あらすじ
今日が、雨でよかった――時を超え、かたちを変えて巡る、“つながり”と再生の物語。
ビルの取り壊しに伴うリフォームジュエリー会社の廃業を起点に時間をさかのぼりながら、物から物へ、人から人へと、30年の月日のなかで巡る想いと“つながり”、そして新たなはじまりを描く、寺地はるな(2023年本屋大賞9位)の真骨頂が光る、感動長篇。
出会い、卒業、就職、結婚、親子、別れ……。中学の卒業制作づくりで出会った4人がそれぞれ直面する数々の選択と、その先にある転機、人生のままならなさ。不器用に、でもひたむきに向き合う彼らの姿を通して、日常のささいな不安や違和感を丁寧にすくい取って人の弱さにそっと寄り添いながら、いまを生きるあなたにエールを贈る大人の青春小説。
【内容】
2025年 4月
2020年 2月
2015年 12月
2010年 7月
2005年 4月
2000年 8月
1995年 9月
2025年 10月
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
すごくいいタイミングで読んだと思う。
さすが、寺地さん。
雫にカットしたラピスラズリにチェーンを通しただけのシンプルなネックレスも
右手の手のひらを向けて中指がわずかに曲がってるのも
ジュエリータカミネのリフォームも
しずくちゃんも
もう後からじわじわしみてきて、ニヤッと一人で笑っちゃうほど。
珠さんの
「思い出は、消えません」
「でも、大事じゃないとこなんかなくない?人間の身体で」
「模倣するのとでしかオリジナリティは生まれない」
もすごいかっこいい。
最後の
「わたしにできるかなぁ」
「できるかどうかしらんけど、やりたいんやったらやれよ」
いいなぁ〜。
雫型=永遠
Posted by ブクログ
最近ミステリやSF読んでいたけれど、(それも面白いけど)こういう本好き!とあらためて思った。
もう一度読みたい。今度は時系列で読んでみようかな。気になるフレーズをちゃんと記録しながら。
たくさんあって記録しなかったことを読み終わってから後悔したから
Posted by ブクログ
珠をはじめとした周りの人たちがみな愛おしいキャラクターでスラスラ読めた
また少しずつ年代を遡っていくのもなぜ珠はこうやって生きてきたのかを知れてとてもよかった
もともと雨は好きだけど、もっと好きなれそう
Posted by ブクログ
良かった。
生きかたは人それぞれ、あなたはそのままでじゅうぶん素敵
もっとこうしたほうがいいなんて、今のままではだめだなんて、伝えるべきことはそんなことではなかった
しずくはしっかり自分を生きているんだな、かっこいいなと思った。
珠としずくのサインが良かった。
Posted by ブクログ
中学時代からの同級生4人の30年間を遡りながら〝あの頃〟から〝いま〟をたどる。
互いに気にかけつつも、その距離感が恋愛関係抜きの「友情」として続いている。
その関係性に、その日常に、素直にいいな、と思う。
生き辛さや不器用さ、うまく伝えられず呑み込んでしまう言葉、見守っているけれど表に出さない。なのに、ジリジリしない歯がゆくない読後に清々しさがのこる。
31階へのエレベーターに乗る森くんに差し出した高峰くんの手とそれを掴む手の中に詰まったもの。いつもそばにいたから分かること。
もうだいじょうぶだと思えた時に、ネックレスのお守りを次へと手渡す。こうして「永遠」は続いていく。
これで終わりなわけではない。「永遠」は変化しながら続いていく。
自分が歩きたいように歩いていく。
「どうかご無事で」
Posted by ブクログ
「わからないものについて考え続けるのは、体力がいることです。わからない、という思いをとどめておくこともね。わからない、わからないどうなっている大人はかっこ悪いです。ほんものの知性ある大人というのは、あるいはそのような大人になる素質のある子どもは、かっこ悪く見えるものです。
ですが、ほんとうは美しいのです。わたしは愚直なまでにまっすぐに己の問いと向き合う人の姿は、とても美しいと思いますよ」
わたしたちはずっと、「心配する」という名目で絶えず「あなたは今のままではだめだ」というメッセージをしずくに発し続けていたのではないか。伝えるべきことは、それだけではなかったのに。
心に残ったところ
Posted by ブクログ
リフォームジュエリー会社で再会した中学の同級生4人の物語。
そのうちの一人、ジュエリーデザイナーの永瀬珠の視点で物語は進み、45歳の時点から5歳ずつ遡ることで4人が各々抱えている背景や関係性が明確になっていく。
とても不器用でひたむきに生きる人たちの物語。慈悲深い。
タイトルにも表紙にもデザインされている『しずく』
しずくには大切な意味があり、この4人に関係のようにも思えた。
大人になる過程で人生はうまくいくわけではなくてままならなさと転機、そして決意の連続であって。物語は過去をさかのぼる形で進んでいたが、新たな決意をした45歳以降の物語も気になる。
とてもよかったが、言葉で表すことが難しくまとめきれない。
寺地作品の中でここ数年で一番好き。上位に入る。
Posted by ブクログ
「永遠」とは、ずっと続くと言う意味でとらわれやすいが、答えが分からない物について考え続けるは体力がいる 事であり、分からないと言う思いをとどめておくのは体力 がいるが、本当は美しいことであり愚直なまでに問いと向 き合う姿は美しい事であると言う考えは素晴らしいと思い ました。 また、今迄ジュエリーショップはある程度でき 上った宝石付きの指輪やネックレスを売るだけの店だと思 っていたけれど、親や親せきが亡くなった後形見として受 け取った物を加工し直して自分の物として使う事もあるの だなと思いました。
Posted by ブクログ
多分、こういう静けさを持つ物語が好きなので、一気に読んでしまった。
最後はなぜか分からないけれど、ジーンときて読んで良かった、と思えた。
こんな風な人達が同じ世界に生きてるかもしれない、と思うと暖かい気持ちになれる気がする
Posted by ブクログ
じわじわ沁みてくるタイプの小説でわりとよかった。
中年になり我が身の衰えを自覚したり、親の老いた姿に心がしんどくなっている今は特に響いた。
「変えることって勇気がいるよね。
でも生きてるって変わっていくってことなんやで」
生きていけば、守られる側から守る側に変わり、歳をとったり病気になったりして変わっていくこともあるけど、それも全て生きているということ。
ネガティブに思える変化さえも、生きている証として受け入れていけばいいのだという前向きなメッセージをもらえた。
ジュエリーの知識はないけど、石留めの種類や、形の意味を知れておもしろい。
雫の形はかわいくて元から好きだし、意味を知るとより好きになった。
過去を遡っていく構成はあまり必要性を感じない。私は2度読みしたから色々理解できたけど、よくわからないまま読み進めるので、一度読みだと記憶に残らない箇所が多くあって勿体なく感じる。この話は通常の時系列がいいかな。
珠の語りで度々出てくる造語、襖デストロイヤー、ハキ男などがおもしろくてふっと笑えた。
Posted by ブクログ
お互いを本当の意味で理解し合い、支え合っている関係性が素敵だと思った。
友人関係にはさまざまな形があるけれど、すべてを語らなくてもいい。すべてを知っていなくても、深い部分で繋がっている。そんな関係はとても羨ましい。
自分の人間関係も、表面だけでは分からなくても、もしかしたら同じように深いところで繋がっている人がいるのかもしれない。
繋がっていたらいいな。
Posted by ブクログ
いつもながら寺地さんの作品読むと、人との関わり方について勉強させられる。自分はどうだったかなと日々を振り返って反省したり、こんな風にしないようにしなきゃとか毎回思う。
リフォームしたジュエリーがどんななのか、私の想像力では文章だけでは追いつかず。挿絵とかあったらよかったな。
Posted by ブクログ
良書!!!
とある4人の人生が、5年ごとにきりとられて、どんどん遡っていく。
遡っていくごとに輝きを増す人もいれば、遡っていくごとに不安定さを増す人もいれば、ずっと変わらないように見える人もいればどこかのタイミングでグッと変わる人もいて、味わい深く読める作品だった。
ただ総じて言えるのは歳を重ねることは悪くない、と思わせてくれること。
2025.8.14
162
Posted by ブクログ
大切な人とふたりで歩くのが幸せな人も、たくさんの人に囲まれることに喜びを感じる
人もいるだろう。でもわたしはひとりで歩くほうがいい。誰かとすれちがったら、笑顔で手を振る。そして、どうかご無事で、と祈る。
地上に降り立つと、天気予報のとおりにまばらな雨がアスファルトを濡らしていた。深く息を吸う。肺を雨の香りで満たしてから、ゆっくりと吐き出した。
晴れてよかった。人々は人生の折々でそう口にする。でも、わたしは雨の日が好きだ。 雨の雫は空から地へと降り注ぎ、やがてあつまり、川となり、海に流れつき、また空に帰に帰る。なにかが終わって、なにかがまたはじまる。傘を開いて、一歩踏み出した。
今日が、雨でよかった。
Posted by ブクログ
この本を読んでる最中、他のノンフィクション本を読んでいた息子が「こういう日常を描いた話読むの苦手なんだよね」と言ってきて、「今私読んでるのまさに日常の話なんじゃないか‥フィクションだけど」と気付く。
永瀬珠・雫・高峰・森の4人の同級生の物語。
一章毎に5年前に戻っていく構成。
少しずつ過去が解っていくのが面白かった。
日常の話と言えば日常なんだけど、でもその中に人々の細かい感情の動きがあったり、優しさや希望が見えたり‥
こういう日常の話も悪くないな‥と思った。
Posted by ブクログ
男女4名の30年が過去に戻りながら描かれる。
遡っていくことで、より4人の関係性が鮮明になる絶妙な構成だった。
いつも選択を間違ってしまう永瀬、でも実は誰より優しく感受性が強い。みんな彼女になんでも話してきて、時にそれに押しつぶされそうになる。
最後、良い選択ができますように。
寺地はるなは本当にすごいかもしれない。
自分にとっての永遠って
年末年始で実家に帰ったり、同窓会に出たりしたせいか、出会いについて改めて考えた。
出会って別れて、選んで選ばれて、その繰り返し。
それでいいと感じられる瞬間が、これまであっただろうか。これからあるだろうか。
いつか、またこの本を読み返すと思います。
Posted by ブクログ
本の表紙に惹かれて読んで見ました。
瀬尾まいこさんの紹介文が素敵でメモさせていただきました。
中学時代の4人の同級生たちが再会してのお仕事小説。人生のままならさ、読んでて自分たちの周りでも近しいような気持ちを言葉にしたいけど、上手く心の中で折り合いがつかないような出来事を重ね合わせてこういう事なのかなーなんて考えながら読みました。
「今日が、雨でよかった」
この一文が、印象に残りました。
Posted by ブクログ
「わたしはたいてい、まちがっているほうを選ぶ」
「すこし、疲れているのかもしれない。だってみんながわたしになにごとかを打ち明ける。その重さにときどき耐えられなくなるのだ。あなたにだけ打ち明ける。あなたは口がかたいから。あなたにだけ、あなたにだけ。そりゃあ、話したほうは楽になるのかもしれないけれども。」
寺地さんの作品、登場人物の性格が自分と違っても、それが楽しめる、というか、そういう人もいるのだと気づかされることが多くて、これもそういう作品の一つではあったけれど、最後までちょっとモヤモヤが残りました。
「今日が、雨でよかった」
なにかが終わって、なにかがまた始まる。
確かにそういうイメージもできる。
でも私はやっぱり晴れが好きです(笑)
Posted by ブクログ
過去を遡っていく物語が珍しく、あっという間に読んでしまった。水が浸透するかのように、言葉がするする入ってきて、とても読みやすい物語のように思う。
その人の苦しみや痛みに対して、近くにいても自分の考えを押し付けたり、定義づけてしまわない登場人物の優しさを感じた。だからこそ、読んでいて苦しく感じないのだと思う。その時何があったのかは断片的にしか語られないけれど、他者から見た、その人の人生とはそういうものだろう。その時関わって、また離れて、機会があればまた関わる。そんなことを思った。
Posted by ブクログ
ゆるく繋がりながら、時には形を変えつつ続く関係を永遠というのも一説。
恋愛からむと別れが来るのに、友情だと続くのは何故だろう。最近の本の風潮として、ロマンティックラブイデオロギーからの脱却が多いことに肩の荷が降りる。みんなと同じで普通がいいのは疲れる。
Posted by ブクログ
永遠て。。
遡る時。読んでいて中盤以降、自分のなかで訳分からなくなるのがもどかしかったことは否めない。情けないのは読み手の私。
改めて、こう言う物語の進行って、新鮮だなと、思った。
でも、最後一気に未来に戻ったなら、やっぱり4人が今はばらばらでも、同じ雨を感じて欲しかった。
いや、1人だから成立するんだと言うのはわかっているのだけど。
Posted by ブクログ
逆順構成の効果があったのかもしれないが私にはわからなかった。通常の時系列のほう方が登場人物それぞれの事情や成長が理解できたり応援できたのではないかと思ってしまった。
Posted by ブクログ
同級生の物語とはいえ、熱い青春を描くわけでも、感動大作でもないのだけど、なんだかずっと読んでいたくなる不思議な魅力がある。人は皆不完全で、クラスの人気者にも弱さがあり、恵まれない境遇に育っても強さがあったりする。つかず離れず、でも必要な時にはそっと支えあう4人の関係性がうらやましい。 「変化しながらゆるやかに繰り返し、続いていくことを『永遠』と呼ぶのだから。終わることも、変わっていくことも、離れることも、なにひとつ悲しいことではない。」
Posted by ブクログ
珠としずくの間で決めた手のサイン、これがとても良かった。みんなが、しずくに「もっとこうした方がいい」というアドバイスは実は「お前はダメな奴」と言っているのと同じだと分かってハッとした。4人の過去を読み進めるうちに4人の物語が知れて良かった。
Posted by ブクログ
タイトルの〖雫〗の通り、しずくがキーパーソン?故にこの作品における重要人物なんだなってところは分かったものの、永瀬がしずくを気にかける理由がよく分からなくて、そこの謎が最後まで残ってもやもやが拭えず。
高峰、森、永瀬個々の人柄や性格は分かって、時を経てそれぞれが抱える悩みも把握はできたものの、しずくとの関係性がいまいち見えてこなくてうーん…とすっきりしない感じ。
でも、はっきりした感情を抱くことを求めること自体この作品においては意味をなさないのかなとも思った。優しい表現の名言が多くて、心にすうっと響いた余韻がある。雫が永遠を意味する由来とか好きだなあ。
新たな名言に出会えただけでも読んだ価値は大いにある!気になってた寺地作品をまたひとつ読むことができて良かった✧̥