井上荒野のレビュー一覧

  • 注文の多い料理小説集

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    キャッチーなタイトルに惹かれて読んでみた。アンソロジーは読んだことのない作家さんに出会えるよい機会なので、ときどき読むようにしている。

    よかった順に、「夏も近づく」、「味のわからない男」、「好好軒の犬」、「どっしりふわふわ」、「エルゴと不倫鮨」。

    「夏も近づく」に出てくる料理はどれもシンプルで美味そう。塩むすびとか、筍ご飯とか。可哀想な生い立ちの葉月くんが、叔父さんの料理で癒されていく姿が清冽でよい。

    「どっしりふわふわ」は年の差20位のパン職人カップルのお話。ラスト2頁で種明かしされるミスリードについては、これがあるのとないのとでは、どれだけ読後感が違ってくるのか、オチを知ってしまった後では何ともよく分からないが、ない方が良かった気がする。

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    2026年04月13日
  • あなたにだけわかること

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    私の異性の幼なじみにも一人、お互い大事過ぎて幼なじみという言葉がしっくりこず、やはり「この関係は何なんだ」と思わざるを得ない人がいる。
    恋愛関係ではないので浮気には当たらないだろうが、この特別な感情は浮気よりも本気に近く、ケンカしてもいずれ元に戻れるという信頼は結婚相手より深い気さえする。
    それは浮気よりも罪深いと思っているので人には言わない。

    内容自体は、世の中そんなに恋愛感情ばかりの大人だらけか?と違和感はあるが、年齢を重ねても中身の成熟さはさほど変わらない辺り、妙にリアルで納得している。
    千秋へ病的に執着する気持ちに共感はないが、「捨てられたくない」という感情は「好きな人から」という所に重きがある訳ではなさそう。好いている事より好かれてる事にこだわりを感じる。
    対して駿とは捨てるも何もな距離感で、これは絶妙で貴重。
    駿が亡くなった後がつらいね。
    それにしても駿の奥様が一番薄ら怖い。

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    2026年04月13日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    ネタバレ

    同じ出来事を、関わった二人の視点から描く」連作短編集。表題作の「私たちが轢かなかった鹿」を中心に、現代社会に生きる男女の「ズレ」や「エゴ」を鋭く描き出しています。
    表題作「私たちが轢かなかった鹿」は、杏子はある日、長年の親友である真弓が、自分の息子である晴と付き合っていることを知る。母親としての嫌悪感、女としての嫉妬、そして「親友の息子」に手を出す側の心理。タイトルの「轢かなかった鹿」は、決定的な破局や惨劇を間一髪で避けているようでいて、実は内側から関係が腐敗していくような、静かな不穏さを象徴している。井上荒野作品らしい、「綺麗事では済まない人間の業」がこれでもかと詰め込まれた一冊です。

    読み終えた後、自分の隣にいる人や親友の顔をまじまじと見て、その内面を想像して怖くなってしまうような、劇薬のような短編集。
    個人的には、小説みたいなことは起こらないが面白かった。

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    2026年04月11日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    ハラハラするしその話は早めにして!とページを飛ばしたくなるようなモヤモヤと嫌な感じがする。
    人を信じたいと思う心情や環境によって変わってしまう心の変化が3人の主要人物を通してよく描かれていた。最後はすっきりと終わってよかった。

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    2026年04月09日
  • ベーコン

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    食べ物に絡めた不思議な人間関係の短編集。人間関係って一言で表せる関係よりも、表せないものの方が多いのかもしれない。

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    2026年04月04日
  • 注文の多い料理小説集

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    「夏も近づく」がかなり好きだった。自然の中でできることだけをして暮らしていく姿が素敵。葉月がのびのび過ごせますように。
    「しっとりふわふわ」はパンが食べたくなる。人を思う気持ちの大切さ。

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    2026年03月28日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    同じ出来事を二人の当事者の目線から描く5つの短編集。

    どれも登場人物は少なく、視点の二人の他にキーマンとなるもう一人の存在が。その人物が絶妙な役割を果たす。
    親友だったり、夫婦だったり、愛人だったり、互いのことをわかったつもりでいてもその胸の内はわからない。
    その隠された本心を覗き込んだ結果の気持ち悪さが満載の短編集。これぞ井上荒野作品って感じ。

    特に好きなのは表題作「私たちが轢かなかった鹿」と最後の「小説みたいなことは起こらない」。怖い。

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    2026年03月27日
  • だれかの木琴

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    井上荒野さん、初読だったけど面白かった。ストーカーの話なんだけど、このさりげない日常の描写が良い。気づいたらやってたって感じ。やらずにいられない感じ、なんか分かる。そしてそれは誰にもある。

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    2026年03月07日
  • 猫が見ていた

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    猫が主人公というより、物語の名脇役的存在としての猫という感じであった。
    猫は正義である。しかしながらアンソロジー系は私にハマらなかったのか、猫特有の癒しを感じ取ることができなかった。無念。

    #2026 #11

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    2026年03月04日
  • ホットプレートと震度四

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    「あのときの鉄鍋」 「ピザカッターは笑う」が好き。キッチンにある道具を通じて見えてくる人々の営み、隙間風、自分と相手の間合いと気持ち。
    短い話の中に【人それぞれ】が詰まっていた。

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    2026年03月03日
  • 注文の多い料理小説集

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    ネタバレ

     タイトルで買ってしまった。
     北信の湯田中の古本屋併設のフレンチのお店「やまブイブイ」。読書好きの女将さんの、おそらく読んだ本だろう。
     折しも、宮沢賢治の『注文の多い料理店』という短編集を読んだところだったので、目について、思わず手に取ってしまった。きれいな古本。200円はお買い得♪

     さて、誰から、どの作品から読むか?
     折しも、短編集を編むなら、作品の掲載順はどうあるべきかを読み友たちと語る機会があったので、果たして順番は大切か、それとも……、という思いを確かめる意味でも、この短編集は、今、読むべきだとも思ったのだった。

     結果、最初に読んだのは柚木麻子から。「エルゴと不倫鮨」
     なんといっても『BUTTER』の著者、今、油の、いや、脂はこっちの字か? の乗った作者だ。そのヒット作の影響を色濃く残したような、カジマナを彷彿させる豪快な女性が食の蘊蓄を語り、男どもを翻弄していく。痛快な短篇。 

     次は、井上荒野。「好好軒の犬」
     あまり好きな作家ではないが、ネームバリューはこの中ではある。
     作品は、冷めた夫婦間の、なんともいえない機微が描かれていて面白味があった。が、これって、タイトルの「注文の多い……」ではない。「食」の話は出てくるが。

     伊吹有喜の「夏も近づく」は、好きなテイストだ。
     田舎暮らしの食と生活が丁寧に描かれている。が、これも「注文の多い~」というわけではない。
     柴田よしきの「どっしりふわふわ」も悪くはなかったが、パンづくりは、どことなくしあわせと直結しがちな雰囲気が、安易といえば安易だったかな。

     いずれにせよ、この短篇集タイトル勝ち。
    「料理小説集」や「食のアンソロジー」とか、他のタイトルを付けてあったのでは、手に取らなかったろう。 宮沢賢治におんぶにだっこ? 賢治にエルゴ抱っこ紐、って感じの短編集だった(笑)

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    2026年03月03日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    同じ出来事も視点が変わると見え方が変わってくる。

    それらの視点の差が、
    性別、年齢、

    というわかりやすい構図で描かれているので理解はしやすいが、
    性別や年齢に対するステレオタイプに感じなくもない。

    表題の「私たちが轢かなかった鹿」についての文章が、
    取り返しのつかない選択について、what if..を考えることで、より絶望的に感じられて、好きな文だった。

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    2026年02月23日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    最初は『ん、だから?』という感想でしたが、
    ラストの話が最後の最後で『えー!』となりました。

    同じストーリーを三者それぞれの視点で描かれているのは面白いですが、同じストーリーを3回繰り返えして読むのは飽きっぽい私にとってはちょっと苦痛でした。

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    2026年02月15日
  • キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ

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    60代で元気な三人娘。いろいろあるけど、前向きに妥協せず挑戦して進んでいける。
    羨ましいです。勅使河原さんは一体何だったのか…?

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    2026年02月13日
  • 生皮 あるセクシャルハラスメントの光景

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    自分にも無自覚な(もしかしたら限りなく自覚に近い思いを抱えた)ハラスメントの経験があるから、読んでいてどこかでそれを受け入れたくないような、変な気持ちを抱えてしまって、イライラするけど後ろめたいような感じがしていた。
    「何で今更こんな告発とかしてるの?」「自分からホテルに行ったんでしょ?」このあたりの周囲の何気ない言葉。日常的すぎてこわい。

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    2026年02月08日
  • あちらにいる鬼

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    この小説を最低の嘘つき男と図々しくて嫌な女、超然と見えながら傷つき続ける妻が色恋に溺れ、結婚を冒涜する気持ちの悪い話だと定義することは容易い。
    確かにどこを取っても自分が体験したいとは思えない。
    でも激しい情熱と愛憎が時間をかけて風化していった結果、3人が共同体のようになっていく様は何故か少し羨ましささえ感じる。
    みはるが出家したり篤郎が癌になったり、そういう大小様々な出来事が組み合わさって、針の穴を通すような確率で生まれた奇跡のような関係性がまぶしい。
    1人の男を愛しすぎるあまり憎んで、憎み疲れて疲れた先にこんな景色が見えるなら悪くないと思う。
    妻とみはるの間にある種の共犯めいた空気が流れていたのがよかった。2人は後半ずっとモノローグで互いのことを言及している。でもそれをみなまで伝えないのも、あくまで篤郎への慕情や執着で繋がっている関係なのだなと伺えてよい。美学が近い2人だと思う。

    『愛が、人に正しいことだけをさせるものであればいいのに。それとも自分ではどうしようもなく間違った道を歩くしかなくなったとき、私たちは愛という言葉を持ち出すのか。』
    ↑笙子のこれ好き。

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    2026年02月05日
  • 照子と瑠衣

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    70歳の二人の女性が残りの人生を一緒に………………

    表紙……映画『テルマ&ルイーズ』のパクリ?だよね(笑)

    まあ元気はもらえたかな(^^;;

    余生愉しむには………………健康!見た目!そしてお金!

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    2026年02月03日
  • 私たちが轢かなかった鹿

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    短編集
    一つのストーリーを2人の視点から描く
    その感覚が面白かったけれど、読後感がなんとも…
    後味の悪さが残る そんなストーリーばかりだった

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    2026年01月31日
  • 小説家の一日

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    「書くこと」をめぐる短編集、だけど、自らと向き合いじっくり書くというより、表面的な平和や見て見ぬふりの違和感に潰されていく中で溢れ出たという感じの切迫感とザラつきが印象的。どんどん語る男と、あれもこれも飲み込む女。溢れ出た言葉の重さは男に届くのか。

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    2026年01月25日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    どの話も好きだけれど特に好きな2つを。
    まずは川上弘美さんの「アクティビティーは太極拳」から。
    何となく合わないと感じていた母と娘が、コロナ禍の最中、距離はありながらも同じ風景を共有し、長い旅の時間を過ごす贅沢さとほんの少しの切なさに胸がいっぱいになる。
    違う場所で暮らし、たまに顔を合わせるとやっぱり合わないと感じながらもその関係の面白さに気付いていく様子がとても丁寧に描かれていてとても気に入った。

    桜木紫乃さんの「ほら、みて」はどこかでも読んだことがあったと思うのだけれど2度目もやっぱり素敵だった。
    自分の両親もこうであってほしいと、こうなってくれるのならば、ななつ星の 旅をプレゼントしてあげたい気持ちになった。

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    2026年01月19日