大澤真幸のレビュー一覧

  • アメリカ
    米国という極めて特殊な国を理解するための深掘りとして、キリスト教(しかもプロテスタント)、そしてプラグマティズムという切り口から二人の学者が対話をする。「本気でキリスト教を信じる人たちの国」それがプロテスタントの独特の考え方と相俟って、無神論のような色彩も帯びていたりして、きっと日本人には分かりづら...続きを読む
  • 社会学史
    様々な学問の中でも、19世紀~20世紀になってそのディシプリンが確立された社会学は、比較的その歴史が浅い部類にあたる。しかし、歴史が浅いという点は、その学問自体の重要性とは何も関係がない。むしろ、近代において、社会学という学問がなぜ発達したのか、そして社会学とはどのようなイシューをその固有主題として...続きを読む
  • 生権力の思想 ──事件から読み解く現代社会の転換
    恐らく、ベースとなる通底する論拠がないのであろう、つらつら文章が流れるだけで、何を訴えようとしているのかが、わからない。
    大澤との結論とは別に、抵抗への主体を紹介している、ソクラテスに代表される真理を語るパレーシアに見た。
    権力への抵抗は、包括的に権力に依存する。
    第3領域において、真理を語る主体、...続きを読む
  • 三島由紀夫 ふたつの謎
    三島由紀夫の自殺、「豊饒の海」の結末の謎を解きほぐす。

    抜粋: 「一の内的不可能性 」は 、 「一 (存在 )」でもなければ 、 「 0 (虚無 ) 」でもない 。…三島由紀夫の出発点に一の内的不可能性があり、豊饒の海を見たのだろう>

    「永遠回帰、すなわち、虚無の世界が永遠に繰り返す。だからこそ...続きを読む
  • アメリカ
    キリスト教とプラグマティズムからアメリカを考えるとういことで、プラグマティズムはあまり知らなかったので勉強になった。
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    資本主義の定義、歴史、現代での位置付け
    ・長い16世紀
    利子、法人の概念の発展と宗教の役割(キリスト教の抵抗)
    法人の概念により複数世代に渡る永続的な投資が可能に→イギリスの海洋権益拡大
    スペインが陸を支配しようとしたのに対してイギリスは海(貿易)を支配→資本主義的支配
    中国の明も航海を行ったが資本...続きを読む
  • 不可能性の時代
    同著者『虚構の時代の果て』とセットで読むのがいいと思う。『虚構の時代の果て』でまず筆者の言わんとする「虚構」の概念、枠組みを捉えた上で、「虚構」がどのようにして「不可能」へとすり替わる・移行するのか、その過程に目を向けた本『不可能性の時代』であるという印象。

    実例として取り上げられているのが子供時...続きを読む
  • 憲法の条件 戦後70年から考える
    木村草太の対論を連読。今回は、社会学者・大澤真幸が相手でしたが、二人の学者によって非常に高尚なレベルでの憲法論が展開されているのはわかるにしても、それが私たちにどうつながっているのか、他人ごとに思えてしまうのでは、今の憲法との関係と同じになってしまいます。
    二人には、それを自分ごとと感じさせる工夫を...続きを読む
  • おどろきの中国
    あの愚策である、文化大革命の良い面として、中国の長い歴史に根付いた伝統を無化した功績が大きいとある。それにより、伝統の拘束力が低下してこの後につづく改革開放がいっきに進んだ。今日の中国の資本主義化がスムーズに移行できたのも納得がいくわけである。
  • おどろきの中国
    このシリーズはなかなか面白い。
    橋爪先生をちょっとよいしょしすぎなような感じはするが。
    中国に住んでいたものとしては、納得できるところが多くあったような気がした。
    毛沢東に散々な目に合わされても、打倒するわけではないというのは今の北朝鮮に近いものがあるのかなというところ。
    しかし、毛沢東はブチギレて...続きを読む
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学
    自分では当然と思っている事が、周りには受け入れられない。

    著者にとって、その1つが原子力発電です。危険で廃止するのが自明と思っているのに、3.11にもかかわらず廃止という意見が少ない。

    そんな時、ただ声高に主張するのではなく、どう行動すればよいか?

    著者は持論を展開していきます。それを成功/失...続きを読む
  • 憎悪と愛の哲学
    営利企業に就職し、ビジネスの論理やメカニズムを学んでいく過程で僕にとっての最大の疑問は、「なぜ企業は成長を宿命づけられているのか?」という点であった。もちろんそれは上場企業であれば、株式の評価が「成長性と収益性」によって決められているということが一つの解にはなるが、だとしても次の問いは「なぜ成長性が...続きを読む
  • げんきな日本論
    碩学の二人の対話は巧みなプレイヤーのジャズのように,お互いのフレーズを巧妙にアレンジしてさらに深い点にのめり込むといった,読んでいてぞくぞくするような場面が続出.例えば,幕藩体制の定義で,戦国時代が平和の裏に伏流している という表現は通常の歴史書には出てこない.さらに幕藩体制の政治原理に朱子学を持っ...続きを読む
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    チャーチル『資本主義は最悪のシステムだが、これ以上のものはない』
    限界収益低減の法則、 数を重ねると満足度が下がる。→満足度のシェアをすれば、解決するのでは?パイをどんどん大きくすればよいのでは?

    サモア  最後通帳ゲームは3割を切ると拒否されやすい。 利子率革命 ウェストファリア条約 三十年戦争...続きを読む
  • 考えるということ 知的創造の方法
    社会学者として最もリスペクトしている大澤真幸さんの著書。序章の時点で気に入りすぎて付箋をいっぱい貼るほど。何よりも面白いのが、著者が本をどのように読み、いかにして思考を紡いでいくかを疑似体験できること。

    各章において、社会科学・文学・自然科学の名著をどのように読み解き考えるかも述べられている。自分...続きを読む
  • げんきな日本論
    二人の非常に知的で好奇心溢れる対談が読むことができた。
    改めて日本という国の特異性が浮き立つ議論だと思った。
  • げんきな日本論
    「ふしぎなキリスト教」の社会学者二人が日本の歴史に語り合った内容をまとめた本。
    歴史の流れに従って書かれているけれど、それぞれの時代の中での天皇の位置づけの変遷が興味深い。
    「あさきゆめみし」だとか「世に棲む日日」を最近読んだっていうこともあるけれど。カミの子孫であったり、お飾りであったり、神輿にの...続きを読む
  • おどろきの中国
    日中戦争とは奇妙な戦争である。仮想敵国はロシアで、仮想友好国の中国。が、いつのまにか友好国を攻めて、いつのまにか泥沼。誰もその意思決定をしていない。
    すると、戦後、何に責任を取ればいいのかわからない。何に謝罪すればいいのかが、誰もわからない。だから終わらない。
  • げんきな日本論
     元気と言えば、「元気ですか~」のあの赤いマフラーをした萌える闘魂が浮かんでくる。とはいっても本書にあの人は登場しない。日本人のルーツと価値観や行動様式はどうなのかと言ったことを探っていくことで「二十一世紀を生きる日本人、元気の源」を見ていこうという趣旨で書いたそうだ。



     読んでいくと不思議に...続きを読む
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    【書きかけ】
    書名と著者名で拒否反応を起こす人も(特に近代経済学を一通り学んだ人には)いると思うし私自身はちょっとしたきっかけで読んでみたが、一度考えてみてもよい問題ではある。博識とイメージで押し切るトンデモな面はあるだろうから気をつけたほうがいいが、そういう面を全く含まずに考えるのは難しい話だと思...続きを読む