井上荒野のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
人間関係に何かしらしこりを抱える登場人物達が、食事や句会を通して何かしらの決意をして一歩踏み出す短編もの。各章では決意するところまでが語られ、後々の章で助演や背景として登場し後日譚が汲み取れる構成になっている。
食事一つでここまでも決意が固まるものか?という違和感はありつつも、料理を作る、選ぶ、食べるという行為に詰まっているいろんな想いを感じられて、心温かくリラックスした気持ちになれた。
また、後日譚として登場する人物たちは助演や背景として登場するので、顔は知っているが深くは知らないという緩やかな繋がりも作品の雰囲気とマッチしていて良かった。 -
Posted by ブクログ
誰もが一度は妄想したことのある
「人生の最後に何を食べたいか」という問い…
一線で活躍する7人の作家たちが紡ぎ出す答えは
決して豪華絢爛なご馳走ばかりではなく
日常の片隅にあるささやかな味や
記憶の底に眠る思い出の味が
それぞれの登場人物の人生の愛おしさと共に
鮮やかに描き出されます
江國さんの淡い情緒
金原さんのひりつくような熱量
寺地さんの静かな優しさ…
一話一話の味わいが全く異なり
まるで極上のフルコースを少しずつ
味わっているかのような贅沢な読書時間でした♡
漆黒の背景に浮かび上がる
このミステリアスで耽美な表紙に一目惚れ!!
「食べる」という営みは、私たちが生きる -
-
Posted by ブクログ
よく読む作家の名前がずらりと並んでいるので期待していたけど、正直それほどだった。
最後の晩餐、よく話題にのぼるテーマではあると思うけれど、実際にその状況になったら何を選ぶだろう。
結局最後は塩おにぎりでいいとか、母親のつくった家庭料理とか、そういう素朴な路線もあるけれど、私はまだまだ寿司とかウニ丼とか食べたいけどな。
金原ひとみ「ラストサパーフォーエバー」に出てきた、
〈私はまだ、最後の晩餐の最適解を見出せていない。それは私がまだ自分の人生を見通せていないってことなんだろうか。〉
という文章にその通りだと頷きながら読んでいたけれど、作中にでてきた、あん肝白子牡蠣雲丹海老がぎっしり詰め込まれた -
Posted by ブクログ
息つく間もない展開があるわけではなく、熟年世代の女性たちの日常を描いた静かな物語なのに一気読みだった。
仲良しごっこは十分経験した女3人が、自然に助け合い、ままならない現実を受け入れようとする話。
誰だって空回りしたくて空回ってるわけじゃない。
痛々しい振る舞いをしながらも、その自分をどこか冷静に見ている。全部わかった上で、それでもその行動で今をやり過ごそうともがく姿が生々しくて、上手に生きることの難しさを改めて感じた。
でも、わざとらしい助け合いはなくても、何気ない会話や美味しいごはんで少しずつ風向きが良くなっていく。
上手くいかないことがあっても、人生捨てたもんじゃないと思える読後感