井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
60代後半の三人の女性たち、惣菜屋「ここ屋」を営む女性たちの話の続編である。
私の場合、このまま行ったらあと数十年して、定年退職後の年齢であるが、
定年退職がない仕事の場合、どうだろう。
女性としての人生、生き方として、前向き。
立ち退きの話のときに考える引き際。定年退職等と決まっていないならば、引き際は、自分で決めたいなぁと思う。
そして、井上荒野さんの作品を読むのは3冊目であるが、どれを読んでも、おいしそう。今回は、目次を読んだら、お腹すく…
前向きに、明るく、充実した生き方がとてもすてきだなぁと思う。ところどころ、滑稽にも思える失敗があったりするのも現実。そこがまたいい。 -
Posted by ブクログ
美味しいお惣菜のお店「ここ家」の三人に再び会えました。前作から月日が流れて、別れや新しい出会いがありました。一見いい人に見えるけど···という男性の出現、そして若い女性が修行にきたりと、新たな登場人物が個性的でした。
三人それぞれ悩みがあり、それを自分の胸に納めるか、皆に話すかを逡巡する様子が、この小説を身近に感じられるひとつかもしれないです。
そんななかで毎日作るお総菜が本当に美味しそうで、「ここ家」の料理本を出して欲しいくらいです。
色々ありましたが、この先の「ここ家」が楽しみな終わりかたでした。読後感はスッキリでした。リターンズを読んだばかりなのに、またこの先が楽しみになりました。
〈目次〉
キャベツ炒め再び
薄っぺらくて甘い卵焼き
金柑のタルト
苺のタルト
うどんすき
菜の花のペペロンチーノ
金時豆とチョリソー煮込み
鹿肉の缶詰
ズッキーニのソテー
ギスの唐揚げ -
Posted by ブクログ
ドキドキしたーしかも嫌なドキドキ。祈るような気持ちで最悪なことが起きないでくれと読んでいた。
夫婦間の、あれ言わなきゃ、相談しなきゃ、でも今じゃなくていいか、今じゃないか、で後回しにしてしまうこと、まさにタイトルのような場面はあったりする。特に、相手を不快にさせるかもしれない、自分の知らない相手のネガティブな面を暴いてしまうかもしれないようなセンシティブなものもあったりする。むしろ、それによって自分がどういう人間と思われてしまう、そう思われることが嫌だなぁと感じることもある。で、黙る。言わない。でも態度には出てしまう。相手は黙っていることを察する。で、違う想像をする。ボタンのかけ違いが、ヒリヒリ、ドキドキさせた。
すごくいい作品なんだけど、もう一度似たような作品を読みたいかと言われれば、チキンな私は読めないので、星一つ減らしてしまった。作者さんに申し訳ない。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「潮時(しおどき)」という言葉を、やめ時、そろそろ引き上げる時、みたいな意味に思っている人が多いようだけど、それはどちらかというとマイナスの方の意味で。
良い潮の流れが来た時、船出のチャンス、という前向きな意味もあるのだ。
・江子(こうこ)66歳。元夫の白山(しろやま)が急逝して二年
・麻津子(まつこ)65歳。夫・旬(しゅん)と五年前に結婚
・郁子(いくこ)67歳。「ここ家」で働くようになって五年
三人で営むお惣菜屋の「ここ家」が入っている建物「スーパー文殊」の老朽化による立ち退き問題が持ち上がる。
古い建物ゆえの破格の賃貸料だった。この場所が無くなれば、「ここ家」は存続の危機である。
反対運動をけしかけてくる常連客たちにはそれぞれ思惑があって、いやに前のめり。
三人それぞれ、秘めた気持ちや出来事もある。
一時は恋人を取り合った親友との和解
「結婚四年目の危機」説への不安
夫と息子に先立たれた寂しさ
それにしても・・・華麗な加齢臭がしそうなジェントルマン勅使河原善次(てしがわら ぜんじ)は、最高の道化役だった
神出鬼没、その実はストーカーまがいの待ち伏せ。
立ち退き反対運動に熱心に力を貸しているポーズを取るのは、自分は頼りになる人間だとアピールして気を引くため?
そのくせ、自分が勝手に発注した看板の加工費用を、僕が立て替えましたからと請求するあたり、セコさが透けている。
麻津子に体当たりしたのは、反対意見を口にしたからではなく、既婚者に用はないから?
肘を差し出して腕を組もうとする・・・それがジェントルマンだと思っているのでしょうねぇ〜
大家さんの奥さんの、「とても良い人で、博識で、英語とドイツ語が堪能。うちでは『先生』と呼んでいる」というピカピカの評価が、次々と塗り替えられていく描写がさすがである。
進と姫薇々(きらら)も神出鬼没だった。
姫薇々の事情は、今期のドラマ的にタイムリーである。しかし、これは極め付けにひどい。
進はまあ・・・かわいらしいものだ。
がんばれ若者たち!
60代の女たちも、「良い潮時」を迎えての新しい出発、がんばれ! -
Posted by ブクログ
5人の小説家の短編と、2人のクリエイティブディレクターのアンソロジー
テーマは九州の特別列車「ななつ星」に乗り込む乗客の物語だ
列車はたくさんの人を一度に運ぶけど、乗客の一人一人はそれぞれ特別な想いを持って列車に乗り込む
5人の作家さんが寄せたとても短い物語には人生という長い長い想いが乗っていることに気が付く
恩田陸さんの「お姉さん」が仕組んだ、複雑で切ない物語も時間の長さと、生きようとする想いの深さが音楽に乗ってやってくる
個人的には小山薫堂氏の言葉が圧巻だった
人から人へ繋ぐ想いが言葉となって、香り高く温かみを持って伝わってくる
「共感」という到達点はその気持ちを理解しようとする意識の量が必要だと思う
秋のコーヒータイムに金木犀の香りを感じながら読みたい一冊