大澤真幸のレビュー一覧
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4人がそれぞれ一冊ずつ紹介するスタイル。
アンダーソンという人の想像の共同体が面白かった。
過去と正しく決別できていないからこそ、未来の日本人に対する無関心がある。
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第二に、歴史家の客観的な目には国民(ネーション)は近代的現象に見えるのに、ナショナリストの主観的な目にはそれは古い存在と見える。要するに、新しいのに当事者には古く見える。これこそ、ナショナリズムの最もふしぎなところです。
逆に、ヨーロッパのいずれかの国に植民地化され、まとまった行政単位として扱われたという事実が、結果的に、植民地の人々に「我々 ○ ○人」という意識を植え付ける結果となった、と考えるほかありません。
現代の日本は、実際、そのような状況にあるのではないでしょうか。しかし、現在、僕らが直面している重要な問題のほとんどが、現在生きている人たち以上に、これから生まれてくる人たちに関わっています。人口問題にせよ、環境問題にせよ、安全保障や憲法の問題にせよ、すべてそうです。これらの問題についての現在の日本人の意志決定の影響を受けるのは、主として、現在の日本人の大半が死んだ後に現れる将来世代です。 自分たちの後にくる未生の世代への異様な無関心。これが現代の日本人の特徴であるように思えてなりません。その原因はどこにあるのでしょうか。少なくともそのひとつの原因は、戦後の日本人が「我々の他者」を失ったことにあるのではないか。これが僕の仮説です。 -
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天皇という存在の不思議さ、ユニークさ、将来性に対する不透明さを社会学者と憲法学者が語る内容が実に斬新に感じた。女性・女系天皇を認めたとしても、今の少子化時代にあっては天皇家の絶滅はかなり有り得ること、天皇や皇室には基本的人権がなく、むしろ内閣の奴隷的な存在であり、その犠牲の上に日本国が成り立っていること、将来、天皇になることを悠仁親王や他の皇族が拒否することも何ら不思議でない、将来は悠仁親王妃になる女性がいるのだろうか?など、なるほどと思う問題提起ばかり。将来途絶えたときには誰を天皇にして制度維持するのだろう!?憲法改正が必要になる!過去の「万世一系」が危うい内容であることや、国民が天皇に敬意を払ってきたとは長い歴史()の中で言えなかったと思われること(実は昭和天皇の時代にも、明治初期にも、むしろ江戸時代には嘲笑対象)、そして日本国憲法の成り立ちが天皇を如何に表現するかが最大の関心であり。どのような民主主義を実現するのか、また9条の平和主義なども素通りで決まってきたと思われることなど、一々頷ける刺激的な本だった。リベラルな憲法学者の木村が天皇制が「外交面で国際公共価値を高めることに役立っている」と指摘していることは実に面白い指摘である。長谷部恭男氏は「みんなが天皇を象徴だと思わなくなったら、憲法第1条は意味がなくなる!」と解説しているとは愉快な話。別に憲法に書いているからではなく、事実だから憲法が象徴と書いているということだそうである。
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死者が生者を元気づけるように、「未来人」が生者を励ますことが出来れば、我々の将来は明るいものになるだろうなと小説のような感想を持ってしまいました。
本書は著者も言うように「幽霊本」です。それは、後世の人々に影響を与えられればという呪いの書のような側面があるからです。
キューブラー=ロスの精神的成長の五段階図式からすると、現段階の世界は、脱成長コミュニズムが実現するのはほど遠いと思われます。ただし、現状が一気に変化するパンデミックなどが一気に何度も引き起こされた場合は、実現が早くなると思われます。
現実的に適用可能な新しい税制理論(COST)の紹介や精神分析学的に資本主義社会に切り込んでみせたり(躁鬱的アプローチ)、脱成長コミュニズムの理論も詳しく解説し、ヘーゲルの「絶対知」を基に資本主義の内側からの「脱」成長が可能であることを説いています。
コロナウイルスによるパンデミックで我々の経済はずたずたになりましたが、資本主義はもうそろそろ一歩退いてもらえれば生きやすい世の中になるんじゃないかなと私自身は思っていたり、加速主義に対して疑問を持っているので、共感できる箇所の多い本でした。
大澤さんの知識の範囲が広く、本書も十全に語られているので、良く飲み込めない箇所もありましたが勉強になりました。 -
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秀逸の現代ロシア論・現代中国論・現代資本主義論
社会学者・大澤真幸(おおさわ・まさち)氏が朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」に長期連載している「この世界の問い方」をまとめたもの。
第1章の「ロシアのウクライナ侵攻」ではロシア(≒プーチン)がなぜこんな戦争をしてしまうのかをロシアの心性から解き明かす。まあだいたいわかっているとこではあるが、西ヨーロッパに対するルサンチマンの発露ということにやはりなりますよね。
第2章「中国と権威主義的資本主義」が全5章のうち最もおもしろいし、現代中国論でもあり、資本主義論でもある。「民主主義+資本主義」が正しいものとして生きてきた身としては「権威主義+資本主義」のほうが効率が良くてうまくいっていることに驚く。民主主義を標榜している国々でもGAFAのような巨大IT企業が本来公共財であるべき人々の生み出す情報を囲い込んで有料化(まるで税のように)しているわけで、「民主主義+資本主義」とは言っても、その中でGAFAが権威主体になっているとも言える。GAFAにやられるくらいならその権威主体が政府(や共産党)であったほうが民主主義に近い?!という逆説。
日本社会は中国的なものの島国的変奏曲でもあり、本当は「権威主義+資本主義」のほうが効率いいのだろうな。高度成長期はそうだったのかも、などとも思う。民主主義とは言ってもそれは容易に安直なポピュリズムに堕してしまうのだから。 -
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来月講演をお聞きする機会もありそうなので
読んでないと言うのも如何なものかと手に取る。
綻びを見せる資本主義。だからといって共産主義を
呼び起こせではない。
|マルクスだって、昨今、斎藤幸平さんが
|人新世の「資本論」でも指摘するように、
|共産主義の後がある。自然/人間/環境を
|繋ぐ思想が)
その次に進むには想像力が足りてないという
タイトルにも惹かれる。
想像力だけで解決をすることはないかも知れないけど、
それは一つの大きな原動力。
想像できないものは実現できないとは誰のことばだったか。
題材も個人的にも親しみやすい、サブカル/アニメも取り上げられ
読み進みやすい。
まぁサブカル自体、その前衛力で時代を変える/斜めから捉える
動きだろうし、親和性は高いのだろう。
タイトルに対する結論は明示されないかも知れないが、
それは読み手が考え、進めることが狙いなのかも知れない。
さまざまな思想/表現を斜めに繋ぐ論も好ましい。
この世に完全に断絶された、孤独な知や表現などない。
それは坂本龍一さんが思想家と分かり合えたと言うことにも繋がる。 -
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ハイデガーの『存在と時間』の解説書です。
『存在と時間』はかつて、既刊部分のみをもとに実存哲学の代表的な著作とみなされていましたが、その後「存在の問い」というより大きな問題設定のなかで『存在と時間』の位置づけを見なおすことの必要性が主張されるようになり、日本でも木田元が多くの著作を通じて、そうしたハイデガー解釈を啓蒙してきました。
もちろん、そのような理解が広く受け入れられたあとも、仲正昌樹の『ハイデガー哲学入門─『存在と時間』を読む』(2015年、講談社現代新書)や北川東子のハイデガー 存在の謎について考える』(2002年、NHK出版)など、あえて『存在と時間』の議論を実存哲学として紹介することで、その魅力を示そうとした著作はあります。これに対して本書では、『存在と時間』が現在われわれが手にとることのできるようなかたちで刊行されたことの意味を重視し、「存在の問い」という後年のハイデガーが手掛けることになる問題設定のなかで『存在と時間』の解釈をおこなうのではなく、『存在と時間』の内在的な解釈を通して、ハイデガーがわれわれの「生」についてどのような分析をおこなっているのかということを明らかにすることがめざされています。
その一方で、伝統的な実存哲学の概念に依拠して説明をおこなうのではなく、ドレイファスや門脇俊介といった研究者のスタンスが踏まえられているのかもしれませんが、現実のなかで実践的な活動をおこなうわれわれのありかたにそくしてハイデガーの議論を読み解く試みがなされており、新鮮な気持ちで読むことができました。 -
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝っていけばいいのだろうか? -
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いま起きているロシア、ウクライナ問題をよく知りたくて購入。序盤は中東の戦争の話から入り、中盤からようやくウクライナの話題に。広い範囲の社会学的な論点で今起きている問題を捉えようとしている大澤さん、橋爪さんの対談は無知な自分にとってとても勉強になった。
特に途中で挙げていた、酒井啓子さん?の「すべての宗教問題は、宗教的な事情からではなく政治的な理由によって起こる。その吐口と理由づけとして宗教が用いられている」というような話に感銘を受けた。まさにその通りだと思った。
国家間の対立全般例えられることかもしれないが、今回のロシアの抱える大きなルサンチマン、お互いに歩み寄れない西側諸国とロシアの対立は、中学校の中で起きる喧嘩みたいだなとふと思ってしまった。希望論かもしれないが、ロシア国内で革命が起きて、国民の総意によりプーチンが失脚。それにより自分達が西側以上にクリスチャンとしてしっかりしているというアイデンティティの確立ができること。これが平和に向かう為の最善解だという話には概ね同意できる。しかし、ロシア側の情報が依然少ない中での希望なので、そんなことでロシアが満足するのかは正直疑問だった。 -
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「資本主義」の根源的な発生にまで遡って対談する本書の内容には、ちょっと衝撃を覚えた。果たして「資本主義の終焉」が来るのだろうか。
本書は歴史解釈の本かとも思うが、こう言う視点もあるのかと新鮮に思える。
「資本主義は限られた割合の人にしか成立し得ない」「15%対85%」とは驚きつつも納得の思いも持つ。確かに世界中のすべての国が先進国に到達する風景は想像し難い。そもそもエネルギーも環境も持たないだろう。
16世紀のイギリスの歴史から「新興国が先進国に追いつくとデフレが始まる」とは衝撃、これは法則として成立するのだろうか。いろいろと考えさせられた。
本書は2013年の発行だが、時が過ぎた現在でこそ説得力をもつ内容だと思えた。