井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アンソロジーは「名前も作品も初めて知った」作家のほうが断然面白く感じる。この本では坂井希久子『色にいでにけり』がそれで、普段読まない時代ものだがとても面白かった。主人公の境遇と芯に持つ矜持、江戸の色名と和菓子の描写が実に生き生き、しみじみと描かれていて、このシリーズが読みたくなった。
他は伊吹有喜『夏も近づく』、深緑野分『福神漬』も滋味があってよかった。井上荒野『好好軒の犬』はラストが上手い。柚木麻子『エルゴと不倫鮨』はトップバッターとして勢いがあり好印象。柴田よしき『どっしりふわふわ』はラストが安直な気がしたのと、中村航『味のわからない男』は好みが合わなかった。 -
Posted by ブクログ
『照子と瑠衣』を読んで、その中に登場するおばあちゃんがお茶目でパワフルでかわいいと思ったのだけど、その静子さんのお話があると知り、この本を手に取った。
『照子と瑠衣』で感じた印象通り、おっとりした雰囲気と、イタズラ好きな性格を併せ持っている。
奔放さと堅実さ、相反するように思える二つの性格を同居させており、不思議な魅力を醸し出している。
通っているフィットネスクラブに貼られている細かすぎる注意喚起の言葉に、「ばかみたい」と感じており、ある日その貼り紙に「ばか?」と書いた小さな付箋を貼り付けるエピソードは痛快で、笑ってしまう。
そんな飄々としている静子さんも、かつては夫の浮気に悩んだり、家族