寺地はるなのレビュー一覧
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遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く老若男女を描いた連作短編集。
アトラクションのキャストをはじめ、清掃のスタッフ、園芸スタッフ等、様々な仕事をする人々が主人公となって描かれている。
読む前の時点で遊園地で働く人々を描いた作品だということは知っていたつもりだった。
けれど読み進めるうちに、自分はアトラクションのキャストのみをイメージしていて清掃や園芸のスタッフの物語を想定していなかったことに気づいた。
仕事内容だけでなく、働く人々の背景も様々であることが描かれている。
この作品で特徴的だと思ったのは、それぞれの背景や思いを他の登場人物に吐露するような場面が少なかったこと。
それぞれの思い -
Posted by ブクログ
一見とても歪な羽猫家の物語。いわゆる「家族」のイメージとはかなりずれる。でも、やっぱりこれは「家族」の物語だった。これこそかもしれない。
家族だって、個の集まり。何でもかんでも同じ方向向いて足並み揃えてなんていけばいいけどそう簡単にはいかない。
家族だから分かりあえるなんて、愛せるなんて、確定してるものじゃない。
それを、受け入れること、認めること。
家族って、それでいい。
みんな、必死に生きてるんだ。「あー、あの人の頑張りはそっちなんだな…」くらいでいい。
みんなで、「おう、お互いよくここまで頑張ったよね」でいい。
それで十分家族だ。
まあさ、気になるけどね。家族だから。
でも無理に形を整 -
Posted by ブクログ
たった一人の出会いとその人からのコトバで救われることがある。
ココロが疲れている時ほど、気付けたり染みたりするコトバがある。
流れるように過ごしてしまう忙しい日々。
この本を読んで、今日一日に向き合うこと、自分を大切に過ごすこと。
それが明日の自分につながることを感じた。
自分の居場所は自分で創る。一生懸命に生きてると必ず応援してくれる人や助けてくれる人に出逢い、気づけば居場所ができていた碧。
それは簡単なことでなく必死に、辛い気持ちや不安も全部抱えながらのこと。
だからこそ、逞しく強くなっていく。
そういう人は魅力的だし、そういう人生は豊かだと思った。
読み終えて希望と活力が湧く本だっ -
Posted by ブクログ
”生を全うすることが最も重要な仕事”
仕事に行き詰まっていて手にした1冊。
これ!といった閃光が走るような答えは無かったけど、そんなに頑なにちゃんとしなきゃ!とか失敗したらアカン!とか思い詰めて自分のことをがんじがらめにしなくていいのかな?って。
誰かみたいにはなれないし、ならなくていいし、求められてる姿を演じる必要もない。自分が好きとか楽しいとかコレ!って思える石ころをかき集めて光に照らして輝かせて眺めて、綺麗だなあ〜って幸せを感じられたらそれでいいんだと思ったらちょっとだけシンドさが和らいだような気がする。
ひらパーにも一度行ってみたいな。 -
Posted by ブクログ
誰かの日常が誰かの人生に繋がっていると感じる物語。ひとりひとりの抱えている課題や感情に何かしらの共感を抱く。人って自分のことしか見れていなくて、自分のフィルターでしか人を判断できなくて、それが″思い込み″という厄介な判断軸になってしまう。
個人的に、本書に出てくる小さな子どもが昔の自分みたいで微笑ましさと同時に目が潤む。他の子どもたちと同じように出来ない自分。幼いながらに自分は自分で悩んでいたけれど、同時に両親には心配をかけていたんだなぁ。
今の自分は不器用ながら何とか楽しく生きている。それは自分が誰かの日常と混ざり合いながら、少しずつ変化してきた証だと感じた。
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Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった!
めっちゃ好きな終わり方!
まずはそんな心の叫びで。
色々な人が登場します。
そしてゆるゆると繋がります。
このパターン、好物です。
そして安直な方向に行かないあたり、リアリティがありぐっときます。
ラストシーン、大好きです。
良い人ばかり出てくる訳ではありません。
うんざりするお母さんや夫に自分の身上を重ねる事もしばしば。
でも不思議とスッキリしました。
着ぐるみの「あかつきん」はずっと出てはくるものの、あかつきんが主役という訳ではなく、結局は各々が各々で主役なんだと思います。
ティッシュ配りの男の子のお姉さん、幸せになって欲しい。