寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
やわらかな水を縫うように、その人が着たい、その人を美しく見せる、その人が着ていて心地良いドレスを作れたら。
誰かのために何かをしたいと思っていても、その誰かの気持ちを汲むことは難しい。
人のことを思いやるのって難しい。
水青のために作られたドレスとそれを着た水青はどんなにか綺麗だろうと想像すると、目で見るよりも美しいものを想像できているような気がした。
でも、そんなドレスが作れたのも水青が自分の気持ちをちゃんと大事にして、それを周りに伝え続けたからだろうなと思った。
思いやりたくても、伝えてもらわないと限界がある。
諦めずに伝えようとする気持ちと、理解しようとする気持ちの両方が大切だと思った -
Posted by ブクログ
再読…
寺地はるなさんの作品では一番好き!
夫が突然失踪してしまった39歳の弓子
ずっと性欲のピークが続いていて、短いスパンで彼氏が変わる41歳の楓
たまたまアパートの隣同士ということから「ご近所付き合い的な関係」が始まる
そしてなぜか二人は、弓子の失踪した夫の姿が目撃されたという島に旅をすることになるが…
二人は正反対の性格だし、それぞれに抱えている問題も違う…
時にはハメを外してしまうこともあるけど、互いに相手に寄りかかり過ぎない、いい距離感を保っている!
「他人から際限なく引き出せるやさしさなんてないんだよ」
でも相手のピンチにはちゃんと助け合う
何なんだ?この二人は?と思うところ -
Posted by ブクログ
ネタバレ良い小説だと思うんだけど、寺地はるなブランドってのが先に立って、ちょっと期待ほど盛り上がらなかった。
なんとなく、津村記久子の小説に似ているテイストやけど、津村作品ほど振り切ってないというか…。
得体の知れない不安感(モヤヤン)にとらわれないように忙しくする、それでもとらわれたら散歩に出る。なるほど、俺も時々焦燥感とか自己嫌悪が突然噴き出してきて、どうにも身動きとれなくなりそうになるんやけど、そういう時は走ってる。大声で叫びたいけど、街中では下手すると通訪モンやしねぇ。
伊吹って女が気に入らんかったなぁ。クズ男に惚れて身を崩すのは本人の自由やけど、自分が不幸なのを免罪符に元カレ騙し打ちにす -
Posted by ブクログ
デリカシーのない発言を連発して悪びれない昭和の男の悪いとこを煮詰めたようなクソジジイの祖父と、「男らしさ」が苦手で潔癖症の孫がいっしょに暮らす物語です。
寺地さんの作品の好きなところは、許したくなかったら許さなくていい、嫌いなままでいい、他人の好意や想いを受け取らなくていい、と言ってくれるところです。
たとえ、相手の事情が分かったからといって、許せたり好きになれる訳じゃない。
他人には他人の物語があり、自分には自分の物語がある。
そして、家族だから分かり合えるなんて幻想だよねと教えてくれる。
誤解が解け憎しみ合っていた家族が最後に分かり合う…みたいな感動モノによくある大団円が訪れないことの -
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読み進めるほど、心が締め付けられていく。登場人物の抱える課題が次々と浮き彫りになると同時に、その痛みや葛藤が自分自身にも突き刺さってくる。
人間には誰しも、良い面と悪い面がある。本来は混ざり合っているはずなのに、それを二極化させてしまうこと自体が、苦しみを生んでいる。自分にはグレーを許せるのに、なぜか他人には理想像を押し付けてしまう。それも無意識に。
芦田愛菜さんが、「その人自身を信じているのではなくて、『自分が理想とする、その人の人物像みたいなものに期待してしまっているのかな』と感じて〜(略)」と語っていたけれど、この小説はまさにそれを物語に落とし込んだようだ。
相手に期待してしまうこと -
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大切な人とふたりで歩くのが幸せな人も、たくさんの人に囲まれることに喜びを感じる
人もいるだろう。でもわたしはひとりで歩くほうがいい。誰かとすれちがったら、笑顔で手を振る。そして、どうかご無事で、と祈る。
地上に降り立つと、天気予報のとおりにまばらな雨がアスファルトを濡らしていた。深く息を吸う。肺を雨の香りで満たしてから、ゆっくりと吐き出した。
晴れてよかった。人々は人生の折々でそう口にする。でも、わたしは雨の日が好きだ。 雨の雫は空から地へと降り注ぎ、やがてあつまり、川となり、海に流れつき、また空に帰に帰る。なにかが終わって、なにかがまたはじまる。傘を開いて、一歩踏み出した。
今日が、雨 -
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自分も察することって苦手だなと思って本を読み始めたけど、主人公とは違うタイプかもと思った。私の場合、ただ勘が悪いだけだけど、主人公は深く考えた上で(無意識のうちに)そうなっている。もともとの性質であり、生きる術でもある感じがした。同じ苦手でも、そこに行き着く理由が違うのは、スポーツや絵だけでなく性格もなんだなーと思った。
主人公と私は、察することをしない深度も違う。主人公は言われたことをやる、それ以外は(主人公のサービス精神が働くとき以外)やらない、ときっぱりしているところが、尊敬もありつつ、同じコミュニティにいたら上手くやれないのかもしれないと思った。自分は案外、暗黙の了解みたいなところを -
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ほたるいしマジカルランドの社員、社長のお話。それぞれに闇を抱えている感じ。
でも、いま、季節柄、退職代行サービスのニュースをよく見るけれども、サービスされてしまう企業の方にぜひ読んでほしいと思った。売店のおばちゃん上がりの(まるで某ホテルの会長のような)社長が社員を見ているからこそ言えたことば。(引用参照)
大阪北部の蛍石市にある「ほたるいしマジカルランド」は、願いごとを叶えてくれるという噂のあるメリーゴーラウンドが人気の老舗遊園地だ。ここで働くのは、どこか不器用で悩みを抱えた人ばかり。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフに花や植物の管理。お客様の笑顔のために奮闘する従業員 -
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羽猫家はとても不思議な家族である。
祖父は夢見がちでとても自由に生きている。
祖母は適当な嘘をつくようではあるが、観察力はいちばんあって人を見抜く。
父は浮気ばかりしている。
母は心がこの世に留まっていない。
2人の子どもの紅と山吹は、いつも誰かがいない家で成長していく。
父と母のすれ違いは、紅と山吹のあとに生まれた青磁が4歳で亡くなってからだ。
現実を見るように言う紅と優しい嘘をつく山吹。
そんな我が子のことをわかっているのに愛情を向けない父や母。
残酷でありながらも悲惨さを感じないのは何故なのかと。
普通ではない家族のようで、だけど落ちていくほどではない…表現し難い家族である。
大人 -
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ネタバレ
すぐそこにある日常のお話だからこそ、寺地さんの小説を読んだあとには必ず、自分の価値観や視点にほんのわずかなようで大きな変化がある。変化というか、知っていたはずなのに忘れていたことを思い出させてくれるような感じだ。
周りに馴染むように、いじめられないように、「普通」が正しいと思って生きてきた。
私は普通に生きることが得意だと思っていたし、苦痛ではなかった。それなりにいろいろなことができて、怒られることは滅多になかったし、褒められることも多かった。だけど、大人になってから、苦しくなった。自分は何者でもなくて、なににもなれない。何もかも中途半端で、いつの間にか普通の社会人として生きることもできな