井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ほんとうにひさしぶりにノンフィクションやエッセイでないものを読んだ。アラフォーになって、急に物語を読むのが億劫になったのだ。
なんとなしに、ネットサーフィンしてたら見つけて、読みたくなり読んだ一冊。
料理描写、もうなんだろう、いちいち、洒落ていて、作りたい欲ふつふつ、もちろん食べたい欲も。
直接的な性描写なんてないのに、急にドキッとムラッとくる一文がある。あと2人の対照的な女性ですが、なんとなしに田舎もんじゃなくて、洗練されたシャレオツな女性なんだろうなぁとか....
普通に夫と、子供2人いる主婦ですが、なんかないかな?なんか男とオサベリしたい....と悶々させてくれますわ(笑)
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Posted by ブクログ
『なごみ』という月刊誌に「味を作る道具と人」というタイトルで連載されていたものが元ということ。
ここに登場する「道具」は、本来の仕事をこなしながらも、使い道以上にその存在が意味を持っている。
長く一緒に居ること。道具と人。人と人。
近くにいる人を大切にできることが一番幸せなのだと思う。
時としてそれは失わなくてはならないこともある。
そんな時、自分自身とどう向き合って生きていくのか。そこに道具は寄り添ってくれるのか。
みな短いお話だけど、一つ一つがきらり。
『今年のゼリーモールド』
娘が東京の大学に行き、夫婦二人になった八ヶ岳西麓の家と、母親の心のすき間
『ピザカッターは笑う』
妻と二人で洋食屋を営むシェフ。
店に集う、高校生の息子たちの男女グループのやり取りにきゅんとしながら、自分の青春を思い出してしまったか、アホなことを企む。
『コーヒーサーバーの冒険』
年長さんになったチルちゃん。水色の靴を履いて。
『あのときの鉄鍋』
大学時代のサークル仲間が死んで、30年ぶりに吉祥寺に集った。
三千枝がずっと抱えていた、あの一夜の謎が解ける
『水餃子の机』
家族の歴史と共に生きてきた机・・・何だか健気
『錆び釘探し』
結婚が怖い若い男が、偶然出会った老夫婦の道程に思いをはせる
『ホットプレートと震度四』
地震がいい仕事をした!
ホットプレートはむしろ被害者(笑)
『さよなら、アクリルたわし』
ぐるぐるする心で、ぐるぐるとアクリル毛糸を編む
『焚いてるんだよ、薪ストーブ』
仲の良い二組の夫婦に訪れた、突然の欠落 -
Posted by ブクログ
善き。
やっと読めた。映画になった時からの積読…
瀬戸内寂聴と井上荒野のチチ、井上光晴とその妻、1人の男を巡る女達の生涯の物語。
実話?とも、小説?とも言われ、どちらで読んでも深い。娘の立場で取材し文章にし、そして解説でもあったが、そうやって初めて小説家はそのテーマとの訣別ができるのではないだろうか…と。
なんともダメ男に思えるが、常に女が周りにいるオス。どこまでも男な父と同じ職業になり、父もそれを喜びながらも病魔に襲われて亡くなる。人間らしく生きた、昭和の時代だな、とも思わされる。
ドロドロした内容だが、清々しさも感じる文章で、他作も読んでいきたい。
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Posted by ブクログ
過去と今の自分に繰り返し向き合わされた一冊
物語に出てくるルエカとその取り巻き、そしてターゲットにされる子達。読みながら幼い頃の記憶がまざまざと蘇った。同じシチュエーションが自分にもあったと。ルエカのようにリーダーではないが、あるときは取り巻き側、ある時はターゲットとされる側だったと。今の自分の環境が全てでどこにも希望がなく募る無力感。この物語に出てくる有夢、瑶子の一つひとつの描写は昔の自分を見ている様だった。
ルエカのいじめの理由が暗喩される描写箇所を読んだ後では、序盤、得体の知れない不気味な存在だったのだが、打って変わり、まるで怖くて怯えながら吠え続ける犬の様に思えた。
いじめる側の背景に目を向けると自身が過去に深く傷ついた際のトラウマが発端になっていることも多い。
その無意識の闇が新たな被害者を生みだす。
孝の「俺はどうせ安全な、簡単にできることしかしない男なのだから」は、のちに登場する奈緒や施設長、そしてルエカの言いなりになり動く有夢、瑤子の内面描写にも通じるものがあった。
多かれ少なかれ誰にでも潜む、ことなかれ主義な思想、波風たたせず穏便に済ませたい気持ちをさまざまな登場人物の描写を通して示すことで、静かに問いかけられている様に感じた。
波多野さんのメニューCはラストの彼女達の新展開にもつながり、人生を終わらせずに続けていくため自ら新たな選択肢を選びとろうとする展開に救いを感じたと同時に勇気をもらった。
いつだって、誰だってメニューCやメニューDを選んでいい。多様性の受容やその後押しが容易な社会からはまだまだ程遠いと感じるが、せめて自分だけは、物語でペルー行きを後押しする海の母のように決断、行動をしていこうと思わずにはいられなかった。
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Posted by ブクログ
おっとりしていて、さっぱりしていて、よけいなことを言わない75歳の静子さんは、「可愛らしいおばあさん」。
夫が亡くなったあと、一人息子の愛一郎と嫁の薫子と孫娘のるかと一緒に暮らしている。
物語の流れ方が、今まで読んだことがない斬新さがあって、とても面白いと思った。
静子さんは、週に二回バスで通うフィットネスクラブでも一人果敢にふるまい、家族の誰かの少しの変化も見逃さず、さりげなく一肌脱ごうと動いたり、その神出鬼没さがかわいらしくて、思わずくすっと笑ってしまう。
日々の暮らしの中でふと亡くなった夫のことを思い出すところには、彼女がこれまで生きてきた歳月の厚みを感じてしまう。
静子さんのしなやかな自由さにとても憧れます。
家族それぞれにいろいろあっても、ほんのり温かい宇陀川家の人たちに囲まれて過ごす静子さんを見て、私もこんなふうに年を取りたいなと思う。
新しい年が始まりましたね。
今年も良い本にたくさん出会えますように!(^^)!
皆さま、いつもありがとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。