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Posted by ブクログ
すごい本だった。
小夜子は、自分がおかしくなっているということを、家族に気付いて欲しかったんだと思う。光太郎は生涯でたった一人の相手だし、かんなはたった一人の娘。特に趣味があるわけでも何かに特別秀でているわけでもない自分にとって、家族はたった一つの心の拠り所で、自分にはそれ以外には何もないと思っていたのかもしれない。海斗への執着は、海斗でなくてもよかったんだと思う。たまたまそこにいたのが海斗だったというだけ。海斗に執着し、奇行を繰り返すことで、日々感じている孤独感、寂しさ、焦りのようなものを家族に気付いてもらいたかった。わたしはこんなに狂っている。こんなに狂ってしまうほど寂しかったんだ、と、伝えたかったんだと思う。
素直に「寂しい」「つらい」と言うことの難しさ。試してもうまくいかなかったときの、本人にしか(あるいは、本人にすら)わからないねじれた感情と、そこからくる言動。わかってほしいのにわかってくれない(あるいは、わかっているのにわかっていないふりをされる)ことからくる絶望。そういうものを直接言葉にしないで、小夜子という一人の人間から醸し出させることで間接的に読者に伝える。読み終わって、小夜子の不気味さに眉をしかめながら、その一報で誰もが(もちろん自分自身も)小夜子になり得るという可能性に気付き戦慄する。
すごい本だった。
Posted by ブクログ
”オススメ文庫王国”からだったかな。帯を見ると、主婦が壊れていく話ってのは分かっちゃう。正直、要らん情報だと思うけど(前情報無しの方がきっと楽しめる)、それでも尚、淡々と進められる語りの妙によって、求心力の高い作品に仕上がっている。怖い内容って知らなかったら手に取らなかっただろうし、そういう意味ではある程度のネタバレは仕方ないけどね。で内容は、何となく歯車が狂ってきそうな”予感”を感じさせる序盤とか、実際にストーキング行為が始まってからの狂気を描く後半とか、それぞれに読ませられる。結局主婦が墜ちた真の理由はいまひとつピンと来ないけど、だからこそ、逆にリアリティがあったりして。
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