あらすじ
皮を剥がされた体と心はいまだに血を流している……。小説講座の人気講師が性暴力で告発された。なぜセクハラは起きたのか? 家族たちは事件をいかに受け止めるのか? 当事者の生々しい感情と、ハラスメントが生まれる空気を重層的に活写する、いまこそ読むべき問題作。解説:河合香織。
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Posted by ブクログ
衝撃のタイトルを見て、読んでみた作品です。
セクハラなどのハラスメントという言葉は、近年よく聞く言葉になっている。
しかし、本当に、心に傷を負った当事者がハラスメントを告発することは心理的にも難しいことだと考える。そのため、告発した主人公のことを私は敬意を表する。
近年では、SNSでのMe Too運動などもある一方で、加害者肯定派のアンチコメントもある。
この話は、性被害という重い問題について改めて考えさせる1冊になっていました。
ちょっと刺激的なシーンもあるので、R-18向けの文学かなと思いますが、性暴力やセクハラについて考えていただくために、是非、読んでいただきたい1冊です!
Posted by ブクログ
本の裏のあらすじから受けたイメージよりは生々しくなく読みやすかった。
ハラスメントもDVも、受けている当事者はその時には特にそれだと気付きにくのだと思う。
後になって少し自分を客観的に見られるようになると、あれは絶対そうだったと思えるし、その時にだって周りから見たら明らかにそうだと分かるし、そう言われる。
けど、当事者はなぜか分からない。辛いし何とかならないかと思うけど、自分にも原因があるんじゃないかとか、皆んな多かれ少なかれ同じ思いをしているんじゃないかとか考えてしまう。
この本は色んな意味で行きすぎていなくて、それがより現実的な感じがして良かった。
Posted by ブクログ
テレビやsnsで著名人のセクハラに関する報道があとをたたないがきっと月島のような感覚なんだろうなと思った。
被害を受けた側と被害を与えた側が存在するわけだが、後者はその行動に変な意味はなく相手を思うからこその行為だったと心の底から考えている。
でも前者は間違いなくそんなものだとは思えない。
だからこそハラスメントなのだろう。
この本を読んでいて暗い気持ちになったし、私は今後かのような事件がなくなることはないようにも感じてしまった。
それは月島のような人物だけではなく、被害者をSNSやリアルな場で言葉の暴力を浴びせる人が一定数必ずいて、それが月島を肯定するから。
なんだかこの構造はどんな時代になっても無くならないように思う。
辛いけど。
Posted by ブクログ
セクハラ行為の捉え方が当事者の環境や時間の経過によって、様々に変化する状況を多くの事例で解き明かした物語だが、女性の立場を主体に述べているのでおじさんの読者としてはあまり知ることができない若い人やおばさんたちの思いが垣間見れて面白かった.小説講座のカリスマ講師である月島光一と受講者 九重咲歩、小荒間洋子が主要な登場人物だが、それ以外にも多くの人が登場するので把握するのが大変だった.題名の「生皮」の正体がなかなか登場しないが、最後の場面で洋子の告白により判明するのが物語の展開として楽しめた.
Posted by ブクログ
ある小説家教室の講師によるセクシャルハラスメントに遭った女性を中心としたそれに関わる人々の話。
被害女性だけでなくて、加害者、その講師に心酔する人、被害者の家族、加害者の家族、以前被害に遭った人…など色んな視点があるので興味深かった。読み飽きない。
この小説で加害者とされる男性の心情は理解できないが、ナチュラルにこの思考でセクハラをしているのだとしたら恐ろしいし、妙に納得してしまった。
人間の思い込みと勘違い怖い…
Posted by ブクログ
現実のニュースは真実がわからない。
憶測が入りまくる、予断が多い。
ちゃんと考えるのが難しい。
なので、こういう形で触れる方がいい。
何が問題なのかよくわかるし、何に注意すればいいのかも少しはわかるんじゃないだろうか。