井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何でパワフルなおばあちゃんズ
これ読んだら、いつからでも再スタートできるんだ!ってすごく人生が明るく朗らかでかつ爽やかに感じられる!
照子の一世一代の計画は大胆で、ハラハラさせられるし、けれども、ちょっとずる賢い瑠衣のおかげと、やっぱり長年の知恵や、周りの方との信頼関係だったりが、積み重なって、成功していくのにすごくホッとした。ダメだけど。
照子の考えた計画めっちゃいいーー!!
最初、ただ旦那が嫌で家を飛び出したのかと思ってたら、なんと三年越しの計画だったとは。
瑠衣に代わって涙。
最後のは、その場の未来っていうより、いまだに旅を続けてる照子と瑠衣ってことだよね(?)
いいなぁ。こういうおばあちゃんになりたい!そしてこういう仲でずっといたい!!
これ、なんか老人を鼓舞する的な何かで使えたらいいなぁ。 -
Posted by ブクログ
昔、後妻に入るなら、「死別」より「離別」の方がいいという一説があった。
「離別」は、お互いに納得してあるいは愛想を尽かして縁を切ったのだけれど、「死別」は想いを残しての別れであり、思い出はどんどん美化されていくから生身の後妻は比べられては不利だということだ。
では、「失踪」された場合は?
失踪から七年経てば「失踪宣告」し、法律上は死亡と見做されるから、再婚は可能になる。
しかし、はっきり別れたわけでも、亡くなったわけでもない。どこかで生ている可能性だってあるし、どこかに埋まっている可能性もある。
残された人たちや、その人と関わる人たちは、それを考え続ける事になる。
「いなくなった人」の「存在感」は、一見矛盾しているようだが大きいのである。
夫と4才の娘を残して31才で失踪した、小堺晶(こさかい あき)の気配と記憶は、染み付いて取れない影のようで、なんだか恐ろしいものに感じる。
失踪直後の、幼稚園児の結生(ゆき)の様子を夫の伸伍(しんご)がつぶさに語る。4歳児の心の中では何が起きているのだろうと無限に考えられる。結生自身も、常に「なぜ母はいなくなったのか」と考えながら成長したのだろう。
それも吹っ切れたか、穏やかな終焉と新しい一歩が見えたかなと思えた次の最終章。
突如、それまで出てこなかった名前に・・・
見知らぬ誰かの、分岐点の選択一つで多くの他人の人生が変わってしまったのだ。
やはり、あの口紅をつけてはいけなかったのだろうか?
「しずかなパレード」とは、もしかしたら葬送とか葬列をイメージしているのかな。 -
Posted by ブクログ
かつての恩人に会いに馴染みの街へ行くことになったので、向かう方向とリンクするタイトルのこの本を鞄に入れていた。(……が、その予定は赤子の発熱で泣く泣くリスケとなってしまった。涙)
タイトルの「海」は、場所ではなく登場人物の少女の名前である。主人公の有夢と瑤子は自転車を走らせて、転校してしまった海の住む街を目指す。仲が良さそうな2人なのに、ところどころきな臭いものが見え隠れする。明言はされないが、過去に事件があり、そしてそれがまだ継続していくぞ、という示唆に、一章から何とも言えない苦しさに胸がつまった。
中高一貫女子校における、いじめを題材としたストーリー。遠く離れてしまったが、かつていち少女だった自分にとって、その同調圧力と逃げられない窒息感には覚えがある。だから緻密に描かれるそれが、ぐさり、と刺さるのだ。
視点は主に有夢と瑤子だが、親や先生といった周辺の大人や、いじめ当事者のルエカの主観も描かれる。結果として見て見ぬふりをしてなかったことにする大人、家庭内のストレスで認知が歪まされる子ども。そしてその全ての捌け口となってしまった有夢と瑤子は「ペルー」を目指すことになる。そこまで追い詰められるの、分からなくないけれど、親となった立場で読んでいくの、めちゃくちゃしんどくて悲しい……。ただ作中のアーティスト、リンド・リンディのインスタ投稿の描写が色鮮やかで、その明るさは救いだった。
このまま悲しいだけで終わるかな……と思ったら、最後には光がさした。そこは本当に良かった。絶望の「ペルー」が、未来につながる「ペルー」に。海の母・和子の職場のおばあはん、波多野さんも印象的で好きなエピソードだ。
タイトルは「海へ」となっているけれど、海に会いに行く行程は河口から上流へ遡っていくの、意味と方向が逆転していて面白い。苦しみ抜いたあとの海の、その力強さに眩しさを感じたのだった。