井上荒野のレビュー一覧

  • ホットプレートと震度四

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    装丁に一目惚れ
    内容も好みでした

    料理やカフェに焦点を当てた小説は多いけど、料理道具にスポットを当てた小説は珍しい気がする

    表紙カバーや各章に使われている写真にまつわるエピソードを読んでいるかのよう。

    どの作品も、流れている空気感が読んでいて心地よい。

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    2024年07月05日
  • 錠剤F

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    ネタバレ

    久々の井上荒野さん。全編全部不穏。「何でそうなる?」と思いつつその裏にあるものを想像しながら各短編を最後まで読むと、シンと周りから体からその内側まで冷えてくる感じがします。乾いた冷たさ。いや怖い。
    人間って見た目じゃ何考えてるかわからないし、言ってることやってることがその人の全部を必ずしも現してはいないのだということを改めて突きつけられるような短編集でした。
    真夏に読んだらもっと良かったね。心底涼しくなれそうで。

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    2024年06月17日
  • 静子の日常

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    『照子と瑠衣』を読んで、その中に登場するおばあちゃんがお茶目でパワフルでかわいいと思ったのだけど、その静子さんのお話があると知り、この本を手に取った。
    『照子と瑠衣』で感じた印象通り、おっとりした雰囲気と、イタズラ好きな性格を併せ持っている。
    奔放さと堅実さ、相反するように思える二つの性格を同居させており、不思議な魅力を醸し出している。

    通っているフィットネスクラブに貼られている細かすぎる注意喚起の言葉に、「ばかみたい」と感じており、ある日その貼り紙に「ばか?」と書いた小さな付箋を貼り付けるエピソードは痛快で、笑ってしまう。

    そんな飄々としている静子さんも、かつては夫の浮気に悩んだり、家族のために尽くしていたりと苦労はあった。
    その過去を経ての、今の静子さんの姿は、元気をくれる。
    静子さんと同居する息子一家の面々の視点から語られるエピソードも、息子・愛一郎の浮気騒動や娘・ルカの恋模様など、ユーモアを交えながら描かれていて、終始面白かった。

    中島京子さんの解説も素晴らしい。

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    2024年06月08日
  • 静子の日常

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     書店で前からずっと気になっていた本で、やっと購入しました。

     静子、薫子、愛一郎、るかの視点でそれぞれ話が進んでいく。淡々としていて読みやすく、大きな事が起こるわけでもなく、でも、続きが気になる…という。

     静子のフィットネスクラブの出来事、行動が読んでいて面白かったです。

     こういう、家族の何でもない、ほのぼの系でも、どろどろ系でもなく、でも面白いお話しは、なかなかないので新鮮でした。

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    2024年06月06日
  • ホットプレートと震度四

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    短編集。どれを読んでもほっこりする。どこか身に覚えがありそうな話題だから? ゼリーやお好み焼きが食べたくなった。

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    2024年05月30日
  • ホットプレートと震度四

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    食にまつわる道具を巡る短編集と本の帯に書いてあるが、その通りだった。
    どの物語も淡々と綴られていて、さらっと読めた。
    タイトルになっているホットプレートと震度四と焚いてるんだよ、薪ストーブがよかった。
    何となくでも先に希望が垣間見える話が私は好きなのだ。

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    2024年05月29日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    「ここ家」のお惣菜、どれも美味しそうで読むだけで気持ちが上がる。
    が、江子、麻津子、郁子 それぞれの事情はちくちく刺さる。
    それでも明るく楽しく?毎日を過ごす三人の醸し出す空気はたまらない。
    三人とも「いい女」だと思うんだけど、気が利きすぎたり考えすぎたり事情が重すぎたりして、必要以上に不器用になっているところが歯がゆい。
    にしてもどれも美味しそうなお惣菜、近所にあったらいいのに「ここ家」

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    2024年05月20日
  • 錠剤F

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    おどろおどろしい表紙のイラストが、「覚悟して読んでください」という感じ。
    特別な、あるいは凶悪な事件が起きるわけではないが、日常に潜む、じわじわ来る恐怖が描かれている。
    刑事事件と違って、「解決」される事がないのも、終わった感がなくて却って恐ろしい。
    人に話しても、へ〜え、とか、よくあるよね、みたいに人ごとにされてしまうかもしれないところが、当事者たちにとっては胸がモヤモヤするのでは?
    作品中、はっきり書かれていない事も多く、はっきり書かれていないけれど、読者が察するべき事項と、この先どうなるか本当にはっきりしない事項、そして、本当に起こったのかどうかも曖昧な事項・・・といろいろある。
    もしかしたら、読み返した方がいいかもしれない。
    隠れている何かが見つかるかも。

    個人的には、目の前に立ちはだかって、自分の言いたいことを、強圧的に、あるいは泣き落とし的に、あるいは下心を持って、ずいずいと主張してくる「老夫婦」たちが怖いです。
    並んだ老夫婦の、止め絵のまま近づいてくるような覇気のない立ち姿にぼんやりとした恐ろしさを感じます。

    『乙事百合子の出身地』
    コロナ禍の中ならではの、飛び込み営業の、騙すか騙されるかの緊張よりも・・・
    『ぴぴぴーず』
    触らずに孕ませる特殊能力?
    『あたらしい日よけ』
    いやらしい想像して言いがかりつけてる自分たちをむしろ恥じなさいよ!
    『みみず』
    地味な女の、ぬるぬるした内面
    『刺繍の本棚』
    夫の隠し事より、個展に乱入してきた女の主張が気になる
    『墓』
    いなくなったテルにそっくりな茶トラの猫が現れる
    『スミエ』
    切ないけれど、いい話かもしれない
    『ケータリング』
    孤立する者は、誰かを取り込もうと必死
    『フリップ猫』
    可愛い物への愛と、興味本位の悪意が同じ場所にあること
    『錠剤F』
    これも、誰かを取り込もうとした孤独・・・の話だったのかな

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    2024年05月17日
  • 静子の日常

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    75歳の静子さん、人生を謳歌しているように見えるけど、起こること起こることこんなにどんと構えられるようになるにはそれなりに辛い思いやしんどい思いを乗り越えて来たからなんだろうな。
    物事を良し悪しで判断せず、深刻なことでもどこか楽しんでいて、全てを受け止める姿勢、見習いたいな。
    それにしても十三も愛一郎も親子してなんで軽々と浮気するんだろう。まぁでも愛一郎はまだましか…誤魔化すようにお取り寄せばかりして家族サービスするのには笑えた笑
    静子さんに薫子さん、るかちゃんと女性陣はみんないい女なんだろうなぁ。

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    2024年05月07日
  • 百合中毒

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    ネタバレ

    書店で文庫の裏書を読んで、興味を惹かれて購入。園芸店を営む家族の、母、長女夫婦、次女(不倫中)、その不倫相手、母の恋人、25年前に出て行ってイタリア人と同棲している父、そのイタリア人女性の物語。夫婦って何?25年前に出て行って、恋人に捨てられたからって戻ってきた父親を、家族はどう受け入れるのか?(もしくは受け入れないのか?)やきもきしながら読み進める感じになります。私としては、次女の不倫相手の身勝手ぶりが印象に残りました笑。妻が癌かもしれない、となったら恋人と別れようと思い、癌じゃなかった~と安心してヨリを戻そうとしたり。不倫する男の都合ってだいたいそういう感じなんじゃないかな。
    不倫相手と別れようと思ってるけどずるずると別れられずにいる女性はこれ読むといいと思います(笑)。
    一方で、25年も不倫関係(内縁の夫婦)を続けていたイタリア人女性と園芸店の父親との関係も、実はうまくいっているとは言えないものだった。
    夫婦の結びつきってなんだろう?
    それぞれの目線で淡々と描かれていながら、なかなか深く考えさせられる小説でした。

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    2024年04月29日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    読みやすくてあっという間に読んだ。
    老夫婦と出会った青年(一輝)がとあるきっかけで老夫婦の家事手伝いをする話。
    一輝がどんどん悪い方向に染まってしまいハラハラしたが、最後は希望をもてる終わり方で安心した。
    老夫婦の若者に対する思いや死についての考え方の描写が丁寧で、自分も将来はこんなふうに考える老人になるのかと考えさせられた。
    読後感が良かった。
    忘れた頃にもう一度読みたいかも。

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    2024年04月24日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    この本を読んで、抽選で当たる狭き門の「ななつ星」豪華列車に乗車して夢のような時間を過ごしてみたいと思いました。
    幾らなのか?庶民には手が届かない列車でしたが、YouTubeで雰囲気を味わうのもいいなぁと思いました。

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    2024年04月06日
  • 錠剤F

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    見事に後味の悪い話しかない短編集。面白いのか面白くないのか、オチはなんなのとか、そんなことはどうでもよろしい。これぞ井上荒野、といった風情の日常の一コマ?が表現されている。お気に入りは比較的オチが落ちている以下4作。『墓』→死んだはずの猫に生き写しの猫が来てくれたけど...『ケータリング』→食に興味がなさそうなのにやたら料理人の俺にケータリングを頼んでくる夫婦。『フリップ猫』→フリップ猫、という存在そのものがなんか今時。昔でいえばなめ猫か。『錠剤F』→楽に死ねる薬をめぐる一悶着。これは深い話かも。切ない。

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    2024年04月03日
  • ホットプレートと震度四

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    お料理をテーマにした お話はよくあるけど これは調理道具がテーマ。
    雑誌の連載だったんですね。
    テーマではあるけど その道具達がお話の中にさりげなく出て来て どの短編も面白かったです。
    それぞれのタイトルもおしゃれ。

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    2024年03月31日
  • ホットプレートと震度四

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    短編集。

    大学時代の友人がホットプレートを譲ってくれるというので、夫と住む家に招いたところ、友人がパートナーを連れてきて、互いに気まずい空気が流れていく…(『表題作』)
    若い頃付き合っていたとかいろいろあったとか、大人になってしまえば何も気にせず顔を合わせることが出来るのかと思いきやそうでもない。
    やっぱり少しのわだかまりは残る。ただ、皆大人なので表面上は何事もなかったかのように仲良さげに振る舞うことができる。
    それが良いことなのか本音を隠して付き合うのが悪いことなのかは分からない。
    地震は恐ろしいものだが、それによって場の雰囲気が和らいだこの話に限っては、地震に感謝すべきなのかもしれない。


    友人に自分の夫と愛し合ってるから別れてくれと言われた主人公女性。夫は(友人の)冗談だから気にするなと言うが、ある日、友人がいきなり押しかけてきて…(『さよなら、アクリルたわし』)
    怖い。怖すぎる。誰が悪いのかと言えば離婚もせず友人を本気にさせた夫だと思うが…。堂々と不倫の上、夫を寄越せと言ってくる友人、妻には良い顔をしている夫、黙々とアクリルたわしを編む主人公女性。全員が怖い。
    私は主人公女性がとっとと夫を見限って一人立ちすることを願うが、どうなるんだろう。
    女性同士の間にはマウントの取り合いが発生することがある。この友人は明らかに自分がマウントを取っているという自信があったのだろうが、最後は泣き落としという強硬手段に出ているあたり、決して強くはない。一見、弱々しそうに見える主人公女性の方が、したたかな感じがするのは私だけだろうか。

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    2024年03月30日
  • 錠剤F

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     短編というより掌編という感じのショートストーリー。だから言葉一つ一つに込められた意味が、まるで宝探しのようです。
     後味があまりよろしくないものが多かったので、☆5個は出せません。ほとんどホラーみたいなのもあったね。
     余韻がありすぎて、それはもう欲求不満にも似たものになってしまうので、やはり荒野さんには、長編を書いてほしいなあ。

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    2024年03月28日
  • ホットプレートと震度四

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    eテレで私の台所を紹介する番組に出ていた井上荒野さん。美味しいものが好きな夫婦で山小屋に住んでいる様子にここから生まれる物語を読んでみたくなった。
    作家さんから入って本を選んだのは初めてかもしれない。
    家の感じや本人の雰囲気が書かれる人たちに少しすつ反映されていて読むのが楽しかった。

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    2024年03月27日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    意外な結末だった。
    タイトルやジャケットも謎めいていて、怪しい雰囲気だったからだ。
    作品は登場人物のゆり子、昌平、一樹のそれぞれの視点から描かれており、描写が丁寧で気持ちやその変化が読み取りやすかった。

    老人=弱い立場=憐みのイメージが最後にはいい意味で払拭されて清々しい気持ちになった。

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    2024年03月08日
  • 錠剤F

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    『錠剤F』を初め、タイトルにそそられた。孤独の寂しさを埋めようと踠く人、鬱憤晴らしに因縁をつける人、執着心から抜け出せない人…常軌を逸した人がわんさと登場。陰湿な物語だが後を引かない。

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    2024年03月04日
  • 錠剤F

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    やっぱり、陽が当たる部分だけって事は無いですよね。

    そんな事を痛烈に伝えて来ます。心して読まなくては負けてしまいそうです。

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    2024年02月17日