大澤真幸のレビュー一覧

  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか

    Posted by ブクログ

    資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
    (和書)2013年10月14日 00:37
    水野 和夫, 大澤 真幸 NHK出版 2013年2月7日


    格差を絶えず付け続ける運動が資本主義である。

    それに対し格差を解消することを目指す平等と平和の哲学がある。

    資本主義の中から格差を解消する対抗運動が生まれることは考えづらい。それは資本主義自体が格差をつくる永久運動としてしか存在意義がないからである。やはり理念を明確に持つことが不可欠であると思う。

    〈理念)=〈格差の解消としての平等と平和の運動又はシステム〉

    柄谷行人さんの交換様式がカール・ポランニーから来ていることを知った。互酬性、再

    0
    2020年09月27日
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学

    Posted by ブクログ

    夢よりも深い覚醒へ――3・11後の哲学 (岩波新書)
    (和書)2012年07月22日 15:51
    大澤 真幸 岩波書店 2012年3月7日


    原発についてからイエス・ソクラテスへそしてヘーゲルとマルクスの思考方法など思考がなされている。

    ハンナ・アーレントが危険思想はない思考することが危険なのだと言っている。
    そして思考停止こそ悪である。

    そういう意味で、3.11後から神・世界・人間を思考し続けるその姿勢は、それ自体、思考停止することを強烈に批判している。

    見習った方が良い姿勢だと思う。

    0
    2020年09月27日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    1人めの養老先生の「私の人生は「不要不急」なのか?」という問いでガツンと来る。数に限りがある人工呼吸器を若い患者、高齢の患者どちらに使うかで、現実にトロッコ問題が発生しているとは。「トライアル・アンド・エラー」ではなく「トライ・アンド・エラー」という表現は相変わらず気になる。伊藤隆敏さんのページにもあるように現金給付は一律じゃなくてもよかったんじゃないかと思う。ブレイディみかこさんのページにあるように普段質問しなかった子がオンラインだと質問するようになったみたいな予想していなかった変化は今後も起こるだろう。

    0
    2020年09月22日
  • 別冊NHK100分de名著 メディアと私たち

    Posted by ブクログ

    世論調査に関わっていたこともあり、「世論」、「空気の研究」は読んだことがあったが、表現が難解で最後まで読み切ることができなかった。
    今回、大澤真幸さんらの解説を通じて、ようやく内容を理解することができ、爽快であった。

    それと同時に、国単位での集団心理の特性は、今も昔も大きくは変わらないのだなと改めて感じた。

    昔と比べると我々が接するメディアの種類は増え、かつ、メインに接するメディアも新聞TVから移り変わり始めている。
    そのため、皆が同じメディアから情報を得て、同じように意見を形成していく形ではなく、それぞれがそれぞれのメディアから情報を得て、それぞれの意見を形成していくようになってきたと思

    0
    2020年08月30日
  • 考えるということ 知的創造の方法

    Posted by ブクログ

    社会学の大澤先生の思考論。
    考えるにあたり、書物の力を媒介とする点は、編集工学の「探究型読書」と似ている。

    以下が主な命題。
    ・何を、いつ、どこで、いかに、なぜ考えるか
    ・ショックがあった思考が起動する・・・ジル・ドゥルーズの「不法侵入」 
    ・が、常識の壁を破るのはなかなかに難しい
    ・思考を化学反応ととらえると触媒となるのは、他者と書物
    ・書物の力をいかに創造的に活用するかがテーマ


    読んで考える、という観点で、テーマごとに下記の書物が取り上げられている。いずれも考え甲斐があるのは間違いない。また思考の共鳴を促すようにも編集されている。

    社会科学:主題 時間・・・真木悠介「時間の比較社会

    0
    2020年08月18日
  • 支配の構造 国家とメディア――世論はいかに操られるか

    Posted by ブクログ

    推薦者による解説から4人の対談形式で本を色々な切り口で語るのは古典のブックガイドとしては新鮮で面白かった。

    0
    2020年04月23日
  • おどろきの中国

    Posted by ブクログ

    とても面白かった。

    ・日本は、アメリカと中国の両方の言い分がわかる国、にならないと生きていけない。
    ・文化大革命が中国の儒教の伝統を破壊したことで、後の経済成長を可能にした。
    ・毛沢東は天からの信託を受けた皇帝という位置づけを利用した。

    といったところが、学ぶべきところか。

    そして、橋爪代三郎はすごい。
    著作を読んでみることにしよう。

    0
    2020年04月03日
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学

    Posted by ブクログ

    1「未来の他者」はどのようにしたら、私達の意思決定コミュニティーのメンバーに入れることができるか?

    2「神の国」に近づくためには、現実をどのように位置づけることができればよいのか?

    3自分たち自身を「プロレタリアート」として認識することはできるか?

    同じ頂に登るための3つのアプローチについてのスリリングな論考。
    リーダブルであるが、私には難しいことも多いのが正直なところ。
    要再読か。

    0
    2020年04月03日
  • 不可能性の時代

    Posted by ブクログ

    読み進めてくうちに今の時代の感覚に近づいてきてる感ありました。すべて理解できたわけではないのでまたちょくちょく読み返したいです。

    0
    2019年11月14日
  • 支配の構造 国家とメディア――世論はいかに操られるか

    Posted by ブクログ

     なかなか骨太の内容の本なんだが、とても読みやすい。
     4名の論客が、マスコミとメディアと世論の関係について、実に刺激的に論理を進めてくれている。しかも、その論理を進める際に引用しているのが、ちょいと昔の本なのだから、おもしろい。
    ・ハルバースタム著『メディアの権力』
    ・トクヴィル著『アメリカのデモクラシー』
    ・ベネディクト・アンダーソン著『想像の共同体』
    ・ブラッドベリ『華氏451』
     それぞれの方の文章の後には、その内容に関する座談会の様子も収録されていて、これもまた私たちの理解を助けてくれる。
     ここにあげられている本も読みたくなったなあ。

     まったく本書の内容の紹介にはなっていないな

    0
    2019年10月12日
  • 社会学史

    Posted by ブクログ

    分厚いのにめちゃくちゃ面白くて読み進められました。

    マルクス、フロイト、デュルケーム、ウェーバーまでは面白い。

    構造と意味あたりの子細な議論のあたりに入ると疲れますが 笑

    0
    2019年09月19日
  • 社会学史

    Posted by ブクログ

    新書にして630ページの厚み。でも94册分(たぶん…巻末の索引で引用文献、数えてみました。)の社会学を巡る膨大な文献をエッセンスを詰め込みながら超コンパクトに社会学の歴史をツアーするガイドブックです。それは「社会学の歴史」こそが「社会学とは何か?」の答えになる、という学問だから。序文でも「社会学の歴史はそれ自体が社会学になる。そこに社会学という学問の特徴があるわけです。」と語っています。なるほど、ノーベル賞でも分野の確立している学問、例えば、物理学って何?とか経済学って何?とかは敢えて問わなくてもいいような気がしますが、社会学って何?についての答えは持っていないような気がして手にしました。出版

    0
    2019年09月08日
  • 社会学史

    Posted by ブクログ

    どうやら社会学がブームのようだ。著者をはじめ古市憲寿氏や小熊英二氏等、若くてしかもテレビ映えのする学者が多く台頭してきている。書店の新書の棚を眺めても、「社会学」の文字は以外に目につく。政治学や 経済学に比べイデオロギー論にすり替わりにくく、哲学よりはとっつきやすい。手軽さ・気楽さと程よいアカデミックさが求められる新書のようなメディアにとってはうってつけの題材なのだろう。本書のボリュームは600ページ、価格は1,500円を超え、その意味では新書の枠を踏み越えてはいるが既に4版を重ねている。売れているのだ。なお本書は3年ほど前に出たちくま新書「社会学講義」中、著者が担当した第2章「理論社会学」の

    0
    2019年07月28日
  • 三島由紀夫 ふたつの謎

    Posted by ブクログ

     三島由紀夫の自決については、あたかも腫れ物にさわるかのように、多くの識者が口をつぐんだままである。そんな中でこの問題に正面から取り組んだ大澤真幸の勇気にまずは拍手を送りたい。
     冒頭で大澤はタイトルにもある「ふたつの謎」を提示する。一つ目はもちろん三島由紀夫の自決である。なぜあんな死に方をしたのか。二つ目は最後の作品となった『豊饒の海』四部作の不可解なエンディングである。どうしてあのような、それまでのストーリーを全て台無しにするかのような、自己否定的な結末に至ったのか。両者は同じ日付を刻印されており、それだけに無関係ではないはずだと大澤は推理する。
     まず一つ目の謎について。1970年11月

    0
    2019年07月09日
  • 資本主義のパラドックス ――楕円幻想

    Posted by ブクログ

     哲学とは疑うことである。常識を疑い、道徳を疑い、科学を疑い、人間を疑う。要するにありとあらゆる先入観を哲学は疑う。だが言うまでもなく、社会に深く根付いている先入観ほど疑うことが難しい。
     例えば資本主義というイデオロギーは、最も疑うのが難しい先入観の一つであろう。登校を拒否する反体制の不良でさえ弱者からカネを巻き上げ、道徳に囚われない殺し屋でさえ報酬を要求する世の中なのだから。「地獄の沙汰もカネ次第」という言い回しにもあるように、われわれは貨幣至上主義に染まっておりしかもそのことに気づいていない。
     だが実のところ貨幣そのものに価値はない。価値のない貨幣がなぜ流通し続けるのか。そのパラドック

    0
    2019年07月09日
  • アメリカ

    Posted by ブクログ

    【未知満ちた国の成り立ち】『不思議なキリスト教』でも対談を行った東京工業大学名誉教授の橋爪大三郎と社会学者の大澤真幸が,ずばりアメリカをテーマとして対談した作品。知っているようで知らないその国の根幹を,キリスト教やプラグマティズムを軸として語り明かしていきます。

    あとがきに記されているとおり,アメリカの「急所」を知る上で大変参考になる一冊だと思います。目に見えないものとしてどうしても取っ付きづらさが伴う宗教・哲学面に光を当てることで,多くの方にとって新鮮なアメリカ像が浮かんでくるのではないかと思います。

    ~プラグマティズムは、宗教のことを考えている。さまざまなキリスト教の宗派(教会)と自然

    0
    2019年05月29日
  • アメリカ

    Posted by ブクログ

     アメリカについての理解について、日本はズレているのではないか?それは何故なのか?という事をアメリカの成り立ちから、宗教的な背景まで含めた対談本。

     昨今、各地において民主主義の試みが上手くいってない事が気になっていた。それが民主主義(アメリカ)の方が特殊な為かもしれないと、本書を読んで改めて思う。

     一種の世俗化したキリスト教が背景にあって、初めて機能するのではないか?そのキリスト教もプロテスタント系統でないとしっくりこないのでは。

     アメリカの特殊性と、それがグローバル化によってスタンダード化した事への考察の一助になる本。

    0
    2019年05月19日
  • 社会学史

    Posted by ブクログ

    社会学史というテーマで社会学の学問領域の全てをわかりやすい語り口調で網羅した名著。
    法は普遍化された犯罪。進化論はそういった社会だからこそダーウィンは辿り着いた。貨幣への信仰にも比せられる無意識の執着。社会学史の中のフロイト。神強制と神奉仕、西洋の合理性。ニューカムのパラドックス。個人の意図や意味付けとは違った水準で社会現象が生じるという説明→社会の発見。責任倫理。パーソンズ、動機指向⇄価値指向、構造ー機能主義。アローの不可能性定理。トマスの定理を理論的に精緻化すると意味の社会学になる。オートポイエーシスの理論。

    0
    2019年05月03日
  • 社会学史

    Posted by ブクログ

    新聞広告をみてビビっときて、書店で手に取ってまたビビっときた1冊。期待通りに面白かった。単に社会学の歴史と人物を羅列的に紹介するのではなく、その時代になぜそういう考え方が出てきたのかという点を大きな歴史の流れの中で整理して教えてくれるのと、それぞれの理論について、著者なりのかみ砕いた解釈により、身近な事象に置き換えて理解させてもらえるので、とても腹落ちしやすかった。特に、マックスウェーバーの理論の切れ味については、あらためて感じ入った。ただ、現代の社会学については、元の理論が少し細かい点に入りすぎているためなのか、自分の中で整理して考えることが難しかった。
    学生時代、社会学専攻でしたが、当時、

    0
    2019年04月06日
  • 社会学史

    Posted by ブクログ

    長い講義録でも一瞬も飽きない。断片知っていた知識が繋げられ、そこに新たな知識が注ぎ込まれていく感覚は、快感だとすら思われ、その爽快さにその長さなど忘れてしまう。

    0
    2019年03月22日