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主婦・小夜子が美容師・海斗から受け取った、一本の営業メール。それを開いた瞬間から、小夜子は自分でも理解できない感情に突き動かされ、海斗への執着をエスカレートさせる。明らかに常軌を逸していく妻を、夫の光太郎は正視できない。やがて、小夜子のグロテスクな行動は、娘や海斗の恋人も巻き込んでゆく。息苦しいまでに痛切な長篇小説。
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Posted by ブクログ
井上荒野キャンペーン継続。うーん、なんというか言葉足らずっていうか描写不足っていうか、敢えてそうしてるのはわかるんだけど微妙に歯がゆくて物足りなかったな。日常からちょっとした狂気に至る上での少しずつの歯車のズレみたいなのを伝えたいんだろうけど、もっとわかりやすいほうが好き。子あり夫婦が主人公なの初め...続きを読むて読んだ。
この物語の主人公、親海小夜子(およみさよこ)はマイホームへ引っ越し夫、光太郎、娘のかんなと3人で暮らしています。 特に大きな「何か」があるわけでもないけれど日常のほんの隙間に忍び込んだ異質な世界へ進んで行く小夜子に不気味な狂気を感じました。 不穏な空気感が絶えず流れている様なストーリーですが...続きを読む、もしかしたら1歩間違えば誰にでも起こりうる様な事なのかもと思えて来ます。 理性だけでは抑えられない人間の不可思議な感情が如実に表現された作品で怖い反面、興味深く読みました。
すごい本だった。 小夜子は、自分がおかしくなっているということを、家族に気付いて欲しかったんだと思う。光太郎は生涯でたった一人の相手だし、かんなはたった一人の娘。特に趣味があるわけでも何かに特別秀でているわけでもない自分にとって、家族はたった一つの心の拠り所で、自分にはそれ以外には何もないと思っ...続きを読むていたのかもしれない。海斗への執着は、海斗でなくてもよかったんだと思う。たまたまそこにいたのが海斗だったというだけ。海斗に執着し、奇行を繰り返すことで、日々感じている孤独感、寂しさ、焦りのようなものを家族に気付いてもらいたかった。わたしはこんなに狂っている。こんなに狂ってしまうほど寂しかったんだ、と、伝えたかったんだと思う。 素直に「寂しい」「つらい」と言うことの難しさ。試してもうまくいかなかったときの、本人にしか(あるいは、本人にすら)わからないねじれた感情と、そこからくる言動。わかってほしいのにわかってくれない(あるいは、わかっているのにわかっていないふりをされる)ことからくる絶望。そういうものを直接言葉にしないで、小夜子という一人の人間から醸し出させることで間接的に読者に伝える。読み終わって、小夜子の不気味さに眉をしかめながら、その一報で誰もが(もちろん自分自身も)小夜子になり得るという可能性に気付き戦慄する。 すごい本だった。
”オススメ文庫王国”からだったかな。帯を見ると、主婦が壊れていく話ってのは分かっちゃう。正直、要らん情報だと思うけど(前情報無しの方がきっと楽しめる)、それでも尚、淡々と進められる語りの妙によって、求心力の高い作品に仕上がっている。怖い内容って知らなかったら手に取らなかっただろうし、そういう意味では...続きを読むある程度のネタバレは仕方ないけどね。で内容は、何となく歯車が狂ってきそうな”予感”を感じさせる序盤とか、実際にストーキング行為が始まってからの狂気を描く後半とか、それぞれに読ませられる。結局主婦が墜ちた真の理由はいまひとつピンと来ないけど、だからこそ、逆にリアリティがあったりして。
営業メールからストーカーに変ってゆく。一歩道を踏み外せば、だれもなりうるかもしれない。小夜子の執着は、寂しさの現れか。映画では、平凡な主婦は常盤貴子で(綺麗すぎる)、もし、もっと地味な女優さんだったらどう違ってくるか。。
主婦が美容師の青年にストーカーする話なのだが、突き進んでしまう自分を客観的にみている姿に、決して特殊なことではなく、日常の延長として書かれている。自分もあり得るかもと怖くなったり、痛いと思ったり。
人が道を踏み外す瞬間というのは激情にかられてなどではなく、案外何てことのないふとした一瞬にほんの少し逸れる程度なのだろうと思う。それが気付いた時には引き返せないところまでエスカレートしていくのだけど、自分の中ではそこまでの過程があまりにナチュラル、綺麗なグラデーションでありすぎるがゆえに、自分の異常...続きを読むさを自覚できないのではないか。 誰しもが本作の主人公になりうる壊さを感じつつ、物語のラストにぞっとした。
最初は、あまり面白くないな・・・と思っていたのですが。 212ページ目からラストまでが、一気に面白くなります。
要約すると、平凡な専業主婦が美容院の若い男のストーカーになっちゃう、という話。 でも、読んでいくうちに、相手の男を好きだからという理由ではないことがわかる。 人間が壊れてゆく過程は文章の流れで感じ取れるものの、 そのきっかけが何であったのかはよくわからない。 だからこそ、怖い。 タイトルの付け方も...続きを読む独特で興味深い。 作者曰く「自分 の意志じゃないところで、何かがどんどん動いている感じ」、 というのを「だれかの木琴」に例えたらしい。 感性が複雑だなー。
20140326 どうも嫌な気分になる本。登場人物が皆普通では考えない事をするからかもしれない。何故なのかについては説明は無い。怖いもの見たさで読んでしまった。
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