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婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。 そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。 何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。 人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心のすきまにしみこむ温かな物語。 選考委員の満場一致で選ばれた、第四回ポプラ社小説新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
私も誰かの居心地のいい庭にいるなと感じた。 私に庭はあるのだろうか 埋めるべきではないものを深く沈めているけれど棺桶だけは用意しても許されるかもしれないとしみじみ
主人公の妙が私と重なるところが多い気がして。 自分自身を認めてなくて、自分が思ってる事もはっきり伝えないくせに、分かってくれないとか、どうせ分からないだろうとか。拗ねて僻んで…あ〜なんか嫌。 妙が婚約破棄されたのも(文中にあったけど)私にはこの位の人が適当…と思ってた事が見透かされていたから。そう言...続きを読むうのって勘づかれてしまうのよねと同感。 不器用なのは妙だけじゃない。千歳さんも菫さんも。実は不器用じゃない人の方が圧倒的に少ないのかも。せめて憶測で僻むのはやめようと思う。
寺地はるなさん3冊目。 間違いなく好きな作家さんだと確信持てました。 いい人悪い人含め、登場人物すべてに意味があり、彼らのセリフの一つ一つにうなずいてばかり。 それでも途中までは、万人受けではなく、私に合うだけかな、と思いながら読んでいましたが、主人公の妙が父親と話すあたりからじわじわと胸に迫...続きを読むるものがありました。 私自身は自己肯定感が高くポジティブ思考な人間ですが、いろいろ問題を抱えていたり、悩んでいる人に勧めたいと思います。
妙ちゃんに居場所が見つかって良かったなと思った。 最後に、登場人物みんなが「良かったと思ってる」って本音を妙ちゃんに言ってるところが好きだなと思った。 最初、婚約破棄で落ち込んで、菫さんに拾われて、自分が必要とされてないことに悩んで…。 妙ちゃんは聞き上手で、みんな妙ちゃんに話すと気持ちがスッキ...続きを読むリしてしまう。この雑貨屋さんと、登場人物たちに妙ちゃんは必要な存在なんだとだんだんわかってくる。 自分の家族の中でも存在意義を見出だせなかった妙ちゃんにお父さんが言った言葉で少しずつ気持ちに変化が出てくる。 人の言動を深読みして、思ってることも言えなかった妙ちゃんが、素直に思いを言えるようになってから家族や菫さん、千歳さん、蓮太郎くんとの関係が良好になっていく。思いを言葉にしないと伝わらないことがよくわかるなと思った。 自分は自分。他の人にはないいいところを持っているから、そのままでいいって勇気づけられた小説だった。世界観とか、登場人物とかが、ゆるくて、すごく心地よかった。読み終えて、心に余裕ができたような気がします。
「いつも心に棺桶を」 「松竹梅で言えば蓼」 風変わりなフレーズが要所で登場する、一風変わった作品というのが第1印象でした。 登場人物もしかり。浮き世離れした人々が次々と出てきます。 テンポといい醸し出される空気といい、川上弘美ワールドかと見紛うよう。これが寺地はるなさんのデビュー作とは驚...続きを読むきでした。 それにしても登場人物が皆、キャラが立っていていい。特に菫さんが強烈です。 菫さんは妙のいびつと言ってもいい不器用さを叱咤するのですが、菫さん自身もなかなかに不器用です。なのに偉そうなのです。 そしてそこがまた魅力的なのでした。(いちばん気に入ったのは妙の父親ですが。) でも私たちにとって生きる指針になりそうなフレーズ (「余白は大切」「寂しいは人間の標準仕様」「強いは弱いの対極じゃなく、弱さから目をそらさないのが強いってこと」等 ) が多く出てきていることや、主人公が少しずつ自分の殻を破っていくさまが描かれている ( 妙の場合はかなりヘンだが ) ことなどから、やはり寺地ワールドなのだとニヤついてしまいました。 寺地はるなさん、最初からいい作家さんだったのですね。
前半は主人公のことも菫さんのことも、よくわからず、感情移入もできず、何を読まされているんだろうと思っていたけれど、 中盤に主人公が「誰かに必要とされたかった」と、気づいたところから、いろいろなことに気づき、前向きになっていくところが良かった。
優しい本だったな。 出てくる人たちがみんな不器用で何かを抱えながらもほんのりとそれぞれ思いやっているっていうのかな。 続きをずっと読んでいたい、そんな本でした。
あらすじに、婚約者に振られた主人公、って書いてたけど、読んだら、すぐ彼氏できてるやん!ってなった。 誰にでも優しくて一緒にいると癒される安心する存在、でも「誰にでも」だから、自分は特別じゃなくて嫌になる。けど、じゃあ、自分はその人になにかしてあげようとしてるのか。何か与えられているのか。
すごくよかった。しばらく浸っていたいような気持ち。 失恋から始まる話で、ありきたりで淡々と、と思ってしまっていたが、登場人物がみんな素敵で終盤ははやる気持ちを抑えながら読んだ。 妙、菫さん、千歳さん、蓮太郎くん。 わたしも、人がどう思ってるか勝手に決めつけているようなところがあるので自分に言われ...続きを読むてるかのようにも思いながら読んだ。
妙が菫さんや千歳さん、蓮太郎くんと関わっていく中で、自分が孤独を感じたり、傲慢だったり、大切な事に気付き変わっていく様子が描かれていて引き込まれた。物語自体はのんびりしているが、登場人物が素敵だから 最後まであっさり読める。妙の名前の由来や両親の気持ちも話さないと家族でもわからないのだと、改めて思っ...続きを読むた。
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