寺地はるなのレビュー一覧

  • カレーの時間

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    ネタバレ

    孫である主人公からはどうしようもない老人に映る小山田義景という人間の生涯が、回想により徐々に実体を持って明らかになる構成に引き込まれた。
    読者は双方の考え方や生き方に共感や理解を覚えるが、当人同士は最後まで分かりあうことがなく、すれ違いを抱えたまま終わるのも良かった。
    お互いにわだかまり無く和解するという物語を予想していたが、清々しいまでに裏切られ、家族とはいえ実際のところは他人だよなぁ、という人間関係のやるせなさに、物語の美しさを感じた。

    そしてやはり、読後はカレーが食べたくなる、そんな一冊でした。

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    2025年08月16日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    読み進めるほど、心が締め付けられていく。登場人物の抱える課題が次々と浮き彫りになると同時に、その痛みや葛藤が自分自身にも突き刺さってくる。
    人間には誰しも、良い面と悪い面がある。本来は混ざり合っているはずなのに、それを二極化させてしまうこと自体が、苦しみを生んでいる。自分にはグレーを許せるのに、なぜか他人には理想像を押し付けてしまう。それも無意識に。

    芦田愛菜さんが、「その人自身を信じているのではなくて、『自分が理想とする、その人の人物像みたいなものに期待してしまっているのかな』と感じて〜(略)」と語っていたけれど、この小説はまさにそれを物語に落とし込んだようだ。

    相手に期待してしまうこと

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    2025年08月13日
  • 雨夜の星たち

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    面白かったですよ。特徴的な主人公がいます。
    激情的なことはないです。
    人の距離感とかがテーマかも。

    老人の病院送迎や、入院患者の見舞い代行という仕事をされてる人が主人公です。

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    2025年10月13日
  • 雨夜の星たち

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    自分も察することって苦手だなと思って本を読み始めたけど、主人公とは違うタイプかもと思った。私の場合、ただ勘が悪いだけだけど、主人公は深く考えた上で(無意識のうちに)そうなっている。もともとの性質であり、生きる術でもある感じがした。同じ苦手でも、そこに行き着く理由が違うのは、スポーツや絵だけでなく性格もなんだなーと思った。

    主人公と私は、察することをしない深度も違う。主人公は言われたことをやる、それ以外は(主人公のサービス精神が働くとき以外)やらない、ときっぱりしているところが、尊敬もありつつ、同じコミュニティにいたら上手くやれないのかもしれないと思った。自分は案外、暗黙の了解みたいなところを

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    2025年08月08日
  • ほたるいしマジカルランド

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    ほたるいしマジカルランドの社員、社長のお話。それぞれに闇を抱えている感じ。
    でも、いま、季節柄、退職代行サービスのニュースをよく見るけれども、サービスされてしまう企業の方にぜひ読んでほしいと思った。売店のおばちゃん上がりの(まるで某ホテルの会長のような)社長が社員を見ているからこそ言えたことば。(引用参照)
    大阪北部の蛍石市にある「ほたるいしマジカルランド」は、願いごとを叶えてくれるという噂のあるメリーゴーラウンドが人気の老舗遊園地だ。ここで働くのは、どこか不器用で悩みを抱えた人ばかり。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフに花や植物の管理。お客様の笑顔のために奮闘する従業員

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    2025年08月05日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    羽猫家はとても不思議な家族である。

    祖父は夢見がちでとても自由に生きている。
    祖母は適当な嘘をつくようではあるが、観察力はいちばんあって人を見抜く。
    父は浮気ばかりしている。
    母は心がこの世に留まっていない。
    2人の子どもの紅と山吹は、いつも誰かがいない家で成長していく。

    父と母のすれ違いは、紅と山吹のあとに生まれた青磁が4歳で亡くなってからだ。
    現実を見るように言う紅と優しい嘘をつく山吹。
    そんな我が子のことをわかっているのに愛情を向けない父や母。
    残酷でありながらも悲惨さを感じないのは何故なのかと。
    普通ではない家族のようで、だけど落ちていくほどではない…表現し難い家族である。

    大人

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    2025年08月03日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    ネタバレ

    ど田舎を舞台とした人々の連続短編集。
    主人公の翼から始まり、お隣さん、親友、母親、同僚…とさまざまな人の視点から描かれている。

    最初はヒューマン系特有の感動させようとしてる雰囲気が微妙かもと思っていたが、登場人物の性格を読者側が理解するにつれて楽しめる仕様。
    読後に「うわー、この章が良かったな」っていうのはぶっちゃけ無いんだけど、でも読んだことを後悔するような作品では無い。
    おそらく、田舎特有の噂が一瞬で巡る閉鎖的なところとか、亭主関白的な前時代的なものの考えとかに妙な納得感があって読み進めてしまうのだと思う。

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    2025年08月01日
  • ガラスの海を渡る舟

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    ネタバレ


    すぐそこにある日常のお話だからこそ、寺地さんの小説を読んだあとには必ず、自分の価値観や視点にほんのわずかなようで大きな変化がある。変化というか、知っていたはずなのに忘れていたことを思い出させてくれるような感じだ。

    周りに馴染むように、いじめられないように、「普通」が正しいと思って生きてきた。
    私は普通に生きることが得意だと思っていたし、苦痛ではなかった。それなりにいろいろなことができて、怒られることは滅多になかったし、褒められることも多かった。だけど、大人になってから、苦しくなった。自分は何者でもなくて、なににもなれない。何もかも中途半端で、いつの間にか普通の社会人として生きることもできな

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    2025年08月01日
  • わたしたちに翼はいらない

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    前に読んだこの著者の本と同じく不思議な雰囲気の話でした。最初は誰が誰なのかよく分からず、さほど多くもないのに登場人物の一覧を付けてくれよ思いながら読んでいました。復讐劇が始まってからは集中度が高まり、最初と最後の女の子3人組もその母親たちもちゃんと誰なのか分かりました。少し難しく、ストーリーや結末に納得出来ない点もありましたが途中からは一気読みでした。読後感はもやもやが残りあまり良いとは言えません。それほど目立つ子供ではありませんでしたが、私も中学生の頃が最も自分の未来を明るく感じていたと今思います。

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    2025年08月01日
  • ガラスの海を渡る舟

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    兄の台詞で、故人を忘れて前を向こうとするべきではない、その生と死にとことん向き合うべきだ。というのがとても印象に残っている。
    羽衣子にも共感しやすく、物語が一貫していて良かった。

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    2025年07月30日
  • ガラスの海を渡る舟

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    羽衣子の気持ちに共感し道の言葉にしびれました。
    みんな同じなんてことはなくて特別でふつう。
    少し息が軽くなりました。

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    2025年07月24日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    自分のことも身近な人のことも親しい人のことも本当ってなんだろう
    知る、分かる、なんて言葉では表せない

    誠実と希望の兄弟も互いのことが分からない
    弟が失踪した理由も分からないけど
    探して、分かろうと、知ろうとする
    それ自体が大事なことなのかな、と思う

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    2025年07月23日
  • ほたるいしマジカルランド

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    ネタバレ

    寺地さんの作品は、何か特別なことが起こるでもなく、何か才能をもった登場人物が出てくるでもなく、ごくありきたりな、当たり前の日常が描かれている。そして登場人物一人ひとりのきれいなだけではない心情が丁寧に描かれている。だからこそ好きなんだと改めて実感した作品だった。
    「なんのためにもならないものが、ごくあたりまえに存在する。存在することを許される。だから素敵なんじゃないか、この世界は。」すごく素敵な言葉に出会えてうれしいな。

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    2025年07月21日
  • こまどりたちが歌うなら

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    登場人物のけったくそ悪くなる描写に、ますます磨きがかかっていると思う(褒め言葉)。
    舞台は和菓子の「吉成製菓」。中途入社した茉子の視点で、それまで会社の‘前からそうやった’ことが、少しずつ変わっていく。彼女の正しさが、時にキュッと胸を苦しめる。自分が聞いたことだけで、勝手に他人のストーリーを創るのは止めようと思った。
    また、茉子の母の「フィクションがなんの役にもたたんから好きなんや」に共感。あっけらかんとしていて、憧れる。やっぱり、関西弁落ち着くわ。

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    2025年07月16日
  • わたしたちに翼はいらない

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    人生の選択や価値観について考えさせられる。
    学生時代、莉子側にも園田側にもなったことはないが、そういう人いたかな…と思わせる現実と隣り合わせの物語。
    最後の莉子と朱里のようなベタベタしない関係性が理想なのかな。

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    2025年07月14日
  • ほたるいしマジカルランド

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    ネタバレ

    遊園地で働くひとたちのそれぞれ。結局みんな仕事に誇りを持ってて、社長の人を見る目がさすがです。
    ちゃんと最後はみんないい方向に向かって終わってくれるので読後感は悪くないです。

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    2025年07月10日
  • ガラスの海を渡る舟

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    初めましての寺地はるなさん。
    素敵な表紙がこの酷暑を忘れさせてくれる。

    “普通”が出来ない兄と“特別な何か”が欲しい妹。
    祖父から譲り受けた二人が営むガラス工房でもぶつかりジレンマだらけ。
    色んな事情を抱えたお客様、周囲の温かな人々に支えられ、でも確かに成長していく不器用な兄妹を気づけば心から応援してました。

    その後の二人が気になるので、続編を期待!

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    2025年07月09日
  • わたしたちに翼はいらない

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    お互いの心のうちを勝手に決めつけて、すれ違ったり困惑したりする、そういう小説が好きで、これもまたそういう話だった。
    時間をかけて読むには少々向いてなくて、もっと一気に読めばよかった。視点が結構切り替わり、関係性を把握したまま読むべきだった。
    ありきたりの美しい結末ではなくて、もっと醜くてもいいという決意。「友だち」という関係性だけではない、もっと異なる関係性。そういうものがしっかり描かれていた。

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    2025年07月08日
  • ほたるいしマジカルランド

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    ネタバレ

    お仕事小説だけど、「この仕事大好き!!」みたいな人が出てこなくて、逆によかった。
    色んな人が仕事や家族に対して抱えている葛藤、日常の会話で得られるふとした喜び、ちょっと苦手だなと思ってた人が実はいい人だった瞬間などが丁寧に描かれている。
    自分の頑張りを誰かが見てくれているというのは意外と自分では気づかないことなので、自分にもそういう人がいてくれるといいなぁと思った。

    ひらかたパークに行ったことある人は、より楽しめるかも。

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    2025年07月08日
  • 雨夜の星たち

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    変な終わり方をしなくてよかった。自分とは全く違う生活の主人公だが、こういう見方もあるんだ。
    続編出ないかなぁ

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    2025年07月06日