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男ぐるいの女がひとり、死の床についている。その名は艶。夫・松生は、かつて妻子を捨て艶と出奔したのだった。艶の危篤を、彼女が関係した男たちへ告げずにはいられない松生。だがその報せは、彼らの妻、娘、恋人、愛人たちに予期せぬ波紋を広げてゆく。平穏な人生に突然割り込んできた女の存在によって、見知った男が別の顔を見せはじめる。一筋縄ではいかない男女の関係を描く恋愛長編。
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Posted by ブクログ
行間を読むことに慣れてない自分には、はじめは女性がただただ怖い生き物にしか感じない小説だった。 ただ最後まで読むと印象が一変する。涙が出てきさえする、そんな人間味溢れる一冊だ。 こんなに息が詰まる本は初めて読んだ。ただ、また数年後に読んでみたいと思う本だ。
自分はここまでは行ってない、という安心感、似たような気持ちを抱えながら平凡に生きていることの焦燥感…。またしても荒野を読んでしまうのは、そんなことを味わいたいからかなあ?
オムニバス形式ものが好きなので、みんなが直接でなくとも艶につながっているのが面白かった。 ラストだけ松尾(男)の話。もうただの執着というか…。こういう人っているな。映画も見てみたい。
次から次に男を翻弄する女、艶。彼女が死の淵に立たされたとき、夫は艶と関わった男たちにそれを知らせようとする。男たち目線ではなく、男の周りの女たちの目線で物語がすすんでいったのが印象的。艶目線では一言も物語は語られてないのに、艶にすごい存在感を感じたのは筆者の文章力なのかも。夫、松生の章ではどんな情念...続きを読むが語られるのかと思ったけど本人は至って淡々と忙しい日々に流されるように生きていて、はたから見れば波乱万丈な人生も本人たちからすると意外と淡々と日々が流れていってるのかもと思わされた。
死の床についている女「艶」 男に奔放な人生を送った彼女と 過去に関わりがあった男たち。 そのまわりの女たち 淡々とした文章とセピア色の光景が かえって人間らしさを醸し出す作品
大人の男と女の連作短編小説。 謎めく艶という女性でつながる登場人物たち。 艶の存在が少しずつ色濃くなるにしたがって、面白さが減ってしまったように思う。 が、危ういバランスの男と女の話は、なかなかに楽しい。
映画は観てないのでなんともいえないが、原作読む限りではそれほどでもないような。 一話短編と思えばよいのかもしれないが、全体としてどういう風に落とし込むのかと最後まで期待してたが、不完全燃焼は否めない。 様々な女の生き方、考え方が出てくるが、それが艶に関連させていくにはちょっと無理があるような気がした...続きを読む。
容姿が美しく、男性を異常なほど求める艶という名の女。艶の現在の夫である松生は、艶と関係してきた男たちに、艶が死の間際にいることを伝え、それを知った彼らの妻であったり愛人や恋人の心情の動き等を書いた物語。他の人物が回想することで艶という女性の個性を表現しているため艶がどのような女性なのかいろいろ思考さ...続きを読むせられてしまう。自分の読解力がないからか、経験不足だからなのかしりませんが、一つひとつの話がこれで終わり?というように感じてしまった。しかし話自体はおもしろく、読み進めていくうちにどんどん引きこまれていった。
初の井上荒野。 すらすら読めたが、何とも不完全燃焼気分。 男性陣、全員魅力なし。 別な作品に期待!
死にゆく艶と関わった人達の話。 暗い。 いろいろあった女とはいえ晩年が辛いな。 自業自得と言ってしまえばそれまでだけど。 井上さんの小説に嘘はないとは思うけど 共感できるかは別だ。
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