井上荒野のレビュー一覧
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不倫関係にあったという作家の井上光晴と瀬戸内晴美(寂聴)。井上の実娘である著者が、自身の母を含めた三角関係を描いている。
物語は時系列で、愛人みはると妻笙子の視点から交互に作家白木篤郎との日々が語られる。とにかく篤郎の女性関係のだらしなさ、無神経さに呆れてしまう。今でいうなら一種の発達障害ではないか。妻は内心穏やかではなかったと思うが、淡々と受け止めて家族として変わらぬ生活を続ける。
やがてみはるは、不倫の清算のため出家を決意。最後に一緒に風呂に入り、髪を洗ってもらう別れの場面は美しく、この物語のハイライトだろう。それを男の娘が書いていると思うと胸がふさがれる。
後年は、みはると笙子は妻と愛人という葛藤を超えて、ある意味友人のようなふしぎな関係になっていく。
これまでに何冊か読んだ著者の小説では、肩すかしみたいな感想を抱くことが多かったが、今回は一番良かった。ラストも良かった。
自分の両親と文壇の大御所。悪し様には書けないだろうし、キレイごとになってる感はあるが、それでも並々ならぬ覚悟で向き合ってる迫力が伝わってきた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女子特有の嫌なイジメ。
有夢、ようこが主な語り手だが合間に担任教師や父親、いじめのリーダー、海の母親が語り手の部分もある。教師や父親はやはり違和感も分かっているがそれを見ないふりをしているのが語り手の時に分かる。いじめのリーダーは根本的な容姿も経済力も恵まれてる。だからこそ孤独な感じ。
海の母親は働き場の老後施設でいじめにあっている人と自分の娘を重ねていつか居なくなってしまうかもしれない不安を抱えながら、自分なりに向き合う改善方法をみつける。
どこの場所にも人を虐めることで自信を得たり自分の孤独を埋めたりする人がいる。
大人が子どもにイジメはダメですよいけないことですよって言ってても大人だってやっているんだからそりゃ無くならんよな、大きく言えば戦争がなくならないのと一緒なんだなって。
人間は他人より上であることに快楽をえてるから。
その中で支え合える人間を、手を取り合える人を。逃げていい。逃げて絶対にそんな奴らに捕まってはいけないと強く思った本だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々にミステリーじゃないものを読んだ。
状況は違えど、恋愛のことで悩んでる同士だと「どちらの方が不幸なのか」と比べてしまうけど、最後どうなるかはわからないなあと。
マリの気持ちはすごくわかった。今一緒にいる相手のことほんとに嫌いなはずで浮気もするけど、それは相手は自分のこと嫌いじゃないだろうとどこかで信じたいからそうしてしまう。慣れから嫌いになって、いざ手を離れるとなると惜しくなる。終わりが近づくにつれて今こう言えば終わらないかもと思うけど、もう遅いこともわかっているし、今まで嫌いだったぶんの意地も張ってしまう。そんな感じなのかなと、自分と重ねて考えてしまった。
マリの気持ちにすごく入ってしまったぶん、実日子には少しイラついた。確かに最愛を人を亡くすというのは辛く悲しいことで、次に好きな人が出来たとしても必ず最愛の人を思い出してしまうから、余計に辛いのはわかる。まだ身近な人の死を経験してないからかもしれないけど、どこか他人事のように感じてあんまり感情移入はできなかった。