あらすじ
数々の「おいしい小説」を手掛けてきた著者が贈る――“食にまつわる道具”を通して揺れ動く老若男女を描いた短編集。「今年 のゼリーモールド」「ピザカッターは笑う」「コーヒーサーバーの冒険」「あのときの鉄鍋」「水餃子の机」「錆び釘探し」「ホッ トプレートと震度四」「さよなら、アクリルたわし」「焚いてるんだよ、薪ストーブ」の9篇を収録。
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料理や台所の道具にまつわる短編集 物語中は人との関係に対するモヤつきや葛藤が描かれるが、いずれもその後の世界に希望を予感させる終わり方で温かく読み終えた。男性の登場人物はどこかとぼけた人が多い印象。 一番心に残ったのは「水餃子の机」
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*“食にまつわる道具”を通して揺れ動く老若男女を描いた短編集。「今年 のゼリーモールド」「ピザカッターは笑う」「コーヒーサーバーの冒険」「あのときの鉄鍋」「水餃子の机」「錆び釘探し」「ホッ トプレートと震度四」「さよなら、アクリルたわし」「焚いてるんだよ、薪ストーブ」の9篇を収録*
もっと続きが読みたい!と思わせる素敵な物語たち。
どのお話もどこかしら可愛らしさを含んだ短編集で、ふわりと心が温かくなる読後感が素晴らしい。
ひとつひとつの題名も秀逸です。
中でも特に良かったのは、
かつて青春を過ごした`俺`が息子の青春を目の当たりにする甘酸っぱさ満載の「ピザカッターは笑う」と、
チルちゃんの小さな冒険が最高に可愛い「コーヒーサーバーの冒険」。
出てくる人物が全員悶絶レベルでキュート過ぎて、何度読み返しても勝手に笑顔になってしまう破壊力があります。
井上荒野さんは、老若男女問わず、人の心の機微をすくいとるのが本当にお上手。
よって、本当はじっくり味わって読みたいのに、早く結末が知りたくてついつい早読みしてしまう…
既に何度も読み返したけど、忘れた頃に絶対また再読しよう。
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ショートがたくさん。
しみじみ面白い。
不倫の話は嫌だけど(潔癖のところがある)
最後の薪ストーブの話が最後だけに一番よかった。
薪ストーブのシチューはうまそうだ。
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「食にまつわる道具」をめぐる短編集。
鉄鍋、ピザカッター、ホットプレート…料理道具にスポットが当たっているのが面白い。
どのお話も最後は胸がぽっと暖かくなった。
どれも好きだけど、お気に入りは「あのときの鉄鍋」と「水餃子の机」、「焚いてるんだよ、薪ストーブ」!
井上荒野さんの本を読むと、やっぱり台所に立ちたくなる。料理はちっとも得意じゃないけれど!
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キッチングッズをモチーフにした短編集。
日記をつけていると思うのは、日記にあらためて書きたいと思うような目新しいトピックスはそうそうないということ。
毎日はほぼ同じルーティンの繰り返し、
そんなルーティンの繰り返しが自分の暮らしを支えてくれていること、その有難さになかなか気づけない哀しさ。
読みながらそんなことをしみじみ思ったけど、しばらくしたらそんなこと忘れちゃってるんだろうなあ。
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『なごみ』という月刊誌に「味を作る道具と人」というタイトルで連載されていたものが元ということ。
ここに登場する「道具」は、本来の仕事をこなしながらも、使い道以上にその存在が意味を持っている。
長く一緒に居ること。道具と人。人と人。
近くにいる人を大切にできることが一番幸せなのだと思う。
時としてそれは失わなくてはならないこともある。
そんな時、自分自身とどう向き合って生きていくのか。そこに道具は寄り添ってくれるのか。
みな短いお話だけど、一つ一つがきらり。
『今年のゼリーモールド』
娘が東京の大学に行き、夫婦二人になった八ヶ岳西麓の家と、母親の心のすき間
『ピザカッターは笑う』
妻と二人で洋食屋を営むシェフ。
店に集う、高校生の息子たちの男女グループのやり取りにきゅんとしながら、自分の青春を思い出してしまったか、アホなことを企む。
『コーヒーサーバーの冒険』
年長さんになったチルちゃん。水色の靴を履いて。
『あのときの鉄鍋』
大学時代のサークル仲間が死んで、30年ぶりに吉祥寺に集った。
三千枝がずっと抱えていた、あの一夜の謎が解ける
『水餃子の机』
家族の歴史と共に生きてきた机・・・何だか健気
『錆び釘探し』
結婚が怖い若い男が、偶然出会った老夫婦の道程に思いをはせる
『ホットプレートと震度四』
地震がいい仕事をした!
ホットプレートはむしろ被害者(笑)
『さよなら、アクリルたわし』
ぐるぐるする心で、ぐるぐるとアクリル毛糸を編む
『焚いてるんだよ、薪ストーブ』
仲の良い二組の夫婦に訪れた、突然の欠落
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短編って当たり外れが一冊のなかにあるから苦手なんだ。でもね、この作品ははずれなし。うまいなぁと興奮するでもなく、感動するでもなく、素直に読み進んだ。日常の物語だからこその落ち着きが心地よい。
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優しい雰囲気の表紙に誘われて手に取った本だった。食べ物にまつわる話は、決して暗くなり過ぎないから良い。日々の生活、人間関係を大切にしたいと思った。
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連日の井上荒野だけれど、今日は穏やかな井上荒野。キッチン用品がキーになる短編集。お気に入りは、旦那の元カノからホットプレートをもらう表題作「ホッ トプレートと震度四」とサークル仲間の形見分けに行く「あのときの鉄鍋」。猿のピザカッター欲しい。
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この作者は「照子と瑠衣」という大好きな作品を書いた方だ。照子と瑠衣を薦めた人が、これも面白かったと教えてくれたので読んでみた。
軽快な文章が読みやすい。でも、心の機微もちゃんと描かれている。
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短編小説
全部良かったけど、最後の物語が特に心温まる。
人は生きている限り
あたたかさが必要なんだなと
それが生きるってことなのかもなと
思った
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月刊誌『なごみ』の連載「味を作る道具と人」(2021年9月~2022年4月)をもとに加筆修正された9つの短編集です。
考えてみれば、台所やリビングに当たり前のようにあるものにも、一つ一つ物語がありますね。今、私の目の前にあるマグカップにも思い出があります。
ゼリー型をみつけて過去に想いを馳せ、前を向くことができた母親の気持ちがうまく表現された「今年のゼリーモールド」
コーヒーサーバーを持って小さな冒険をしたチルが、なんとも愛らしく感じた「コーヒーサーバーの冒険」
母が水餃子を作っていたテーブルが、ちゃんと受け継がれたことに、ほっとした「水餃子のテーブル」
4人で囲んだホットプレートのお好み焼きの味が妙に気になった「ホットプレートと震度四」
人間は生きていかなきゃと、励まされた「炊いてるんだよ、薪ストーブ」
私のお気に入りはこの五つの短編です。
他、「ピザカッターは笑う」「あのときの鉄鍋」「錆び釘探し」「さよなら、アクリルたわし」
大沼ショージさんの写真は、モノクロなのに、食べ物がとても美味しそうに見えました。
Posted by ブクログ
台所用品のまつわるちょっと良い話の短編集。大きな事件はなくとも、ゆるやかな悲喜こもごもが読み心地が良かった。お気に入りは『ピザカッターは笑う』→男性の下心をほのめかす描写が秀逸。『焚いてるんだよ、薪ストーブ』→近しい人を失った喪失と再生がよく伝わってきた。
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装丁に一目惚れ
内容も好みでした
料理やカフェに焦点を当てた小説は多いけど、料理道具にスポットを当てた小説は珍しい気がする
表紙カバーや各章に使われている写真にまつわるエピソードを読んでいるかのよう。
どの作品も、流れている空気感が読んでいて心地よい。
Posted by ブクログ
食にまつわる道具を巡る短編集と本の帯に書いてあるが、その通りだった。
どの物語も淡々と綴られていて、さらっと読めた。
タイトルになっているホットプレートと震度四と焚いてるんだよ、薪ストーブがよかった。
何となくでも先に希望が垣間見える話が私は好きなのだ。
Posted by ブクログ
食にまつわる道具をめぐる短編集
昔の人に戻ってしまいそうな心を、
今の人に想いが戻ってくれるお話で良かった
ほっとする、穏やかな気持ちになれた
どのお話も良かった
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お料理をテーマにした お話はよくあるけど これは調理道具がテーマ。
雑誌の連載だったんですね。
テーマではあるけど その道具達がお話の中にさりげなく出て来て どの短編も面白かったです。
それぞれのタイトルもおしゃれ。
Posted by ブクログ
短編集。
大学時代の友人がホットプレートを譲ってくれるというので、夫と住む家に招いたところ、友人がパートナーを連れてきて、互いに気まずい空気が流れていく…(『表題作』)
若い頃付き合っていたとかいろいろあったとか、大人になってしまえば何も気にせず顔を合わせることが出来るのかと思いきやそうでもない。
やっぱり少しのわだかまりは残る。ただ、皆大人なので表面上は何事もなかったかのように仲良さげに振る舞うことができる。
それが良いことなのか本音を隠して付き合うのが悪いことなのかは分からない。
地震は恐ろしいものだが、それによって場の雰囲気が和らいだこの話に限っては、地震に感謝すべきなのかもしれない。
友人に自分の夫と愛し合ってるから別れてくれと言われた主人公女性。夫は(友人の)冗談だから気にするなと言うが、ある日、友人がいきなり押しかけてきて…(『さよなら、アクリルたわし』)
怖い。怖すぎる。誰が悪いのかと言えば離婚もせず友人を本気にさせた夫だと思うが…。堂々と不倫の上、夫を寄越せと言ってくる友人、妻には良い顔をしている夫、黙々とアクリルたわしを編む主人公女性。全員が怖い。
私は主人公女性がとっとと夫を見限って一人立ちすることを願うが、どうなるんだろう。
女性同士の間にはマウントの取り合いが発生することがある。この友人は明らかに自分がマウントを取っているという自信があったのだろうが、最後は泣き落としという強硬手段に出ているあたり、決して強くはない。一見、弱々しそうに見える主人公女性の方が、したたかな感じがするのは私だけだろうか。
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eテレで私の台所を紹介する番組に出ていた井上荒野さん。美味しいものが好きな夫婦で山小屋に住んでいる様子にここから生まれる物語を読んでみたくなった。
作家さんから入って本を選んだのは初めてかもしれない。
家の感じや本人の雰囲気が書かれる人たちに少しすつ反映されていて読むのが楽しかった。
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美味しい料理と料理を作るためのいろんなものの短編集
表題の短編が一番よかったかな
「緊張してたのが地震で決壊して」麻子の恋人の光一が言う
「皆緊張してたよ」と、女性達
「僕は緊張してなかったよ」と、拓郎
いい男性達
ワイン浸しのお好み焼きどんな味だろう
味と同じように4人とも興味深い
それぞれの短編は中にはどうなるのと言う危機感があるのに、最後には美味しいものを食べたような味わいで終わる
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食とモノに関する9つの短編集。ある特定の物を見るたびに、それに纏わる物語を思い出す事は誰にでもあるが、こうやってみると『食』と『モノ』は生きていく上で欠かせない故に、同じものを見ても思うものは人によって全く違ってくるのだなと思う。
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台所まわりのアイテムにまつわる話を集めた短編集。
物語としてはややそっけないくらいの長さが、読みやすくてちょうどいい。
台所用品はどうしても「家庭」の形を連想させる。
最後の薪ストーブの話が特に好き。
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月刊誌の連載から加筆されたもの。味をつくる道具と人というテーマ。そのままタイトルよりポットプレートと震度四の方がいい。
9つ短編、最後の焚いているんだよ、薪ストーブがよかった。ただ登場人物が少し嫌な感じで…。読むのが億劫になった。文章が軽く文字も少ない本なので読み出せばすぐ読めてしまうけど、行間を味わえない。
嫌と感じるのは自分の嫌なところを表現されてる裏返し、明日はきっと良い食卓の帯は、まだ登場人物たちはきっとにかけるところということ。
「きっと」はこの国の今の寂寥感なのかもな。いやなんだ、それは
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微妙な、はっきりしているわけじゃないできごとの違和感や困った感や距離感を描くのがうまいなぁと思う。
男女のあれこれはあまり興味が持てないため、なんかめんどくさそう…としか思えないのだけど、、
でも老年期の人間を描いている作品も数あって、これからの私には助かる。
井上荒野さんは、読む時にちょっと力が要るというか、覚悟がいるというか…、「井上荒野を読むぞ!」と思わないと読めない。
うかつに手にとってやっぱりうかつだった、となることが多いので、気をつけて慎重に読む作家だ。
新しく追いかける作家を見つけられて嬉しい。これからも少しずつ読んでいきたい。
Posted by ブクログ
余裕の短編集という感じ。
どれも最後にほこっとするけどアクリルたわしのだけが不穏な感じ。短編だから感情移入もそれほどではなく淡々と読み進んだ。
いろんな男女のいろんな日常。
リアルでそこかしこに散らばっていそうな日常。
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今年のゼリーモールド
ピザカッターは笑う
コーヒーサーバーの冒険
あのときの鉄鍋
水餃子の机
錆び釘探し
ホットプレートと震度四
さよなら、アクリルたわし
焚いてるんだよ、薪ストーブ
Posted by ブクログ
食べ物にまつわる道具をめぐり、揺れ動く心を切り取った9つの短編集。
家族、たとえば親子であったり、夫婦であったりもしくは友人だったり、恋人だったりと登場人物は変われどみんなそれぞれ心に何か思うものがある。
どれもそのあとはどうなる…と気になるのである。
それもちょっと危うい夫婦に友人が絡むものなら尚更、後日譚を想像してしまう…
特に「ホットプレートと震度四」と「さよなら、アクリルたわし」のその後。
サクッと終わらせているのが憎いなぁ…。