井上荒野のレビュー一覧

  • あなたならどうする

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    昭和歌謡をモチーフに書かれた短編集。章の始めに抜き書きされている歌詞を眺めながら、「昭和歌謡って既に終わった、あるいは終わりが見えている恋愛を歌ったものが多いのかな……?」などとぼんやり考えていた。そんな自分は平成生まれである。
    少なくとも(かの有名な)『トリセツ』のような、「いろいろ手がかかるしワガママも言う私だけど、これからも君は私を愛してね!よろしく!」みたいなポップさは一切感じられない。物語に当てがわれているどの歌も、だいたい「昔はこういうことしたよね、あなたのこういうところが好きだったの、でも今はあなたはいない……」みたいなしっとり(ジメジメ?)感が漂っている。これは時代の変化による

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    2024年01月07日
  • あちらにいる鬼

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    長内みはると白木篤郎を中心にそれぞれが情事を積み重ねて行きながら、作家としての仕事はそれなりにこなしていく奇妙な物語だが、このような生き方もあるのだなと、ある意味で感心した.篤郎の妻 笙子が夫の浮気を感じながら、子育ても難なくこなす幅の広さは特筆ものだと思った.篤郎の行動は突飛な面はあるが、読者からするとやってみたいなと感じさせるものだ.みはるの行動も篤郎とつかず離れずの憎い動きで自分の生き方を守り抜く意思を感じた.得度する決断も面白く、篤郎がこまめに現れるのも楽しめた.解説にモデルとなる人物が紹介されていたが、それは別にしても、作家の行動形態が垣間見える内容だと思う.

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    2024年01月05日
  • ママナラナイ

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    身体の異変や不調などの思うようにいかないことを描いた作品集。思うように動かない身体に引っ張られるように心も沈んでいく。一編が30ページにも満たない短編なのだけれど、どの作品もとても濃密で読み応えはすごい。身体と心のお互いが及ぼす影響と、それを受け入れてからの見え方の違いも興味深い。解説の杉江松恋さんがラスト三行への言及をしていてそれを読んでから作品を読み返すのも面白い。

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    2023年12月21日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    がたんごとん。がたんごとん。
    夢をかける寝台列車がとおります。
    星が流れた夜の車窓から、素敵な夢の旅へご案内。

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    2023年12月10日
  • 静子の日常

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    颯爽としていて上品で活動的な静子さん、素敵でした。
    こんなおばあちゃんになりたい。
    過ごしてきた月日を感じさせる落ち着きと配慮、付かず離れずの距離感。
    息子さん夫婦も孫も静子さんを畏敬してるのわかるし、バーボン鷲田な山田暁と仲間たちも、フィットネスクラブのお姉さま方もコーチも、かわいい面白いおばあちゃんだと近付いてたとしても人柄の虜になってる。
    山田と仲間たちと、静子さんが孫の部屋からくすねてきたバーボンを外で酌み交わしてたの微笑ましかったです。
    宇陀川家やフィットネスクラブの人々のあれこれは荒野さんらしいドロドロハラハラを感じさせるところもありましたが、雨降って地固まるみたく良い方向で終わる

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    2023年11月29日
  • ママナラナイ

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    久々に読んだ井上荒野さんの本。
    身体の不調や変化にまつわる10の話。

    短編集ならではでサクサク飽きずに読めた。
    好きなのは「顔」と「静かな場所」

    また荒野さんの本読みたい。

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    2023年11月23日
  • 静子の日常

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    初読みの作家さん。
    好きな作家さんがこの作家さんの新刊をお勧めされる際に、こちらも話題に挙げられていたので、こちらから手に取ってみた。

    静子さんは、とても上品で気品のあり、機転も聞く方。家族やご近所、フィットネスクラブでのトラブルも目立たぬようにこそっと解決していく姿は読んでいて爽快であり、痛快でした。
    自分も年齢を重ねていくうちにこんな風になれたらと思う一方で、静子さんの夫婦生活ではなくなったご主人に、苦痛を虐げられており、夫亡き後の「自由を生きる」覚悟が、静子さんを凛とさせている要因の一つなんだろうなと思った。

    連作短編集で読みやすかった。

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    2023年11月15日
  • ベーコン

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    はっきりとした感情が書かれず、ゆらゆらしているのにしっかり胸に突き刺さる、寂しく苦しい恋愛の短編集。
    救いがあるような無いような、なんとも言えない切なさが残った。
    井上荒野さんの作品は何冊か読んでいるけれど、この読後感がたまらない。
    静かに燃えている感じ。

    料理のタイトルが並ぶ短編集。
    普通ではない歪な恋愛を描いているのに、知らない世界なのにどこか共感してしまう不思議。
    江國香織に似ている気がする。
    どれも面白かった。

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    2023年11月09日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    誰かと旅に出ると、非日常の中で会話が弾んだり思っても見ない事が言えたりもするのかなぁと思いながら読み進めた。
    九州に住んでいると、あの列車に乗って眺める風景は、遠い昔に通学や通勤で乗っていた列車から眺めるそれとは違うものなのか確かめたい気もする。

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    2023年11月04日
  • あちらにいる鬼

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    ネタバレ

    ひとりの男を取り巻く女ふたりの話。

    主眼は妻の方かな
    前評判では瀬戸内寂聴さんの話って聞いてたけれど、話題が落ち着いてから読んだからそんなにあの人を思い出すことなく、小説として読めた。ここ大事だったかも。だって、娘が書いてるのを心に浮かべながら読むなんて、ねぇ。

    男に対して本当に思うところはたくさんあるけれど、それがあっても惹き付ける人っていると思うし、それに惹かれて愛着を持ってしまったふたりの思いや決断が興味深く読めた。その辺りが私は好き。
    最後まで読んでから改めてタイトルをみると、なんとも毒っけがありつつ、突き放してもいないいい感じ。

    出家という、自分にも世間にも相手の男にも家族にも

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    2023年10月29日
  • 静子の日常

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    ネタバレ

    あっさり、さっぱりしている静子さん。
    そんな静子さんと静子さんの一人息子と
    その嫁とその娘、4人の視点で物語が進む。

    静子さんは自分でスイミングスクールに
    通うといって契約しちゃうし
    孫の部屋からお酒を取ってみたり
    愛人に会いに行ってみたり
    そんな破天荒なようで自分を持っている静子さん。

    自分や他人をすっと遠くから見ている、
    そんな冷静さがある。

    くすっと笑えたり、なるほどなあと思わされたり
    おばあちゃん凄い・・・となったり。

    ちょっとだけ毒のある感じがまたいい。

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    2023年10月25日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    ネタバレ

    ・夫(のせい?)で息子を失ったと思っている
    ・ずっと好きだった人に振られても思い続けている
    ・結婚して同じ職場の人に主人を取られる

    もう少し本の中では詳細に語られるけど
    3人の抱える大人な事情はこんな感じ。
    これが本を読むにつれて徐々に明らかになる。

    どれも苦しいけど、のらりくらりと
    それを受け入れながら日々を過ごしていく。
    嫌な思いをさせられたと相手が思っている
    その気持ちにかこつけて、前の旦那さんに
    気まぐれに電話をしてしまう江子には
    同情もしちゃうし、奥さんにも気を遣って
    あげたらいいのにと両方思ってしまう自分がいた。
    自分は悪くない上に、まだ好きだもんね…

    たかが風邪でくらいで病

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    2023年10月25日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    豪華寝台列車にまつわる短編集。
    寝台列車の紹介も少し含みつつ、その実、内容的には旅とそれぞれの人生が描かれている。
    なので風光明媚な描写とかではなく、結構な確率で同行人が予定の人と違ってたり伴侶がお亡くなりになってたりしている(ご時世もあってかある事情で乗車すらしてないのもある)。
    三浦しをんさん目当てだったけど、色々な方の寄稿が読めてよかった。

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    2023年10月21日
  • それを愛とまちがえるから

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    ネタバレ

    「あなた、恋人がいるでしょう?」と言った妻にも恋人がいてびっくり!!そして、それをお互い隠すわけでもなく、
    なんなら食事をしたりキャンプに誘い出したり…そんなことある?って思ったけど、キャンプの続きが気になって読み進めていく。でも結局あのキャンプが解決の糸口になって…だいぶ遠回りした二人がお互いが大切だと気付けてよかったなと。
    それぞれの目線でかかれているけど、伽耶や朱音の思いにあーそれわかるなって共感できる部分もあり、楽しく読めた。

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    2023年09月21日
  • それを愛とまちがえるから

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    登場人物4人の思いが交互に描かれ、こんなに色々勝ち負けや、他人がどう見るかを気にしてたら、疲れるだろうなと思った。とは言いながら、多かれ少なかれこんな風にに生きてるのかなあ、私も。

    キャンプでは、計画段階から1人の思惑で突っ走った感があるけど、こういう場合、従属的に振る舞った方が、勝ちなんだろうか、思った通りに走り切った方が勝ちなんだろうか。まあ、負けはないんだけど、私なら従属しておいて、後から歯噛みしそうだな。

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    2023年09月15日
  • あたしたち、海へ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ああはなりたくないと言う不安からしている。
    波多野さんかっこいいと思った。
    子供への関わり方は同じではなくてそれぞれ違うのだと感じた。

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    2023年09月12日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    何事も起こらないお話ではないのに、読んでる側の気持ちとしては終始穏やかだった。

    自分がこの年代になったら何してるんだろうと物語の中で何か起こるたびに嫌でもいちいち引き込まれて考えさせられる。

    食べ物で幸せになるお話は大好きで、現実に自分もそうなることが多い。この作品は特に文章自体が好きなのもあってより幸せな気持ちになった。

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    2023年08月28日
  • そこへ行くな

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    タイトルの意味がわかるまで数話かかった。

    どの話も、読みながらこの結末を知りたくないなって思わせるのは筆者の力なんだろうか。モヤモヤするけど、そういうことなんだろうと。

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    2023年08月28日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    帯は、
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    あなたなら、
    この旅に誰と出かけますかーー?
    豪華寝台列車「ななつ星」をテーマに
    7人の人気作家が紡ぐ「旅と人生」
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    小説5編と随想2編が収められています。

    表紙の暗闇のなかの流れ星と、
    車窓から漏れる灯りが素敵で。

    以前、文学YouTuberの寝台列車のなかでひたすら読書する動画を見たことがありますが、列車とか旅は非日常感があってドキドキワクワクしますね。

    列車をテーマにしても、オーソドックス(私の中では熟年夫婦やカップル)な物語だけでなく、友情や幽霊が出たり、感染症の流行で乗

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    2023年08月20日
  • ベーコン

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    どれも不穏な味わいの短編。
    食べ物がおいしそうだったり苦そうだったり。
    カツサンドとか煮こごりとか、食べるときに思い出しそう。

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    2023年08月20日