大澤真幸のレビュー一覧

  • おどろきのウクライナ

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    ネタバレ

    タイトルは「おどろきのウクライナ」であるが、話はウクライナにとどまらない。「不思議なキリスト教」以来、数々の対談で謎を解き明かしてきた橋爪、大澤両氏がこの本で語り始めるのは、ロシアによるウクライナ侵攻前からであり、話はウクライナの戦争の背景からポスト・ウクライナ戦争まで及んでいる。今の混迷する世界について考えるために少しでも見通しを持ちたいのなら、ぜひお勧めする書である。アメリカ、ロシア、中国が今何を考え、どこへ進もうとしているのか、分かりやすく語っている。
    今は大きく分けて二つの資本主義が生き残っている。アメリカに代表されるリベラルな資本主義と中国の権威主義的な資本主義である。中国が成功する

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    2023年01月03日
  • 思考術

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    わたしたちは、普段、コレコレについて考えよう、といって考え始めるのでしょうか?例えば、地球環境、戦争、マイノリティの問題、人種の問題。そういうこともあるかもしれませんが、突然想定していなかった状況に追い込まれることによって、取り憑かれたように考えるようになるとき、人は深く思考しはじめるものです。このことをドゥルーズは「不法侵入」という言葉で表現しています。例えば自分がトランスの当事者であり、社会的不利益を受けたとき、性とは何かについて考えざるを得なくなる。自分とは何かについて問わずにはいられなくなる。例えば被災することで、技術の進歩と弊害について頭を悩ませなければならなくなる。生きるとは何かに

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    2022年12月26日
  • 理想の国へ 歴史の転換期をめぐって

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    読み易さと内容の濃さの両方を叶えた充実した対談。この組み合わせでは当然と思えるが、改めて1990年以降の日本が辿ってきた道を考えさせられる。本筋とはやや離れるがイチローが変えたベースボール感には鳥肌がたった。

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    2022年11月20日
  • おどろきの中国

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    中国についての入門書。橋爪大三郎先生は何でも知っているのではないかと思った。中国の社会的がどういう仕組みなのか、歴史的な背景から説明される。そして、日本と中国の近代について比較、日中の歴史問題、最後に日本の未来について大変わかりやすく書かれています。

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    2022年10月31日
  • げんきな日本論

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    18の歴史的なテーマに沿ってお二人が対談によって検証を深掘りする。ひとつひとつが簡単なテーマではないことに加え、前提として要求されている知識があり、日本の歴史を一定程度理解していないと付いていくことが難しい。然るに半分しか解らなくても通読の意義は大いにある、充実した内容。

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    2022年10月01日
  • ふしぎなキリスト教

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    もしこの対話の間に入っていたら、ずっと話を聴いていられる感じがする。
    学校の授業で聴くには少し堅苦しく、かと言ってBarでお酒を飲みながら聴くにはお粗末な感じ。
    読書で読みくだき、一人で悶々としながら思考を巡らすのがちょうどいい、ふしぎな本です。

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    2022年09月21日
  • ふしぎなキリスト教

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    2回目。前回はざっと読んだだけであまり覚えていなかった。
    『ゆかいな仏教』を読んで再度読んだ。
    間違っている箇所もあるとの指摘もあるそうだが、全体に読みやすく切り口も面白いので、自身含めキリスト教のことが全然わからないという人が最初に読む本としてはとても良いと思う。

    ●概要
    今当然にある世俗的な概念や制度(資本主義、自然・社会科学、民主主義、芸術)が出てきた背景や受け入れられた素地が実はキリスト教にある。日本人は一神教でもなく特にキリスト教への理解が薄い。キリスト教を知ればもっとその概念や制度、一神教の人々の通底する考え方が理解できるのではないか。
    キリスト教がベース・前提としているユダヤ教

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    2022年05月17日
  • むずかしい天皇制

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    日本特有の集団の意思決定法「空気」について明解な解説がある。また河合隼雄の中空構造日本にも通底する見方が示されている。

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    2022年05月09日
  • ふしぎなキリスト教

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    一神教について、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の違いなど理解が深まった。私たちの生活の中で、知らずのうちにキリスト教的考え方に基づいていることが多いというのもよく理解できた。

    何度か読み返して理解を深めたい本。

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    2022年04月24日
  • 極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる

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    本書は「私たちがそれぞれ『私』の生を生きているとはどのようなことか』という問題に対する取り組みとして『存在と時間』を解釈する。
    実存主義にも存在論にも還元できない、そうした『存在と時間』に固有とも言える哲学的洞察を評価する試みであることを個々に明記しておく。

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    2022年04月11日
  • ふしぎなキリスト教

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    橋爪大三郎による「キリスト教」の解説書。対談形式で解説が進む構成になっており、ユダヤ教からキリスト教への変遷から一神教とは何かにまで踏み込んだ宗教の包括的な理解を助けてくれる。

    現代の先進国社会は殆どキリスト教文化圏だといい。にも関わらず一神教が浸透し切ることのなかった日本では殆どキリスト教は理解されていない。その意味で本著はキリスト教を中心に「宗教」というものを体系的に理解することに役立つ。
    また対置的に日本社会ひいては「無神論」を置くことで、多くの示唆をくれる。
    読みやすく、ためになる。良書。

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    2022年01月17日
  • ふしぎなキリスト教

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    キリスト教を日本人の思想回路に沿って説明をしてくれる非常に分かりやすい一冊。前半はキリスト教の誕生から成立まで、後半はキリスト教と西洋世界の融和と哲学史への繋がりを紐解く。相当面白い。入門書から専門性を幅広く網羅していて他のキリスト教関係の書物を読んだあとだと更に面白さが増していく。
    前半後半は地続きという訳でもないので、間隔をあけて読んでも支障がない。対談形式だから学術書のような固さがないのが読みやすさの要因か

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    2021年12月29日
  • 別冊NHK100分de名著 ナショナリズム

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    どの本もとても示唆に富んだもの。各解説者も深い考えを持っていて、大変勉強になりました!番組も含めオススメです

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    2021年12月08日
  • 戦後思想の到達点 柄谷行人、自身を語る 見田宗介、自身を語る

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    編者のお二人に対する深い造詣と敬意、鋭い切り口から、お二人の考え、概念を分かりやすく掘り下げながらどんどん引き出してくれています。
    しかも最終章でお二人の鍵概念をつなぎ合わせ、それぞれの思想が混交されていくところが、なんというか、新たな可能性を感じました。

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    2021年10月23日
  • 自由という牢獄 責任・公共性・資本主義

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    近代は変化が常態化してる社会。
    リベラリズムと環境志向主義は真っ向から対立する。

    労働する体はその故人に所属することが自明である。

    求心化と遠心化

    意識的に選択していない行為こそがまさに自由に選択しているように見える

    選択は既に好意がなされているときには終わっている。先験的な過去。

    そもそも人間は生まれてくることに対して無責任であり、後続の生きるということは無責任である。

    自己の同一性と責任はセット。

    根源で奇遇優性。
    固有名が偶有的であり、それは他者の承認が必要。

    3章
    公共性とは、自由と平等な開放性が満たされる社会的な状態。


    生命維持のゾーイと、徳を持って生きるビオスが

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    2021年09月11日
  • 社会学史

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    おもしろかった。これを読んで、自分が社会学に興味が湧いた理由が感じられた。やはり世間の風潮は(小声で:ちがう)。なにかとこれが答えだ!善だ良心だ美だ!みたいな話が多すぎて、そんな気がしてしまうと同時に何か違う気がどんどん。だとしたらなにを誤解しているのだ?と。それで一定の学びジャンルに目が向き。それの一つとしてこの本に会った。社会学の社会を見つめる目。社会学全体の流れ、俯瞰。それで僕の社会観を調整してくれる。これからの僕にいいと思う。

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    2021年05月12日
  • 社会学史

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    ネタバレ

    最新版の社会学史。

    社会学は近代のもの。たかだか200年の歴史。
    近代の自己意識として社会学が誕生したことを古代の社会理論から始め、社会契約論という社会学前夜の話を経て、社会科学の誕生の中に、コントの名付けた「社会学」があるという位置づけ。
    マルクスを間にいれたあと、社会の発見というテーマで、フロイト、デュルケーム、ジンメル、ヴェーバーを説明。
    その後は、システムと意味というテーマで、パーソンズの機能主義の定式化、意味の社会学、さらにルーマンとフーコーの意味構成論的なシステムの理論が解説される。

    社会学の主題は「社会秩序はいかにして可能か」というもの。前提として偶有性という概念がある。

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    2021年02月23日
  • 三島由紀夫 ふたつの謎

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    めちゃくちゃ面白かった。
    三島の割腹自殺は、最大の謎として、文学界と日本現代史に大きなインパクトを残している。
    それを単に政治的な意図だけではなく、あくまで三島文学から哲学的に、その謎解きを丁寧に論理的に編み上げており、大澤真幸の理論には一部の隙もない。隙が無さすぎて、その真実性をかえって疑いたくなるくらいの完璧さである。それが、ある意味面白い。

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    2021年02月22日
  • 文明の内なる衝突

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    こういうがっちりした社会学系の本もたまに読むと面白い。ポストモダン後のセキュリティ社会に対する考察。9.11をはじめとするテロ行為は、西欧とイスラムという異なる文明の衝突ではなく、資本主義社会における内的な闘争ではないか、という点を考察する(ビン・ラディンも金持ちのボンボンであり、異なる文明の代表者というよりも、自分達が属する資本主義社会が生み出した別の側面である、という論旨)。よって異国からの脅威を防ぐだけではなく、自国内に潜む「テロリスト」を殲滅しない限り戦争は終わらない。必然、この戦争で主導権を握るのは、軍隊ではなく警察となり、社会全体が、セキュリティ体勢の強化による警察国家の方向へ舵を

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    2021年01月03日
  • 社会学史

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    社会学の誕生と生成の背景を明晰に語り、その問題意識と可能性をあぶり出した名著。

    後書きにあるとおり、優れた聞き手がいたことも薄々感じられ、11年かかったのも頷ける。

    今の自分と社会を照らし出す、いわゆるハッとする記述にたびたび出会いながら、一気に読み切った。

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    2020年11月06日