大澤真幸のレビュー一覧
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ネタバレまさっちー先生一冊目。
友人に勧められて。
戦後は理想の時代。敗戦後、アメリカを理想とする時代。
そして、虚構の時代。高度経済成長後、現実と虚構の境目が曖昧になった時代。
これらをなぞって分析して、では現在は何の時代なのか、というのが本書のテーマ。
筆者曰く、不可能性の時代なのだと。
「不可能なもの」から逃れるための、二つの対象的な動きがある。
一つは虚構への逃避。これは虚構の時代の動きを引き継いだものだ。
もう一つは、現実への逃避。暴力と言う現実へ。
繰り返されるハルマゲドンの予言。同時多発テロ。イラクでのアメリカ兵のビデオ。
では、その「不可能なもの」とは何なのか?
それは他者であ -
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ネタバレ[ 内容 ]
「現実から逃避」するのではなく、むしろ「現実へと逃避」する者たち-。
彼らはいったい何を求めているのか。
戦後の「理想の時代」から、七〇年代以降の「虚構の時代」を経て、九五年を境に迎えた特異な時代を、戦後精神史の中に位置づけ、現代社会における普遍的な連帯の可能性を理論的に探る。
大澤社会学・最新の地平。
[ 目次 ]
序 「現実」への逃避
1 理想の時代
2 虚構の時代
3 オタクという謎
4 リスク社会再論
5 不可能性の時代
6 政治的思想空間の現在
結 拡がり行く民主主義
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆ -
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この本が主張したかったことは?
戦後という時代区分を、反現実についての把握を経て、
「理想の時代」→「虚構の時代」→「不可能性の時代」
という流れで、説明できる。
①「不可能性の時代」と「虚構の時代」を隔てるものと、移行へのメカニズムは?
②「不可能性の時代」とはどのような時代なのか。
③現在を「不可能性の時代」と認識することで、どのような意味があるのか。
このあたりが重要なポイントだろうか。
読んだ勢いでまとめてみると、
①隔てるもの、移行へのメカニズム
象徴的な出来事として、地下鉄サリン事件をあげている。このあたりがポイントで、
この事件を考えてみても、虚構の時代はすでに解消されていると -
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高校の先輩の社会学者大澤真幸。
彼の本は、以前『恋愛の不可能性について』(ちくま学芸文庫)を紹介した。
この人は、サブカルチャーと呼ばれる部分に造詣が深いと思われる。すごく真面目な社会学の本ではあるのだが、有名な「エヴァンゲリオン」とかKeyのアダルトゲーム「Air」といった名詞が出てくるような真面目な本ってなかなかないぞ。
非常に読みやすく、引きこまれる文体。個人的には非常に好きな本の一つである。
考え方はすべてがすべて納得できるわけではないが、一つの方向として見ることはできる。
もうちょっと精緻な論証を見てみたいですね。
そうなると私ももっと社会学の勉強をしないといけないことになりそ -
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北朝鮮を民主化する!?
という非常に衝撃的な章から幕を開ける、大澤社会学の捉える民主主義。
若干抽象的な大澤真幸の論理が展開される中で、今までの本の中で紹介されて来た馴染み深い事例が出てくるので、妙な親近感が湧いた。
引用---
「裏切りを孕んだ愛こそが、普遍的な連帯を導く可能性を有しているのでないか。公共圏と交響圏は、同じものでもなければ、異なるものではない。交響圏を構成する、共同性を内へと凝縮させる力には、それと背馳する別のベクトルの力が備わっている。一方に、特定の他者へと志向する、特定の他者を愛想とする力がある。だが、他方で、同時に、不定の他者への、<無としての他者>への志向が作用してい -
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この本を読んでゾッとした。こんな戦慄は初めて感じた。これは知の暴走だ。テーマは北朝鮮、歴史解釈、自衛隊、民主主義といった今の日本でホットな問題で、それに対して著者が持論を述べる。よくある形だ。でもその持論までの理論的過程が恐ろしい。著者が持ち出すのはデリダであり、キリスト教であり、ベンヤミンなのだ。何もかもを飛び越してダイナミックに思考をつなぎ、日本のために世界を持ち出す。これが哲学の真髄だ。これを新書で出すとは何を考えてるんだろうか。
ほぼ理解できないし、著者も僕なんかに歩幅を合わせようとはしない。走り抜けるのだ。
・ベンヤミンの鋭さ
・ハンガリーでのピクニック
・民主主義という欺