井上荒野のレビュー一覧

  • あちらにいる鬼

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    井上荒野さんの本を読むのは初めて。
    ふと井上荒野さんの本を読んでみようと思い、あらすじが面白そうだったので手に取った。
    瀬戸内寂聴(と井上光晴)の不倫が下敷きになっているとは全く知らずに読み始めたので、「女性の作家で夫と娘を捨てたことがあるなんて、瀬戸内寂聴みたいだな」と思って読んでいたらその作家が出家すると言い出し、「まさか本当に瀬戸内寂聴?!」とびっくり仰天した。

    「書く」ことによって、ある出来事や事実について、推敲するうちにどんどん主観が込められ、捻じ曲げられてしまうのでは、自分の気付いていなかった気持ちが見えてしまうのでは、とみはるや笙子が考えているのが興味深かった。
    たしかに過去の

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    2024年12月17日
  • ホットプレートと震度四

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    食とモノに関する9つの短編集。ある特定の物を見るたびに、それに纏わる物語を思い出す事は誰にでもあるが、こうやってみると『食』と『モノ』は生きていく上で欠かせない故に、同じものを見ても思うものは人によって全く違ってくるのだなと思う。

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    2024年12月13日
  • 猛獣ども

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    高原の閑静な別荘地で「姦通」していた男女が熊に殺された。別荘地の管理人と6組の定住者に事件がもたらした波紋。一筋縄では行かない愛の姿をたっぷりの毒を含んで描く長編。

    住み込みの男性管理人と不祥事で飛ばされた女性管理人の関係、6組の夫婦の関係が各章で描かれる。妻と夫それぞれの主観による物語が対比され、一見仲良く見える夫婦の間に横たわる深い溝がこれでもかと描かれる。どこにも普通の夫婦なんていない。最後まで不穏な空気に包まれ、男と女の関係は一筋縄ではいかないなと思う。
    互いの胸の内がわからない方が幸せだとしみじみ思う。

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    2024年12月10日
  • だめになった僕

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    現在から過去へ1年前、4年前と少しずつ遡っていく小説はこれまであまり読んだことがなかった。
    綾と涼が互いに相手を想っていながら、それが伝わっていないのがもどかしい感じだった。
    綾のストーカーの正体が最後にはっきりして、今度こそ2人は結ばれるのかなと思わされる終わり方だった。

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    2024年12月06日
  • 猛獣ども

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    夫婦のそれぞれの気持ちが、わかる部分もあったり、なんだこの人って思ってしまう部分もあったりでした。レイカさんの「男と女のことなんて全部間違いみたいなもの」っていう言葉が心に残る。ほんとにそうかも。

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    2024年12月04日
  • 猛獣ども

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    人が関心を抱くのは熊ではない。襲われた人間である。不倫の男女が熊に殺害された別荘地。其処の住民夫婦らが、これまで内に秘めてきた歪で醜い愛の容をリレー形式で暴露。熊をきっかけに話がここまで広がるとは…


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    2024年12月04日
  • 100万分の1回のねこ

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     ご存知の通り、『100万回生きたねこ』(1977)は、佐野洋子さんの絵本です。最後に主人公の猫が死ぬのに、心からよかったーと思える、不思議でとっても深いお話でした。少し哲学的で、大人の方が響くかもしれませんね。本書は、この名著に捧げる13名の錚々たる作家諸氏のアンソロジーです。

     最近読んだ町田康さん、谷川俊太郎さんも書かれていて…、あ、谷川さんは佐野洋子さんと(短期間)ご結婚されていたんですね。また書き下ろしの広瀬弦さんは佐野洋子さんの息子さん!
     なんと不思議な巡り合わせです。当然ながら、全編とも名作絵本への愛と敬意が根底にあり、様々な視点で読ませてくれました。

     各話の冒頭には、作

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    2024年12月02日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    物凄く大きな出来事が起こるわけではないけれど、段々と恐怖のようなものを感じる。
    色んな意味での人の悪さみたいなものを見た気がする。
    タイトルにある「その話は今日はやめておきましょう」という意味が内容にも沿っていて、意味深いと思った。

    老夫婦の家庭に家事手伝いとしてやってきた一樹。
    悪くはないやつだと思うけれど、流されてしまうような。もし、辰夫がいなかったらこのまま良い関係を築けていたんじゃないかなとも思う。
    それが良いかどうかは別にして。

    老夫婦の昌平とゆり子も、異変に気付いてはいつつもその話をしようとしない。まさに「今日はやめておきましょう」感。

    それぞれの立場だった時に、自分だったら

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    2024年11月27日
  • だめになった僕

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    過去に遡っていく おもしろい構成。
    最初の内はなんだか 読みにくいって思ったけど これはこれで おもしろい。
    タイトルの「だめになった僕」正に その通りでピッタリ。
    ちょっとずつ歯車が合わなくなって 最後に僕はだめになって行く。
    すれ違いの2人 不倫の様な気もするのに なぜか純愛という言葉がピッタリする気がしました。
    ドアを開けた先にどんな展開が待ってる?

    逆に過去から読み直してみたくなりました。

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    2024年11月21日
  • だめになった僕

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    もしも私が登場人物の女性だったらどうするかな?と思わず考えてしまう一冊。過去に遡れば遡る程、私ならどうしていたんだろうか、と。

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    2024年11月20日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    贅沢な列車に、贅沢な名前の並ぶ小説

    それぞれの物語がとてもあたたかい気持ちになる

    そこに乗車するそれぞれが
    何らかの思いを一緒に乗せて旅に出る

    誰かを大切に思って
    大切な人を誘って
    願い叶わなかった列車の旅になっても
    「その人を思い出すこと」が供養にもなる

    1話目の
    さよなら、波瑠/井上荒野
    一見、芯もあって強くて…こういう人の気持ちが
    苦しくて苦しくてね
    思わず感情移入、涙が出た

    糸井重里さんの
    「帰るところがあるから、旅人になれる」
    当たり前なんだけど
    そんなふうに考えたことなかったからね
    さすがだな、
    糸井さんの言葉だな、って思った

    静かな気持ちで読めるキレイな本でした

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    2024年11月19日
  • 百合中毒

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    設定がキャッチ―なだけで、登場人物がみな凡庸で、人と人との関係性に距離があり、親子も夫婦もみな遠慮し合っているのがもどかしい。なぜ、思っていることを口にしないの?そこはちゃんと話そうよ、相談しようよ、対話が必要じゃないの?という局面で、誰もが言葉を飲み込んでいる。夫が自分を捨てて他の女に走った段階ではともかく、その後将来を共にしようというパートナーとめぐり逢ったときになぜ夫と離婚しようとしなかったのか、謎。それを要求しなかった(もしくは問いたださなかった)パートナーの蓬田も謎。夫の病気のことをなぜ娘たちに話せない? 人と人との心理的距離があってそれが縮まらないのと、読者と作品の距離が縮まらない

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    2024年11月18日
  • だめになった僕

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    ペンションを経営しながらwebで漫画も描いている音村綾と、彼女が密かに思いを抱き続ける画家の祥川涼の、16年に及ぶ恋愛劇。とはいえ、2人の間には好意以上のものはなく、ずっとすれ違い続けているような関係である。
    面白いのは構成で、現在から少しずつ時を遡り、16年前まで辿り着いた後再び現在に戻ってくる。そして1章が2人の視点で別々に描かれている。
    ある時点で伏せられていたことが徐々に明らかになるのは興味深いが、序盤以外は特に何が起きるわけでもなくて少々退屈する。ミスリードも仕掛けられているけれど弱い。

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    2024年11月02日
  • 猛獣ども

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    この小説がしょうもないと言うより、人間ってどうしようもないなと言う所が本当によく描けていて、読んで深く納得しましたが、かと言って読んで学ぶ所は何もなかったから、読んでも読まなくてもどっちでも良かった。

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    2024年10月28日
  • 錠剤F

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    短編10編。どれをとっても不穏な空気に包まれたゾクッとするはなし。でも読んでいるわたし自身も話の核心は見えていないかもしれない。

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    2024年10月27日
  • 猛獣ども

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    ネタバレ

    読んで感想を書いたつもりだったが、上がっていなかったので備忘録として書き留めておこうと思う。
    殺された男女は実はクマに殺されたのではなかったという結末になるのではないかと最後まで読み進めたが、その事実は変わらなかった。
    別荘地の管理人や別荘地に住む人々の外面と内面が細かく表現されていて、人間観察の観点からは面白く読めた。
    物語としては感動はないが、悪い意味でなく淡々と綴られている印象だった。

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    2024年10月18日
  • 綴られる愛人

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    事実を偽ったまま、文通をする二人の男女。女性は男性に夫への殺人を教唆する。果たして男性は恋心を抱く見知らぬ女性のために、殺人を実行するのか?
    登場人物がみな、自分のことしか考えない身勝手な人たちで、感情移入できる人が誰もいなかった。
    そこがこの小説の歪さ、気持ち悪さを作り出していて、独特の余韻が残った。

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    2024年10月14日
  • ホットプレートと震度四

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    台所まわりのアイテムにまつわる話を集めた短編集。
    物語としてはややそっけないくらいの長さが、読みやすくてちょうどいい。
    台所用品はどうしても「家庭」の形を連想させる。

    最後の薪ストーブの話が特に好き。

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    2024年10月09日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    生きていくこと

    寝る
    起きる
    食べる
    寝る

    恋を失っても
    人を失っても
    愛を失っても

    寝る
    起きる
    食べる
    寝る

    寝るもんか
    起きるもんか
    食べるもんか

    かち、かち、かち
    時計の針は進んでいく

    失ったことが辛くて
    辛さが和らいでしまうことが寂しくて
    ずっと立ち止まっていたくて
    悲しみの海を潜る
    深く、深く

    それでも眠気やってくる
    目は覚める
    お腹は空く

    蹲る心を嘲笑うかのように
    あるいは
    優しく手を引くように

    陸へ上がる
    また私は生きていく

    寝る
    起きる
    食べる
    寝る

    毎日、毎日

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    2024年10月09日
  • 錠剤F

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    作者については少し知っていたから手に取って読んでみたが、何というかキミの悪い短編集だったとしか言いようがない。

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    2024年10月08日