あらすじ
男ぐるいの女がひとり、死の床についている。その名は艶。夫・松生は、かつて妻子を捨て艶と出奔したのだった。艶の危篤を、彼女が関係した男たちへ告げずにはいられない松生。だがその報せは、彼らの妻、娘、恋人、愛人たちに予期せぬ波紋を広げてゆく。平穏な人生に突然割り込んできた女の存在によって、見知った男が別の顔を見せはじめる。一筋縄ではいかない男女の関係を描く恋愛長編。
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Posted by ブクログ
ざらざらと何かが引っかかるような、なんとも言えない読後感を味わうのは初めて。少し前に流行った『イヤミス』とも異なる。
…多分、三十代後半の今だからこそ(うわ、面白い)と思えたのだと思う。
目の前がぐらぐらするような展開は決してないのだけれども、どの章にも不思議な爽快感があった。
個人的には、艶を看取った看護師がすき。
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行間を読むことに慣れてない自分には、はじめは女性がただただ怖い生き物にしか感じない小説だった。
ただ最後まで読むと印象が一変する。涙が出てきさえする、そんな人間味溢れる一冊だ。
こんなに息が詰まる本は初めて読んだ。ただ、また数年後に読んでみたいと思う本だ。
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自分はここまでは行ってない、という安心感、似たような気持ちを抱えながら平凡に生きていることの焦燥感…。またしても荒野を読んでしまうのは、そんなことを味わいたいからかなあ?
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井上荒野先生の小説が読みたくて、映画化されている小説なので読んだ本。井上先生の著作で初めて読んだ本。共感できるキャラクターや好きなキャラクターがほとんどいなかったので、あまり作品の中に入り込めなかったが、松生艶の描き方がプロの作家じゃないとできないやり方だと思った。井上先生の別の作品も読みたいと思った。
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オムニバス形式ものが好きなので、みんなが直接でなくとも艶につながっているのが面白かった。
ラストだけ松尾(男)の話。もうただの執着というか…。こういう人っているな。映画も見てみたい。
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次から次に男を翻弄する女、艶。彼女が死の淵に立たされたとき、夫は艶と関わった男たちにそれを知らせようとする。男たち目線ではなく、男の周りの女たちの目線で物語がすすんでいったのが印象的。艶目線では一言も物語は語られてないのに、艶にすごい存在感を感じたのは筆者の文章力なのかも。夫、松生の章ではどんな情念が語られるのかと思ったけど本人は至って淡々と忙しい日々に流されるように生きていて、はたから見れば波乱万丈な人生も本人たちからすると意外と淡々と日々が流れていってるのかもと思わされた。
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死の床についている女「艶」
男に奔放な人生を送った彼女と
過去に関わりがあった男たち。
そのまわりの女たち
淡々とした文章とセピア色の光景が
かえって人間らしさを醸し出す作品
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大人の男と女の連作短編小説。
謎めく艶という女性でつながる登場人物たち。
艶の存在が少しずつ色濃くなるにしたがって、面白さが減ってしまったように思う。
が、危ういバランスの男と女の話は、なかなかに楽しい。
Posted by ブクログ
映画は観てないのでなんともいえないが、原作読む限りではそれほどでもないような。
一話短編と思えばよいのかもしれないが、全体としてどういう風に落とし込むのかと最後まで期待してたが、不完全燃焼は否めない。
様々な女の生き方、考え方が出てくるが、それが艶に関連させていくにはちょっと無理があるような気がした。
Posted by ブクログ
容姿が美しく、男性を異常なほど求める艶という名の女。艶の現在の夫である松生は、艶と関係してきた男たちに、艶が死の間際にいることを伝え、それを知った彼らの妻であったり愛人や恋人の心情の動き等を書いた物語。他の人物が回想することで艶という女性の個性を表現しているため艶がどのような女性なのかいろいろ思考させられてしまう。自分の読解力がないからか、経験不足だからなのかしりませんが、一つひとつの話がこれで終わり?というように感じてしまった。しかし話自体はおもしろく、読み進めていくうちにどんどん引きこまれていった。
Posted by ブクログ
死にゆく艶と関わった人達の話。
暗い。
いろいろあった女とはいえ晩年が辛いな。
自業自得と言ってしまえばそれまでだけど。
井上さんの小説に嘘はないとは思うけど
共感できるかは別だ。
Posted by ブクログ
死の床についている男ぐるいの女性、艶とそれに関わる女性たちのお話
艶と直に関わるのはもちろん男性ですが、それぞれの男性というフィルターを通して見える艶は女性なら気にしたくないの気にせずにはいられない存在だと思います
艶と関わるどの女性も現実と向き合うことを避けているところがあり、
本能に従って現実を生きている艶に心を揺さぶられるのかな?と思ったり
“他人を傷つけるとかこの世から消し去ってしまうとか、そんなひどいことをするにはそれに見合う分量の思いや感情が必要なはずだ”
誰かを傷つける自分では、自分を愛せなくなるから嫌だという自己愛もあるかもしれない
映画化されますが大竹しのぶさんの役、本当にハマリ役だと思います
Posted by ブクログ
つやに関わった人のいくつかのお話。
映画化ということで読んでみました。
艶が全然出てこないので、どういう形で繋がっていくのかなぁと思いながら読みましたが、艶目線でのお話は、いつくるのか・・・と思っているうちに終わってしまった。
この不思議な感じが、この本の魅力なんでしょーかね。