井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ料理をテーマにしたアンソロジー。
柚木麻子さん『エルゴと不倫鮨』…安定した著者の「反権力(=男性)」「女たちの結束」鉄板ネタ。安定した漫才を見ているよう。
伊吹有喜さん『夏も近づく』…一番飯が美味そうだった。柚木さんの後に「義姉から性的虐待を受ける少年」が登場するので、並びとして良い。
井上荒野さん『好好軒の犬』…文学的。悪い犬じゃないんだよ、かわいそうな犬なんだよ が無意識的な嫌味、斜めな見方。おもしろかった。
坂井希久子さん『色にいでにけり』…金平糖の着色や和菓子の着色。江戸時代の話。粋。
中村航さん『味のわからない男』…こういう芸能人、いそう。リアル。
深緑野分さん『福神漬』…表現がうまい。そして後の作品『どっしりふわふわ』にもなんとなくつながっていくのだが、主人公の「私」が男なのか女なのか判然としないまま終わる。それもうまいな、と。
柴田よしきさん『どっしりふわふわ』…前半部分、悩める50手前の女主人公に、感情移入。パンの描写もうまい。だがオチはいまいち、だと思う。同性愛者である必然性が、まったく無い。単純に同性愛者を「オチのネタ」として使うのは、驚きを起こすには技術としてアリ、だが、テクニカルすぎて興ざめ。
☆気になった表現
私が小説なんて書くようになったら、妻である部分は少なからず損なわれるはずだ。
時に飢えるほどの貧乏暮らしだったという少年時代を持つ光一郎は、今は自分が稼いだお金でたべたいものを食べられる、という現実と時々うまく折り合えなくなる。
『好好軒の犬』井上荒野
見事だった本棚はがらんどうとなり、お腹を空かせて恨めしそうに私を見た。
『福神漬』深緑野分 -
Posted by ブクログ
自分が食いしん坊なので、気付いたら食べものの本を手に取ってしまう。相変わらずな読書スタンスで、今年も駆け抜けてゆきそうです(*‘ω‘ *)
こちらはお惣菜屋さんの話。料理上手な女性3人の視点で描かれている。人生色々ありつつも季節にあった料理が生きる糧になっている、そんな風に感じました。話の内容は少し地味だけど、美味しそうなお惣菜のラインナップが絶妙で印象的でした。
『春は貝だ。三月はじめ、夜はまだ少し肌寒いけれど、空気はねっとりとやわらかくなってきて、ちゃんと春めいている。春の空気には貝の味がしっくり合う。-あさりフライ-』
結局何をキャベツ炒めに捧ぐ…?について、私はその料理に纏わる新しい思い出かなと思って読んでいた。巻末の文庫解説で平松洋子さんが、感謝を捧ぐと書いていたので、なるほどなーと思った。
『あのとき、食べる元気をくれてありがとう。料理を作る気持ちに導いてくれてありがとう。あの味で身も心もあたためてくれてありがとう。三人三様の人生の場面で、食べものはいつも誰かを支えてきた。そのありがたみを知っている三人だからこそ、「ここ屋」の惣菜は人の味覚を喜ばせる。-解説-』
キャベツは今1玉が倍ぐらいの値段になり、お米の価格も高騰しているので、口に入れる時には、より一層噛み締めてもいきたい(´~`)モグモグ
2025.2 -
Posted by ブクログ
*綾「私は初めて会った16年前から涼さんを愛し続けている」。涼「僕にかかわった者は、みんな死んでしまう。女も男も。僕が綾を愛しすぎているせいで」――
音村綾(旧姓・上里)は30代半ば。現在は信州でペンション経営兼漫画家として活躍。夫・子ども・母と四人で暮している。
祥川涼。画家。40代後半。妻を失い、その後同棲していた女性とも別れ、現在は酒浸りの日々を送っている。
冒頭の「現在」では、綾のコミック発売記念サイン会のシーンの衝撃的事件から始まり、「1年前」「4年前」「8年前」「10年前」「12年前」「14年前」、そして二人が出会った「16年前」へと時をさかのぼり「現在」に戻る。謎とサスペンス、そしてストーカー小説の雰囲気も交えた〈究極の恋愛小説〉である*
不思議な読後感の物語。
愛を貫くのも愛を温めるのも難しいな…