものしか見えていない/
    エリート知識人があたかもすべてを見通しているかのように人に思われることは、世論が形成され、民主主義がうまく機能す...続きを読む
  • 不可能性の時代
    見田宗介をうけ、さらに現代に対応している。
    がっかりする新書ではない。
    前半、「現実への逃避」が印象的。
    後半の実践に関する記述に、「責任と赦し」とのつながりがある。
  • 不可能性の時代
     「あなたはすべての仮面ライダーを破壊するものです。創造は破壊からしか生まれませんからね。残念ですが…」
     突然だが、この「仮面ライダーディケイド」第一話「ライダー大戦」で紅渡が主人公の門矢士に言った台詞が、やけに本書が示唆する時代背景の一面を表している。

     今までいろいろ電車やバスの中でちょくち...続きを読む
  • 逆接の民主主義 ――格闘する思想
    むむ、この人はすごい。
    素直にそう思えた本。

    ありきたりなことでなく、
    しっかりと自分の頭で一から思考している学者だなと。

    「第三者の審級」とか「愛」についてのくだりとか、
    思わずそっか〜っと感心する話がボロボロでてきた。

    言い回しがややわかりずらいところがあったような気もしたが、
    知的な刺激...続きを読む
  • 逆接の民主主義 ――格闘する思想
    「他者性」、他者になる(赦す)こと(デリダとハーバーマスを超えて)、といったことで、これは2005年あたりからいってきたこと。今回新書だからかわかりやすくて、丁寧で、攻撃的。この人が50人くらいいれば世界は変わると思う。とりあえず政治家になるか、ブレーンになるか。