井上荒野のレビュー一覧
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一気読みするほど、夢中で読んだ。
フィットネスクラブに出入りするスタッフや会員がそれぞれ主人公となる、連作短編集。
金原氏の解説の中で、“物騒”だとか“脂っこい”だとかのキーワードが並べられているが、
ほんとにそう。
どの話も、後味が悪くて、切ない。
でも読みたくなるのは、そこに尽くされている言葉の力が次へ次へと引きずっていくからだ。
「サモワールの薔薇とオニオングラタン」の1行目。
“朝起きると体がみっしりと重かった。”の表現。
「クラプトンと骨壺」の結末。
何回か、焼き肉屋が出てくるけど、なんかほんとに焼き肉食べてるみたいな気分。
でも最後のストーリーで、あら、さわやか -
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ベーコン、ほうとう、煮こごり、水餃子などの食べ物をモチーフに、10歳の少女から60過ぎの老人までそれぞれの、多くは不倫関係にある男女の、人生の断片を描いた短編集。
日曜にだけやってくる男を待つ女(ほうとう)、会社で倒れた後、体調は戻ったのに出社できなくなった男(クリスマスのミートパイ)、謎の老人の死を巡り右往左往する女たち(煮こごり)…。
「煮こごり」の中に『針の先ほどの空白のようなもの。それが何なのかは謎だった。自分がこうまで焦がれるのはそのせいとも思えたし、あるいは焦がれるということは、相手の中にそのような空白を図らずも見つけてしまうということなのかもしれない』という件りがあるけれど、不倫 -
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ネタバレタイトルで買ってしまった。
北信の湯田中の古本屋併設のフレンチのお店「やまブイブイ」。読書好きの女将さんの、おそらく読んだ本だろう。
折しも、宮沢賢治の『注文の多い料理店』という短編集を読んだところだったので、目について、思わず手に取ってしまった。きれいな古本。200円はお買い得♪
さて、誰から、どの作品から読むか?
折しも、短編集を編むなら、作品の掲載順はどうあるべきかを読み友たちと語る機会があったので、果たして順番は大切か、それとも……、という思いを確かめる意味でも、この短編集は、今、読むべきだとも思ったのだった。
結果、最初に読んだのは柚木麻子から。「エルゴと不倫鮨」
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Posted by ブクログ
この小説を最低の嘘つき男と図々しくて嫌な女、超然と見えながら傷つき続ける妻が色恋に溺れ、結婚を冒涜する気持ちの悪い話だと定義することは容易い。
確かにどこを取っても自分が体験したいとは思えない。
でも激しい情熱と愛憎が時間をかけて風化していった結果、3人が共同体のようになっていく様は何故か少し羨ましささえ感じる。
みはるが出家したり篤郎が癌になったり、そういう大小様々な出来事が組み合わさって、針の穴を通すような確率で生まれた奇跡のような関係性がまぶしい。
1人の男を愛しすぎるあまり憎んで、憎み疲れて疲れた先にこんな景色が見えるなら悪くないと思う。
妻とみはるの間にある種の共犯めいた空気が流れて