井上荒野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ひとつの出来事を、異なる二人の視点から描く物語の短編集。
【私たちが轢かなかった鹿】
26歳の息子・晴(はる)が自分と同じ52歳の親友・井出真弓と付き合っている。親友も息子も失ったように思う、海堂杏子。
一方、晴と一緒に杏子の家に来た真弓は、子供のような男と引き換えに親友を失ったように感じ始める。
連作かと思ったら、一作ずつ別のお話でした。
この続きがあったら、親友が自分の大切なものを次々と奪っていく〜!となるのでしょうか?
夕食の料理がすごくおいしそうでした。
【不幸の****】
セレブ奥様、ヤケクソの「****!」
【犬の名前】
痔だと思ったら、まさかのがん疑惑。世界が自分を捨てようとしていると感じる圭介と、夫に捨てられたように感じる妻の萌子と。
人間の感情って・・・走り出したら止まらないのかも。何か食べたいものがあって、食べられそうな時「すっかり○○の口になってる」と言うが、そういう感じかもしれない。
【つまらない掛け時計】
自分がイケオジだと自負している大学教授。著書が話題になり、ワイドショーのコメンテーターも務めている。
妻を「凡庸」だと蔑んでいる。
この大学教授のキャラクターが、におい(加齢臭!)まで感じられるほどリアルに想像できる。
【小説みたいなことは起こらない】
別荘地に住む、退屈しきった47歳ちがいの女と男。
大雪で停電になった。そこへひとりの男が助けを求めて飛び込んでくる。
佐々木の章があったら、どんな感じだろう。『注文の多い料理店』みたいな?
佐々木さん、逃げて!逃げて! -
Posted by ブクログ
短編集。容赦なく心をザワつかせてくる、荒野さんらしい短編だと私は思っている。
『私たちが轢かなかった鹿』
友達が息子の彼女ってどういう気持ちなんだろう。想像もつかない。でも決して良い気持ちではないと思う。友達の方だって、堂々と自分が彼女だと振る舞いながらもどこか後ろめたいのか、ずっと杏子の機嫌を伺っている感がある。この叫び出したくなりそうな関係性、私だったら逃げ出すだろうな。
そして、息子の存在も気詰まりだった。まるで杏子も真弓も、息子がこの場にいなければいいのにと心の底では思っているかのようだった。うん、やっぱり私だったら誰の立場だったとしても、この場居たくない。
『犬の名前』
もういっそのこと圭介、病気だった方が良かったんじゃないかと思うほどの後味の悪さ。
本当に人間って汚い部分を持っていると思う。パートナーが死ぬかもしれないのに、自分が寂しくなることの方が心配だったり、死ぬのは嫌だけど一人取り残されるはマシだと思ってみたり、なんか…結婚しても最後はこうなるのかな。実際、私の夫も「絶対先に死ぬ」と公言して酒も煙草もガンガンやっているし…。こういうところ、モヤッとする。来月から煙草はやめさせよう(笑)
この夫婦、モヤモヤ感を抱えたままこの先生きていくんだろうな。キツそうだな。
『小説みたいなことは起こらない』
読んでいる間中、ずっとタイトルが頭を過ぎる。今はもう書いていない、老婆と言える年齢の小説家と若い男性のカップルという組み合わせだけでも、小説みたいな話だとは思うが…。とにかく、彼らが想像しているようなことは起こらないんだろうと思ってこちらは読んでいるので、話の落とし所が全く掴めない。
小説のようなことが起こらなかったことが理由となり、劇的な事件が起きようとしているラストには結構驚かされた。 -
Posted by ブクログ
音無照子(おとなし てるこ)と森田瑠衣(もりた るい)、二人とも70歳。
どちらも住んでいたところを捨ててきた。いや、こちらから捨ててやった。不安もいっぱいだが、わーいわーい!である。
コミックスみたいな表紙。ぶっ飛ばしてる感がカッコイイ!
長野の別荘地を訪れ、持ち主が留守にしている別荘に勝手に住み着く。
(元)夫の口座から退職金を分けてもらう。無断で。
大したクライム・ババアたち(笑)
瑠衣の方が勝手に生きてきた感じだが、今まで抑圧されてきた照子の「勝手」パワーが大胆に爆発したというところか。
さすがにテレビドラマでは少々設定の変更があった。
照子はリサーチ能力に長けていて、長野に来たのはある理由があったのだ。
別荘地では、静子さんという謎の年配女性と出会う。ニホンカモシカの化身なんじゃないかとか、妖精なんじゃないかとか。
照子と瑠衣は今も旅の空である。
照子はトランプ占いで、瑠衣はシャンソンを歌って、いつの間にか土地の人たちの心の中に滑り込む。
もう二人も妖精化している気がする。いつも大切な人を思いながら、自由に生きていく。 -
Posted by ブクログ
何でパワフルなおばあちゃんズ
これ読んだら、いつからでも再スタートできるんだ!ってすごく人生が明るく朗らかでかつ爽やかに感じられる!
照子の一世一代の計画は大胆で、ハラハラさせられるし、けれども、ちょっとずる賢い瑠衣のおかげと、やっぱり長年の知恵や、周りの方との信頼関係だったりが、積み重なって、成功していくのにすごくホッとした。ダメだけど。
照子の考えた計画めっちゃいいーー!!
最初、ただ旦那が嫌で家を飛び出したのかと思ってたら、なんと三年越しの計画だったとは。
瑠衣に代わって涙。
最後のは、その場の未来っていうより、いまだに旅を続けてる照子と瑠衣ってことだよね(?)
いいなぁ。こういうおばあちゃんになりたい!そしてこういう仲でずっといたい!!
これ、なんか老人を鼓舞する的な何かで使えたらいいなぁ。