【感想・ネタバレ】資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるかのレビュー

あらすじ

資本主義は変貌しつつあるのか?
それとも終わろうとしているのか?

資本主義とは何か? それはなぜ支配的システムになったのか? 資本主義を維持したまま、成長がなくとも幸福で活力のある社会を構築できるのか? 16世紀からの歴史をふまえ世界経済の潮流を見据えながら、経済事象のみならず、私たちの生き方をも規定している資本主義のダイナミズムを解き明かし、未来を展望するスリリングな討論!

第1章 なぜ資本主義は普遍化したのか?
第2章 国家と資本主義
第3章 長い二一世紀と不可能性の時代
第4章 成長なき資本主義は可能か?
第5章 「未来の他者」との幸福論

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Posted by ブクログ

資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
(和書)2013年10月14日 00:37
水野 和夫, 大澤 真幸 NHK出版 2013年2月7日


格差を絶えず付け続ける運動が資本主義である。

それに対し格差を解消することを目指す平等と平和の哲学がある。

資本主義の中から格差を解消する対抗運動が生まれることは考えづらい。それは資本主義自体が格差をつくる永久運動としてしか存在意義がないからである。やはり理念を明確に持つことが不可欠であると思う。

〈理念)=〈格差の解消としての平等と平和の運動又はシステム〉

柄谷行人さんの交換様式がカール・ポランニーから来ていることを知った。互酬性、再分配、商品交換である。第四象限は格差の解消を目指すものである。そしてこういった象限による様式はプルードンから来ていることは知っていた。柄谷さんはこういったことを踏まえた上で格差の論理である〈資本主義=国家=ネーション〉に対し明確にそれらのつくる格差を解消しようとする平等であり平和の理念を示している。

この本の資本主義への対抗運動の論理には物足りなさを感じたがそれを補う意味でノーム・チョムスキーや柄谷行人が有益でした。

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2020年09月27日

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水野和夫氏の言説が読みたくて手に取った。後半は完全に大澤真幸氏のペース(「食っちゃった」という感すら)。でも知的刺激に富んだまれに見る好対談と言える。

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2015年05月05日

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とても(めちゃくちゃ)いい本でした。ラストのほうでは、桐島、部活やめるってよの高校生たちと社会が対応させられていたりして、対談の結論にもぐっときて、泣いてしまいそうでした。「アメリカ、覇権やめるってよ」には噴き出してしまいました(笑)。
石原千秋さんの『打倒!センター試験国語』で資本主義についてはこちらの本を、とあったので手に取りました。
人類学、人類史的な視点で資本主義(西洋史における近代)が語られていて、かつ、対談はつねに人間への真摯な思いで満ちていて、非常に救われました。私は資本主義のもたらしたものの大半は嫌いで、どうもこのやり方には救いはないのではないかと、昔から懐疑的で、近年の社会状況ではその思いはどんどん強くなっていました。しかし、その資本主義に深く関わる人たち(大澤さんは社会学者ですが)も、資本主義は終わるとはっきり言われていて、そして逃げずにその先をどうするのかということを専門的に考えてくださっていて、すごく勇気が持てました。経済学者の方、エコノミストの方、ぜひこうしたことを考えて、行動に移すのは難しくとも、ともかく考えていってくださればと思いました。もちろん私達市民の一人ひとりも考え、逃げずにぶつかっていかなければならない問題です。猶予はおそらくあと十年ほどということですので、自分も、この十年で、みんながこの後の世界を生きられるような社会作りの下準備を、少なくとも自分のできる範囲ではきちんと終わらせなければならないと感じました。
非正規雇用者をこれだけかかえている日本ですが、非正規雇用の労働者がはたしてどれだけの貧困に実際にさらされているのかということは、それぞれの方にそれぞれの事情と状況があると思うので、全体像としてどうなるかということは私はイメージできません。しかし、正規雇用の若い労働者が、体や命を犠牲にして働いているのを非常に多く目にし、非正規雇用でも正規雇用でも、つらい人はつらい目にあっているのだろうという、全体として若い人の労働に対しては暗い気持ちがあります。
これからの時代(資本主義が終わってから)のシステムは、「自分の命や心を大切にしながら、可能な範囲で一生懸命働く」という生き方を、どうやったら多くの人が実現できるかということに深く関わってくると思います。今の時代は、人々、とくに若い人々が、あまりにも健康を犠牲にして働かされすぎています。
私自身(27才)は現在、非正規雇用で働いていて、疾病者で、嗜好品などはほとんど購入できない状態ですが、しかし、全く絶望感や不安感とは無縁で、幸せに生きさせて頂いています。一番の理由は、本書でも言及されていた「寂しさ」を感じずにすんでいるからだと思います。そして、周りの非正規雇用者たちを見回しても、絶望を感じて貧困のなかで生きている人がいるか、といえば、少なくとも私の周りではそうではありません。大人たちの、非正規雇用=不幸のような図式は、私達の世代には肌感覚としてはそこまで馴染んでいないかな、という印象も持っています。正社員として一生を過ごしたことがないために、非正規雇用で一生を過ごすとそれに比べてどうなるのか、ということが、まだあまりよくわかっていないからかもしれません(出産や育児など、多額の費用が必要となる人生のイベントを経験するのは、今の収入ではものすごく難しいのかもしれません)。しかしともかく、雇用は保証されていなくとも、職場での信頼関係があり、家族や友人との絆を感じられている限り、人はそこまで「不幸」になることは、できないのではないかと感じます。
しかし、私自身が今のように幸せな状態で社会に参加することができるようになるまでには、資本主義社会の生んだ様々な構造によって奪われた沢山のものと、それを取り返すためのあまりにも長い戦いの時間がありました。親世代と比べて、自分たちの世代のほうが多くのものを奪われている、という実感はあります。それはほとんどが、人間性や人との繋がりに関わる問題です。資本主義が終わって次のシステムが来たとき、私達若い世代が思うことはおそらく一つだと思います。人と人とがばらばらにならずに、きちんと他人を信頼し、信頼される関係を誰もがもてる社会、その実現が目指されると思います。

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2015年02月07日

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資本主義の「終わり」を大きな観点から論じた対談。目先のこまごました事象は気になるが,こうした大局的な見方を自分のものにしておくのは大事。

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2015年01月28日

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水野和夫と大澤真幸の顔合わせは意外だったが、以前より知り合いだったらしい。2人の対談を通じて、経済学的な観点と社会学的な観点から、いまにも崩れそうな資本主義について、歴史的なスパンでとらえ直している。
近代とともに発展した資本主義は、現代に至ってかつてないレベルでグローバル化した。この帰結として、搾取できるフロンティアは消滅し、「成長」する余地がなくなっている。このことが、さまざまな問題として露呈している。きわめて低い金利の状態が続くというのは、歴史的に見ても経済システムが成長しきった状態で、大きな社会的な変化がなければ解決しない。
資本主義に代わる最適な経済システムの想定があるわけでもない。
成長戦略や単なるイノベーションといった、小手先の解決策で通用するというわけでもない。
例えば、ドラッカーが知識社会と呼んだような、まったく現代と異なった社会が、今後何十年か後に出現しているのかもしれない。
それらについて、イメージし形成できるのは、最終章でふれられているように、我々とは違った価値観を持つ、今の、これからの若者たちなのかもしれない。

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2014年08月09日

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ネタバレ

資本主義は普遍的なものなのか、過渡期的なものなのか?なぜ西洋〜キリスト教の下で発生したのか?国民国家と資本との関係は?

 ローマから始まって、スペイン、オランダ、イギリス、アメリカ、日本、EU…。歴史上、ヘゲモニー国家は生産拡大→金融拡大→バブル→崩壊というサイクルで移行して行きます。その指標として水野氏は「利子」に注目します。そもそもキリスト教でもイスラム教でも禁じられていた「利子」を採用する事によって資本主義は生まれたといいます。その利子が10年を超えて2%以下の超低金利が続くと、既存の経済・社会システムが維持できなくなるという仮説なのですが、現在の日本は16世紀のジェノヴァの記録を400年振りに更新してしまいました。続いて米英独なども堰を切ったように2%を切っています。この低金利では、もう投資機会がないという事ですから、本来は成熟した良い世の中を築いたということなのに、欲望にかられて余計な事をして、金融を肥大化させる。バブルを生む…
 今までは、新たなフロンティアを見つけた国が次のヘゲモニー国家となって来ました。新大陸という地理的空間だったり、ITや金融工学という仮想空間だったり…。しかし、今やもうフロンティアは残っていないように思われます。果たして中国は次のヘゲモニー国家になり得るのでしょうか?それは難しいでしょう。なぜなら中国はあくまでも従来の西欧国家や日本、韓国などが歩んできた道を辿っているだけで、決して新たなフロンティアを発見したわけではないからです。このままではもっと速いスピードで我々と同様に、縮小する経済を経験するでしょう。
 さて、そんな中でグローバリズム資本主義と国民国家との関係はどうなっていくのでしょうか?資本主義は、実は現在のように資本が国境を易々と越える状況を想定していないと本書では捉えます。あくまでも国民経済の総体が世界経済だという前提なのです。現実には世界経済が先にあるのだけれど、そのフレームワーク自体を説明する方法が見つかっていない。
 そうして中国、インド、東南アジア、南米、アフリカ…と、まもなくフロンティアを食い尽くした世界経済はゆっくりと、ゼロ成長に向かいます。その時にどうなるのか。日本の場合、仮にゼロ成長自体は耐えられても、その時に問題になるのは莫大な借金です。それを返済する術がない。僅かでも成長しているうちに借金を減らしていかないといけない。それは身を削るようなつらい作業になるでしょう。
 そもそも資本主義は、投資と回収を繰り返して発展していくことを前提に作られたシステムです。しかも古くは家畜や奴隷、石炭、石油、あるいは原子力といった「タダ同然の安価なエネルギー」を得る事で爆発的に発展を遂げ、そのために未来から富を先取りしてきたのです。持続可能なものではなかったことに我々は気づき始めたのでしょう。解答はまだありません。この事実を自覚して、考え続ける責務が我々にはあるのです。

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2013年05月18日

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経済学者・水野和夫による対談本。

資本主義について構造的に解き明かそうとしているのが面白かった。

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2025年10月25日

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「資本主義」の根源的な発生にまで遡って対談する本書の内容には、ちょっと衝撃を覚えた。果たして「資本主義の終焉」が来るのだろうか。
本書は歴史解釈の本かとも思うが、こう言う視点もあるのかと新鮮に思える。
「資本主義は限られた割合の人にしか成立し得ない」「15%対85%」とは驚きつつも納得の思いも持つ。確かに世界中のすべての国が先進国に到達する風景は想像し難い。そもそもエネルギーも環境も持たないだろう。
16世紀のイギリスの歴史から「新興国が先進国に追いつくとデフレが始まる」とは衝撃、これは法則として成立するのだろうか。いろいろと考えさせられた。
本書は2013年の発行だが、時が過ぎた現在でこそ説得力をもつ内容だと思えた。

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2022年09月30日

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資本主義の定義、歴史、現代での位置付け
・長い16世紀
利子、法人の概念の発展と宗教の役割(キリスト教の抵抗)
法人の概念により複数世代に渡る永続的な投資が可能に→イギリスの海洋権益拡大
スペインが陸を支配しようとしたのに対してイギリスは海(貿易)を支配→資本主義的支配
中国の明も航海を行ったが資本主義がなかったためアフリカ等の支配には至らなかった
オランダは固定資本で海洋拡大したがイギリスは事業ごとの資本調達→永続性

・現代
現代における資本主義の限界と永続可能性
ゼロ成長社会が示唆すること、その捉え方
「桐島部活やめるってよ」が現代社会において意味すること

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2018年11月23日

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ネタバレ

チャーチル『資本主義は最悪のシステムだが、これ以上のものはない』
限界収益低減の法則、 数を重ねると満足度が下がる。→満足度のシェアをすれば、解決するのでは?パイをどんどん大きくすればよいのでは?

サモア  最後通帳ゲームは3割を切ると拒否されやすい。 利子率革命 ウェストファリア条約 三十年戦争を終結させた世界最初の大規模講和条約
→17世紀のドイツを中心として起こった宗教戦争です。
荒廃するドイツにおいて、争いの渦中にいなかったプロイセンが台頭してきた。
→家康?

1618年から1648年まで、三十年間にわたって繰り広げられたため、こう呼ばれています。
 中世ヨーロッパ 利子悪いのは神の時間に利子をつけるから。高利貸し ウスラ 金利はラテン語で「ウスラ(USURA)」と言う。もともとはあらゆる金利を含む概念だったが、中世の教父たちや教会法が「与える以上に受け取ること」と定義したことで、「正当でない」金利という意味を持った

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2017年09月01日

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【書きかけ】
書名と著者名で拒否反応を起こす人も(特に近代経済学を一通り学んだ人には)いると思うし私自身はちょっとしたきっかけで読んでみたが、一度考えてみてもよい問題ではある。博識とイメージで押し切るトンデモな面はあるだろうから気をつけたほうがいいが、そういう面を全く含まずに考えるのは難しい話だと思う。トンデモ本としての価値しかないと思う人は逐一説得的な反論を試みるべき。”正統な”経済学者も百家争鳴のなか大衆感覚では結局のところ長期停滞のままであるのは事実なのだから。

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2017年02月07日

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インデックス投資家として、世界の成長ってのがどこまで続くのかが気になって手に取った一冊。正直なところ半分も理解出来なかったが、資本主義における経済成長ってのは、永遠に続くものではないのかな、という風には理解しました。
まあ当面は大丈夫かなとも思いますが、「桐島、部活やめるってよ」の引用話のところで、破綻は突如訪れるものというような話もあって、油断はならないのかも知れません。素人にタイミングが判断出来るわけありませんが、、、

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2015年06月11日

Posted by ブクログ

資本主義という社会・経済システムが機能不全に陥るのはもはや時間の問題であり、それに代わる新しいシステムが必要になるという水野氏の考え方を社会学者の大澤氏との対談で整理・説明していく内容の本。

このまま行けば大きな不幸が待っている。確かにそのように思える。では、どうすればいい?

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2014年07月13日

Posted by ブクログ

地球規模で拡大する資本主義は一見普遍的な様相を持ちつつも、実は特殊な地域の宗教的・地理的バックボーンの上に成立した概念である。そうした資本主義が持つ不可思議さを歴史的に解きほぐす本。勉強になりました。

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2014年06月30日

Posted by ブクログ

成長戦略とは聞くが人の数に限りがあり、市場も限られている以上「成長し続ける事が可能なのか?」という疑問を持っていた。
そんな疑問に答えてくれる入門書です。
最後の章で「成長」の無い時代に、どう未来を切り開いていくかを論じています。

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2013年07月01日

Posted by ブクログ

社会学者と経済学者の対談本。とはいっても、水野さんは経済学者と言っても、歴史の造詣に深く、利子率革命からの歴史から見た経済学の著書が多い方なので、歴史の観点から見たら、人、経済システム、国家システムなどを絡めた対談となっている。

水野氏の主張は一貫しているので、出版された本を読めばよいと思うが、対談なので比較的わかりやすいと思った。しかし、本書を理解するために必要な前提条件となる知識が多いなあと改めて思った。

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2013年06月22日

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二人の対談集だが、水野氏については、「終わりなき危機」で非常に詳しく自分の主張を書いているので、主張そのものを知るにはそっちを読んだ方が良い。
というか、前著を読んでしまうとこの本を読む意義があんまり無い様な気もする。敢えていえば、分かり易くなった入門的な位置づけか。

資本主義がフロンティアを求める性質のものなので、フロンティアがもはや残っていない現代で行き詰るのは自明の理、という主張の流れには大いに納得。これから考えるべきは、経済成長ありきではない世界のありかたになっていくのだろう。

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2013年06月01日

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法的には資本主義、システム的には……もはや資本主義の終わりの始まりになっているのが今なのでしょう。

社会学者と経済学者の対談で、この社会の中で経済がどのように機能しているかを立体的に考えることができました。

個人的には、世界史に全く疎いので、16世紀の話について行くのがやっとでしたが、確かに、今の経済状態も歴史の積み重ねの上に成り立っているはずですから、歴史と重ね合わせた方が理解しやすいのでしょう。

今までと違う角度で資本主義を見ることができました。

世界史の勉強、もっとしておくんだったなぁ、とつぶやき……。

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2013年05月08日

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資本主義の本質を蒐集(博物館)の論理と捉える点が面白いが、その蒐集の論理がなぜ生じたかは、更なる検討が必要。

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2013年04月28日

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高校生の娘が、ある日「模試の国語の問題文が面白かった」と言って見せてくれたのが、大澤真幸の文章だった。人が未来のために、あるいは他人のために努力するのはなぜか、というテーマの文章だった。それではと、大澤真幸の本を買ってみたのであった。

しかし、読んでみて気付いたのだが、僕は経済にとんと興味がなく、内容にはなかなか夢中になれなかった(買う前に気付け)。

それでも、グッとくる部分はあった。
あるパラグラフのタイトルが、「桐島なき世界をいかに生きるか」だったのだ。
もちろん、桐島とは、映画「桐島、部活やめるってよ」の、桐島である。

運動神経抜群で、勝ち組の代表だった桐島が、突如僕たちの世界から姿を消す。あんなに頑張っていた部活も辞めるという。親しい友人の誰ひとり、桐島から直接事情を聞いたものはいない。そのことで、桐島の彼女や友達だけでなく、あまり親しくなかった者たちまで、それも、桐島とは正反対の負け組の者にまで、広く動揺が広がっていく。

つまるところ、全ての人たちが、多かれ少なかれ、桐島の存在に勇気づけられ、むしろ依存していたのだ。
桐島に近しい者たちは、桐島に近しいことで自分の優位性を確認したし、桐島から遠い者たちは、自分が桐島に近づけないにも関わらず、少なくとも「成功」というものがこの世に存在することを確認した。

その桐島が、姿を消したのである。

いや、別に映画の感想を書いているのではない。
つまり、アメリカが、桐島なのだという話だ。

資本主義の限界は、早晩やってくる。
資本主義社会における桐島は、姿を消す。
その時、桐島に憧れた友人(子分?)は、どうするのか。

映画ではその時、誰が、なにをしたのか。
僕は見てないので、知らないのである。(知らんのかい)

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2024年07月14日

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資本主義の来歴と、それが現在陥っている問題、そして資本主義の後にやってくる時代の展望について、エコノミストの水野和夫と社会学者の大澤真幸が語っています。

おおむね大澤がみずからの立場を示しながら水野の考えをたずねるというかたちで議論が進められており、とくに後半ではそうした傾向を強く感じました。ただし資本主義の形成について語りあっているところでは、「蒐集」というキーワードを用いて資本主義の形成から現代の状況までをつらぬく本質を見ようとする水野に対して、大澤が資本主義の形成が世界史において逆説的な性格をもっていることを強調するなど、意見の対立が見られます。ただし、両者ともみずからの立場を提示するにとどまっており、対決にいたることは回避されています。本書の目的が、サブタイトルの示すように「「成長なき時代」をどう生きるか」ということであり、あまりこうした対立点にこだわってもしかたがないという判断なのかもしれませんが、個人的には大澤の世界史のとらえかたを実証的な観点から検証するような試みがあってもよいのではないかという気がします。

大澤独自の世界史の見方は興味深いものですが、こうして水野の議論と対照させてみると、やはりアクロバティックなもののように見えてしまいます。理論社会学の観点に立つ大澤と、文明論的な視座から資本主義を理解しようとする水野の観点のちがいが闡明に現われているように感じました。

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2020年01月05日

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ざざざざーっとみただけだが、やはり対談本でお勉強するのは難しいという印象。ファン向けではないだろうか。

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2019年01月16日

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 資本主義の来歴と現状を広範に論じた対談。「知的遊戯」としては抜群に面白いし、新自由主義経済の犯罪的本質への批判も真っ当だが、「資本主義はこのままでは破綻する」という現状認識の域を出ないため、副題の「『成長なき時代』をどう生きるか」という問いに対する具体的・実践的な指針は示されない。歴史学サイドとしては、「長い21世紀」説への世界システム論の恣意的な利用が気になる。

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2013年11月12日

Posted by ブクログ

資本主義の「暴力」とか、「必然」なんてタイトルだったら買わなかったと思う。惹かれたのは「謎」というタイトル。帯に挙げられている「謎」は次のようなもの。曰く「なぜ西洋で誕生したのか」、「法人の起源はどこにあるのか」、「利子率革命とは何か」、「成長なき資本主義は可能なのか」。

ぼくの浅薄な知識によれば、最後の「謎」には「否」と即答することになる。但し、門外漢のぼくが即答するようなレベルのことが、わざわざ「謎」として例示されているはずもない。「もしかしたら可能性があるのか?」という興味から購入。

読み終えてみると、高校時代に読んでいたら経済学を志したかもしれないと思うほどに面白かった。あるいは、面白い学術系書籍によくあるように、読者のもつさまざまな学習体験とうまくリンクすることで一層面白く感じられる本に仕上がっているということなのかもしれない。

個人的には前半の歴史的システム的考察がとくに面白かった。影響されて理論史系の本をたくさん買ってしまった。またひとつ、ぼくに新たな楽しみを与えてくれるきっかけになった本。

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2013年04月22日

Posted by ブクログ

資本主義のこれまでとこれから。現代の資本主義はいかに成り立ち、今どういう局面を迎えているのか。
国家単位を基準に成り立った資本主義はグローバル化を迎えて(通貨交換を行う時代を迎えて)機能不全を起こしつつある部分もある。また、成長なき時代、フロンティア・外部がなくなりつつある時代でもあり、早晩、別のシステムを見つけなくてはならない・・・
問題の整理はいいんですが、その先を提示するのはやっぱり難しい。だからって最後は古市くんと桐島かよってツッコミを入れたくなるのも確かですが。

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2013年03月18日

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