寺地はるなのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読み進めるほど、心が締め付けられていく。登場人物の抱える課題が次々と浮き彫りになると同時に、その痛みや葛藤が自分自身にも突き刺さってくる。
人間には誰しも、良い面と悪い面がある。本来は混ざり合っているはずなのに、それを二極化させてしまうこと自体が、苦しみを生んでいる。自分にはグレーを許せるのに、なぜか他人には理想像を押し付けてしまう。それも無意識に。
芦田愛菜さんが、「その人自身を信じているのではなくて、『自分が理想とする、その人の人物像みたいなものに期待してしまっているのかな』と感じて〜(略)」と語っていたけれど、この小説はまさにそれを物語に落とし込んだようだ。
相手に期待してしまうこと -
Posted by ブクログ
自分も察することって苦手だなと思って本を読み始めたけど、主人公とは違うタイプかもと思った。私の場合、ただ勘が悪いだけだけど、主人公は深く考えた上で(無意識のうちに)そうなっている。もともとの性質であり、生きる術でもある感じがした。同じ苦手でも、そこに行き着く理由が違うのは、スポーツや絵だけでなく性格もなんだなーと思った。
主人公と私は、察することをしない深度も違う。主人公は言われたことをやる、それ以外は(主人公のサービス精神が働くとき以外)やらない、ときっぱりしているところが、尊敬もありつつ、同じコミュニティにいたら上手くやれないのかもしれないと思った。自分は案外、暗黙の了解みたいなところを -
Posted by ブクログ
ほたるいしマジカルランドの社員、社長のお話。それぞれに闇を抱えている感じ。
でも、いま、季節柄、退職代行サービスのニュースをよく見るけれども、サービスされてしまう企業の方にぜひ読んでほしいと思った。売店のおばちゃん上がりの(まるで某ホテルの会長のような)社長が社員を見ているからこそ言えたことば。(引用参照)
大阪北部の蛍石市にある「ほたるいしマジカルランド」は、願いごとを叶えてくれるという噂のあるメリーゴーラウンドが人気の老舗遊園地だ。ここで働くのは、どこか不器用で悩みを抱えた人ばかり。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフに花や植物の管理。お客様の笑顔のために奮闘する従業員 -
Posted by ブクログ
羽猫家はとても不思議な家族である。
祖父は夢見がちでとても自由に生きている。
祖母は適当な嘘をつくようではあるが、観察力はいちばんあって人を見抜く。
父は浮気ばかりしている。
母は心がこの世に留まっていない。
2人の子どもの紅と山吹は、いつも誰かがいない家で成長していく。
父と母のすれ違いは、紅と山吹のあとに生まれた青磁が4歳で亡くなってからだ。
現実を見るように言う紅と優しい嘘をつく山吹。
そんな我が子のことをわかっているのに愛情を向けない父や母。
残酷でありながらも悲惨さを感じないのは何故なのかと。
普通ではない家族のようで、だけど落ちていくほどではない…表現し難い家族である。
大人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
すぐそこにある日常のお話だからこそ、寺地さんの小説を読んだあとには必ず、自分の価値観や視点にほんのわずかなようで大きな変化がある。変化というか、知っていたはずなのに忘れていたことを思い出させてくれるような感じだ。
周りに馴染むように、いじめられないように、「普通」が正しいと思って生きてきた。
私は普通に生きることが得意だと思っていたし、苦痛ではなかった。それなりにいろいろなことができて、怒られることは滅多になかったし、褒められることも多かった。だけど、大人になってから、苦しくなった。自分は何者でもなくて、なににもなれない。何もかも中途半端で、いつの間にか普通の社会人として生きることもできな