井上荒野のレビュー一覧

  • ホットプレートと震度四

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    「あのときの鉄鍋」 「ピザカッターは笑う」が好き。キッチンにある道具を通じて見えてくる人々の営み、隙間風、自分と相手の間合いと気持ち。
    短い話の中に【人それぞれ】が詰まっていた。

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    2026年03月03日
  • 注文の多い料理小説集

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    ネタバレ

     タイトルで買ってしまった。
     北信の湯田中の古本屋併設のフレンチのお店「やまブイブイ」。読書好きの女将さんの、おそらく読んだ本だろう。
     折しも、宮沢賢治の『注文の多い料理店』という短編集を読んだところだったので、目について、思わず手に取ってしまった。きれいな古本。200円はお買い得♪

     さて、誰から、どの作品から読むか?
     折しも、短編集を編むなら、作品の掲載順はどうあるべきかを読み友たちと語る機会があったので、果たして順番は大切か、それとも……、という思いを確かめる意味でも、この短編集は、今、読むべきだとも思ったのだった。

     結果、最初に読んだのは柚木麻子から。「エルゴと不倫鮨」
     なんといっても『BUTTER』の著者、今、油の、いや、脂はこっちの字か? の乗った作者だ。そのヒット作の影響を色濃く残したような、カジマナを彷彿させる豪快な女性が食の蘊蓄を語り、男どもを翻弄していく。痛快な短篇。 

     次は、井上荒野。「好好軒の犬」
     あまり好きな作家ではないが、ネームバリューはこの中ではある。
     作品は、冷めた夫婦間の、なんともいえない機微が描かれていて面白味があった。が、これって、タイトルの「注文の多い……」ではない。「食」の話は出てくるが。

     伊吹有喜の「夏も近づく」は、好きなテイストだ。
     田舎暮らしの食と生活が丁寧に描かれている。が、これも「注文の多い~」というわけではない。
     柴田よしきの「どっしりふわふわ」も悪くはなかったが、パンづくりは、どことなくしあわせと直結しがちな雰囲気が、安易といえば安易だったかな。

     いずれにせよ、この短篇集タイトル勝ち。
    「料理小説集」や「食のアンソロジー」とか、他のタイトルを付けてあったのでは、手に取らなかったろう。 宮沢賢治におんぶにだっこ? 賢治にエルゴ抱っこ紐、って感じの短編集だった(笑)

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    2026年03月03日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    同じ出来事も視点が変わると見え方が変わってくる。

    それらの視点の差が、
    性別、年齢、

    というわかりやすい構図で描かれているので理解はしやすいが、
    性別や年齢に対するステレオタイプに感じなくもない。

    表題の「私たちが轢かなかった鹿」についての文章が、
    取り返しのつかない選択について、what if..を考えることで、より絶望的に感じられて、好きな文だった。

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    2026年02月23日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    最初は『ん、だから?』という感想でしたが、
    ラストの話が最後の最後で『えー!』となりました。

    同じストーリーを三者それぞれの視点で描かれているのは面白いですが、同じストーリーを3回繰り返えして読むのは飽きっぽい私にとってはちょっと苦痛でした。

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    2026年02月15日
  • キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ

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    60代で元気な三人娘。いろいろあるけど、前向きに妥協せず挑戦して進んでいける。
    羨ましいです。勅使河原さんは一体何だったのか…?

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    2026年02月13日
  • 生皮 あるセクシャルハラスメントの光景

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    自分にも無自覚な(もしかしたら限りなく自覚に近い思いを抱えた)ハラスメントの経験があるから、読んでいてどこかでそれを受け入れたくないような、変な気持ちを抱えてしまって、イライラするけど後ろめたいような感じがしていた。
    「何で今更こんな告発とかしてるの?」「自分からホテルに行ったんでしょ?」このあたりの周囲の何気ない言葉。日常的すぎてこわい。

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    2026年02月08日
  • あちらにいる鬼

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    この小説を最低の嘘つき男と図々しくて嫌な女、超然と見えながら傷つき続ける妻が色恋に溺れ、結婚を冒涜する気持ちの悪い話だと定義することは容易い。
    確かにどこを取っても自分が体験したいとは思えない。
    でも激しい情熱と愛憎が時間をかけて風化していった結果、3人が共同体のようになっていく様は何故か少し羨ましささえ感じる。
    みはるが出家したり篤郎が癌になったり、そういう大小様々な出来事が組み合わさって、針の穴を通すような確率で生まれた奇跡のような関係性がまぶしい。
    1人の男を愛しすぎるあまり憎んで、憎み疲れて疲れた先にこんな景色が見えるなら悪くないと思う。
    妻とみはるの間にある種の共犯めいた空気が流れていたのがよかった。2人は後半ずっとモノローグで互いのことを言及している。でもそれをみなまで伝えないのも、あくまで篤郎への慕情や執着で繋がっている関係なのだなと伺えてよい。美学が近い2人だと思う。

    『愛が、人に正しいことだけをさせるものであればいいのに。それとも自分ではどうしようもなく間違った道を歩くしかなくなったとき、私たちは愛という言葉を持ち出すのか。』
    ↑笙子のこれ好き。

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    2026年02月05日
  • 照子と瑠衣

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    70歳の二人の女性が残りの人生を一緒に………………

    表紙……映画『テルマ&ルイーズ』のパクリ?だよね(笑)

    まあ元気はもらえたかな(^^;;

    余生愉しむには………………健康!見た目!そしてお金!

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    2026年02月03日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    短編集
    一つのストーリーを2人の視点から描く
    その感覚が面白かったけれど、読後感がなんとも…
    後味の悪さが残る そんなストーリーばかりだった

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    2026年01月31日
  • 小説家の一日

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    「書くこと」をめぐる短編集、だけど、自らと向き合いじっくり書くというより、表面的な平和や見て見ぬふりの違和感に潰されていく中で溢れ出たという感じの切迫感とザラつきが印象的。どんどん語る男と、あれもこれも飲み込む女。溢れ出た言葉の重さは男に届くのか。

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    2026年01月25日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    どの話も好きだけれど特に好きな2つを。
    まずは川上弘美さんの「アクティビティーは太極拳」から。
    何となく合わないと感じていた母と娘が、コロナ禍の最中、距離はありながらも同じ風景を共有し、長い旅の時間を過ごす贅沢さとほんの少しの切なさに胸がいっぱいになる。
    違う場所で暮らし、たまに顔を合わせるとやっぱり合わないと感じながらもその関係の面白さに気付いていく様子がとても丁寧に描かれていてとても気に入った。

    桜木紫乃さんの「ほら、みて」はどこかでも読んだことがあったと思うのだけれど2度目もやっぱり素敵だった。
    自分の両親もこうであってほしいと、こうなってくれるのならば、ななつ星の 旅をプレゼントしてあげたい気持ちになった。

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    2026年01月19日
  • 猫が見ていた

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    錚々たる作家さんたちによる猫にまつわる物語の短編集。怖い話、心温まる話、悲しい話、色位ありましたが、私は加納朋子さんの作品が特に面白かったです。

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    2026年01月17日
  • 生皮 あるセクシャルハラスメントの光景

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    読者の世代と性差などで評価が分かれるかもしれない
    思うことは、人は自分の思うようにしか物事を見ることができないということ
    自分も知らず知らず、思いもよらず、加害者になっているかもしれない

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    2026年01月11日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    ネタバレ

    すてきなアンソロジー。豪華寝台列車「ななつ星」が舞台なので、登場人物はわたしよりも年上の大人な人たちがメインですが、想像しながら読めました。大人の素敵な旅、かと思えばいろいろな面もあったり。
    ちなみにすてきな装幀・装画デザインはクラフト・エヴィング商會さんです☆

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    2026年01月08日
  • キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ

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    ネタバレ

     ☆つでもいいんだけど、なんか羨ましいというか、だんだん妬みになってきてしまって、3つ。だってウザい夫はいないし、毎晩でも語り合える友達がいて、素敵な料理を作って、お客さんにも褒めてもらえるんだもの。
     そのお総菜屋が大家さんから立ち退きを迫られ、3人は決断をします。
     なんかうまくいきすぎちゃう?
     こんな風に仲良しの友達といっしょに暮らせるのは夢ですね。60代も半ばを過ぎた人たちでもその気になればその夢が叶いますよと荒野さんから言われた気がします。でもねえ、まずその友達が近くにいないのよお。羨ましいなあ。

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    2026年01月08日
  • 猫が見ていた

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    タイトルのとおり、猫にまつわるアンソロジー。

    加納朋子先生の「三べんまわってニャンと鳴く」が特にお気に入りでした。希薄な人間関係を望むソシャゲにはまった男性のお話。
    心がぎゅっとなって少し泣いた。

    悲しみのなかにほのかな温かさのある柚月裕子先生の「泣く猫」も好きでした。

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    2026年01月05日
  • キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ

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    私は去年一作目を読んで、その続きのリターンズ。
    ちょっと60代半ば〜後半とは思えないような、3人。50代半ばなイメージになる。
    勅使河原さんの目的がなんなのかよくわからなかった。進くんは少なめ。3人の女性が入れ替わり立ち替わり各章の主人公(話し手)になるのだが、白山さんが亡くなっていたのに驚いた。

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    2026年01月04日
  • 注文の多い料理小説集

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    料理に関する短編小説集。

    どの話も美味しそうで、ストーリーにも一癖あったり味がある。

    その中でも一番のお気に入りは
    伊吹有喜の「夏も近づく」。

    複雑な家庭の事情で、家を追い出された葉月という少年と、主人公の拓実。
    ぎこちなかった彼らの関係が、
    拓実の作った美味しい料理を二人で食べることで新しい人間関係が作られていく。

    夏の風景の清涼感もあり、大のお気に入りとなった。
    この作者の他の本も読んで見たくなった。
    こういう新しい世界が広がるのも、小説集の醍醐味ですね。

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    2025年12月30日
  • しずかなパレード

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    ネタバレ

    ある日夫と娘を残して出て行ったきり、ふつりと姿を消した晶。
    とても静かに文章が流れていくけど、別に伏線でもなんでもないけどカンフーマンの不穏な感じ。
    残されるものは辛いね。家族を捨ててどこかで元気に生きているなり、死んでしまったなり、区切りって必要だと思う。
    最後の最後にもう一つの区切りを必要とする家族が現れるけど、加害者側も被害者側も報われない。

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    2025年12月23日
  • ズームーデイズ(小学館文庫)

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    私が井上荒野さんを知ったキッカケは2019年「それを愛とまちがえるから」をTVで見てなんか私の中で消化仕切れなくて覚えていた事。
    「あちらにいる鬼」を2022年TVで見て同じ作家である事を知り何となくBOOKOFFで見つけた「ズームーデイズ」を買う事になった事は偶然に他ならない。
    何故私の目の前をチラチラするのか不思議な縁を感じていた。私とアームーは正反対の性格だと思う。第一三島由紀夫の顔が嫌いだからだ。お洒落な男性も好きじゃ無い。「あちらにいる鬼」では父井上光晴のプライベートがダダ漏れで「ズームーデイズ」は井上荒野自身の事を描いているのではとひと事でありながら心配してしまう私はやっぱり井上荒野さんとは正反対なのだと確信してしまう。何だかんだで私はやっぱり井上荒野の事が好きでは無いけど気になる人と言う分類で頭の引き出しに入っている。偶に引き出しを開けては私とは違う事を確認している...

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    2025年12月21日