寺地はるなのレビュー一覧

  • ほたるいしマジカルランド

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    ネタバレ

    寺地さんの作品は、何か特別なことが起こるでもなく、何か才能をもった登場人物が出てくるでもなく、ごくありきたりな、当たり前の日常が描かれている。そして登場人物一人ひとりのきれいなだけではない心情が丁寧に描かれている。だからこそ好きなんだと改めて実感した作品だった。
    「なんのためにもならないものが、ごくあたりまえに存在する。存在することを許される。だから素敵なんじゃないか、この世界は。」すごく素敵な言葉に出会えてうれしいな。

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    2025年07月21日
  • こまどりたちが歌うなら

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    登場人物のけったくそ悪くなる描写に、ますます磨きがかかっていると思う(褒め言葉)。
    舞台は和菓子の「吉成製菓」。中途入社した茉子の視点で、それまで会社の‘前からそうやった’ことが、少しずつ変わっていく。彼女の正しさが、時にキュッと胸を苦しめる。自分が聞いたことだけで、勝手に他人のストーリーを創るのは止めようと思った。
    また、茉子の母の「フィクションがなんの役にもたたんから好きなんや」に共感。あっけらかんとしていて、憧れる。やっぱり、関西弁落ち着くわ。

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    2025年07月16日
  • わたしたちに翼はいらない

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    人生の選択や価値観について考えさせられる。
    学生時代、莉子側にも園田側にもなったことはないが、そういう人いたかな…と思わせる現実と隣り合わせの物語。
    最後の莉子と朱里のようなベタベタしない関係性が理想なのかな。

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    2025年07月14日
  • ほたるいしマジカルランド

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    ネタバレ

    遊園地で働くひとたちのそれぞれ。結局みんな仕事に誇りを持ってて、社長の人を見る目がさすがです。
    ちゃんと最後はみんないい方向に向かって終わってくれるので読後感は悪くないです。

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    2025年07月10日
  • こまどりたちが歌うなら

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    人はひとりひとり性格も考え方も違う。でもみんな懸命に生きている。自分と他人とは違うということを心に留めて、自分の正義を人に押し付けないということを作者は言いたかったのかなと思った。
    和菓子の会社で事務員として働き始めた茉子。社長は、はとこの伸吾。入社してみて、パワハラやサービス残業など多くの問題点に気がつく。体調不良で社長を退任した伸吾の父である会長の影響が大きい。気がついたことを指摘して、労働環境を良くしていこうとする茉子。でもなんだか古巣のパート事務員や営業マンと関係がぎくしゃくする。
    会社では上司と部下、同僚といった関係でも一人一人には色々な背景があって、必ずしも社長だから、先輩だからと

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    2025年07月09日
  • ガラスの海を渡る舟

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    初めましての寺地はるなさん。
    素敵な表紙がこの酷暑を忘れさせてくれる。

    “普通”が出来ない兄と“特別な何か”が欲しい妹。
    祖父から譲り受けた二人が営むガラス工房でもぶつかりジレンマだらけ。
    色んな事情を抱えたお客様、周囲の温かな人々に支えられ、でも確かに成長していく不器用な兄妹を気づけば心から応援してました。

    その後の二人が気になるので、続編を期待!

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    2025年07月09日
  • わたしたちに翼はいらない

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    お互いの心のうちを勝手に決めつけて、すれ違ったり困惑したりする、そういう小説が好きで、これもまたそういう話だった。
    時間をかけて読むには少々向いてなくて、もっと一気に読めばよかった。視点が結構切り替わり、関係性を把握したまま読むべきだった。
    ありきたりの美しい結末ではなくて、もっと醜くてもいいという決意。「友だち」という関係性だけではない、もっと異なる関係性。そういうものがしっかり描かれていた。

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    2025年07月08日
  • ほたるいしマジカルランド

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    ネタバレ

    お仕事小説だけど、「この仕事大好き!!」みたいな人が出てこなくて、逆によかった。
    色んな人が仕事や家族に対して抱えている葛藤、日常の会話で得られるふとした喜び、ちょっと苦手だなと思ってた人が実はいい人だった瞬間などが丁寧に描かれている。
    自分の頑張りを誰かが見てくれているというのは意外と自分では気づかないことなので、自分にもそういう人がいてくれるといいなぁと思った。

    ひらかたパークに行ったことある人は、より楽しめるかも。

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    2025年07月08日
  • こまどりたちが歌うなら

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    ネタバレ

    寺島さんらしい分かりやすくて解釈の幅がある小説だった。最後のこまどりは何のメタファー?人間は1人では寂しいということ?亀田さんは何の象徴?能力はあるのに能力を正当に評価されないジェンダーギャップ?小説ならではの対立する人物の背景構造をさりげなく紹介してうまくまとめられているのがよかったですね。

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    2025年07月08日
  • 雫

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    男女4名の30年が過去に戻りながら描かれる。
    遡っていくことで、より4人の関係性が鮮明になる絶妙な構成だった。
    いつも選択を間違ってしまう永瀬、でも実は誰より優しく感受性が強い。みんな彼女になんでも話してきて、時にそれに押しつぶされそうになる。
    最後、良い選択ができますように。
    寺地はるなは本当にすごいかもしれない。

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    2025年07月07日
  • 雨夜の星たち

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    変な終わり方をしなくてよかった。自分とは全く違う生活の主人公だが、こういう見方もあるんだ。
    続編出ないかなぁ

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    2025年07月06日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

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    田舎の閉鎖的な感じや中学生特有の感情がよく描かれている。
    登場人物それぞれの心情、成長が分かりやすく読みやすかった。

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    2025年07月05日
  • 今日のハチミツ、あしたの私

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    主人公は一見どこか諦めのような緩い様に見えるけれどしっかりと芯があって強く生きている姿に心打たれました。

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    2025年07月05日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    千尋のようなしっかりとした『自分軸』を持った人になりたいと思う。媚びることなく同調するでもなく、「自分以外の人間の気持ちなんかわからない」と言いきりながらも相手の気持ちに寄り添うことが出来る。上部だけの優しさではななく、言うべきことをしっかり言える。カッコいい!そんな人になりたいけどたぶん一生なれない…

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    2025年07月03日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

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    あの人になれたらとか、ここじゃなければもっといいはずとか。自分にも身に覚えのある気持ちがギュッと詰まっていて刺さるところもあった。藤生はちょっとヤバすぎでしょ。私だったら友達としてもう信じられないかな。

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    2025年06月30日
  • ガラスの海を渡る舟

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    大好きだった祖父のガラス工房を継ぐことにした兄妹のお話
    兄はおそらく発達障害で、当たり前のことができず
    他人の感情を理解できない
    そんな兄を嫌い蔑む妹の一人称で語られる
    そして、珍しいと思ったのは
    障害のある兄もまた一人称で語られているところだ
    ふつう、こういった人物は外から見て判断してどう対処するかの表現が多いが
    彼が語ることで、その行動の裏にはそんな感情があったのだとわかる

    自分に向けられる他人の感情はコントロールできない、自然と同じように
    ならば、雨が降ったら傘をさすように対処すればいい
    というところが、いいなと思った

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    2025年06月30日
  • わたしの良い子

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    ネタバレ

    育児放棄をする妹の鈴菜に代わって子ども(朔)の世話をする主人公。
    この主人公が大変魅力的。
    朔との向き合い方も、セクハラ発言をする上司への言葉も、何もかも、軸があってかっこいい。

    大人の都合で子どもの居場所が奪われていくなんてあってはならない。
    子どもは大人が思ってるよりもずっと聡いし、大人が話していることを聞いている。
    そして自分の意志も持っている。
    朔を尊重する姿勢を保とうとする主人公には尊敬しかない。
    自分も主人公のような良い人でありたい!

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    2025年06月27日
  • ガラスの海を渡る舟

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    間があくと読みたくなる寺地はるなさんの小説。
    全体的な雰囲気は落ちつきつつも刺さるフレーズがあるんですよね。

    少しずつ変わっていく道と羽衣子の関係が微笑ましい。初めはどちらも難しい性格してるな、と思ったけど、終盤にはいいキャラしてるな、となるのが快い。葉山さんと道の微妙な関係性も先が気になります。

    終わり方が爽やかで、いい読書でした。

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    2025年06月26日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    日常がミクロ的で想起がしやすい。
    お父さんは何もいわないけど、相手のことを一番思ってる人なのかもしれない。

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    2025年06月26日
  • 声の在りか

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    ネタバレ

    子どもの世界でも親の世界でも、理由なくふとした拍子にものすごく息が苦しくなるような時があって、そういう“声にならない声”を掬いとって文字にして代弁してくれる寺地さんはやはりスゴいな。
    協力的でない夫や少し距離を感じ始めた小4の息子、あっち側の同級ママたちに抱く希和のモヤモヤとした思いも、息子の晴基の本音も解決することはないのだけど、こういう感情を抱えながら続いていくのが生きることなんだなと思える。
    大人だから完結してることはなくて、大人でも成長途上にいるんだと『声の在りか』を見つけた希和を通して気づかされた。

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    2025年06月24日