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Posted by ブクログ
東京在住35歳の人気女性作家は、夫の暴力に怯える28歳の専業主婦『凛子』に、
富山に住む21歳の三流大学に通う学生は、貿易関係の会社に勤める35歳のエリートサラリーマン『クモオ』に。
お互いの素性を偽り「綴り人の会」という文通コミュニティを通して、手紙のやり取りをする。
手紙は月に2回、綴りの会を介し、それぞれの自宅へ送られる。
こちらから出した手紙はすぐには届かないし、相手からの返事もすぐには来ない。すぐに来ないどころか、返事をくれるのかさえ分からない。
待っている間に想いが募り、相手の返事を待たずにこちらからまた出してしまう。そうやって、手紙の上での恋愛は、待ってる時間にどんどん狂おしくなっていく。
初めて読んだ作家だが、とても面白いなと思った。
クモオの人としての浅さの描写がリアルで秀逸だった。21歳ってこんなに馬鹿なんだろうか。わたしもその頃はこんなに愚かだったのだろうかと考える。
凛子はクモオに、自分との愛を成就させるためにDV夫を殺してくれと頼む。夫が生きている限り、わたしはあなたと会うことすらできない。
ここから更にクモオの浅はかさが加速する。呆れながらも、彼から目が離せない自分がいる。
肉体が伴わない恋は美しい。言葉だけが作り上げる愛の形は、ほぼ完ぺきな形状をしている。問題は寿命が短いということ。
実体がなければそこに悦びはない。
霞を食べて生きていけるのは仙人だけだ。
これをよんで、文通っていいなと思ったのは、わたしだけじゃないはずだ。綴り人の会のようなそんなコミュニティが存在するのかと、ネットっで検索した人もおそらくいるだろう。
そんな気持ちにさせる話だった。
Posted by ブクログ
双方自分の経歴を偽って始めた文通。女は下にサバを読み、男は上にサバを読む。本当は35歳と21歳なのに、手紙の中のふたりは28歳と35歳。
20歳そこそこの学生にエリートサラリーマンの中身を伴った手紙など書けるはずもなく、女は最初から彼の嘘を見抜いている。しかし男は浅はかで、偽りの自分の姿に酔い、自分と彼女は相思相愛であると思い込む。会ったこともない相手なのに。
終盤まではどちらにもイライラします。女に妄想を掻き立てられている男のことが馬鹿っぽく見えるし、そんな彼に嘘をついて都合よく利用しようとしている女が怖い。美人売れっ子作家の彼女に対する私の嫉妬も多分に含まれています。ふたりが初めて会ったときの、彼女の容姿への彼の感想を読んで安心する私が居るのでした(笑)。
自分を偽りながら手紙を書くふたりの心理描写が上手い。彼は手紙を書く技術を磨けただろうかなんてことを考える。手紙だけで燃え上がる恋ももしかしたらあるのかもしれないけれど、嘘で塗り固めた手紙なら、きっとどちらかは冷めている。破綻の道へしか進まない。
Posted by ブクログ
*夫に支配される人気作家・柚。先が見えない三流大学三回生の航大。二人はひょんなことから「綴り人の会」というサイトを介して、文通をはじめる。柚は「夫にDVを受けている専業主婦」を装い、航大は「エリート商社マン」だと偽って―。便箋の上に書かれた偽りが、いつしか真実を孕んで、二人をくるわせていく。掻き立てられた情動が、やがて越えてはならない一線を踏み越えさせて…。緊迫の恋愛サスペンス! *
うわー、捻じれてるな・・・!全員、いい感じに捻じれてる。手紙を小道具に使ってのその描写が、とにかく巧い。
いつこの嘘がバレるんだろう?どうやって収拾がつくんだろう?とドキドキハラハラしっぱなしでした。
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