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没後十数年たっても愛され続ける作家・井上光晴。その生涯は多くの謎に包まれていた。旅順生まれ、炭鉱での労働経験、それらはすべて嘘だった。何事もドラマチックに仕立てなければならない、「全身小説家」井上光晴の素顔とは? そして、ガン闘病の真実。小説家・井上荒野が父の魅力のすべてを書きあげる。
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Posted by ブクログ
井上光晴氏の本は読んだ事がないのだけれど、作家である娘さんに書いてもらえた事は幸運であるのではないかと思う。 しかも、付き合った男子達に『君はファザコンだね』みたいに言われてしまう荒野さんである。 非常に興味深かった。 作家の家というもののひとつの形態を見た気がする。
作家の父を持つというのはどういうことかがよくわかる本だった。 荒野さんの小説はだいたい読んだことがあるが、光晴さんの本は 読んだことがなかった。今度読んでみようと思った。 娘の目から父がどのような人物であったか、娘に対してどのように 接していたのか、接し方に戸惑っていたのか、そういうものが...続きを読む 暖かな目線で書かれていて非常に面白かった。 父のいんちきな話を家族全員疑いもしない家風とか、そういう 家族という普通のようでいてどの家庭も普通でない感じが とても上手に説明されていた。父であるけれど、時たま 父ではなく一個人の男という気配を無防備にさらけ出して しまう父に対しての娘の戸惑いとか、さすが小説家だけ あって娘が父のことを書いただけの小説なんだけど、 最後まで面白く読めた。そして父・井上光晴にとても興味を持った。 小説家という特殊な人間をほかの視点から見てとらえる文章が 好きだが、これはそういう文章の中でも特に面白かった。
井上荒野さんの父である光晴氏が妻や子達に語って聞かせた生涯は、大抵嘘であるということが光晴氏が亡くなってからわかっても、おどけた風に一言いう家族がなんだかほほえましかった。荒野さんの小説は折に触れて読んでいるが、光晴氏の本は読んだことがないので、そこが感想を語るにあたって残念である。機会があったら詩...続きを読む集など読んでみたくなった。
単なる父の思い出ではなく、彼女なりの咀嚼と表現がなされた作品。井上光晴がどんな人なのか知りたく手に取ったが、彼女の文章を読むとその父がどれほどの能力を持っているか想像できる。
以前にんだ「もう切るわ」の歳さんは光晴氏だな、と思いながら読みました。’もう切るわ’の言葉の意味もわかるので、両方読むのがお勧めです。
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