大澤真幸のレビュー一覧

  • ふしぎなキリスト教

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    現代社会を深く理解するには、キリスト教について知悉するのが一番。それに応えてくれる名著。
    キリスト教に造詣の深い橋爪氏に、大澤氏が鋭く、かつ、ピュアに問いを投げかける。二人の対談の場に居たかったなと思うくらい、楽しんで知的に会話している様子。これ一冊でキリスト教について広く深く知ることができる。本当に不思議なキリスト教だ。

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    2024年04月21日
  • 別冊NHK100分de名著 ナショナリズム

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    100分de名著シリーズ、コンパクトに物事の争点が把握できるので(深さとか、広さについて異論はあるでしょうが)、いいですよね。「ナショナリズム」という概念、私には、なかなか把握の難しい代物で、理解するためにいろいろと試行錯誤が必要でした。まだ、考えはまとまっていないものの、この一冊は、視点を与えてくれるものでした。

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    2024年03月03日
  • ふしぎなキリスト教

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    この本を読んで、キリスト教の基本的理念と疑問、さらにはその教義が近代化にどのような影響を与えたか分かりやすく解説されている。僕自身キリスト教と関連のある生育環境にいたため、ずっと疑問を抱いたまま生活を送っていました。しかし著者たちによる複雑で難解なキリスト教の教義を社会学的に分析することで、キリスト教に対する自分のモヤモヤが明解になった(文章としてまとめるのは大変難しいが…)。

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    2024年02月24日
  • 別冊NHK100分de名著 メディアと私たち

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     私たち自身がどのような視点やバイアスを持ってメディアやネットの情報に接しているかを考えさせられる。特に日本人特有の「空気」について論じた『「空気」の研究』に興味を持った。戦艦大和の出撃が決定された「空気」や、身近なものでは会社の会議で最高決定権を持つ人の発言への忖度など、個人の意思に反していても集団になると正反対の決定が下される恐ろしさときたら。『世論』も皮肉なことにナチスドイツが研究し、悪用されてしまった事実が悲しいが、それこそが良書の証なのだろう。『一九八四年』は言わずもがな。未読の3冊すべて読みたくなる。

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    2024年02月05日
  • ふしぎなキリスト教

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    めちゃめちゃ面白い。最初から最後までびんびんだった。キリスト教で疑問だったことが悉く語られている。キリスト教や聖書のおおまかな知識をつけてから読んでよかった。
    著者2人の見識がすごいなあ。どれだけ深い知識があるのだろう。
    でも、橋爪さんという人は学者でありながらクリスチャンであるようだが、教義が政治的な駆け引きに近いものによって決まるとか、イエスは歴史上ただの大工の息子であるとか信仰の立場から外れた発言がある一方、大澤さんという完全に信仰の立場にない人からの素朴な疑問に対する答えが???なこともあって。やっぱり信仰していると客観的になりきれないのか、、、?宗教を信仰する気持ちはさっぱり分からな

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    2024年01月27日
  • 社会学史

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    社会学に興味があり購入。
    とても興味深く読めました。素人なので難解な言葉もあり、読むのに時間がかかりましたが時折「ふふふ」と笑える著者のセンスある表現に救われる完読できました。
    オススメです。

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    2024年01月18日
  • 社会学史

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    非常に面白い。社会学の歴史を、それぞれの理論の生まれた背景を含めて、的確に提示してくれている。そして、各学問には、固有の問があることを教えてもらう。
    社会学においての基本命題は、社会秩序は、如何にして成り立つのか?である。
    社会学初学習者である私にとって、社会学の外観と、それぞれの位置付けを知ることができ、自分の興味のある事柄や、今現在生きている理論がなんなのかも合わせて知ることができた。これから勉強を進める上での地図が得られた。
    ルーマンの社会システム論を掘り下げつつ、社会学のアプローチと、地理学、システム論、法律、マーケティング、数理最適化などを合わせてみていく中で、土地利用の最適化や、認

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    2023年12月02日
  • 極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる

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    最上級に噛み砕いて、これほどわかりやすく『存在と時間』を解説してくれた本はない。

    自分の生を日常性から一歩深い視点で見つめることができる。

    初めて解説本を読んで、『存在と時間』そのものに挑んでみようと思えた。

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    2023年10月19日
  • 極限の思想 ドゥルーズ 内在性の形而上学

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    「学」「二項性」の暴力性に抗うドゥルーズというイメージを持った。
    これはかけがえのない収穫だ。

    存在一義性、内在性は難しかった。
    第四章の狂気、第五章の表面、第七章の無人島(なかでも他者論)はかなり引き込まれた。

    著者の誠意を感じた。

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    2023年10月17日
  • 極限の思想 ニーチェ 道徳批判の哲学

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    カント研究者の視点が随所に光る。
    キーワードは超越論的。
    ニーチェの道徳批判を『道徳の系譜』に基づいて丁寧に読みほどいている。
    ニーチェの問題意識がよく分かる。
    最後に著者が読み解いた、個人としてだけではなく、人類としても、歴史としても、道徳を解体していく「永遠回帰」の思想は魅力的だ。

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    2023年07月18日
  • 社会学史

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    社会学の始まる前から、丁寧に解説している素晴らしい本。
    今まで社会学の流れを知るには、最適な一冊。

    紹介されている人物の、考えの本質を整理している。

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    2023年07月07日
  • 社会学史

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     社会学がどのような学問であり、どのような思想を辿って発展してきたのかを主要な人物と学説を用いて紹介していく内容である。600ページ以上と長いが、微妙な解釈の違いや世界の動向を簡潔にまとめられていると思う。大きなテーマとして、社会学の誕生、社会の発見、システムと意味に分けている。根底にあるのは、「社会秩序はいかにして可能か」という問いであり、これを基に読み解いていくと分かりやすいと思う。

     社会学者は、一見何を考えるのか分かりにくい学問分野だと思う方にはぜひ読んでほしい。どの人物も社会が出来上がる方法、移り変わる法則、平和への方法を中心にあらゆる角度から物事を見ようとしていることが理解できる

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    2023年06月20日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    何年も前に読んだナウシカをまた読みたくなったきっかけだった。
    こんなに深い視点がいっぱい詰まった作品だったとは思わなかった。当時読んだ時は20代前半でまだ世の中の現実や厳しさなどほとんど知らない世界で過ごしていたためか、ほとんど心に残っていなかった。というよりも理解できていなかったのだと思う。
    もう一度ナウシカを読み始めて、同時にこの本も読んでたくさんの人の考察を見ると、全然見える世界が変わった。
    本書の誰かも書かれていたけれど、過去に読んだ時と別にもう一度読み直すと見える世界が違う。まさに自分もそうだった。

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    2023年06月06日
  • 理想の国へ 歴史の転換期をめぐって

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    知性、思想、お人柄において信頼という意味では間違いない大澤真幸さんと平野啓一郎さんの、2019年1月平城天皇退位宣言の直後、コロナ禍となった2020年8月そしてロシアによるウクライナ侵攻後の2022年4月に行われた対談をまとめたもの、
    コロナ禍、ウクライナ侵攻という大きなパラダイムシフトととなるような危機、事態を目の当たりにし、大変冷静に語られている。帯には、鍛え上げられた施策と言葉で日本をバージョンアップする、と書かれているが、悪夢の安倍一強政権(アベスガ時代)の後岸田政権以降もマシになりどころか酷くなるばかりの中、なかなか現実にはバージョンアップは起こりそうにない。
    大澤真幸さんは前書きで

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    2023年05月14日
  • 自由という牢獄 責任・公共性・資本主義

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    特に深い動機もなく、書店で「新たな【自由】の概念を創造する」というオビに惹かれ購入しました。本書では4つの論文が掲載されていて、それぞれ「自由論」「責任論」「公共論」「資本主義論」と解釈しました。それぞれの論文が実は深いところで繋がっているので全部読むことをオススメしますし、世界中の賢者のアイデアを借用しつつも、著者独自の用語を紹介しながら「大澤ワールド」を展開されていました。

    内容ですが、私は哲学や社会学などの専門家ではないため、正直読み進めるのがかなりきつく、1回読み通しただけでは表面をなぞっているだけかもしれないと感じ、さっそく2度目を読み始めました。ただしじっくりではなく折り目をつけ

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    2023年05月02日
  • 極限の思想 バタイユ エコノミーと贈与

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    端的に言うと、聖と俗の二元論の浅はかさを撃ち、思索のうちに沈静するのでなく、この世の在り方、認識の仕方を根本的に超えていこうとするバタイユ論。

    アイテムとしては、経済、死、戦争、エロティシズム、宗教を新たな文脈の元で捉え直している。

    ハイデガー、サルトル、カイヨワ、レヴィナス、モース、レヴィ=ストロースの論と対比させながら、バタイユの独自性を明らかにする。

    繰り返しがくどくなく、深みを増す言及の仕方で、人間の根源に迫った好著である。

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    2023年04月25日
  • おどろきの中国

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    3人の社会学者による中国の長い歴史、そして日本との関係を社会学の理論なども参照しつつ、現実の観察をしっかりと踏まえて、議論を進めていく。

    「おどろきの中国」というタイトルで、なんとなく「やっぱ中国って変な国だよね」的な内容をイメージたのだが、純粋に本当に「おどろいた」。

    これ1冊で、よくわからなかった中国のすがたがモヤの中から立ち上がってくる感じがあった。

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    2023年03月08日
  • 極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる

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    自分がいまだに通読したことのない『存在と時間』についての読みをこの一冊で包括的に提供してくれた、(単行本ではあるが)新書的アプローチの本。注釈を中心に国内外の最新のハイデガー研究の成果が書かれており、読者としては信用がおける。

    要約の仕方については論争的な部分もあることも含めて著者自身が丁寧に紹介しているが、素人目にはあまりその点はわからない。とはいえ木田元の「未完問題」アプローチがあることは知っており、それゆえ「未完のものをどう論ずるのか」という先入見が自分にも多少残存していたので、その懸念をかなり早い段階で棄却してくれた点は読み進める上でありがたかった。

    ハイデガー哲学に必ずしも「(健

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    2023年02月10日
  • おどろきのウクライナ

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    ウクライナの話だけではない

    社会学者ですでに数々組んで本を出している橋爪大三郎、大澤真幸両氏の新刊、2021年~2022年にかけての対談の記録。
    ウクライナの話だけではなく、イスラム圏・中国・ロシアなどのさまざまな動きが読み解かれている。いつもの橋爪氏らの本とおなじく、文章はきわめて平易で難しい言葉使いはほとんどない。それでいて問題に対する思いもかけない博識な切り口が示され、読んでいてためになるしとても楽しい。再読三読したくなる。

    #タメになる #深い

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    2023年01月16日
  • おどろきのウクライナ

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    橋爪先生、大澤先生の両巨頭による最新の対談。
    ウクライナ情勢だけではなく、アフガニスタンのタリバンによる支配の背景など世界で起きている不可解な事態に、歴史的な文脈を補助線を入れながら解説。後半の中国に対する西側の姿勢のあり方では激論が展開。現在の世界情勢を理解するための必読書。

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    2023年01月08日