あらすじ
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。 そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。 何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。 人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心のすきまにしみこむ温かな物語。 選考委員の満場一致で選ばれた、第四回ポプラ社小説新人賞受賞作。
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主人公の妙を通していろんなことを考えさせられる。「幸福」とは自分にとって一番大切なものをちゃんと知っているということ。「孤独」や「さびしさ」は当たり前であること。みんな「ひとり」で戦って生きていかなければならないこと。「強さ」とは自分の弱さから目を逸らさないこと。「夢」や「目標」はその人だけの大切な尊いものであること。いま自分が何をどうしたいと思っているのか。
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どうしよう。すごく良いお話を読んでしまいました。
読み終わりたくなかった。居心地が良すぎて、まだ浸っていたかった。
妙ちゃんが癒されて前を向いていくお話ですね。その過程がすごく素敵。
菫さんも千歳さんも蓮太郎くんも、みんな素敵かよ。
庭にスミレ植えるの断固拒否な菫さん可愛いし、千歳さんホワホワしてそうでなんとも可愛らしいし、蓮太郎くんのピュアさと健全さは愛おしくてたまらない。超かわいい。
人生には痛いこともたくさんあるけど、棘はいつしか風化して少しずつ丸くなっていくのかな、などと考えました。
途中クスリとできたり、素敵な言葉があったり、やはり寺地さんの小説は好きだなぁとしみじみ思いました。
心が疲れてる時期に読めてよかった。
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私も誰かの居心地のいい庭にいるなと感じた。
私に庭はあるのだろうか
埋めるべきではないものを深く沈めているけれど棺桶だけは用意しても許されるかもしれないとしみじみ
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主人公の妙が私と重なるところが多い気がして。
自分自身を認めてなくて、自分が思ってる事もはっきり伝えないくせに、分かってくれないとか、どうせ分からないだろうとか。拗ねて僻んで…あ〜なんか嫌。
妙が婚約破棄されたのも(文中にあったけど)私にはこの位の人が適当…と思ってた事が見透かされていたから。そう言うのって勘づかれてしまうのよねと同感。
不器用なのは妙だけじゃない。千歳さんも菫さんも。実は不器用じゃない人の方が圧倒的に少ないのかも。せめて憶測で僻むのはやめようと思う。
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寺地はるなさん3冊目。
間違いなく好きな作家さんだと確信持てました。
いい人悪い人含め、登場人物すべてに意味があり、彼らのセリフの一つ一つにうなずいてばかり。
それでも途中までは、万人受けではなく、私に合うだけかな、と思いながら読んでいましたが、主人公の妙が父親と話すあたりからじわじわと胸に迫るものがありました。
私自身は自己肯定感が高くポジティブ思考な人間ですが、いろいろ問題を抱えていたり、悩んでいる人に勧めたいと思います。
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「いつも心に棺桶を」
「松竹梅で言えば蓼」
風変わりなフレーズが要所で登場する、一風変わった作品というのが第1印象でした。
登場人物もしかり。浮き世離れした人々が次々と出てきます。
テンポといい醸し出される空気といい、川上弘美ワールドかと見紛うよう。これが寺地はるなさんのデビュー作とは驚きでした。
それにしても登場人物が皆、キャラが立っていていい。特に菫さんが強烈です。
菫さんは妙のいびつと言ってもいい不器用さを叱咤するのですが、菫さん自身もなかなかに不器用です。なのに偉そうなのです。
そしてそこがまた魅力的なのでした。 ( いちばん気に入ったのは妙の父親ですが。)
でも私たちにとって生きる指針になりそうなフレーズ (「余白は大切」「寂しいは人間の標準仕様」「強いは弱いの対極じゃなく、弱さから目をそらさないのが強いってこと」等 ) が多く出てきていることや、主人公が少しずつ自分の殻を破っていくさまが描かれている ( 妙の場合はかなりヘンだが ) ことなどから、やはり寺地ワールドなのだとニヤついてしまいました。
寺地はるなさん、最初からいい作家さんだったのですね。
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最初は婚約破棄されて〜からストーリーが始まり、恋愛本なのかな?と読み進めたところ、自分の心の清算をできる場所がある、って素敵だな。と思えました。
オーナーの菫さん、口数は少ないけれど手を差し伸べてくれて、子供を持ちたいと思った理由も心にじーんときてきまってほろりと泣いてしまいました。
あたたかいきもちになれました。
素敵な本に出会えてよかったです。
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主人公のちょっと捻くれた考え方がビオレタで出会った人たちの言葉や行動によって少しずつ変化していく。
寂しさを感じて立ち止まったとき、周りの人の言葉を聞いてみると自分にも自分にしかない良さがあると認めることができたり、みんなの優しさに心の隙間を埋めてもらいながら、愛しさに気づいて歩き出すような、温かくて前向きな物語だった。
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心が温まる物語だった。
千歳さんの人柄について優しさではなく、諦めなのではと書いてある描写があり、心がキュッとなった。
自分が1人で考えている中でこうなのではないかと漠然と思った事が言葉として書かれていて、自分の考え方の言語化に役に立った。
的確で、優しさもある言葉を紡いでいる寺地はるな先生の作品にハマりそう。
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人それぞれ。
人って自分が思ってるより色んなことを考えてるし、
色んなことを心に抱えてる。
私が最近より強く思ったことであり、
このビオレタを読んで、さらにそう感じた。
妙、菫さん、千歳さん、皆の世界が広がりますように。
少し幸せになれますように。
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前半は主人公のことも菫さんのことも、よくわからず、感情移入もできず、何を読まされているんだろうと思っていたけれど、
中盤に主人公が「誰かに必要とされたかった」と、気づいたところから、いろいろなことに気づき、前向きになっていくところが良かった。
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『いつも心に棺桶を』が社訓のビオレタ。
店主の菫さんの名前をイタリア語にして、
ビオレタ。
なかったことにはしたくないけれど、ひっそりと埋葬したいなにかを、手作りの棺桶に入れようとする人たち。そうやって心にけじめをつけて、また新たな一歩を踏み出す人たち。
ビオレタのようなお店がある、という存在だけでも心の支えになりそうな気がした。
「誰かの庭になる」という発想は面白いと思った。私は誰かの庭になれているだろうか。誰にでも開かれた、陽の光が燦々と差し込み、植物が生き生きと育まれている、風通しの良い庭。わたしも誰かのそんな庭になりたい。
少しファンタジーも入るのかな。紆余曲折ありながら年上の彼氏とうまくいって良かった。
・ノートに書けば現実化する
という先生の言葉もよかった。
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優しい本だったな。
出てくる人たちがみんな不器用で何かを抱えながらもほんのりとそれぞれ思いやっているっていうのかな。
続きをずっと読んでいたい、そんな本でした。
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あらすじに、婚約者に振られた主人公、って書いてたけど、読んだら、すぐ彼氏できてるやん!ってなった。
誰にでも優しくて一緒にいると癒される安心する存在、でも「誰にでも」だから、自分は特別じゃなくて嫌になる。けど、じゃあ、自分はその人になにかしてあげようとしてるのか。何か与えられているのか。
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すごくよかった。しばらく浸っていたいような気持ち。
失恋から始まる話で、ありきたりで淡々と、と思ってしまっていたが、登場人物がみんな素敵で終盤ははやる気持ちを抑えながら読んだ。
妙、菫さん、千歳さん、蓮太郎くん。
わたしも、人がどう思ってるか勝手に決めつけているようなところがあるので自分に言われてるかのようにも思いながら読んだ。
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婚約破棄された主人公は自分は誰からも必要とされていないと思い込んで生きてきた。働く店のオーナーの菫さんのような『揺るぎなさ』を求めている。
でも、菫さんは菫さんで暗い過去を背負っている…。
誰もが何か重いものを持っていてお互いを知らぬ間に必要としているし助けていて皆で前を向いて歩いていけるようになる。
読み心地の良い物語でした。
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妙が菫さんや千歳さん、蓮太郎くんと関わっていく中で、自分が孤独を感じたり、傲慢だったり、大切な事に気付き変わっていく様子が描かれていて引き込まれた。物語自体はのんびりしているが、登場人物が素敵だから 最後まであっさり読める。妙の名前の由来や両親の気持ちも話さないと家族でもわからないのだと、改めて思った。
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ふわふわ揺れがちで自信がない主人公。拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋さん、そこに棺桶を求めにくるお客さん、千歳さんや蓮太郎くんと関わる中で、少しずつ成長していく。感じていること、考えていることを口に出して伝えてみたら意外と分かり合えるという経験がこの主人公には必要だったんだろうと思う。サクッと読めてよかった。
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仮と思った仕事や場所や人とのつきあいに、徐々に自分の居場所を見つけていく女性の物語。
一時的に関わると思いながら、過ごしていくうちに、自分がその場所に馴染んでいくものなんだなと感じた。そして、その過ごす中で、前向きになれる自分を意識したときに、その場所が自分の居場所とわかるのかもしれない。
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婚約破棄された主人公が拾われた雑貨店で心のわだかまりと向き合っていく話、なのかな。
寺地はるな節とでもいうか、妙に皮肉っぽくユーモラスな言い回しが散りばめらるていて微笑ましい。
一方、主人公をはじめ登場人物たちがややエキセントリックすぎるというか、あまりにも普通のやりとりがなさすぎて、全員変じゃね?という違和感がついて回りました。絵空事だからそれでいいのですが、絵空事なんだよな、現実にこんな会話繰り広げるとかありえないもんなと思いながら読んでもあんまり楽しめないとこかあり。
Posted by ブクログ
色んな感情交差する物語。相手がどう思ってるかは、ちゃんと相手に聞かないとわからないと思った。憶測で考えていても、被害妄想になりやすい。人が一番悲しみを感じる時は、誰かに必要とされていないって思ってしまう時なのか。
上部だけで自己判断しないように気をつけよう。
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婚約解消された妙ちゃんが主人公で偶然出会ったすみれさんのお店『ビオレタ』で働きながら静かで落ち着いた恋愛をスタートさせ幸せになっていく物語。店主の言葉が刺さる。
※強いっていうのは悩んだり迷ったりしないことではない、それはただの鈍感な人。『強い』は『弱い』の対極じゃなく自分の弱さから目を逸らさないのが強いってこと。
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婚約者から突然に婚約解消を告げられた妙(たえ)は棺桶屋(?)を営む菫(すみれ)に拾われてその手伝いを始めることになります。関係する人々それぞれの、親、子、兄弟姉妹などとの関係性の中で各人が学び考える物語りだったと思います。親と子、特に母と子の関係性についてよく考察された内容と感じて好印象でした。若干女子的視点が強いように感じてしまい私としては星3つの評価としました。
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デビュー作ということで、最近の著作に比べるとやはり若い感じがするなと思った。ちょっと「ランチのアッコちゃん」を思い出した。
「あんまり、自分は駄目だ、なんて言わないほうが良いよ。そういう奴らは委縮してる相手を見て満足するんだ。人を見下して喜ぶようなくだらない奴にサービスしてやる必要はないよ。相手を貶めたら自分が良くなるってわけでもなかろうに」(81頁)
この考え方、すごく共感する。他人を落として相対的に自分を上げることでマウンティング取ろうとする人って結構多いけど、虚しくないのかな?
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今日のハチミツ〜と同じ、ぶっきらぼうなお姉さんに拾われるという出だしだったが、前より面白く読めた。登場人物は誰にも感情移入できない。可愛いお店行ってみたい。