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何を、いつ、いかにして考えるか―幅広い対象へ鋭く斬り込み、刺激的な著作を世に問い続ける知性には何が起きているのか。社会科学、文学、自然科学…異なるジャンルの書物の力を触媒にしながら、オリジナルな思考を紡ぎ出し、深化させる実践例を展開。さらには、執筆過程の舞台裏も初公開。知的創造の現場へと読者をいざなう。
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Posted by ブクログ
わたしたちは、普段、コレコレについて考えよう、といって考え始めるのでしょうか?例えば、地球環境、戦争、マイノリティの問題、人種の問題。そういうこともあるかもしれませんが、突然想定していなかった状況に追い込まれることによって、取り憑かれたように考えるようになるとき、人は深く思考しはじめるものです。この...続きを読むことをドゥルーズは「不法侵入」という言葉で表現しています。例えば自分がトランスの当事者であり、社会的不利益を受けたとき、性とは何かについて考えざるを得なくなる。自分とは何かについて問わずにはいられなくなる。例えば被災することで、技術の進歩と弊害について頭を悩ませなければならなくなる。生きるとは何かについて考えなければならなくなる。 この本は、そうして、思考し始めたさいに、どのようにそれを深めればよいのかを示しています。著者の大澤氏は社会学者ですが、歴史学から自然科学までの幅広いジャンルに目を通し、氏の通底するテーマ(例えば「不可能性」はその一つです)に絡めて論じます。 テーマに沿って「読む」というのは普通に鑑賞してただ面白かったつまらなかったというのとは異なり、慣れなければ難しいものですが、本書では大澤氏の考えた実例をとおしてそのやり方を眺めることができます。みなさんも、自分の人生を通したテーマを思い起こしてみてはいかがでしょうか?
序章と終章で、読んだり書いたりすることを通しての、批評眼の養い方みたいなことを解説。結構大事なことを言っている。 本書の中心になってるのは、古典文学はじめさまざまな作品の批評だが、序章と終章だけでも収穫はでかい。買いです。 書店によってビジネスの棚にあったり思想や文芸批評の棚にあったりする。なか...続きを読むなかジャンル分けがむずかしい本である。
自由なはずの研究は、権威に拘束された探究よりもはるかに浅薄な命題しか導き出せない。何者かに不法侵入されたことによって思考は深まり、歩みを続けるのだ。そして、いい問いとは、こうした事情から思考せざる負えなくなったテーマ(問い)である。切実なテーマは、一見何の関係性も無さそうな様々な事象と結びつく。”答...続きを読むえはある”と信じ、理論や概念を利用しながら、自分自身が対峙する問題との折合いをつけていくことが、思考する楽しさなのかもしれない。 一人は間違える。聞いて欲しい、理解して欲しいというテーマについて、他者との対話、”説得力”が思考を深める上で必要だ。それは実際の対話でなく、文章にする際も同じ。但し、”説得力”のある文章を書くには、思考の順番と逆になることを意識した方が良い。野球でいえば、打者が「まいった」というような配球が、”説得力のある文章”なのだろう。そのためには、決め球から逆算して、限られた持ち球を如何に効果的に配球するか。この順番が肝ということだ。球が速いだけでは、プロでは勝てないのと似ているのかもしれない。自分の決め球で打者を打ち取るための配球が”オリジナリティー”であり、その瞬間での”答え”に繋がるものなのだろう。
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