大澤真幸のレビュー一覧
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様々な学問の中でも、19世紀~20世紀になってそのディシプリンが確立された社会学は、比較的その歴史が浅い部類にあたる。しかし、歴史が浅いという点は、その学問自体の重要性とは何も関係がない。むしろ、近代において、社会学という学問がなぜ発達したのか、そして社会学とはどのようなイシューをその固有主題として成立したのか?、というごく自然な疑問に答えるのは実はなかなか難しい。
本書は、一つの学問史としてなかなか統一的なパースペクティブを描きにくい社会学の歴史にターゲットを当てた一冊である。本書では社会学固有の主題とは「社会秩序はいかにして可能か?」という1点にあることが提示された上で、社会学の始祖たる -
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資本主義の定義、歴史、現代での位置付け
・長い16世紀
利子、法人の概念の発展と宗教の役割(キリスト教の抵抗)
法人の概念により複数世代に渡る永続的な投資が可能に→イギリスの海洋権益拡大
スペインが陸を支配しようとしたのに対してイギリスは海(貿易)を支配→資本主義的支配
中国の明も航海を行ったが資本主義がなかったためアフリカ等の支配には至らなかった
オランダは固定資本で海洋拡大したがイギリスは事業ごとの資本調達→永続性
・現代
現代における資本主義の限界と永続可能性
ゼロ成長社会が示唆すること、その捉え方
「桐島部活やめるってよ」が現代社会において意味すること -
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ネタバレ同著者『虚構の時代の果て』とセットで読むのがいいと思う。『虚構の時代の果て』でまず筆者の言わんとする「虚構」の概念、枠組みを捉えた上で、「虚構」がどのようにして「不可能」へとすり替わる・移行するのか、その過程に目を向けた本『不可能性の時代』であるという印象。
実例として取り上げられているのが子供時代のわたしにも強く印象に残った(かつ多くの人も覚えているであろう)かつての少年犯罪の数々なので、理解しやすい。時代の変遷に伴い、少年犯罪の加害者の心理、動機が全く反転しているという指摘が面白かった。
「オタク」をめぐる様々な概念についても、オタクの社会の捉え方、他者との関わり方等々、言われてみれば思 -
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営利企業に就職し、ビジネスの論理やメカニズムを学んでいく過程で僕にとっての最大の疑問は、「なぜ企業は成長を宿命づけられているのか?」という点であった。もちろんそれは上場企業であれば、株式の評価が「成長性と収益性」によって決められているということが一つの解にはなるが、だとしても次の問いは「なぜ成長性が重要なのか?」という点となり、依然として先ほどの問いは解決されない。当時の僕は、十分に社員に給与を払うことができ、事業の安定性があるのであれば、過度な成長は不要なのではないか、と思っていた。
結局のところ、その疑問に対する僕自身の現時点の答えは、資本主義とは永遠の成長を義務付けられたゲームである、 -
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ネタバレチャーチル『資本主義は最悪のシステムだが、これ以上のものはない』
限界収益低減の法則、 数を重ねると満足度が下がる。→満足度のシェアをすれば、解決するのでは?パイをどんどん大きくすればよいのでは?
サモア 最後通帳ゲームは3割を切ると拒否されやすい。 利子率革命 ウェストファリア条約 三十年戦争を終結させた世界最初の大規模講和条約
→17世紀のドイツを中心として起こった宗教戦争です。
荒廃するドイツにおいて、争いの渦中にいなかったプロイセンが台頭してきた。
→家康?
1618年から1648年まで、三十年間にわたって繰り広げられたため、こう呼ばれています。
中世ヨーロッパ 利子悪いの -
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ネタバレ社会学者として最もリスペクトしている大澤真幸さんの著書。序章の時点で気に入りすぎて付箋をいっぱい貼るほど。何よりも面白いのが、著者が本をどのように読み、いかにして思考を紡いでいくかを疑似体験できること。
各章において、社会科学・文学・自然科学の名著をどのように読み解き考えるかも述べられている。自分の専門外の部分は、正直難しいが、例えば社会科学の部分では「時間」の概念の歴史的変遷などが分かり興味深い。著者の知識の深さに驚きながら読み進めることができる。
☆心に留めたい箇所
・思考を進化させるためには、書物の力を創造的に活用する技術を持たなくてはならない
・常に自分に問いかけると良い。この理