井上荒野のレビュー一覧

  • 小説家の一日

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    ネタバレ

    10作全てがハッピーエンドという訳ではなく、だからと言ってバッドエンドという訳でもなく。

    ただ、何となく感じられる不気味さや不快感。

    人間の醜い部分を匂わせるような作品だった。

    個人的には
    「窓」が一番好き。

    最後の女子生徒2人が見つめ合う描写。

    本来「同士」を見つけ、希望を感じさせる終わり方になるはずが、何故か、もっと悲しく悲壮感漂う終わり方だった。

    そこになんとも言えない怖さを感じた。

    ただ、表現方法が単調であって読みやすくはあったが星3である。

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    2023年07月09日
  • 小説家の一日

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    ネタバレ

    久しぶりの荒野さん
    やっぱりうまいなぁと思う
    無駄がないし、不穏な感じもどこか上品な感じも手厳しい感じも健在、という感じ。

    好好軒の犬、と小説家の一日はつながっていたのね、そしてそれは荒野さんの子供の頃と現在に極々近いということが、あちらにいる鬼を読んだ人ならすぐにわかることだし、実際その二つが面白かった

    小説なのだからフィクションなはずだけど、あーそんなふうに荒野さんは暮らしてるんだな、と思ってしまった。

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    2023年07月02日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    電車のお話は馴染みが深くて
    卒論で観光列車について書いた私には
    まず題材がたまらなく感じた

    本のデザインも素敵だなぁと思ったら
    吉田篤弘さんが関わっていて
    あったかい気持ちになった

    特に好きだったのは
    小山薫堂さんの旅する日本語
    とても綺麗だった

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    2023年06月30日
  • あちらにいる鬼

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    不倫の話であることは、映画化で話題になったことから知っていた。
    「みはる」視点から始まる文章を恐る恐る読み進めていけば、恋愛小説である。
    一章に必ず、篤郎の愛人である「みはる」視点と、妻である「笙子(しょうこ)」視点が描かれる。
    篤郎を真ん中にはさんで向かい合う、二人の女。
    視点が変わるごとに「あちら」は入れ替わる。
    篤郎視点は無く、二人の女性によって描かれるのみである。

    その篤郎は、どうしようもない下半身を持つ。
    ピンときた女は全力で口説く。
    その結果、ヤツの子供を二度堕ろして手首を切った女に会う勇気がなく、妻に命じて金を渡しに行かせたりする。
    どこに行っても、息をするように女をモノにする。
    チビで、声だけが大きい。決して美男子ではないのだけどなあ。
    昭和の文士というものは、こういうものだろうか。
    不良でなんぼ、みたいな。

    読み進むうち、これは「家族小説」なのだと思う。
    不倫を描いて生々しさがない。

    女とみれば寝てしまう篤郎は光源氏かもしれない。
    その女たちは、本命とその他に分けられる。
    篤郎にとっては、本当の本命は誰であったのか。
    ・・・
    光源氏と違って幸福でしょう。
    本命の女たちに弔ってもらえたのだから。

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    2023年06月29日
  • それを愛とまちがえるから

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    ネタバレ

    普通にW不倫しながら夫婦であり続けるだけではなく、4人でキャンプに行っちゃうなんて意味不明。まるでSFかよ、とは思ったものの、でももしかしたら長い夫婦関係の中である程度刺激的なスパイスは必要だったりするんかな、とも思って納得してしまった。

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    2023年06月07日
  • 100万分の1回のねこ

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    著名な作家によるトリビュート。やはり一流、表現の仕方や情景描写が素晴らしい。

    個人的には角田光代が1番好きでした。

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    2023年06月03日
  • 結婚

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    結婚詐欺と、結婚詐欺に引っかかった人、結婚詐欺にひっかかった人とちょっと関わった人、が出てくる。なんでそんな簡単に騙されちゃうかなと思いつつ、心に隙間があると「運命」に夢を見ちゃう気持ちも理解できる。

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    2023年06月02日
  • あたしたち、海へ(新潮文庫)

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    女子中学生の間に起こる執拗ないじめ。その構造を微細に描く。
    この世に人間の形をした悪魔のようなものは存在する。それを受け入れなければ、いじめはなくならないだろうな。

    優しい人は、話せばわかるはずだとか、そもそも性善説を信じているので、悪魔には対抗できない。悪魔は人の弱みを握ることに天才的な才能を持っているから。人がうろたえる様が栄養みたいな奴なんだ。

    そいつから離れろ。それは決して逃げではない。そして一人になってはいけない。根っこのところで繋がっている人を幼いうちにしっかりと獲得することが大事だと思う。

    悪いのは悪魔のようなあいつなんだ。あなたではない。


    と、過去の経験からいろんなことを考えさせられました。

    悪魔って、どうやって造られるんだろうね。それを解明することが大人の役割だよな。

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    2023年05月21日
  • しかたのない水

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    江國香織さんのエッセイから知って、買ってみた。
    確かにこの本を手に持っていたら出刃包丁かなにかと見間違えられるかもしれない。

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    2023年05月21日
  • 静子の日常

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    ジェットコースターのような大げさな展開はないけど、ちょっとざわっとしたりハラハラしたり。それが心地いいなと感じながら読めたのは、物語全体に静子さんの茶目っ気や、登場する人たちの愛らしさが溢れているからかもしれない。

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    2023年05月09日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    豪華寝台列車の「ななつ星」を題材に5人の作家と糸井重里さん、小山薫堂さんが物語や想いを綴る。寝台列車はセンチメンタルな気持ちになる。闇夜を走り抜ける中、人は過去を思い出し、その時にしかできない話しをし、解決できなかった想いを投げかける。5つの物語はどれも労りがあり、癒しもある。旅(ななつ星は旅というより乗ること自体に価値があるのだが)は不思議だ。自然と自己に向き合わせていく。
    自分を見つめ直したくなる一冊だった。
    お気に入りは「夢の旅路」「アクティビティーは太極拳」。

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    2023年05月02日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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     豪華列車ななつぼしに関するアンソロジー。作家さん、それぞれに特徴的な物語だが、すべて、心に沁みる物語。

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    2025年12月07日
  • 静子の日常

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    心穏やかに集中できる。
    心に留めておきたい一節がある。
    ふいにクスっと笑える。

    幸せな読書体験できる一冊でした。

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    2023年04月14日
  • 荒野の胃袋

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    小さい頃からお母さんの手のこんだ料理を食べてたら、やっぱり食に関して一家言あるようになるよね。
    お母さまというのはあの井上光晴で”あちらにいる鬼”を読んでるから、その浮気し氏放題(あちがきにもそういう表現があった)の夫を料理で繋ぎ止めておきたかったのではないかとつい勘ぐってしまう。
    それ以前に料理好きでないとここまではできないと思うけどね。
    なんせうどんやパスタは小麦粉から作るんだから。
    仲良しの角田光代との対談も楽しめた。

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    2023年04月07日
  • 小説家の一日

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    書くことがテーマだったり、書くことに携わる人が語り手だったりする短編集。
    長い物語のほんの一部を切り取ったような印象の作品が多く、そのせいかどの作品も強引にハサミで切り取ったかのような座りの悪い終わり方をしていて独特な読み心地。文章が抜群にうまい。

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    2023年03月27日
  • ナナイロノコイ

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    恋愛小説も、アンソロジーも好きなので、こういう本は良い。
    映画化するっていう井上荒野さんの短編が一番好きだったかなあ。

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    2023年03月26日
  • 100万分の1回のねこ

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    有名作者による13話の猫?愛?の話が次々に繰り広げられる。

    いろいろな人がこの絵本を読んで自分なりの100万回生きた猫を書いていてとても面白い作品でした。

    この人の作品を読んでみようかなぁと思えていい出会いになりました

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    2023年02月28日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    面白かった。

    ただ何回読んでも主人公たちがもう少し若いイメージになってしまって。たぶん60過ぎの人と交流がないからだと思うんだけど。

    あと10年20年たってから読んだらまた印象が変わりそうな本だなぁ



    あー、白山さんだけ嫌い。

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    2023年02月26日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    いつもどんよりとした曇天を連想する井上作品
    今回もそこかしこに不穏な空気が漂っていました。

    72歳の昌平、69歳のゆり子、二人が住む一軒家で通いの家政夫として働く事になった若者、石川一樹、この3人を軸として物語は展開します。

    どこにでもいそうな人の良い初老の夫婦が、一樹と関わる事で気持ちが揺れ動きます。
    根は「いい子」隣人とのトラブルを小気味よく解決したり頼まれた仕事は快くこなす、その反面、厭世的で暴力的、自暴自棄な面もある一樹

    一樹の危うさと、「老人」と呼ばれる事に抵抗を持ち、老いに逆らおうとする夫婦の感情がリンクしてそこにリアリティーを感じます。

    実際に存在しているかの様な登場人物様、それぞれの心理描写が秀逸で絶えず脳内映像で場面が見えた作品。

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    2023年02月11日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    自分とそんなに変わらない年齢の夫、その妻とその家族を中心に物語が展開する。いずれ自分にもこんなことが、と思う場面があって少しイライラする。素性のよくわからない若者が入ってきてさらに心が乱される。なんなんだ、こいつは。という気持ちは主要人物の夫と同じだ。なんでそんなやつに妻は信頼感を持つのだ、それで事件が起きる、夫婦の微妙なやり取りはうちでもそうかな。息子とかはどう思うんだ。そうした気持ちの重なり方がこの小説の読み手へのメッセージなのか。最後にこの話の主人公は夫婦でなく若者なのか、と思わされる。
    タイトルのセリフはいつ出てきたのか、わからなかったほど心乱されていたのか。絶対好きとは言いたくないが、やられた感がある。

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    2023年02月05日