井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ホットプレートほしい人いませんか?」――或る日、或る食卓、9つの物語。
女も男も、子どもも大人も。誰にでも、感情を呼び起こす“食と道具”がある。
数々の「おいしい小説」を手掛けてきた著者が贈る――“食にまつわる道具”を通して揺れ動く老若男女を描いた短編集。「今年のゼリーモールド」「ピザカッターは笑う」「コーヒーサーバーの冒険」「あのときの鉄鍋」「水餃子の机」「錆び釘探し」「ホットプレートと震度四」「さよなら、アクリルたわし」「焚いてるんだよ、薪ストーブ」の9篇を収録。(紹介文より)
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あ、これ、すき。
となった1冊。
今まで井上荒野さんは、オムニバスや短編集のお一人として読んだことはあったけど
まるまる1冊を読むのは初めて。
静かだけど深い、シンプルだけど切ない文章が、とても好みだった。
食に関する小説が好きで選んだけれど
食がなくても、人と人との関係を描いた作品としてもとても好み。
ドラマチックはなくても
日々、みんな小さな出来事や心動く瞬間があって
そのありそうな日常の描写がシンプルで良い。
過剰に気持ちのフォーカスしてないところが、押しつけがましくなくて良い。
若いときではなく、この年になって感じられるわびさびのようなものが染みてくる作品。 -
Posted by ブクログ
食にまつわる道具を通して揺れ動く男女を
描いた9編からなる短編集
日々の暮らしの中の、ふとした瞬間に起こる
心のさざめき。何気ない道具をきっかけに
過去の思い出や人間関係の機微が浮かび上がる。
今年のゼリーモールド
ピザカッターは笑う
コーヒーサーバーの冒険
あの時の鉄鍋
水餃子の机
錆び釘探し
ホットプレートと震度四
さよなら、アクリルたわし
焚いているんだよ、薪ストーブ
いいなと思ったのは、「あの時の鉄鍋」
大学時代の友人、大槻湊が亡くなり、還暦を迎えた懐かしいメンバーで湊の家へ形見分けに集まる。
結婚祝いでもらった鉄鍋と同じ鉄鍋を見ながら、
長い年月の中で、かつての自分の想いや夫との
関係、道具への思いが変化している事に気づく。
どの話も味わい深かったが、「さよならアクリル
たわし」のような理不尽に同級生からマウントされる女性の話もあり、少しイラッとした。マウントしてくるヤツにはひたすら関わらないことだ。
ただ終わり方はあれで良かったのか‥? -
Posted by ブクログ
第35回織田作之助賞受賞作品。
タイトルが気になって手に取った本。話に引き込まれて一気読みした。
クロスバイクを楽しむ定年後の夫婦。夫の骨折をきっかけに知り合った一樹に家政夫を頼み、2人は和やかな日々が続くように感じたが······。という内容。
高齢者が若者に引け目を感じる気持ちは、自分がその立場にたって初めてわかることだと思う。自分が若いときに感じた高齢者への思いを向けられたとき、引け目を感じてしまうものなのかもしれない。自分だけは高齢者とみられたくないと思う気持ちもあるのだという気づきを得た。
そして信頼を感じ、これくらいならと思ってしまったことがズルズルと······。こういう小説を読むと、人を信じるのが怖くなる。でも生い立ちや環境でそうなってしまったのかもしれない。彼が失くしたものの大きさに気づいたときに、変わることを願った。
それにしても定年後の夫婦って、難しそう。もう一度お互いを認め合えるようになれるかどうかでうまくいくのかが決まるのかもしれないと思った。
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Posted by ブクログ
ネタバレ最後の晩餐がテーマの7編からなるアンソロージ。
好きな作家さんばかりが、異なる切り口で書いた物語、一つ一つがとても面白かった。
人生の最後に何を食べるのか?なかなか悩ましい、重いような軽いような命題。
最後の食事は、何を食べるか、どういうシチュエーションで食べるか、誰と食べるか、一人なのか、一人の人生が表されているようで、様々な想像が生まれる。
意識をしていても本当に食べれるかどうかも分からないけれど、考えるだけで、酒盛りのネタに十分になりそうで、でも実は色々考えさせられる。
個性あふれる作家さんの物語は、色々な観点で描かれていて、其々の文体があり、あっという間に読んでしまった。
個人的には、角田光代さんの『最後の鰻』が笑えて、ほろっときて、沢山の家族に看取られて、あるあるって感じもして、大往生で好きだった。
藤野千代さんの『もうひとりのねえちゃん』は、家族が身近にいなくても、誰かがいてくれるってのも幸せの一つだと思えた。TVで『団地のふたり」が放送されているので、ノエチとなっちゃんの関係が思い浮かんだ。
寺地はるなさんの『小曽根幸子の送別会』は、小曽根さんがかっこいい。主役がいない送別会のシーンはスカッとするものがあった。
江國香織さんの「コインランドリーの夜」は、コインランドリーという場が秀逸。機械が回る音、無機質な感じが上手く描写されていて、流石って感じだった。
原田ひ香さんの『最後に何を食べたの?』は、ちょとミステリーがあって、最後にあーちゃんが恭一によって、救われるのがホッとさせられた。
しかし、このメンバーの食べ物の描写は流石上手いなぁと改めて思った。