井上荒野のレビュー一覧
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著者初のエッセイ集。
最初の荒野さんのご家庭は一家に小説家が二人いるご家族ですが、お父様の決まり文句は「うちでは文学の話なんか一切しませんよ」だったそうですが、それでも、そういうご家庭ならではのお話もあり大変面白かったです。
荒野さんが書けなかったときに、お父様に薦められた小説だというトルーマン・カポーティの『夜の樹』は私も積んでいるのでそのうち読みたいと思いました。
直木賞受賞作の『切羽へ』の「切羽」というのが妹さんの名前でもあったというのは初耳でした。
「日本女性の美しさ」が依頼されたテーマだったエッセイに、お母様のことを書かれたのは、読んでいて大変頷ける話だと思いました。
そして後半は -
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「アモーレ」という目黒にある小さなリストランテ。
そこのシェフである杏二と偲の姉弟。
女たらしの杏二目当てにやってくる客たち。
本日のメニュー1から11まで美味しそうな料理と客たちのおりなすお喋り。
沙世ちゃんという、杏二に積極的にアピールをしながら、会社の上司や同僚の男性を連れてくるちょっとわがままな子。
いつも、一人できて、杏二に話しかけられるのを待っている初子ちゃんというおとなしい子。
偲が想っているのが、公然の秘密となっている杏二の元先輩シェフの松崎さん。
姉弟の母親は亡くなっていますが、時々現れる二人の父親。
後に松崎さんと婚約したリコという陽気な青山のセレクトショップで働く女性も -
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第35回織田作之助賞受賞作。
72歳の大楠昌平と69歳のゆり子の老夫婦。
昌平が事故に遭い怪我をして、通院のためにサイクルショップで偶然出会った26歳の青年石川一樹に、お金を払い、車で送迎を頼むことに。
ついでに、家の中の掃除や庭の手入れなども頼みますが、一時は隣家の住人に勝手に切られた植木に対して文句を言ってくれた一樹に対して頼もしい気持ちや親しみを覚えますが、次第に一樹によって家の中は不穏な空気に包まれていきます。その時のゆり子や昌平の不安感が上手く描かれていました。
人は老いてくると若さというものを頼りにしていたのが、形勢が変わってしまえばすぐにも恐怖にさえなってしまうのですね。老い -
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第139回直木賞受賞作。
離島の小学校の養護教諭の麻生セイ31歳がみた、1年間の島の様々な人間模様。
セイは島の診療所の医者だった父の娘で、一度は東京に出たこともありますが、今は両親は亡くなって、画家である幼ななじみの三歳年上の夫の陽介と二人で暮らしています。
島で一つきりの学校である小学校に勤めています。
同僚の教師月江は、生まれも育ちも東京ですが、五年前から島にいます。月江は独身ですが、妻のある愛人が本土にいて、本土さんと呼ばれるその人は時々、島に月江に会いにやってきます。そのロマンスは島民、全部が知っています。
小学校の生徒は9人で、教師は他に校長先生と教頭先生だけです。
そこへ、 -
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今までに読んだ、井上荒野さんの作品とはガラッと違った雰囲気の、カラッとした明るい作品です。
タイトル通り淡々とした75歳の宇陀川静子の日常が、日毎の季節を拾いながら、スケッチのように描かれています。
静子は夫の十三に先立たれて、息子の愛一郎、嫁の薫子、孫の高校一年生のるかの四人家族です。
週に2回フィットネスクラブのスイミングスクールに通っています。
そこでの、人間関係は、孤立して仲間がいないわけではありませんが、皆とくっついて噂話に、乗っていったりは、決してしません。
家庭では、息子の浮気をかぎつけて、嫁との仲を修復するために、パソコンを習いに行き、こっそり作戦を立てたりします。(ここは、 -
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ネタバレ75歳の静子さんにすっかり心酔
人が決めたことについてはそうでもないが、
自分で決めたことはぜったいに守る。
それは静子の信条である。
静子は=それも、信条のひとつとして=後悔はしなかった。
でも、後悔しない人生は、正しい人生というわけではないわね、と考えた。
全然泳げなかったのに、フィットネスクラブに通い
水泳教室で、25m泳げるようになり、
まるでおバカな子にあてたような張り紙
たとえば、「悪口を言うのはやめましょう」とか
その張り紙に、こっそりと付箋に「バカ?」と書いて貼るとか
自分の考えと信条で、判断して行動し発言できる
とても可愛く素敵な静子さん
お嫁さんの薫子さんも、息子の愛