あらすじ
名著(古典)を通じ、メディアの本質に迫った『100分deメディア論』。
放送後、話題を巻き起こし、視聴者から再放送リクエストが殺到。
スタジオ番組としては異例となる「ギャラクシー賞」を受賞しました。
放送から1年。
「まだ語るべきことがあるのではないか」
その思いから、気鋭の論客が再集結、
番組放送からあらたな名著をセレクトし、
日本の危機を徹底討論します。
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Posted by ブクログ
なかなか骨太の内容の本なんだが、とても読みやすい。
4名の論客が、マスコミとメディアと世論の関係について、実に刺激的に論理を進めてくれている。しかも、その論理を進める際に引用しているのが、ちょいと昔の本なのだから、おもしろい。
・ハルバースタム著『メディアの権力』
・トクヴィル著『アメリカのデモクラシー』
・ベネディクト・アンダーソン著『想像の共同体』
・ブラッドベリ『華氏451』
それぞれの方の文章の後には、その内容に関する座談会の様子も収録されていて、これもまた私たちの理解を助けてくれる。
ここにあげられている本も読みたくなったなあ。
まったく本書の内容の紹介にはなっていないな。
Posted by ブクログ
1.なぜ相変わらず私達国民はメディアや政府に騙されてしまうのか、対策はないのか、を考えるために読みました。
2.現代メディアは「単純化」という罠仕掛けてあらゆる情報を分かりやすく伝えています。ゆえに、視聴者は飛びつきやすく、自分が考えなくても「考えた気になってしまい」、結果として手のひらで転がってる状態になってしまいます。
本書では、4人の著者が自身のオススメの本を通して、日本のメディアがどのようにして国民に情報提供をしてきたのか、そして、国民がどう変化してしまったのかを述べています。
3.「真実は伝わりにくく地味であり、嘘は単純で分かりやすく伝わる」ということを普段から心がけて情報収集にあたっています。メディアはいわば伝えるプロなので、手段を問わず、視聴者を取り込んでいきます。それが仕事であり、自分の収入に直結するからです。しかし、そのメディアの方々どんな気持ちで仕事してるのだろう?正直、私はメディア、テレビの情報は一切信用しておらず、データも改竄されてることを前提にニュースをチェックしております。ここまでやるのはやりすぎではありますが、自分の疑問フィルターが弱い分、騙されやすいことも理解した上での対策です。今の日本人はこの疑問フィルターが強い人と弱い人が二極化しました。弱い人に訪れる未来は不幸です。
人生は決断の連続である以上、相手が誰であれ、後悔のない選択をしていきたいなと思いました。
Posted by ブクログ
メディアの功罪がいくつか語られているが、最も罪深いのが「単純化」だ。ネットの世界も同じだが、単純化しないと新聞が売れないし視聴率も取れない。「わかりやすくお伝えします」というのは紙面リニューアルやニュースの新番組で聞かれる決まり文句だが、それが良いことだという共通理解がある。とんでもない。わかりやすく伝えるという事は、細部を意図的に切り捨てていくことだ。世の中そんなにわかりやすくはできていない。こうして大多数の国民から、どんどん複雑なことを理解する能力や耐性が失われていく。メディアが単純化しているのは彼らに事実を伝える情熱が欠けている事のほかに、それが求められていないからでもある。一方的にメディアと国民のどちらに責任があるのかは難しい問題だ。
Posted by ブクログ
4人の論客がそれぞれ一冊ずつ名著を引用しながら議論を展開する。内容はメディアと社会の関係性、その歴史、そして今後のメディアの展望。個人的には近代小説が近代国家の解説に加担したという部分が興味深い。文語から口語へ移ると同時に、文字が知識人階級から大衆へと解放されていく。魯迅の白話運動はその典型だろうか。そういう意味で近代国家は知識人階級と大衆を同等に扱うことによって成立している仕組みとも考えられる。メディアに影響されやすい性質を内在する大衆が中心を担っている社会であるからこそ、メディアによる煽動や忖度など、社会の中に存在する危険性には注視する必要がある。