井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
月刊誌『なごみ』の連載「味を作る道具と人」(2021年9月~2022年4月)をもとに加筆修正された9つの短編集です。
考えてみれば、台所やリビングに当たり前のようにあるものにも、一つ一つ物語がありますね。今、私の目の前にあるマグカップにも思い出があります。
ゼリー型をみつけて過去に想いを馳せ、前を向くことができた母親の気持ちがうまく表現された「今年のゼリーモールド」
コーヒーサーバーを持って小さな冒険をしたチルが、なんとも愛らしく感じた「コーヒーサーバーの冒険」
母が水餃子を作っていたテーブルが、ちゃんと受け継がれたことに、ほっとした「水餃子のテーブル」
4人で囲んだホットプレートのお好み焼きの味が妙に気になった「ホットプレートと震度四」
人間は生きていかなきゃと、励まされた「炊いてるんだよ、薪ストーブ」
私のお気に入りはこの五つの短編です。
他、「ピザカッターは笑う」「あのときの鉄鍋」「錆び釘探し」「さよなら、アクリルたわし」
大沼ショージさんの写真は、モノクロなのに、食べ物がとても美味しそうに見えました。
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Posted by ブクログ
表紙の不穏なイメージとは違い、
日常的な描写が細かく丁寧で分かりやすかった。
主人公の老夫婦が日常感じている細かな心情描写など、ストーリーに大きな展開はないけれど、昨今頻発している闇バイトなどを考えると実際にもありそうな展開で続きが気になり読み進められた。
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主人公は、ゆり子60代と昌平70代の老夫婦。
昌平の誘いで始めたクロスバイク。
ある日、その夫がクロスバイクで事故になってから日常が変わってくる。
病院で出会った若者の一樹。
定職についておらず、バイト先をクビになったばかり。老夫婦も手が足りず困っていたので、週に一度自宅に手伝いに来て貰うことに…。
いい子だと信用していた一樹に変化が。
生まれ持った環境、些細な価値観の違いで同じことでも良くも悪くもなるなと思った。
感謝の気持ちで渡したお金も、受け取り手にとっては嬉しくない時もある。
年齢的なものの考え方、価値観のギャップなど
客観的にみるとどちらも分かるなと思った。
一樹が悪人になりきれなかったのが救いかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこういう状況、実際あったら面白くないが、フィクションだからか面白く読めてしまう不思議。
アプローチを続けていた女性(綾)が自分と結婚して子どもまでできて、幸せだろう夫(音村)の立場からしたらやりきれないだろう。
綾の心は自分ではなく、誰か別の人に向いている。挙句、綾の仕事は社会的にも認められてきているとなれば、立場を無くしたように思うだろう。音村のことは全然好きになれない(むしろ嫌い)だが、何故か同情しながら読んでいた。
一方、綾にはあまり感情が湧かず。本当に好きだった人には奥さんがいて、自分は流されるように音村と結婚した。現実は思い通りにいかないし、本当に好きな人と結婚せず、別の人と結婚しても良い人生が待っているかもしれないし、綾の選択に文句を言う気はないのだが、やはり音村にとっては残酷だろうな…(また音村目線になってしまった)
そして、一番おいおい何やってんだこいつは!と思ったのは祥川。こいつにいたっては、奥さんがいるのに若い女性(綾)に魅かれ、その後綾のストーカーみたいな存在となり、綾を脅かすように…
何か最後綺麗にまとめられてるけど、この人、病気だからね。もう綾も関わらない方が良いと思う。けど、どこか魅力のある人だというのは分かる。分かってしまうんだよね。
綾の家庭、この後どうなっちゃうんだろうね…