大澤真幸のレビュー一覧
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ネタバレタイトルは「おどろきのウクライナ」であるが、話はウクライナにとどまらない。「不思議なキリスト教」以来、数々の対談で謎を解き明かしてきた橋爪、大澤両氏がこの本で語り始めるのは、ロシアによるウクライナ侵攻前からであり、話はウクライナの戦争の背景からポスト・ウクライナ戦争まで及んでいる。今の混迷する世界について考えるために少しでも見通しを持ちたいのなら、ぜひお勧めする書である。アメリカ、ロシア、中国が今何を考え、どこへ進もうとしているのか、分かりやすく語っている。
今は大きく分けて二つの資本主義が生き残っている。アメリカに代表されるリベラルな資本主義と中国の権威主義的な資本主義である。中国が成功する -
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わたしたちは、普段、コレコレについて考えよう、といって考え始めるのでしょうか?例えば、地球環境、戦争、マイノリティの問題、人種の問題。そういうこともあるかもしれませんが、突然想定していなかった状況に追い込まれることによって、取り憑かれたように考えるようになるとき、人は深く思考しはじめるものです。このことをドゥルーズは「不法侵入」という言葉で表現しています。例えば自分がトランスの当事者であり、社会的不利益を受けたとき、性とは何かについて考えざるを得なくなる。自分とは何かについて問わずにはいられなくなる。例えば被災することで、技術の進歩と弊害について頭を悩ませなければならなくなる。生きるとは何かに
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2回目。前回はざっと読んだだけであまり覚えていなかった。
『ゆかいな仏教』を読んで再度読んだ。
間違っている箇所もあるとの指摘もあるそうだが、全体に読みやすく切り口も面白いので、自身含めキリスト教のことが全然わからないという人が最初に読む本としてはとても良いと思う。
●概要
今当然にある世俗的な概念や制度(資本主義、自然・社会科学、民主主義、芸術)が出てきた背景や受け入れられた素地が実はキリスト教にある。日本人は一神教でもなく特にキリスト教への理解が薄い。キリスト教を知ればもっとその概念や制度、一神教の人々の通底する考え方が理解できるのではないか。
キリスト教がベース・前提としているユダヤ教 -
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近代は変化が常態化してる社会。
リベラリズムと環境志向主義は真っ向から対立する。
労働する体はその故人に所属することが自明である。
求心化と遠心化
意識的に選択していない行為こそがまさに自由に選択しているように見える
選択は既に好意がなされているときには終わっている。先験的な過去。
そもそも人間は生まれてくることに対して無責任であり、後続の生きるということは無責任である。
自己の同一性と責任はセット。
根源で奇遇優性。
固有名が偶有的であり、それは他者の承認が必要。
3章
公共性とは、自由と平等な開放性が満たされる社会的な状態。
生命維持のゾーイと、徳を持って生きるビオスが -
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ネタバレ最新版の社会学史。
社会学は近代のもの。たかだか200年の歴史。
近代の自己意識として社会学が誕生したことを古代の社会理論から始め、社会契約論という社会学前夜の話を経て、社会科学の誕生の中に、コントの名付けた「社会学」があるという位置づけ。
マルクスを間にいれたあと、社会の発見というテーマで、フロイト、デュルケーム、ジンメル、ヴェーバーを説明。
その後は、システムと意味というテーマで、パーソンズの機能主義の定式化、意味の社会学、さらにルーマンとフーコーの意味構成論的なシステムの理論が解説される。
社会学の主題は「社会秩序はいかにして可能か」というもの。前提として偶有性という概念がある。
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こういうがっちりした社会学系の本もたまに読むと面白い。ポストモダン後のセキュリティ社会に対する考察。9.11をはじめとするテロ行為は、西欧とイスラムという異なる文明の衝突ではなく、資本主義社会における内的な闘争ではないか、という点を考察する(ビン・ラディンも金持ちのボンボンであり、異なる文明の代表者というよりも、自分達が属する資本主義社会が生み出した別の側面である、という論旨)。よって異国からの脅威を防ぐだけではなく、自国内に潜む「テロリスト」を殲滅しない限り戦争は終わらない。必然、この戦争で主導権を握るのは、軍隊ではなく警察となり、社会全体が、セキュリティ体勢の強化による警察国家の方向へ舵を