大澤真幸のレビュー一覧

  • 戦後の思想空間
    オウムに始まり、戦前・戦後・戦後後と語っていき、思想の流れを読み解く本書。決して簡単ではなく、中盤の「経験可能領域」あたりで訳がわからなくなりました。

    ですが、思考方法として、この本から学ぶことは沢山あります。
    ウルトラマンやエヴァンゲリオンまで持ち出して現代思想を読み解いていこうとする試みは、と...続きを読む
  • 不可能性の時代

    僕の大澤真幸の出会いは、この一冊からだった。
    要するに、つい最近なのだ。
    この本から大澤真幸の本をいくつか読んできたが、
    ダントツにこの本は読み易く書かれている。でもその中にも大澤社会学のキーワードである「第三者の審級」だったり「アイロニカルな没入」だったり<他者>といったものが
    散りばめられてい...続きを読む
  • 文明の内なる衝突 テロ後の世界を考える NHKブックスセレクション
    大澤真幸が、911テロの問題を様々な視座から抜本的に問い直していく。
    『虚構の時代の果て』でも言えることですが、やはり他者の他者性、他者としての他者、あるいは「他者」といったものが
    大澤真幸を読み進めていく上で基幹となるテクニカルタームであると思う。
    この「他者」という大澤氏の考えがわかると、非常に...続きを読む
  • 不可能性の時代
    時代を描くことのうまさ。社会学者というより哲学者だと思うし、思想家だと思う。さすが「社会学の社会学」という文章を書いただけある。
  • 戦後の思想空間
    「戦後思想」を主題とした3回分の講演会の内容を加筆修正したもの。
    内容は戦後思想がチャート式のようにまとまっているわけではなく、雑多な感じ。
  • 社会学史
    (編集中)

    社会学とは一体どのような学問で、どのように発展して来たか?と問われた時に、明確な答えを示せる者は決して多くないように思う。というのも、社会学という学問自体が学際的な学問であり、抽象的かつ広義の意味を含んでいるからである。そして本書では、そうした社会学の性質を認めた上で個別具体的な領域に...続きを読む
  • おどろきの中国
    中国社会の構造と毛沢東のカリスマ性の秘密が面白い。
    「三国志演義」の思想から毛沢東のリーダーシップを読み解いていく。
    「三国志演義」では、皇帝は武力の強い者ではない。
    漢の皇祖劉邦は、武の天才項羽を、破るほどの武の達人だが、皇帝になると文民に徹し、文民皇帝として漢帝国400年の礎を作る。
    それは武の...続きを読む
  • 極限の思想 ニーチェ 道徳批判の哲学
    ニーチェの『道徳の系譜』を読み解くとともに、彼の道徳批判がもつ超越論的な意義を解き明かそうとする試みがおこなわれています。

    ニーチェの道徳批判といえば、われわれの道徳的な心性の背後にルサンチマンが控えていることを指摘したものとして広く知られています。しかし著者は、ニーチェの道徳批判を、いわゆるモラ...続きを読む
  • ふしぎなキリスト教
    キリスト教の成り立ち、ユダヤ教、イスラム教との関係性の大枠を理解するのにうってつけの良書だと思う。聖書という書物の不完全さ、様々な解釈の余地があることが、著者2人のやりとりから感じられ、その理解、解釈しようとする努力こそが、現代の西洋文明の礎になっていることが分かった。宗教なんて、キリスト教なんて、...続きを読む
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
    コロナ禍の数年前、未来がわからない時に書かれた文章を一応社会が再び動き出した時に読む。そこには色々な気づきがあると思いました。
  • 別冊NHK100分de名著 ナショナリズム
    4人がそれぞれ一冊ずつ紹介するスタイル。
    アンダーソンという人の想像の共同体が面白かった。

    過去と正しく決別できていないからこそ、未来の日本人に対する無関心がある。

    ===

    第二に、歴史家の客観的な目には国民(ネーション)は近代的現象に見えるのに、ナショナリストの主観的な目にはそれは古い存在と...続きを読む
  • むずかしい天皇制
    天皇という存在の不思議さ、ユニークさ、将来性に対する不透明さを社会学者と憲法学者が語る内容が実に斬新に感じた。女性・女系天皇を認めたとしても、今の少子化時代にあっては天皇家の絶滅はかなり有り得ること、天皇や皇室には基本的人権がなく、むしろ内閣の奴隷的な存在であり、その犠牲の上に日本国が成り立っている...続きを読む
  • 新世紀のコミュニズムへ 資本主義の内からの脱出
     死者が生者を元気づけるように、「未来人」が生者を励ますことが出来れば、我々の将来は明るいものになるだろうなと小説のような感想を持ってしまいました。


     本書は著者も言うように「幽霊本」です。それは、後世の人々に影響を与えられればという呪いの書のような側面があるからです。
     キューブラー=ロスの精...続きを読む
  • この世界の問い方 普遍的な正義と資本主義の行方
    秀逸の現代ロシア論・現代中国論・現代資本主義論

    社会学者・大澤真幸(おおさわ・まさち)氏が朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」に長期連載している「この世界の問い方」をまとめたもの。

    第1章の「ロシアのウクライナ侵攻」ではロシア(≒プーチン)がなぜこんな戦争をしてしまうのかをロシアの心性から解き明かす...続きを読む
  • この世界の問い方 普遍的な正義と資本主義の行方
    プーチンのウクライナ侵攻の発想を事細かに分析しており、ロシア人の思いとプーチンの最終構想を述べているが、ある程度理解できたと思っている.プーチン(ロシア人)のヨーロッパに対する深い劣等感とそれに由来するルサンチマン(怨恨)が根底にあるとの議論は面白かった.中国とアメリカの体制に関して、前者の権威主義...続きを読む
  • 私たちの想像力は資本主義を超えるか
    来月講演をお聞きする機会もありそうなので
    読んでないと言うのも如何なものかと手に取る。

    綻びを見せる資本主義。だからといって共産主義を
    呼び起こせではない。
     |マルクスだって、昨今、斎藤幸平さんが
     |人新世の「資本論」でも指摘するように、
     |共産主義の後がある。自然/人間/環境を
     |繋ぐ思...続きを読む
  • 極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる
    ハイデガーの『存在と時間』の解説書です。

    『存在と時間』はかつて、既刊部分のみをもとに実存哲学の代表的な著作とみなされていましたが、その後「存在の問い」というより大きな問題設定のなかで『存在と時間』の位置づけを見なおすことの必要性が主張されるようになり、日本でも木田元が多くの著作を通じて、そうした...続きを読む
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
    現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
    この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そ...続きを読む
  • 極限の思想 バタイユ エコノミーと贈与
    バタイユによれば、内的体験とは通常、神秘体験と呼ばれているものであり、自己が脱自、法悦、瞑想的感情の状態へと至ることである。それはブランショの夜、レヴィナスのある、に重ね合わせた経験であり、そこでは主体は非知であり、対象としては、未知のものであるような、主体と対象の融合に到達する。

    非知は、脱字を...続きを読む
  • 私たちはAIを信頼できるか
    GPT3についても言及されている(多分この本が出た時はまだネットニュースとかに掲載されていなかったと思う)。ゲームでは味方のAIにユーザーは厳しいとか各界からの意見が面白い。
    インタビュー中も様々な本が出てくるが巻末でも要約した感じでお勧め本が紹介されているのはありがたい。
    人工知能におけるフレーム...続きを読む