あらすじ
著者23年ぶりの書き下ろし長篇恋愛小説。
綾「私は初めて会った16年前から涼さんを愛し続けている」。涼「僕にかかわった者は、みんな死んでしまう。女も男も。僕が綾を愛しすぎているせいで」――
音村綾(旧姓・上里)は30代半ば。現在は信州でペンション経営兼漫画家として活躍。夫・子ども・母と4人で暮している。
祥川涼。画家。40代後半。妻を失い、その後同棲していた女性とも別れ、現在は酒浸りの日々を送っている。
冒頭の「現在」では、綾のコミック発売記念サイン会のシーンの衝撃的事件から始まり、「1年前」「4年前」「8年前」「10年前」「12年前」「14年前」、そして二人が出会った「16年前」へと時をさかのぼり「現在」に戻る。謎とサスペンス、そしてストーカー小説の雰囲気も交えた〈究極の恋愛小説〉である。
この作品は、2001年に刊行された『もう切るわ』以来、23年ぶりの「書き下ろし」長篇!
(底本 2024年10月発行作品)
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Posted by ブクログ
大好きな作家の一人である井上荒野の23年ぶりの新作恋愛小説。
もの哀しくて美しくて一気に読むことが出来た。
物語は現在から少しずつ過去に戻っていく。
主人公の音村綾が、14歳年上の祥川涼と、どのような出会い方をしたのかに、向かって。
現在はサイン会を開くまでになった
漫画家の綾とアルコール依存症になってしまい幻覚の末、サイン会で綾をキャンバスバッグで殴ってしまう涼。
めちゃくちゃなのに涼は、とても魅力的だ。
こんな恋愛をしてしまうと現在、どんな生活をしていても絶対に相手のことを忘れずに生きていくことは不可能なんじゃないかと思ってしまう。
僕にかかわった者たちはみんな死んでしまう。女も男もー。
涼の言葉だ。
物語が終わったら、また最初から読み直すことだろう本書。
Posted by ブクログ
会うこともなく結婚しているのにも関わらず10年以上想い続けられるのはすごいと思った。選ぶ相手が悪すぎる。見る目がなさすぎる。いくら配偶者とはいえ、一度きりの人生で変なやつと一緒にいるよりも、さっさと別れて惹かれる方にいけばよかったのにと思う。
Posted by ブクログ
だめになった、じゃなく最初からダメなんじゃ…笑
と思いながら一気読み。
登場人物がみんなもっと掘り下げて欲しいくらい魅力的に見えました。
恋愛小説はあまり読まないけれど、こういうのは歓迎。
ここでは評価低めだけど、私は結構好きです。
Posted by ブクログ
あー評価に迷う作品だなぁ。
でも嫌いではなかったな。これくらいの長さなら読めるくらいのダーク加減でした。
病んだ人が病む人を生むループからの脱却と、愛と執着の境目はどこにあるのか、それは結局相手が向いてくれるかどうかの違いなだけなのか?
なんて答えのないことを考えさせられる作品。
一つ一つの事象はセーフかアウトかは明確だけど、矢印が一つ違えば許されるか許されないかはまた違うんだろうな。
全体通してうっすらと、夫はモラハラストーカー気質、不倫相手はメンタルやられてるけど愛のある人、が漂っているから、最後の結末は私には光に見えました。
2025.2.18
38
Posted by ブクログ
時を遡って行くパターン
現在ペンション経営の傍らまんがを描く綾は学生時代に妻のある涼に恋をした
優しい夫と子どもがいながらその恋を引きずっている綾が悪いのか、妻とうまくいかず綾に惹かれた涼が悪いのか、妻の気持ちより自分の気持ちで生きる夫が悪いのか
不穏な空気感と始まりを知りたくて読み進めたけどラストは読者の想像に任せられた
Posted by ブクログ
書き方によってはドロドロになってしまいそうな関係だけどさすが井上荒野氏。
今から始まって過去へ戻っていく時系列で書くことでスレ違いばかりの今から二人の思いが重なり合った出会いへとストーリーが進んでいく。
チーズの名前を覚えられず、お互いを好ましく思い笑っていただけの16年前からなぜこんなところにたどり着いてしまったのだろうか。
たぶん今後も結ばれない二人。
Posted by ブクログ
ドラマになりそう…
現在から過去にさかのぼって話は進んでゆき、人間模様もイメージも読めば読むほど変わっていく
読みやすく面白かった
藍子が一番かわいそうだったかな
Posted by ブクログ
タイトル、特に「僕」がしっくりくる。
16年間の純愛物語なのだ。
時間のプロットの組み立てによっては、ドロドロ感を醸し出すのに、この章立てで見事に2人の純粋ぶりが際立っている。
著者の作品いろいろ読んできたけど、いちばん好きかも。
Posted by ブクログ
こういう状況、実際あったら面白くないが、フィクションだからか面白く読めてしまう不思議。
アプローチを続けていた女性(綾)が自分と結婚して子どもまでできて、幸せだろう夫(音村)の立場からしたらやりきれないだろう。
綾の心は自分ではなく、誰か別の人に向いている。挙句、綾の仕事は社会的にも認められてきているとなれば、立場を無くしたように思うだろう。音村のことは全然好きになれない(むしろ嫌い)だが、何故か同情しながら読んでいた。
一方、綾にはあまり感情が湧かず。本当に好きだった人には奥さんがいて、自分は流されるように音村と結婚した。現実は思い通りにいかないし、本当に好きな人と結婚せず、別の人と結婚しても良い人生が待っているかもしれないし、綾の選択に文句を言う気はないのだが、やはり音村にとっては残酷だろうな…(また音村目線になってしまった)
そして、一番おいおい何やってんだこいつは!と思ったのは祥川。こいつにいたっては、奥さんがいるのに若い女性(綾)に魅かれ、その後綾のストーカーみたいな存在となり、綾を脅かすように…
何か最後綺麗にまとめられてるけど、この人、病気だからね。もう綾も関わらない方が良いと思う。けど、どこか魅力のある人だというのは分かる。分かってしまうんだよね。
綾の家庭、この後どうなっちゃうんだろうね…
Posted by ブクログ
想いを寄せ合いながらも別々の道を歩んできた2人の物語。
小さなすれ違いがどうしようもなく大きなズレになっていく様子に気持ちが重くなるのだけど、現在から2人が出会った十六年前までを遡っていくという構成がとても面白くてぐんぐんとページを捲った。
最後、頭の中でパチンとパズルがはまる音がした。
愛と憎悪は紙一重だな、なんて柄にもないことを思いながら余韻に浸ってる。
Posted by ブクログ
井上荒野さんが描く恋愛小説というだけで一筋縄ではいかない事は予想がつく。
案の定、切なさとやるせなさで胸が痛んだ。
音村綾と祥川涼。
互いに想いを寄せながら別の道を歩んで来た二人のラブストーリー。
物語は現在から始まり、一年前、四年前、八年前、十年前、十二年前、十四年前、そして二人が出会った十六年前までへと遡りラストで再び現在へ戻る。
もし、どこかのタイミングで、何か一つでもきっかけがあれば、違った人生を送れただろう。
過ぎ去った時間を巻き戻すことは出来ないけれど、ソウルメイトのような二人の幸せな未来を祈りたくなる。
Posted by ブクログ
最後の続きが読みたくなる余韻でした。好きなんだけど結ばれないなかでどんどんお互い自分を見失ってしまったんだろうな。やっぱり大好きな人と結ばれるのが幸せに過ごせるのでいいよね。。。
Posted by ブクログ
誰ひとり共感できる人がいなくて、読み進めるほどに話が過去に遡っていっても綾と涼の純愛のズレについていけなかった。誰も幸せになっていないし、身勝手な思いにやるせなく。夫も最悪だったなぁ。ダメなのは誰なんだろう。
文章がとても読みやすかっただけに、とても残念。
Posted by ブクログ
*綾「私は初めて会った16年前から涼さんを愛し続けている」。涼「僕にかかわった者は、みんな死んでしまう。女も男も。僕が綾を愛しすぎているせいで」――
音村綾(旧姓・上里)は30代半ば。現在は信州でペンション経営兼漫画家として活躍。夫・子ども・母と四人で暮している。
祥川涼。画家。40代後半。妻を失い、その後同棲していた女性とも別れ、現在は酒浸りの日々を送っている。
冒頭の「現在」では、綾のコミック発売記念サイン会のシーンの衝撃的事件から始まり、「1年前」「4年前」「8年前」「10年前」「12年前」「14年前」、そして二人が出会った「16年前」へと時をさかのぼり「現在」に戻る。謎とサスペンス、そしてストーカー小説の雰囲気も交えた〈究極の恋愛小説〉である*
不思議な読後感の物語。
愛を貫くのも愛を温めるのも難しいな…
Posted by ブクログ
現在は長野で夫とペンション経営をしながら漫画家として名の通った音村綾がヒロインの恋愛小説。ストーリーは現在から1年前、4年前、8年前と遡って行く。その間に綴られる恋人の祥川涼との関係が切なかった。
Posted by ブクログ
現在から過去へ1年前、4年前と少しずつ遡っていく小説はこれまであまり読んだことがなかった。
綾と涼が互いに相手を想っていながら、それが伝わっていないのがもどかしい感じだった。
綾のストーカーの正体が最後にはっきりして、今度こそ2人は結ばれるのかなと思わされる終わり方だった。
Posted by ブクログ
過去に遡っていく おもしろい構成。
最初の内はなんだか 読みにくいって思ったけど これはこれで おもしろい。
タイトルの「だめになった僕」正に その通りでピッタリ。
ちょっとずつ歯車が合わなくなって 最後に僕はだめになって行く。
すれ違いの2人 不倫の様な気もするのに なぜか純愛という言葉がピッタリする気がしました。
ドアを開けた先にどんな展開が待ってる?
逆に過去から読み直してみたくなりました。