井上荒野のレビュー一覧

  • 錠剤F

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    短編集です。どの話もダークでした。
    たとえば、タイトルになっている最終話の『錠剤F』は、同僚が怪しい男から怪しい薬(苦しまずに楽に死ねる)を買おうとする話です。

    いや、これはないでしょうと思いながらも、もしかしたらひょっとして、と思ってしまうような。
    ぬるい絶望を感じました。

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    2024年02月03日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    70代前半の夫と60代後半の妻が老夫婦といえるのか微妙なところだが、若者から常に憐れまれ、蔑まれてると半ば自意識過剰になってるのが寂しい。

    「その話は今日はやめておきましょう」と怖いこと不安なことから目を背け、後回しにして、気にしないと決めて問題に蓋をしてしまうと、小さな綻びがそのうち取り返しのつかない問題に発展してしまうという内容。

    若者に引け目を感じている夫の昌平が、何かを吹っ切ったかのように3人の若者に話しかけに行き、結果的に何も恐れることはなかったのだと、3人と楽しく話ができたシーンと、
    自分たち夫婦を騙した一樹に、妻のゆり子が最後の電話をかけるシーン。
    これをきっかけにこの夫婦は

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    2024年01月27日
  • 錠剤F

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    10篇を収録した短篇集。すべて独立した作品で連作ではないが、あえて共通点を探すならば、どの作品もダークサイド寄りということかな。でもまあ、いつもの荒野さんのような気もする。
    どれも読んでいる間はおもしろいのだが、読み終わった途端に忘れてしまった。あまり印象に残らなかった。

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    2024年01月25日
  • 荒野の胃袋

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    おいしい料理を家族で一緒に食べる、これは掛け替えのない幸せで、それゆえ著者のお母様は料理に執着されたのでしょう。料理のエッセーだけれど、その背景にあるものが気になる一冊。

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    2024年01月20日
  • 100万分の1回のねこ

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    佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』をオマージュして名だたる作家さん達が紡ぐ短編集。
    私は多分、来世もあると思っている。前世もそして。
    それは決して愛する人がいなかったからではないけれど。

    それぞれの物語も勿論面白かったけど、そこまでの想像力や価値観の広がりを与えてくれた原作の素晴らしさに改めて気付いた。
    姪っ子への誕生日プレゼントに決定。

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    2023年12月23日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    ななつ星、いつか私も乗りたい!
    特急の列車で日帰り旅行をよくするけど、近くの席の人達を見ながら、この人はどこの駅から乗ってきてどこまで行くんだろう?とか、着物着て京都で降りるということはお茶会か何か?とか想像することがあります。
    この物語を読んでその列車に乗っている人の数だけ物語はあるよなぁと思いました。
    ななつ星だったらなおさら。

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    2023年12月10日
  • 100万分の1回のねこ

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    著名な作家さんが「100万回生きたねこ」にオマージュした物語を創作。
    頭の中に、あのねこのお顔が浮かぶような、そんな物語が多く綴られていた。
    ねこの気持ちに寄り添ったり、ねこの方が何倍も人間より理解していたり。
    読後、ねこがより一層可愛く見えてしまった。
    かわいい。とってもかわいい。

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    2023年12月05日
  • よその島

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    高級な品揃えの古物商を営み,テレビのお宝発掘番組に出演して人気を博していた碇谷芳朗。
    その妻の碇谷蕗子は元高校教師で、冒頭の美しい手の持ち主だ。
    碇谷夫婦と同じマンションに住んでいる野呂は、何冊もの小説を世に出している人気作家だ。
    70歳を過ぎたこの3人が、東京の店と住まいを畳んで離島へ移住する。
    購入した住居には、3人の他に料理自慢の家政婦みゆかとその息子の宙太が一緒に住み、計5人の不思議な生活が始まる。
    人生の終盤に迎えた離島での共同生活は、当初は順調に滑り出したかに思えたが、3人はそれぞれ不穏な秘密を抱えていた。
そのためにお互い心底からの信頼を抱くことができず、碇谷夫妻を含めて何となく

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    2023年11月23日
  • 猫が見ていた

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    ネタバレ

    登場人物が作家やら出版関係者やらが多くて猫だけじゃなく職業のしばりもあったっけ?と思ってしまった。おそらく書きやすいんだろうけどこうも同じような職業の人がでてくるとちょっと飽きてしまうところはあったかな...。
    三べんまわってニャンと鳴くが一番好みだった。アプリゲームの話からまさか主人公のあんな話が出てくるなんて。青信号渡ってたら急に車突っ込んできた!みたいな衝撃だったけど、ナナちゃんの不幸話で一気にチープになってしまった。あのまま主人公の鬱々とした気持ちを昇華してくれたら...と思うのは完全にわたしの好みです。

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    2023年11月14日
  • ママナラナイ

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    好みの作品ありクラっときましたが、やはり全編通してなかなか進まない…
    でも中毒性あるのか? ついポチッと購入してしまいます。

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    2023年10月26日
  • リストランテ アモーレ

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    リストランテ「アモーレ」のシェフ、
    ウェイトレス、客、をとりまく小さな輪の中で
    起こるあれこれを美味しそうな料理と共に
    描かれている。

    シェフと客はセックスしてばかりだし
    ウェイトレスとは仕事が手につかないくらい
    あの人にお熱だし、
    女が好きなシェフが好きっていう客もいるし

    料理よりも人間関係がごちゃごちゃしていて
    これはうまく片付くのか?と思いながら読む。

    そんな人たち一人一人の視点で
    話が進んでいくので
    シェフもウェイトレスも客も
    客観視されたり、
    じつはこんなことを思っていたりと
    意外と奥が深い。

    話が戻らず、進みっぱなしなので
    視点主が変わっても読みやすかった。

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    2023年10月25日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    豪華寝台列車(ななつ星)の話である、それぞれ色々な人生とその人達の思い出を乗せて走る、ななつ星 一度でいいから乗って見たい本を読み、素敵な旅をしているような気持ちになった。ますます (ななつ星)に乗りたい。

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    2023年10月21日
  • そこにはいない男たちについて

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    ネタバレ

    一緒に生活してるけど大嫌いで、いない様な夫と、心の中にはずっといるのに現実世界にはいなくなってしまった夫。
    これからの人生でどっちも起こり得るから、他人事とは思えない。

    女性側からしか語られてないから、いったい何でそんなことしようと思ったのかわからないし、何なら聞いてみたい位だけど、まりの夫の突然子供を作ろうと言い出す→関係が良くなった様な態度→離婚というこの行動が嫌すぎた。

    あとがきで原田ひ香さんが書いてる通り、出てくる料理はメニュー名見ただけでとっても美味しそう。

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    2023年10月20日
  • ナナイロノコイ

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    ミーヨンさんのくらげ

    情景や感情の表現が美しく、文をそのまま想像すると心地よく抽象画を眺めているような気持ちになった。エモくて気怠さがなぜか優しいこの一作は好みです。

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    2023年09月19日
  • 注文の多い料理小説集

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    2018〜2019年オール読み物に掲載された短編から登場する料理が魅力的な小説で編んだ文春文庫オリジナル・アンソロジー。あんまり読んだことのない作家ばかりが収められており、読んだことがあるのは深緑野分くらいだった。冒頭3作がイマイチでどうなることかと思ったが、コミカルなネタをうまくまとめた「味のわからない男」(中村航)、叙述トリックが嫌味でない程度のいいアクセントになっている「どっしりふわふわ」(柴田よしき)、一瞬のタイムスリップを描いた「福神漬」(深緑野分)はこの順に良い。

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    2023年09月07日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    ★3.5

    終盤まで何とも言えない不安、不快?
    内臓が掴まれているような、途中で放り出したくなる感じ。
    最後にやっと安堵で深く息を吸うことできました。
    やれやれ

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    2023年09月01日
  • 切羽へ

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    荒野さんの文章が大好きなので引っかかるところも一切なくするすると読める。

    物語としてはつかみどころがなく、一見して何事も起きてないような大人の世界が書かれてるイメージ。深く読めていないということなんだろうけど、主人公が教師に惹かれる理由が全くわからなかった。何回も読んだ方がよりよさがわかってくるのかもしれない。

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    2023年08月28日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    生きることは楽ではないけど、ささやかでも自分の居場所があれば、喜びも訪れる。読み終えて少し元気を貰えました。

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    2023年08月26日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    私は三浦しをん熱がまだ冷めないので、本屋に行くと、「三浦しをん」を探してしまう。
    題名を見て「きみはポラリス」を思い出したこともあり、本書を購入。
    でも、開けて読み始めると、JR九州のクルーズトレインを巡る7人の作家の短編集だった。北斗七星之ではない。表紙をよく見れば電車だったし、帯にもそう書かれている。すぐにカバー掛けてもらっなので気が付かなかった。
    因みに、文春文庫では「甘い罠」「妖し」などをテーマに豪華な顔ぶれでアンソロジーを出している。(この本がそうであるように、初出はオール読物かもしれない)

    私は、中でも川上弘美の「アクテビティは太極拳」が良かった。母親が子育て中の娘に手紙でななつ

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    2023年08月16日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    相手のことを想って、あるいは自分のエゴのために、またあるいはただ面倒臭いことから目を背けたくて、後回し後回しにしていた問題が最終的に爆発して、取り返しのつかないことになる。そんなお話。あらすじにするとなんてことないけど、なんてことのないテーマでこんな豊かな一冊の本が書けてしまう井上荒野さんはやっぱりすごいなぁと思う。奇を衒うわけでも、目立とうとするわけでもなく、日常性の静寂の中からじっくりと時間をかけて人間の本性が炙り出されてくるような作品。

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    2023年08月15日