井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み終えて、うわ、結局戻ってこないしやっぱり死んでいたんかい!と独りごちてしまった。
だって、これだけ色んな人の心をざわめかせて時も経ってで…何となく彼女の「その後」の人生が書かれるんじゃないかって思ってしまっていたから。
でも現実はあっけなく、彼女は事故に遭って帰らぬ人になっていた。
彼女は実はどこか遠くの地で暮らしていて、もう別の生活を持っているんじゃないかと思っていたが、そういう話だったらよくあるし、かえって陳腐か。
捨てられた娘が一番の被害者である。成長するにつれ、母親不在の理由を直接は告げられなくともどこかから聞いてしまったんだろう。
彼女が自ら保護した犬の元飼い主の家へ乗り込み、 -
Posted by ブクログ
ネタバレテレビやsnsで著名人のセクハラに関する報道があとをたたないがきっと月島のような感覚なんだろうなと思った。
被害を受けた側と被害を与えた側が存在するわけだが、後者はその行動に変な意味はなく相手を思うからこその行為だったと心の底から考えている。
でも前者は間違いなくそんなものだとは思えない。
だからこそハラスメントなのだろう。
この本を読んでいて暗い気持ちになったし、私は今後かのような事件がなくなることはないようにも感じてしまった。
それは月島のような人物だけではなく、被害者をSNSやリアルな場で言葉の暴力を浴びせる人が一定数必ずいて、それが月島を肯定するから。
なんだかこの構造はどん -
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料理にまつわる短編のアンソロジー。
小洒落た創作寿司屋、土鍋ご飯、金平糖、蕗の薹(ふきのとう)、パン…。
どれも美味しそうで、お腹がすいてくる本だ
★5が2本
★4が2本
★3が3本
やはり大好き作家さんのは面白かった!
男たちの下心が渦巻く隠れ家的な高級寿司屋。
男たちが落としたい女性にお寿司のウンチクをスマートに披露している場面に、唐突にのしのしと現れたのは…。
乳児を抱っこ紐で抱え、母乳で汚れたカットソーにスウェットを履いた体格良い中年女性。
ドスンとマザーズバッグを置き、ツウなお料理を野太い声で次々と注文し始める。
お母ちゃんに支配されていく店内の様子が痛快!
このストーリーは柚木麻 -
Posted by ブクログ
あー評価に迷う作品だなぁ。
でも嫌いではなかったな。これくらいの長さなら読めるくらいのダーク加減でした。
病んだ人が病む人を生むループからの脱却と、愛と執着の境目はどこにあるのか、それは結局相手が向いてくれるかどうかの違いなだけなのか?
なんて答えのないことを考えさせられる作品。
一つ一つの事象はセーフかアウトかは明確だけど、矢印が一つ違えば許されるか許されないかはまた違うんだろうな。
全体通してうっすらと、夫はモラハラストーカー気質、不倫相手はメンタルやられてるけど愛のある人、が漂っているから、最後の結末は私には光に見えました。
2025.2.18
38 -
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*「姦通」していた男女が熊に殺された—。 閑静な別荘地で起きた事件は、愛に傷ついた管理人の男女と、6組の夫婦に何をもたらしたのか。 愛の行方の複雑さを描く傑作長編!*
このヒタヒタと静かに迫り来る不穏さ!さすがです。
正しく幸せで美しく眩い幸福感だけで成り立っているわけではない、円熟した大人の愛。
己の狡さや暗さも十分に自覚した上で、空虚さと歪さと仮面の笑顔を重ねる日常。
その絶妙な描写が本当にお上手です。
これは、若い方にはまだちょっとわからないかな…笑
何か大きな展開があるわけではありませんが、じわじわくる独特の読後感がクセになりそうです。
装丁も題名も秀逸です。 -
Posted by ブクログ
月刊誌『なごみ』の連載「味を作る道具と人」(2021年9月~2022年4月)をもとに加筆修正された9つの短編集です。
考えてみれば、台所やリビングに当たり前のようにあるものにも、一つ一つ物語がありますね。今、私の目の前にあるマグカップにも思い出があります。
ゼリー型をみつけて過去に想いを馳せ、前を向くことができた母親の気持ちがうまく表現された「今年のゼリーモールド」
コーヒーサーバーを持って小さな冒険をしたチルが、なんとも愛らしく感じた「コーヒーサーバーの冒険」
母が水餃子を作っていたテーブルが、ちゃんと受け継がれたことに、ほっとした「水餃子のテーブル」
4人で囲んだホットプレートの -
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Posted by ブクログ
表紙の不穏なイメージとは違い、
日常的な描写が細かく丁寧で分かりやすかった。
主人公の老夫婦が日常感じている細かな心情描写など、ストーリーに大きな展開はないけれど、昨今頻発している闇バイトなどを考えると実際にもありそうな展開で続きが気になり読み進められた。
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主人公は、ゆり子60代と昌平70代の老夫婦。
昌平の誘いで始めたクロスバイク。
ある日、その夫がクロスバイクで事故になってから日常が変わってくる。
病院で出会った若者の一樹。
定職についておらず、バイト先をクビになったばかり。老夫婦も手が足りず困っていたので、週に一度自宅に手伝いに来て貰うこ