井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この小説を最低の嘘つき男と図々しくて嫌な女、超然と見えながら傷つき続ける妻が色恋に溺れ、結婚を冒涜する気持ちの悪い話だと定義することは容易い。
確かにどこを取っても自分が体験したいとは思えない。
でも激しい情熱と愛憎が時間をかけて風化していった結果、3人が共同体のようになっていく様は何故か少し羨ましささえ感じる。
みはるが出家したり篤郎が癌になったり、そういう大小様々な出来事が組み合わさって、針の穴を通すような確率で生まれた奇跡のような関係性がまぶしい。
1人の男を愛しすぎるあまり憎んで、憎み疲れて疲れた先にこんな景色が見えるなら悪くないと思う。
妻とみはるの間にある種の共犯めいた空気が流れて -
Posted by ブクログ
どの話も好きだけれど特に好きな2つを。
まずは川上弘美さんの「アクティビティーは太極拳」から。
何となく合わないと感じていた母と娘が、コロナ禍の最中、距離はありながらも同じ風景を共有し、長い旅の時間を過ごす贅沢さとほんの少しの切なさに胸がいっぱいになる。
違う場所で暮らし、たまに顔を合わせるとやっぱり合わないと感じながらもその関係の面白さに気付いていく様子がとても丁寧に描かれていてとても気に入った。
桜木紫乃さんの「ほら、みて」はどこかでも読んだことがあったと思うのだけれど2度目もやっぱり素敵だった。
自分の両親もこうであってほしいと、こうなってくれるのならば、ななつ星の 旅をプレゼントして -