あらすじ
愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女──夫を突然亡くし、しばらく料理教室をお休みにしていた実日子(三十八歳)。ようやく再開した教室に、女友達に紹介されて初めて参加したまり(三十八歳)は、 夫とうまくいっていないのだと皆の前でいうが──料理教室を舞台にしたふたりの「妻」の孤独と冒険の物語。各メディアで絶賛され続々重版した長編小説、待望の文庫化。(解説・原田ひ香)
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Posted by ブクログ
夫を亡くした料理研究家 実日子と夫とうまくいってないまり 二人の女性の孤独と冒険の物語
女性のちょっとした会話などで気持ちが動いていく
男性ではわからない表現が複雑で面白い
男は単純でつまらないかもしれないが その分明快で幸せなのかもしれないと感じた
Posted by ブクログ
ほんとうにひさしぶりにノンフィクションやエッセイでないものを読んだ。アラフォーになって、急に物語を読むのが億劫になったのだ。
なんとなしに、ネットサーフィンしてたら見つけて、読みたくなり読んだ一冊。
料理描写、もうなんだろう、いちいち、洒落ていて、作りたい欲ふつふつ、もちろん食べたい欲も。
直接的な性描写なんてないのに、急にドキッとムラッとくる一文がある。あと2人の対照的な女性ですが、なんとなしに田舎もんじゃなくて、洗練されたシャレオツな女性なんだろうなぁとか....
普通に夫と、子供2人いる主婦ですが、なんかないかな?なんか男とオサベリしたい....と悶々させてくれますわ(笑)
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人間寂しいとおかしな行動を取ってしまうとどこかで呼んだのを思い出した。もういない人には期待できないけど、一緒に住んでいると期待してしまうから、その分孤独に感じると思った。
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現実的に「いない」者と、「いない」ものとしている実在。果たしてどちらが可哀想で、救われるべきなのか。
タイトル通りの、そこにはいない男たちについて。
人を通じての思い出というのは、その人の存在の有無関係なしに脳内にこびりついていて、その影は日常に散漫している。
それを良きものとするか、鬱陶しく思うかは、個人の感情の露出であり、思い出とはまたかけ離れた感覚である。
その感情を掘り起こすトリガーを制御するのもまた、生活を積み重ねることで鍛錬していくしかない。
少し凝った料理が恋しくなる、足がもつれるくらいにお酒に肩を貸したくなる、目に映るもの全てにあなたを思い出す恋をしたくなる、そんな作品。
Posted by ブクログ
究極の選択というと倫理に悖るかもしれませんが、愛していた夫を亡くした女性と、関係が冷え切った夫を持つ女性との対比が描かれている。
どちらも「不在」を感じていて、前者は字義通り亡くした夫の不在を、後者は夫の心や愛の不在を感じている。
どちらがマシかと比べることは倫理的かどうかという以前に、不可能だと思った。
彼女たちは料理教室の先生と生徒という関係だが、お互いの身の上を知った上で、相手の方が幸福なのではないかという考えから、始終抜け出せないでいる。
はたしてそこに歩み寄れる余地があるとすれば、どのようなことかと考えながら読んでいたが、本作や個人的な空想からは出てこなかった。
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「あちらにいる鬼」と同じく女2人それぞれの視点から語られていて、お互いが相容れない関係ながら必要な存在でもあったのかな、と感じた。
料理がどれも美味しそうで、こういう料理教室なら通ってみたいな。
Posted by ブクログ
夫のことが嫌いなまり
最初はまりのことを傲慢でプライド高い嫌な女の人だと思って全然好きになれなかった。
突然最愛の夫を亡くす実日子
中々前に進めずにいるが、亡くなって一年、元々やっていた料理教室を再会させる。そこで元々通っていた友人の紹介でまりも入ってくる。
もっと2人は親密になるかと思ったらそんなことはなく2人の心情がメイン。
その中でも2人が2人きりで初めて話すシーン
まりは実日子にどっちのほうが不幸かしらねと問う。その答えは最後分かるのだけど。
まりはこのとき余裕もあった、実日子はまだ立ち直れずにいるので、絶対に私の方が不幸だと思っている。
その後、まりは夫のほうから離婚を言われ
ここからまりのことを理解出来る様になる。
結局は嫌いになっているのは私の方で夫の方ではないと保険をかけていたと思う。だから夫からあなたが嫌いですと突きつけられ、本当はまりはまだやり直したかったと思う。その今までの気持ち何となく分かってすごく切なかった。
結局は愛されてこの世からいなくなるより
愛されず会える場所にいるけど、もう交わることもなく自分の存在を見てくれることもないことが分かる方が切なく、中々前に進むことができない気がする。
まりのいっていた前より夫の存在があるっていうのがきつい。
実日子は最愛の亡き夫を忘れることなく受け入れ、そして新たに前に進んでいって幸せを見つけようとして良かった。
2人の幸せをすごく祈った本だった。
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まりの用意した食卓を見て「うわ」って言うところとか、嫌な夫感に共感。この夫を大嫌いになるのがわかる分、まりの家庭の最後はやるせなかった。リアルだけど、、。
Posted by ブクログ
大好きだったけど、もうここにいない男
大嫌い故に、ここにいる実感のない男
そこにはいない男たちについての話。
すごいわかる。いや、わかりすぎるから痛さを通り越して笑える。
でも、果たして私(女)はそこにいたのでしょうか?
Posted by ブクログ
いるけどいない夫(不仲)、いないけどいる夫(未亡人)を持つ二人の女性が主人公。前者の取り返しが付かない家庭内別居状態の描写がリアルだった…どちらが決定的に悪いでもなく。嫌っていたいから別れないでいた=いるけどいないのではなくずっといたじゃないかと思う。なのに、拗れると歩み寄ることは本当に難しい。当て馬にされた浮気相手の男性は可哀想だった。後者は、いないけどいることを受容しながら、いるしいる相手と幸せに生きていけるのだろう。解説の通り「きれいな女の人の前に立った無粋な女の子のような気持ちにさせられる」小説。
Posted by ブクログ
心がざわざわする。結婚をしたけれど夫のことが嫌いで、「いない」ようなものとして生活するまりと、
夫を突然亡くしてしまい、文字通り夫が「いない」実日子の2人のストーリが軸で進んでいく。
女だから共感できるのか分からないけど、短い文章で的確に女性の気持ちを表現されていて、ものすごく心がざわざわした。
だいきらいだったはずの夫から離婚を切り出されて、
だいきらいだったのではなく、ずっとだいきらいでいたかったのだと気づく場面なんて、、、
なんだか心当たりがある感情で本当に参る。
あと、解説にもあったけど、本当に料理のセンスが良くて美味しそうで。
作中のレシピ公開してほしいです。笑
Posted by ブクログ
公私共にずっと夫と過ごしており、夫が嫌いなまり。
突然夫が亡くなった料理家の実日子。
まりが実日子の料理教室に行くことから話ははじまる。
ひどく食欲を掻き立てられる一冊だった。
食べたい料理がたくさん。
イメージが浮かぶような料理なのに、少し手が込んでいるから誰かが作ったこの料理を食べたい気持ち。
夫が存在しているけど、自分の中ではいないものとして考えているまりと、夫はいなくなってしまったけど、自分の生活の中で夫を感じる機会の多い実日子が対象的に描かれている中、エンディングでは二人の立場がクロスするというのが面白かった。
解説にある「きれいな大人の女性の前に立った、無粋な女の子のような気持ち」がしっくりきた。
Posted by ブクログ
一緒に生活してるけど大嫌いで、いない様な夫と、心の中にはずっといるのに現実世界にはいなくなってしまった夫。
これからの人生でどっちも起こり得るから、他人事とは思えない。
女性側からしか語られてないから、いったい何でそんなことしようと思ったのかわからないし、何なら聞いてみたい位だけど、まりの夫の突然子供を作ろうと言い出す→関係が良くなった様な態度→離婚というこの行動が嫌すぎた。
あとがきで原田ひ香さんが書いてる通り、出てくる料理はメニュー名見ただけでとっても美味しそう。
Posted by ブクログ
まりと実日子の話。
どちらも存在しない夫。どっちが幸せか、、みたいなテーマだけどどっちも同じタイプの自己中心的なイヤな女でシチュエーションが違うだけであまり対比になってないかも。
Posted by ブクログ
そこにいないのに「いる」、いるのに「いない」
そう感じることは度々あってそういうときは共通して寂しいし辛い
人と人はそうやって少しずつすれ違うけど、そこを繋ぎ止めようとするその空間に愛らしさと美しさを感じる
「ちょっとずつ違う」というのを大切にする
でもその差が広がらないように沿っていくこと、
に意味があるんだと思った
Posted by ブクログ
夫への愛情を失ってしまったまりと、夫を亡くしてしまった実日子。
まりの、自分勝手な不安定さはなんだか少し分かるような気がする。
どうしようもない。
*
あたたかい光が灯ったマンションの一部屋一部屋。そのすべてが幸せで満ちているとは限らないのだ。
Posted by ブクログ
結婚後夫に関心を持たれない女性と、夫を亡くした女性。
空いた心の穴と同じかそれより大きな物で埋めてくれる人と出会えるように自分が変わっていくしか方法はなくて、その過程の物語を2組の女性の主人公と比較しなが進んでいった物語だった。
私はより悲しい方は死別した方だと思う。
相手がまだ生きていたら、最後の望みにかけて行動する事ができるし、それが自分の理想通りに進まなくてもやれるだけやったと納得できる気がする。
相手がこの世にいなければ、まず自分から行動する事も無意味になるし行動出来ない事で諦めがつかない。
亡くなった夫の両親と会う機会がありまた思い出してしまったり、ふとした瞬間に亡くなった夫の記憶が蘇ったり、そこにはいないのにずっといる。これがとても辛いことなんだと感じた。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
ふたりの対照的な女の話。
どっちの方が可哀想なのか?
2人とも自分だと思っている。
そこにはいない男との
夫婦生活の詳細が語られる。
ひとりは全てが眩しい程の
思い出として語られ
もうひとりは、嫌いなのだからと
距離を置いて暮らす理由と詳細が。
女々しさ満載のあるあるな女。
女ってこうゆう生き物かもな。
鎧で隠したい内面が語られて
ザワザワするのがわかる【解説】
2人ともそこにはいない男のために
手間ひまかけて作る料理の数々。
どれもめちゃくちゃ美味しそうで
完璧な献立の組み合わせ。
想いがなければ、たった1人の男のために
こんな料理は作れないだろ。
人には見せない女々しさが
詳細に描かれていて、ちょっとの笑いと
刹那さが残る一冊。
女による女のための話。
Posted by ブクログ
前半、期待外れだったかなぁなんて思ったけど、全てを読み終えたら面白かったと言える。
料理の描写はとにかく毎回美味しそう。
主人公の気持ちになると、何だか切なくて虚しくて胸が苦しくなる瞬間が何度もあった。
Posted by ブクログ
そこには夫はいない
と感じる2人の女性の視点を比べて進む様は、共通点として新鮮でした。
料理は声に出して音読してみたくなるワードばかりで圧巻でした。
Posted by ブクログ
久々にミステリーじゃないものを読んだ。
状況は違えど、恋愛のことで悩んでる同士だと「どちらの方が不幸なのか」と比べてしまうけど、最後どうなるかはわからないなあと。
マリの気持ちはすごくわかった。今一緒にいる相手のことほんとに嫌いなはずで浮気もするけど、それは相手は自分のこと嫌いじゃないだろうとどこかで信じたいからそうしてしまう。慣れから嫌いになって、いざ手を離れるとなると惜しくなる。終わりが近づくにつれて今こう言えば終わらないかもと思うけど、もう遅いこともわかっているし、今まで嫌いだったぶんの意地も張ってしまう。そんな感じなのかなと、自分と重ねて考えてしまった。
マリの気持ちにすごく入ってしまったぶん、実日子には少しイラついた。確かに最愛を人を亡くすというのは辛く悲しいことで、次に好きな人が出来たとしても必ず最愛の人を思い出してしまうから、余計に辛いのはわかる。まだ身近な人の死を経験してないからかもしれないけど、どこか他人事のように感じてあんまり感情移入はできなかった。