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結婚願望を捨てきれない女、現状に満足しない女に巧みに入り込む結婚詐欺師・古海。だが、彼の心にも埋められない闇があった……父・井上光晴の同名小説にオマージュを捧げる長編小説。
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Posted by ブクログ
結婚詐欺と、結婚詐欺に引っかかった人、結婚詐欺にひっかかった人とちょっと関わった人、が出てくる。なんでそんな簡単に騙されちゃうかなと思いつつ、心に隙間があると「運命」に夢を見ちゃう気持ちも理解できる。
タイトルはシンプルに「結婚」。結婚詐欺師の男、騙される女たち、その近辺にいる男女たちが順に語り手となって話が進む。 私も昔はこんな男に騙されるわけがないと思っていた。でも今は、いいや気づかぬうちに騙されてしまうことがある、と分かるようになってしまった。スマートで母性本能をくすぐるのが上手で何せ女...続きを読むを喜ばせるのが上手い男の、ちょっとした人間臭さや至らなさ。そうしたところが彼の計算外のタイミングでふと漏れる瞬間。その瞬間に、それまでいくらかあった半信半疑な気持ちに目を瞑ってしまうようになるんだよなぁ。あと、自分が騙されたという事実を認めること、それを他人に知られることで自尊心が傷つけられるのが怖い気持ちが、もはや必死に彼へとのめり込ませるのだと思う。 説明しすぎない描写により想像力を掻き立てられるがゆえにそっと背筋が寒くなるところもあり、余韻の残る作品だった。
結婚を匂わせ金銭を預けた途端に消えた宝石鑑定士、さまざまな立場の女、待ち続け、絶望する女。だが彼女だけは探し続け、彼の相棒にたどり着く…。 結婚の解釈は、人それぞれにあり、いずれも正しいんだろう。ただ、その先にあるものは、闇なのか?それとも……。
うーん、一気に読んだけど、率直な感想は思わせぶりで語り足りなくて物足りない、かな。まるで「潤一」の姉妹編みたいな作品で、井上荒野の追いかけるテーマは男女の機微のこの辺にあるんだろうな、とは感じつつ、不完全燃焼。と言うか、このテーマに関して深く考えるのが嫌なのかも知れない。結局自分自信を掘り下げる事に...続きを読むなるからなあ。
なんの予備知識もなく読み始めたので、次の章でもまた次の章でも被害者の話っていうのに笑ってしまった。(連作であることにそこではじめて気づいた。) でも最後はどうなるのかわからず、古海が最後に出かけた先は、やっぱり「客」のもとなのだろうか。 脳内キャストは玉木宏だったけど、ディーンフジオカで映画化された...続きを読むんだね。 原作よりかっこいい(っていうか、原作では小柄という設定だけど、小柄な結婚詐欺師ってピンとこない)。
題材は結婚詐欺だけれど、井上さんらしい苦さのある作品です。騙している方があぶく銭を稼いで楽しくやっていて、騙された被害者だけが悲しいとかそういう単純な話ではないです。 登場人物全員が決して幸せには見えない、つまりは生きるとはこういう事だと感じる。 結婚詐欺師である古海の章や相棒の千石るり子の章で作品...続きを読むに深みがわく。 本当はどうしたいのかわからないままに流されてしまうのが人間なのかもしれない。
結婚詐欺している男全員には言えないけれど、 この男はこの男で消耗しているのかな、と感じた。 あとは、若さを失った女の人たちの孤独。 現状を今以上のものに変えたいと思っていて、なんなら誰かに変えて欲しいと思っていて、その脆さ。
ディーンフジオカ主演で映画公開中。観るかどうか迷って先に原作を。 目次に並ぶ10名の女性の名前と職業と地名に、すべて結婚詐欺に遭った女性視点で描かれているのかと思えば、視点はさまざま。詐欺師本人やその片棒を担ぐ女性、詐欺師の妻まで登場します。 被害者は揃いも揃って騙されたことを認めたくない。逃げ...続きを読むられたと思えずに執拗に探したり、そうでない人はなかったことにしようとしたり。 「男と不動産は似ている」。直感で最善の物件を選んだつもりでも、失敗するときには失敗する。いや、これって男に限らないでしょう(笑)。悪いのは女か男か。
結婚詐欺師とだまされた女たちの物語。 結婚詐欺師はひとり、女はそれぞれ詐欺師に夢を与えられ、その夢を叶えるために男を援助する。 そして、いつか、おとこはいなくなる。 その繰り返しではあるが、騙した詐欺師にも、騙された女たちにも、その後の生活が続いている。 そして物語も、そのまま続いている。 女たち...続きを読むの共通点はひとつ、同じ男に騙されたということだけ。 その一点をキーに物語は続いていくが、だれがどんな風に騙されて、いま彼女はどんな生活をしているのか? そして、騙された女の後にも、新しく騙される女の生活が続いていく。 読み進めていくにしたがって、いま誰の話を読んでいるのか、よくわからなくなっていってしまった。 しかし、それが現実に起きることなんだろうな。
題名だけで読み始めたら、まさかの真逆な話。 短編集なのかと最初の方は思っていて、でも途中から、まとまった話に収束される事を悟り、なんかもうちょっと前半をよく読み込まないと後半分からないなぁと思った。 何せ、電子書籍で読んでるので、ページを行ったり来たりのコツがよく分かって無くて。 それにしても、読ん...続きを読むで幸せな気持ちにならないし、後味もずっと悪いのに、何か救いはないものなのかと、思わずページをめくってしまった。結局、空虚だけ残り、救われるものは何も無かった。
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