井上荒野のレビュー一覧
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短編集。
井上荒野さんの小説には冷たい男が出てくる。本作の冷たい男1位は「つまらない湖」の男と決めた。
一見、付き合いやすいし優しそうに見えるが、「今夜ぼくはあなたと寝た方がいいのかな」とサラッと問うてくるし、「どちらでも対応できる」と本心で言っているのも冷たい。しかし、私はこの冷たさが好きなのである。本心を隠してあれこれ画策する男より余程素直ではないだろうか。すぐ傍にいるのに遠い存在の男は貴重な存在だ。
最低な男も決めたい。
栄えある1位は、「緑の象のような山々」の男。
妊娠した不倫相手に甘言を囁き、いざ自分が追い込まれると手のひら返したように堕胎の説得を始める。この短編は、男と女がSN -
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装丁に惹かれて借りた一冊。しみじみと面白い一冊でした。
初・井上荒野さんでもあるけど、どうやら今作は井上さんの作風としては少し異色なのかな?
主人公の静子さんは、御年75歳。息子夫婦と女子高生の孫と同居しています。
この本はそんな静子さんと周りの人たちのほのぼのとした日々…というにはちょびっと生々しい、あれやこれやのお話。
静子さんめっちゃ好きだ〜。何が素敵って、考え方がとても柔らかい。
世間では年を取るにつれて頭が固くなる、なんてよく言われますが、酸いも甘いも十分すぎるほどに噛み分けてきた年齢になると、自分の考え方や感覚に経験上の自信を持つので違った考えをなかなか受け入れられない。そ -
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不倫関係にあったという作家の井上光晴と瀬戸内晴美(寂聴)。井上の実娘である著者が、自身の母を含めた三角関係を描いている。
物語は時系列で、愛人みはると妻笙子の視点から交互に作家白木篤郎との日々が語られる。とにかく篤郎の女性関係のだらしなさ、無神経さに呆れてしまう。今でいうなら一種の発達障害ではないか。妻は内心穏やかではなかったと思うが、淡々と受け止めて家族として変わらぬ生活を続ける。
やがてみはるは、不倫の清算のため出家を決意。最後に一緒に風呂に入り、髪を洗ってもらう別れの場面は美しく、この物語のハイライトだろう。それを男の娘が書いていると思うと胸がふさがれる。
後年は、みはると笙子は妻と -
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ネタバレ女子特有の嫌なイジメ。
有夢、ようこが主な語り手だが合間に担任教師や父親、いじめのリーダー、海の母親が語り手の部分もある。教師や父親はやはり違和感も分かっているがそれを見ないふりをしているのが語り手の時に分かる。いじめのリーダーは根本的な容姿も経済力も恵まれてる。だからこそ孤独な感じ。
海の母親は働き場の老後施設でいじめにあっている人と自分の娘を重ねていつか居なくなってしまうかもしれない不安を抱えながら、自分なりに向き合う改善方法をみつける。
どこの場所にも人を虐めることで自信を得たり自分の孤独を埋めたりする人がいる。
大人が子どもにイジメはダメですよいけないことですよって言ってても大人だ -
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ネタバレ久々にミステリーじゃないものを読んだ。
状況は違えど、恋愛のことで悩んでる同士だと「どちらの方が不幸なのか」と比べてしまうけど、最後どうなるかはわからないなあと。
マリの気持ちはすごくわかった。今一緒にいる相手のことほんとに嫌いなはずで浮気もするけど、それは相手は自分のこと嫌いじゃないだろうとどこかで信じたいからそうしてしまう。慣れから嫌いになって、いざ手を離れるとなると惜しくなる。終わりが近づくにつれて今こう言えば終わらないかもと思うけど、もう遅いこともわかっているし、今まで嫌いだったぶんの意地も張ってしまう。そんな感じなのかなと、自分と重ねて考えてしまった。
マリの気持ちにすごく入ってしま