井上荒野のレビュー一覧

  • ホットプレートと震度四

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    台所まわりのアイテムにまつわる話を集めた短編集。
    物語としてはややそっけないくらいの長さが、読みやすくてちょうどいい。
    台所用品はどうしても「家庭」の形を連想させる。

    最後の薪ストーブの話が特に好き。

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    2024年10月09日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    生きていくこと

    寝る
    起きる
    食べる
    寝る

    恋を失っても
    人を失っても
    愛を失っても

    寝る
    起きる
    食べる
    寝る

    寝るもんか
    起きるもんか
    食べるもんか

    かち、かち、かち
    時計の針は進んでいく

    失ったことが辛くて
    辛さが和らいでしまうことが寂しくて
    ずっと立ち止まっていたくて
    悲しみの海を潜る
    深く、深く

    それでも眠気やってくる
    目は覚める
    お腹は空く

    蹲る心を嘲笑うかのように
    あるいは
    優しく手を引くように

    陸へ上がる
    また私は生きていく

    寝る
    起きる
    食べる
    寝る

    毎日、毎日

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    2024年10月09日
  • 錠剤F

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    作者については少し知っていたから手に取って読んでみたが、何というかキミの悪い短編集だったとしか言いようがない。

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    2024年10月08日
  • 猛獣ども

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    ネタバレ

    猛獣ども

    著者:井上荒野
    発行:2024年8月8日
    春陽堂
    初出:「WEB新小説」(春陽堂書店)連載

    ある別荘地が舞台。リタイアして永住している人、結婚1年ちょっとで永住している人などがいる。そういう人たちと2人の管理人が中心で、通っているだけの別荘族は話には登場しない。別荘地の下には月見町という町があって、住民はそこに買い物や外食に行き、管理人の一人もそこのアパートに住む。

    ある時、別荘地で男女が熊に襲われて死んだ。第一発見者はリタイア後に永住している住民。管理人は、管理事務所と兼用の建物に住み込みで働いている小松原慎一と、前任者が辞めて新しく東京から転勤になって来たばかりの小林七帆。

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    2024年10月06日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    川上弘美さん、三浦しをんさん、糸井重里さんと好きな作家さんのラインナップに惹かれて手にとった。本のデザイン素敵だなーと思ったら、クラフト・エヴィング商會だった。
    九州の豪華寝台列車「ななつ星」にまつわるお話。寝台列車の旅って憧れがあるけど、なかなかなお値段。それでも抽選になるぐらいだから、きっと素敵なんだろうな。
    途中のイラストも小山薫堂さんの「旅する日本語」も素敵で、眺めているだけでほわっとした気分になった。

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    2024年09月30日
  • 結婚

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    ネタバレ

    題名だけで読み始めたら、まさかの真逆な話。
    短編集なのかと最初の方は思っていて、でも途中から、まとまった話に収束される事を悟り、なんかもうちょっと前半をよく読み込まないと後半分からないなぁと思った。
    何せ、電子書籍で読んでるので、ページを行ったり来たりのコツがよく分かって無くて。
    それにしても、読んで幸せな気持ちにならないし、後味もずっと悪いのに、何か救いはないものなのかと、思わずページをめくってしまった。結局、空虚だけ残り、救われるものは何も無かった。

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    2024年09月24日
  • 猛獣ども

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    終始、不穏な空気に満ちている。

    閑静な別荘地で、ふたりの男女が密会中に熊に襲われ殺された。
    衝撃的な始まりだが、登場人物達は皆、他人事の様に淡々としている。

    管理人の男女と六組の夫婦をランダムに描きながら、愛とは何かを問い掛けられる。

    表面上、上手く取り繕いながらも、心の中では底知れぬ狂気を抱えている人達。
    人でありながら、猛獣の如き猛々しい其々の思いに打ちのめされる。

    なにか特別な事が起きるわけではない、だがこの黒々とした薄気味悪さは井上作品ならでは。

    混沌とした世の中で刹那的に生きる彼等を通して愛の本質を問われる。

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    2024年09月24日
  • 100万分の1回のねこ

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    佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』。インパクトの強い緑色の瞳をしたオスのトラ猫が表紙の絵本です。おそらく子どもの頃にも読んだことがあったと思うんですが内容はほとんど記憶になく、大人になって改めて読んでグッときました。

    1977年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラーであるこの絵本への、13人の作家によるトリビュート短篇集です。

    佐野洋子さんの息子さんで絵本作家の広瀬弦さんや元旦那さまの谷川俊太郎さんも執筆されています。結構著名な作家陣ばかりですが、私は読むのは初めましてな作家さんが多かったですね。

    どういうこと?と理解が追いつかないお話もあれば、ちょっと不思

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    2024年09月16日
  • そこにはいない男たちについて

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    いるけどいない夫(不仲)、いないけどいる夫(未亡人)を持つ二人の女性が主人公。前者の取り返しが付かない家庭内別居状態の描写がリアルだった…どちらが決定的に悪いでもなく。嫌っていたいから別れないでいた=いるけどいないのではなくずっといたじゃないかと思う。なのに、拗れると歩み寄ることは本当に難しい。当て馬にされた浮気相手の男性は可哀想だった。後者は、いないけどいることを受容しながら、いるしいる相手と幸せに生きていけるのだろう。解説の通り「きれいな女の人の前に立った無粋な女の子のような気持ちにさせられる」小説。

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    2024年09月12日
  • ホットプレートと震度四

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    月刊誌の連載から加筆されたもの。味をつくる道具と人というテーマ。そのままタイトルよりポットプレートと震度四の方がいい。
    9つ短編、最後の焚いているんだよ、薪ストーブがよかった。ただ登場人物が少し嫌な感じで…。読むのが億劫になった。文章が軽く文字も少ない本なので読み出せばすぐ読めてしまうけど、行間を味わえない。
    嫌と感じるのは自分の嫌なところを表現されてる裏返し、明日はきっと良い食卓の帯は、まだ登場人物たちはきっとにかけるところということ。
    「きっと」はこの国の今の寂寥感なのかもな。いやなんだ、それは

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    2024年08月30日
  • ホットプレートと震度四

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    微妙な、はっきりしているわけじゃないできごとの違和感や困った感や距離感を描くのがうまいなぁと思う。
    男女のあれこれはあまり興味が持てないため、なんかめんどくさそう…としか思えないのだけど、、
    でも老年期の人間を描いている作品も数あって、これからの私には助かる。

    井上荒野さんは、読む時にちょっと力が要るというか、覚悟がいるというか…、「井上荒野を読むぞ!」と思わないと読めない。
    うかつに手にとってやっぱりうかつだった、となることが多いので、気をつけて慎重に読む作家だ。

    新しく追いかける作家を見つけられて嬉しい。これからも少しずつ読んでいきたい。

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    2024年08月22日
  • そこにはいない男たちについて

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    ネタバレ

    心がざわざわする。結婚をしたけれど夫のことが嫌いで、「いない」ようなものとして生活するまりと、
    夫を突然亡くしてしまい、文字通り夫が「いない」実日子の2人のストーリが軸で進んでいく。

    女だから共感できるのか分からないけど、短い文章で的確に女性の気持ちを表現されていて、ものすごく心がざわざわした。

    だいきらいだったはずの夫から離婚を切り出されて、
    だいきらいだったのではなく、ずっとだいきらいでいたかったのだと気づく場面なんて、、、
    なんだか心当たりがある感情で本当に参る。

    あと、解説にもあったけど、本当に料理のセンスが良くて美味しそうで。
    作中のレシピ公開してほしいです。笑

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    2024年08月11日
  • だりや荘

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    ネタバレ

    んーー、とにかく姉が嫌。
    か弱い格好して妹の夫とできてるあたり、本当嫌。
    言い訳めいた自分の自信のなさとかかえってすごく自分が好きで自分勝手。
    自分が杏だったら姉とも夫とも他人になる。

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    2024年08月05日
  • 注文の多い料理小説集

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    巻頭の柚木麻子「エルゴと不倫鮨」の勢いがいい。エルゴは抱っこ紐。食に対するスタンスは生き方に通じるものがあると思う。だから伊吹有喜「夏も近づく」のように食べることを通じて繋がり合う2人の関係性が描かれた作品もすき。

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    2024年07月31日
  • ホットプレートと震度四

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    ネタバレ

    余裕の短編集という感じ。
    どれも最後にほこっとするけどアクリルたわしのだけが不穏な感じ。短編だから感情移入もそれほどではなく淡々と読み進んだ。

    いろんな男女のいろんな日常。
    リアルでそこかしこに散らばっていそうな日常。

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    2024年07月28日
  • 錠剤F

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    とらえどころのないお話の短編集

    全体に出てくる人が冷静だった。
    結末がきちんとあるようでプツンと終える。
    読みおえて心がすんとするというか表現しがたいぎゅんとするというか。

    必ずあるのは男女の体のつながり。
    今回の井上さんのテーマはそこなのかな?

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    2024年07月27日
  • そこにはいない男たちについて

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    ネタバレ

    公私共にずっと夫と過ごしており、夫が嫌いなまり。
    突然夫が亡くなった料理家の実日子。
    まりが実日子の料理教室に行くことから話ははじまる。

    ひどく食欲を掻き立てられる一冊だった。
    食べたい料理がたくさん。
    イメージが浮かぶような料理なのに、少し手が込んでいるから誰かが作ったこの料理を食べたい気持ち。

    夫が存在しているけど、自分の中ではいないものとして考えているまりと、夫はいなくなってしまったけど、自分の生活の中で夫を感じる機会の多い実日子が対象的に描かれている中、エンディングでは二人の立場がクロスするというのが面白かった。

    解説にある「きれいな大人の女性の前に立った、無粋な女の子のような気

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    2024年07月19日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    ネタバレ

    突然同僚が貸してくれたのですが、そういえば井上荒野さんの作品は読んだことがなかったなと思って、ありがたく読んでみました。

    なんだか不思議なお話でした。SFとかファンタジーという意味ではなくて。なのに、すごく地に足の着いたというか、ちゃんと人生を感じられる小説でした。
    たぶん不思議な感じがしたのは、ストーリーに対する主要人物三人の年齢のせい。東京のとある町でお惣菜屋さんを営む江子と従業員の麻津子、郁子ともに60歳前後のいわゆるおばさんである。それなのに、江子は「きゃはは」と笑い、麻津子はダーリンとうまくいくことを望み、郁子は「いやーん」と色っぽい声をだしたりする。3人とも年齢が年齢だけにこれま

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    2024年07月10日
  • 百合中毒

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    ヨソに女を作って出ていって
    25年も音沙汰無しだったのに、
    ひょっこり戻ってきた夫をノーコメントで受け入れる歌子さん(恋人あり)。

    ガンになって行方をくらます夫を恋人と一緒に追いかける歌子さん。

    愛しいとも憎たらしいとも書かれていないけれども、
    夫の出現によって恋人の存在は希薄になっているように見えるし、『存在する限りは追い続けるだろう、もしかしたら存在しなくなっても追い続けるかもしれない』という記述は気狂いじみていて、執着のようにも見えるけれど、やっぱり愛だと思った。

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    2024年07月03日
  • 猫が見ていた

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    映画「朽ちない桜」つながりで、この作品に。
    短編集の中で、気に入ったのはふたつ。

    ・泣く猫 柚月裕子
     17年音信不通であった母が死んで、真紀は母の住処に訪れる。母の同僚サオリが弔問に訪れる。
    母が大切にしていた猫・マキは母のために泣いたという。

    P.76

    (中略) あっけらかんとした人生じゃなかったと思うよい サオリは俯いたまま、自分のことのように語る。
    「男に夢中になると、ほかが見えなくなっちゃう。男と別れたあと、自分がしでかしたことを後悔する。そんときは、もう男なんかいらないって思うけど、好きなやつができ ると、また突っ走る。そして別れて悔いての繰り返し、心底、自分で自分がいやに

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    2024年07月03日