井上荒野のレビュー一覧

  • 百合中毒

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    ネタバレ

    書店で文庫の裏書を読んで、興味を惹かれて購入。園芸店を営む家族の、母、長女夫婦、次女(不倫中)、その不倫相手、母の恋人、25年前に出て行ってイタリア人と同棲している父、そのイタリア人女性の物語。夫婦って何?25年前に出て行って、恋人に捨てられたからって戻ってきた父親を、家族はどう受け入れるのか?(もしくは受け入れないのか?)やきもきしながら読み進める感じになります。私としては、次女の不倫相手の身勝手ぶりが印象に残りました笑。妻が癌かもしれない、となったら恋人と別れようと思い、癌じゃなかった~と安心してヨリを戻そうとしたり。不倫する男の都合ってだいたいそういう感じなんじゃないかな。
    不倫相手と別れようと思ってるけどずるずると別れられずにいる女性はこれ読むといいと思います(笑)。
    一方で、25年も不倫関係(内縁の夫婦)を続けていたイタリア人女性と園芸店の父親との関係も、実はうまくいっているとは言えないものだった。
    夫婦の結びつきってなんだろう?
    それぞれの目線で淡々と描かれていながら、なかなか深く考えさせられる小説でした。

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    2024年04月29日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    読みやすくてあっという間に読んだ。
    老夫婦と出会った青年(一輝)がとあるきっかけで老夫婦の家事手伝いをする話。
    一輝がどんどん悪い方向に染まってしまいハラハラしたが、最後は希望をもてる終わり方で安心した。
    老夫婦の若者に対する思いや死についての考え方の描写が丁寧で、自分も将来はこんなふうに考える老人になるのかと考えさせられた。
    読後感が良かった。
    忘れた頃にもう一度読みたいかも。

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    2024年04月24日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    この本を読んで、抽選で当たる狭き門の「ななつ星」豪華列車に乗車して夢のような時間を過ごしてみたいと思いました。
    幾らなのか?庶民には手が届かない列車でしたが、YouTubeで雰囲気を味わうのもいいなぁと思いました。

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    2024年04月06日
  • 錠剤F

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    見事に後味の悪い話しかない短編集。面白いのか面白くないのか、オチはなんなのとか、そんなことはどうでもよろしい。これぞ井上荒野、といった風情の日常の一コマ?が表現されている。お気に入りは比較的オチが落ちている以下4作。『墓』→死んだはずの猫に生き写しの猫が来てくれたけど...『ケータリング』→食に興味がなさそうなのにやたら料理人の俺にケータリングを頼んでくる夫婦。『フリップ猫』→フリップ猫、という存在そのものがなんか今時。昔でいえばなめ猫か。『錠剤F』→楽に死ねる薬をめぐる一悶着。これは深い話かも。切ない。

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    2024年04月03日
  • ホットプレートと震度四

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    お料理をテーマにした お話はよくあるけど これは調理道具がテーマ。
    雑誌の連載だったんですね。
    テーマではあるけど その道具達がお話の中にさりげなく出て来て どの短編も面白かったです。
    それぞれのタイトルもおしゃれ。

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    2024年03月31日
  • ホットプレートと震度四

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    短編集。

    大学時代の友人がホットプレートを譲ってくれるというので、夫と住む家に招いたところ、友人がパートナーを連れてきて、互いに気まずい空気が流れていく…(『表題作』)
    若い頃付き合っていたとかいろいろあったとか、大人になってしまえば何も気にせず顔を合わせることが出来るのかと思いきやそうでもない。
    やっぱり少しのわだかまりは残る。ただ、皆大人なので表面上は何事もなかったかのように仲良さげに振る舞うことができる。
    それが良いことなのか本音を隠して付き合うのが悪いことなのかは分からない。
    地震は恐ろしいものだが、それによって場の雰囲気が和らいだこの話に限っては、地震に感謝すべきなのかもしれない。


    友人に自分の夫と愛し合ってるから別れてくれと言われた主人公女性。夫は(友人の)冗談だから気にするなと言うが、ある日、友人がいきなり押しかけてきて…(『さよなら、アクリルたわし』)
    怖い。怖すぎる。誰が悪いのかと言えば離婚もせず友人を本気にさせた夫だと思うが…。堂々と不倫の上、夫を寄越せと言ってくる友人、妻には良い顔をしている夫、黙々とアクリルたわしを編む主人公女性。全員が怖い。
    私は主人公女性がとっとと夫を見限って一人立ちすることを願うが、どうなるんだろう。
    女性同士の間にはマウントの取り合いが発生することがある。この友人は明らかに自分がマウントを取っているという自信があったのだろうが、最後は泣き落としという強硬手段に出ているあたり、決して強くはない。一見、弱々しそうに見える主人公女性の方が、したたかな感じがするのは私だけだろうか。

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    2024年03月30日
  • 錠剤F

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     短編というより掌編という感じのショートストーリー。だから言葉一つ一つに込められた意味が、まるで宝探しのようです。
     後味があまりよろしくないものが多かったので、☆5個は出せません。ほとんどホラーみたいなのもあったね。
     余韻がありすぎて、それはもう欲求不満にも似たものになってしまうので、やはり荒野さんには、長編を書いてほしいなあ。

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    2024年03月28日
  • ホットプレートと震度四

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    eテレで私の台所を紹介する番組に出ていた井上荒野さん。美味しいものが好きな夫婦で山小屋に住んでいる様子にここから生まれる物語を読んでみたくなった。
    作家さんから入って本を選んだのは初めてかもしれない。
    家の感じや本人の雰囲気が書かれる人たちに少しすつ反映されていて読むのが楽しかった。

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    2024年03月27日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    意外な結末だった。
    タイトルやジャケットも謎めいていて、怪しい雰囲気だったからだ。
    作品は登場人物のゆり子、昌平、一樹のそれぞれの視点から描かれており、描写が丁寧で気持ちやその変化が読み取りやすかった。

    老人=弱い立場=憐みのイメージが最後にはいい意味で払拭されて清々しい気持ちになった。

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    2024年03月08日
  • 錠剤F

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    『錠剤F』を初め、タイトルにそそられた。孤独の寂しさを埋めようと踠く人、鬱憤晴らしに因縁をつける人、執着心から抜け出せない人…常軌を逸した人がわんさと登場。陰湿な物語だが後を引かない。

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    2024年03月04日
  • 錠剤F

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    やっぱり、陽が当たる部分だけって事は無いですよね。

    そんな事を痛烈に伝えて来ます。心して読まなくては負けてしまいそうです。

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    2024年02月17日
  • 錠剤F

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    「乙事百合子の出身地」
    「ぴぴぴーズ」
    「あたらしい日よけ」
    「みみず」
    「刺繡の本棚」
    「墓」
    「スミエ」
    「ケータリング」
    「フリップ猫」
    「錠剤F」
    10篇収録の独立短編集。

    井上ワールド全開。

    物語全体から気怠さが漂い、孤独と闇を感じた。
    明るさは微塵もない。
    心地良さは皆無だが独特な世界観が癖になる。

    240頁の中に10篇の物語が収録。
    1篇が僅か20数頁の作品であるというのに、冒頭で読み手の心を捉え結末まで目を逸らす事が出来なくなる。

    どの短編も秀逸で甲乙付け難いが、衝撃的だったのは「フリップ猫」と「錠剤F」。

    闇の深さに慄く。

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    2024年02月04日
  • ママがやった

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    父親が母親に殺される。

    そこからスタートする家族の話。
    なんだかな、ブラックジョークのやりとりのような家族たちの生活がとっても魅了されます。笑

    え?そっち?

    え?なにそれ。

    え?そんなんあり?

    みたいなやりとりを、案外みんな淡々と受け入れて過ごしていく。
    特に、謎にモテるお父さんの浮気。笑

    すっごい憎くて殺されたわけでもない。
    そんなお父さん、案外幸せだったのかもしれないし、それはそれでお父さん恨まない気もするな。

    なんか書いてること以外の本の裏側の背景がしっとりと読者を包み込んでいって、なんとも言えない気持ちにされる一冊。

    すっごい心を動かされるわけでもないのに、ついつい止まらなくなるし、この家族のやりとりから目が離せない。

    #ママがやった
    #井上荒野
    #面白かった
    #飛行機で読みきった
    #夢中
    #不思議な魅力の家族
    #止まらない
    #他も読みたくなった
    #★★★★
    #気になる作家

     

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    2024年01月30日
  • 小説家の一日

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    どの短編もとても余韻が残り、不思議な感覚だった。
    どの作品も「え、これで終わり?」と思うラストなんだけれどなぜかどれも心に残る感じ。
    やっぱり上手いんだなぁと実感。

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    2024年01月29日
  • 錠剤F

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    10編収録されている短編集。日常の中に不穏な空気が広がっていく。自分の中に、他人との間にそれはあってそこでは孤独のように独りでその空気感が怖い。それが何気ない日常から不意に現れるからゾッとするしこの作品たちに惹かれていってしまう。ずっと不気味さや恐怖感のようなものが付き纏っている作品集。

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    2024年01月25日
  • あなたならどうする

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    昭和歌謡をモチーフに書かれた短編集。章の始めに抜き書きされている歌詞を眺めながら、「昭和歌謡って既に終わった、あるいは終わりが見えている恋愛を歌ったものが多いのかな……?」などとぼんやり考えていた。そんな自分は平成生まれである。
    少なくとも(かの有名な)『トリセツ』のような、「いろいろ手がかかるしワガママも言う私だけど、これからも君は私を愛してね!よろしく!」みたいなポップさは一切感じられない。物語に当てがわれているどの歌も、だいたい「昔はこういうことしたよね、あなたのこういうところが好きだったの、でも今はあなたはいない……」みたいなしっとり(ジメジメ?)感が漂っている。これは時代の変化によるものなんだろうか。女性の社会進出が進み、自由気ままに自己主張や自己表現ができるようになったことが関係していたりはするのかな?昨今は男を翻弄する小悪魔的なヒロインを描く作品も増えているが、この小説で描かれているのはそんな流れとは逆行して、とことん男に振り回されて人生がだめになっていく女達である。

    たとえば、ヤリチンに弄ばれる不器用ながら純朴な女子を描く「小指の思い出」、共に将来を誓うもやはり故郷を捨てられない男を許し、夢を追う為に一人東京へと発つ「ジョニィへの伝言」、不倫の末に夫と子供を捨てて男の元へ転がり込むも、年若い女子に鞍替えされてしまう「あなたならどうする」など。
    我々は読者という第三者視点で俯瞰的に見ることができるので、男の態度が途端につれなくなったり、明らかに怪しい言動が出てきたりすると、どの物語、どの男女の関係においても必ずどこかに「終わりの予兆」を感じ取る。だが悲しいかな、恋は盲目という言葉が指すように、その渦中にいる女達にとってはそれは知る由もないこと……あるいは気づいていても敢えて見ない振りをしているようで、その愚かさが愛おしくも切ない。

    優しかったあの時の彼、口説かれた当初の熱っぽい眼差し、初めて抱かれた時の温もりなど……そうした過去の楽しい記憶を何度も思い返し、それだけを頼りに最後まで男を信じ縋ろうとする彼女達を見ていると、なんとももどかしい気持ちになる。「もっといい男とまともな恋愛しなよ〜!」なんて台詞が口に出かかったあとで、「いや……これは余計なお世話かもしれない……」なんて思い直したりして。実際こういう底なし沼にハマっている人たちの生々しい話は、フィクションだからこそ楽しく読めているのかもしれない。身近にこういう、まさに身を滅ぼすような恋愛をしている人がいたら、果たしてそんなハッキリ「やめとけ〜!」と言うことが出来るのか。どうなんだろうな……あなたならどうする?残念ながら、わたしにはそう言い切れる自信がない。

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    2024年01月07日
  • あちらにいる鬼

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    長内みはると白木篤郎を中心にそれぞれが情事を積み重ねて行きながら、作家としての仕事はそれなりにこなしていく奇妙な物語だが、このような生き方もあるのだなと、ある意味で感心した.篤郎の妻 笙子が夫の浮気を感じながら、子育ても難なくこなす幅の広さは特筆ものだと思った.篤郎の行動は突飛な面はあるが、読者からするとやってみたいなと感じさせるものだ.みはるの行動も篤郎とつかず離れずの憎い動きで自分の生き方を守り抜く意思を感じた.得度する決断も面白く、篤郎がこまめに現れるのも楽しめた.解説にモデルとなる人物が紹介されていたが、それは別にしても、作家の行動形態が垣間見える内容だと思う.

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    2024年01月05日
  • ママナラナイ

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    身体の異変や不調などの思うようにいかないことを描いた作品集。思うように動かない身体に引っ張られるように心も沈んでいく。一編が30ページにも満たない短編なのだけれど、どの作品もとても濃密で読み応えはすごい。身体と心のお互いが及ぼす影響と、それを受け入れてからの見え方の違いも興味深い。解説の杉江松恋さんがラスト三行への言及をしていてそれを読んでから作品を読み返すのも面白い。

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    2023年12月21日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    がたんごとん。がたんごとん。
    夢をかける寝台列車がとおります。
    星が流れた夜の車窓から、素敵な夢の旅へご案内。

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    2023年12月10日
  • 静子の日常

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    颯爽としていて上品で活動的な静子さん、素敵でした。
    こんなおばあちゃんになりたい。
    過ごしてきた月日を感じさせる落ち着きと配慮、付かず離れずの距離感。
    息子さん夫婦も孫も静子さんを畏敬してるのわかるし、バーボン鷲田な山田暁と仲間たちも、フィットネスクラブのお姉さま方もコーチも、かわいい面白いおばあちゃんだと近付いてたとしても人柄の虜になってる。
    山田と仲間たちと、静子さんが孫の部屋からくすねてきたバーボンを外で酌み交わしてたの微笑ましかったです。
    宇陀川家やフィットネスクラブの人々のあれこれは荒野さんらしいドロドロハラハラを感じさせるところもありましたが、雨降って地固まるみたく良い方向で終わるので嫌な気持ちにならない。すごい。

    大五郎さんエピソード、切ない。死別した夫の十三には「努めて」接してて、でもずっと好きだったのは大五郎さんなんだろな。
    ここでぐらんぐらんに揺れても、自分の決めたことは守ってるのも素敵です。
    以和子「田辺聖子(雪の降るまで)」→静子「井上荒野(静子の日常)」と、年を重ねていきたいです。

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    2023年11月29日