井上荒野のレビュー一覧

  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    定年後の老夫婦のあり方を、日常とともに描いた作品ってとこかな。

    子供たちが巣立ち、夫婦2人になって互いに支え合って生活する様子が、なんだかリアルに感じられました。妻のゆりこ、夫の昌平、自転車好きの一樹、それぞれの視点に変わって話が進むのは、とても読みやすくて軽快。

    オレオレ詐欺じゃないけど、一樹の嘘に巻き込まれなくて良かった。

    そして最後、昌平が妻に惚れ直すシーンがとても良かった。もはや震えた。

    老後は、こんな風に誰か(誰か?)と暮らしたいな。

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    2022年05月19日
  • キャベツ炒めに捧ぐ

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    ネタバレ

    やはり再読したくなった本。ネタバレありです要注意。

    江子、麻津子、郁子の60代の女性3人が営むお惣菜屋「ここ屋」の、ご飯が炊ける描写から、この物語が始まる。
    料理の(しかも、単なる家庭料理ではなく、売れるお惣菜を作る)腕は確からしい。

    3人にはいずれも、それぞれの人生で関わりのあった男性への想いがある。離婚した相手を諦めきれない江子、1人をずっと思い続ける麻津子、夫を亡くした郁子。それぞれが持っている「想い」は、それぞれの「思い込み」でもある。現実とのすれ違いを認められず、捨てきれないところを、物語が一つずつ解いていく。共通の想いびととして描かれる進くんは、3人のおばさんたちに翻弄されて面

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    2022年02月24日
  • 切羽へ

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    最近、ミステリーのように筋立ての妙で読者をひっぱる物語よりも、文章それ自体の力によって、ゆっくりと歩ませてくれる種類の小説に強くひかれる。在るということ、それ自体が発する力を受けとめる緊張感をもった器のような、そんな小説だ。
    九州の小さな離島の、わずか一年間の物語である。眼に見えるような変化はほとんど起きない。ただ、ひとりの男がやってきて、いつのまにかいなくなっただけ。しかしその、何もないように見えて何でもある島の生活は、たとえば、セイの毎日を満たす食べものを通して、こんなふうに描きだされる。
    「こればっかりは島で採れるとが一番」と義父がいう、アオサのおつゆ。から揚げにしようか、さっと煮ようか

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    2022年02月13日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    面白かったです,みにつまされる気がしました。人間の弱さ、頼りなさ、若者と老人の格差、夫婦の関係の微妙さ、妻の逞しさ、おっとの情けなさなどなど。しかし自転車で10キロ走れる人達に、家政婦はいるかな、?ともおもいました。

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    2021年09月08日
  • その話は今日はやめておきましょう【毎日文庫】

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    もうすぐ50歳になる私の心に
    とてもしっくりくるお話。

    歳を重ねて自信がなくなり
    若者を逞しくも怖くも感じ

    まだまだ楽しめる。
    楽しむよ。
    頼ることも増えてくるけれども。

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    2021年06月06日
  • 静子の日常

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    ネタバレ

    70歳を超えても自分の人生を謳歌するおばあちゃんがとても気持ちいいし愛らしい。自分の決めたことは貫く姿勢が孫のるかにも受け継がれているのもよかった。山田くんとるかの恋にきゅんとした。。

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    2021年05月25日
  • 静子の日常

    購入済み

    見習いたい、静子さん!

    「切羽へ」の次に読んだので、表面上のテイストが随分違うと思いました。が、読み進めていくと底流に有るのは“自分の在り方"だという作者の姿勢は同じであるのに気がつきました。静子さんのものの見方は公平で、偏見や思い込みから遠く、さらに年寄りにありがちな頑固さが無くて、柔軟に物事を捉えられる所が素敵でした。私もこうありたいと思える年の重ね方です。静子さんの日常はまだ続くので、ぜひ続編が読みたいですが、井上先生はきっとお書きにならないと思います。

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    2021年04月21日
  • 切羽へ

    購入済み

    日常の風合いを楽しむ小説

    特に事件は起こらないありふれた日常の機敏を描くのが上手で、主人公の気持ちの変化を丁寧に言葉にしていると思います。そういえば私自身もちょっとした事で気分が上がったり、下がったりする事があると改めて自分に置き換えて考えたりしました。表現の詩的な感じもとても素敵でした。不思議な存在感の石和に作者が託したものは何だったのか、考えながら読み進めていき、最後まで謎のままで読み終えました。主人公が子供の時に見たミシルシの象徴が石和かもしれません。有って無いようなもの、あるいは無くて有るようなもの、影または気配の象徴かもしれないと思いました。

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    2021年04月19日
  • ナナイロノコイ

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    久しく恋愛小説から離れていたので肩慣らしのように選んで読んだ一冊。好きだった作家の作品ばかりなので、読後感はいい。恋愛小説を読むと自分の日常すら物語のように言語化されていく感覚を思い出した。でも長いこと離れていたので恋愛小説特有の「におい」に鈍感になっていた。寂しいにおい、切ないにおい…。読みすすめる中で少しは鼻がきく状態に戻っているといいが。
    ミーヨンさんの作品は私には少し理解に時間がかかったので、また読み返すと思う。全体的に「次読んだとき、前とは違う感想を抱くだろうな」と思わせられる作品ばかりだった。
    ただ最近「百合」の作品も読むようになったせいか、作中の女友達との関係が百合的な関係に思わ

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    2021年03月22日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    あるところに、荒くれた若者がいました。若者は根っからのクズではないものの、すさんだ生活をしていました。ある日、善良なお爺さんお婆さんと出会い、若者は老夫婦のお手伝いをしていくうちに、素直な心を取り戻していったとさ。めでたしめでたし。とすんなりちゃんちゃんといかないのが井上荒野。もうクライマックスがヒヤヒヤ。地面に放置された金魚のように呼吸困難になった。若者でもなければ老人でもない私は、誰に感情移入しているのか?さっぱりわからないが双方の心の機微がうまいのでかなり面白かった。結論:スポーツはやっぱりイイネ!

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    2021年02月22日
  • ママがやった

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    肝心の結末が書かれていない危うさやバカバカしいやり取りがフィクション味を感じさせるのに、コメディととるには生々しくてドロドロしすぎている面もあるところが気に入った

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    2021年01月20日
  • ママがやった

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    物語はつまりは、人間を描くことで、そのためには、その人間を理解してそして、描写することが必要で、それらをあまりにも見事に、しかもさりげなく、迷いなく、バッサリと、その潔さにドキドキしながら読みました。この作者の著者は、好き嫌いが分かれるかも。私はもう、ものすごく好き。

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    2020年11月25日
  • ズームーデイズ(小学館文庫)

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    この本を読んでいたとき、私も同じような状況に置かれていたから胸が痛い程気持ちが解ってしまって切なかった。まるで私の事を書いているのではと思った。ダメダメなのは解ってる。でも気持ちがどうにも止められなくなって結局駆け出してしまう。このどうしようもない人間臭さを否定も肯定もしない淡々とした文章で表現している事によって慰められているようにさえ思ってしまう。淡々としながら少し気だるい文章が井上荒野さんだなぁとしみじみ。

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    2020年11月09日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    ネタバレ

    面白くてあっという間に読んでしまった。
    穏やかな老夫婦のもとに、人を殴るのが気持ちいいというヤバめの若者が家事手伝いに来る段階で、どうか相互に良き影響を与える話であってくれ…と祈った。
    実際はどうだろう、若者は詐欺まがいのことをし関係は崩壊するが、老夫婦は困難を解決できたことで自分に自信を取り戻し生活は活性化した。
    若者の方も、たまたま気持ちがそっちに振れて悪事をしてしてしまっただけで、多分もうああいうことはしないんじゃないか。

    老夫婦、50万円を詐欺られそうになった時に子供に相談しないし若者の身元を調べようともしないし悪手を打ってばかりで、これを回避できたのは本当に運がよかっただけなんだけ

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    2020年10月02日
  • その話は今日はやめておきましょう

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    人生の終盤、老いの現実に揺らぐ夫婦と、身の振り方が定まらず迷える20代半ばの青年との関わり。

    どの年代もそれぞれの葛藤がありますね。

    会う度に小さくなる私の父母が、肩寄せあってふたりで暮らしていることを想いながら読みました。

    穏やかな老後の生活につむじ風がたったくらいの、何気ないストーリーです。それをこんなにも豊かに描きあげているのは素晴らしい。

    老夫婦の心の機微、その形容しがたい心の細やかな動きを、身を置く場所、会話、見るもので表現しています。
    丁寧な書き筋に、品の良さを感じる作品でした。

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    2020年08月17日
  • 夢のなかの魚屋の地図

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    著者初のエッセイ集。
    最初の荒野さんのご家庭は一家に小説家が二人いるご家族ですが、お父様の決まり文句は「うちでは文学の話なんか一切しませんよ」だったそうですが、それでも、そういうご家庭ならではのお話もあり大変面白かったです。
    荒野さんが書けなかったときに、お父様に薦められた小説だというトルーマン・カポーティの『夜の樹』は私も積んでいるのでそのうち読みたいと思いました。
    直木賞受賞作の『切羽へ』の「切羽」というのが妹さんの名前でもあったというのは初耳でした。
    「日本女性の美しさ」が依頼されたテーマだったエッセイに、お母様のことを書かれたのは、読んでいて大変頷ける話だと思いました。

    そして後半は

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    2019年10月27日
  • リストランテ アモーレ

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    「アモーレ」という目黒にある小さなリストランテ。
    そこのシェフである杏二と偲の姉弟。
    女たらしの杏二目当てにやってくる客たち。

    本日のメニュー1から11まで美味しそうな料理と客たちのおりなすお喋り。
    沙世ちゃんという、杏二に積極的にアピールをしながら、会社の上司や同僚の男性を連れてくるちょっとわがままな子。
    いつも、一人できて、杏二に話しかけられるのを待っている初子ちゃんというおとなしい子。
    偲が想っているのが、公然の秘密となっている杏二の元先輩シェフの松崎さん。
    姉弟の母親は亡くなっていますが、時々現れる二人の父親。
    後に松崎さんと婚約したリコという陽気な青山のセレクトショップで働く女性も

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    2019年10月15日
  • 切羽へ

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    第139回直木賞受賞作。
    離島の小学校の養護教諭の麻生セイ31歳がみた、1年間の島の様々な人間模様。

    セイは島の診療所の医者だった父の娘で、一度は東京に出たこともありますが、今は両親は亡くなって、画家である幼ななじみの三歳年上の夫の陽介と二人で暮らしています。
    島で一つきりの学校である小学校に勤めています。

    同僚の教師月江は、生まれも育ちも東京ですが、五年前から島にいます。月江は独身ですが、妻のある愛人が本土にいて、本土さんと呼ばれるその人は時々、島に月江に会いにやってきます。そのロマンスは島民、全部が知っています。

    小学校の生徒は9人で、教師は他に校長先生と教頭先生だけです。
    そこへ、

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    2019年10月05日
  • 静子の日常

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    今までに読んだ、井上荒野さんの作品とはガラッと違った雰囲気の、カラッとした明るい作品です。
    タイトル通り淡々とした75歳の宇陀川静子の日常が、日毎の季節を拾いながら、スケッチのように描かれています。

    静子は夫の十三に先立たれて、息子の愛一郎、嫁の薫子、孫の高校一年生のるかの四人家族です。
    週に2回フィットネスクラブのスイミングスクールに通っています。
    そこでの、人間関係は、孤立して仲間がいないわけではありませんが、皆とくっついて噂話に、乗っていったりは、決してしません。
    家庭では、息子の浮気をかぎつけて、嫁との仲を修復するために、パソコンを習いに行き、こっそり作戦を立てたりします。(ここは、

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    2019年10月01日
  • 猫が見ていた

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    ジャケットの猫の目にやられた猫アンソロジー。
    短編が7作並んでいるけど、気に入ったのは柚月裕子さんの「泣く猫」だな。猫が脇でいい仕事をする。
    あと、「100万回生きたねこ」が感動の書なのか、絶望の書なのかは深いテーマだ。
    最後の猫小説傑作選も、また読まなきゃいけない本を増やしてくれる。

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    2019年01月20日