寺地はるなのレビュー一覧
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ネタバレ空想人と、嘘を売る人と、軽い男と、現実逃避する女と、嘘つきが大嫌いな女と、嘘に寄り添う男。
そんな家族構成で成り立つ、羽猫家。
「山吹の嘘は、いつも、誰かをなぐさめたり、助けたりするために生み出される。」
「社会にとってなんの役にも立ってなくても、この世に存在しなくていい、という理由にはならない。」
「自分以外の人間のために生きたらいかん。」
「誰かを助けるために、守るために、って言うたら、聞こえはよかよ。でも、人生に失敗した時、行き詰まった時、あんたは絶対、それをその誰かのせいにする。その誰かを憎むようになる。そんなのは、よくない」 -
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どう見られているかとか、コミュニティの中での立ち位置とかにとらわれそうな時に読み返したいかも。
よく、学生時代は人間関係しんどかったな…って思うけど、
しんどい人間関係は、職場でも、保護者間でも、旧友でも、学生時代に限らず起きるんだよな、と気付かされた。
誰かと関わるとき、相手の評価を自分の価値だと思うと、誰かに寄りかからないと立てなくなっちゃう。
「え、わたしたち友だちじゃないよ」
「うん、友だちではない」
っていう関係性の方が、相手のことをしっかり見れているのかもってなった。
どう見られているか、相手によく思われるにはどうしたらいいかばかり気にしてしまうので、朱音の考え方や他者との -
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ネタバレ正直中だるみ感というか、途中で少し退屈に感じる部分もあった。
でも最後、くみ子の章は胸にズーンと来て、読み返した。
何より心に残ったのはくみ子と希望の別れのシーン。大切な家族が亡くなった日のことを思い出し、胸がギュッとなった。
〜〜〜〜
「くみ子さん、お元気で」
どうかお元気でと背を向けた柳瀬の姿が遠ざかっていく。どのホームに向かうのかだけでもせめて見届けようと首を伸ばした次の瞬間に、もう姿を見失った。
そしてひとりになった。
どこに行こうと思ったあと、どこにでも行けるのだと気づいた。もうひとりでどこにでも行ける。人混みの中に一歩踏み出したら頬をぬるいものが伝った。かなしくはないのに、あとから -
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ネタバレ久々に全部好きな話が詰まったアンソロジーだった。
何よりインパクトがあったのはラストの町田その子さんの「六年目の弔い」。最後にとんでもない爆弾をぶっ込んできたな…。
設定の時点で結構突っ込んだ内容になりそうだったけど、その中で珠美と志乃がいい関係性になれてほっこり終わるのかと思ったら最後に胸がざわつく展開に。
冠婚葬祭の中で、一番無難そうで難しいテーマの「婚」がSFだったのも面白かった。普段SF読まない人間でも読みやすくて好きな話だった。雪舟えまさん、他の作品も読んでみたいな。
寺地はるなさんも安定して好みの作品。40代の幼馴染たちがバタバタする話って微笑ましい。 -
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ネタバレ『のばらのいえ』という子どもやお母さんのためのシェルター(もどき)。その中で、大人から呪いのように『いいこ』でいることを強制され、祐希は高校卒業の前日に逃げ出した。しかし数年後、再び『のばらのいえ』へと連れて行かれることになる。
『仕方ない、は便利な言葉だ。それ以上考えなくていいようになるから。』p41
『Good girls go to heaven ,bad girls go everywhere』p108
『あなたはこのまま逃げ延びて、いつか余裕ができた時に誰かに手を貸す。その誰かがまた誰かに手を貸す。そしてもし将来わたしの娘がなにか困った時、どこかで誰かが彼女を助けてくれるはず。 -
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寺地はるなさん三冊目。
彼女の著作には、上っ面だけではない
人生の本質というか、本当に大事なことが書いてあるような気がします
『地べたを歩いて生きていこうと決めた。わたしに、翼はいらない』
『もうこれ以上一緒にいてはいけない。手を差し伸べたら園田はきっと朱音に依存する。
今だって自分と自分の大切な人を守るだけで精一杯なのに』
『友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うこと、幸せを願うことはできる』
『ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない、でも過去に置いていく』
淡々とした文体なのだけど、ひとがひとを傷つけるときの描写、苦しみを抱えているひとの描写がとても上手い作家さ -
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自分が輝いていた10代。
自分がしいたげられていた10代。
どんな10代でも、それを引きずり続けている莉子と、園田。
そんな二人とそれぞれの立場で出会う朱音。
という構図でしょうか。登場人物が多くて、少し複雑でした。
莉子の夫の大樹が本当に嫌で(「嫌なやつ」なんて簡単な言葉でまとめたくないほどに嫌)、私も復讐したくなった。
こういう人間性はどのようにして生まれるのか、もはや興味が湧いたんだけど、結局わからなかった。親や友人がどんなに持ち上げても、ここまでになれるのだろうか。
お母さんがいい人そう(頼らないが)なだけに、悲しみすらおぼえた。
読みながら、みんな別れ別れになってしまうんだろうな -
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ネタバレ『言葉はいっぺん相手にぶつけてしまったら、もう取り消すことなんかぜったいできないんだから。他人に向けた言葉が、自分自身にはねかえってきた。』p26
『わたしは彼女たちだったかもしれないし、彼女たちはわたしだったかもしれない。(中略)おしゃれをしていたら、家出をしたら、ひとりで歩いていたら、女の子は身体に触られたり、見たくもないものを見せられたり、殺されたりしてもしかたないんだろうか。』p35
『威張り散らしたり他人の大切なものをバカにしたりするのは、自分の好きなものを追い求めることよりもまっとうなおこないなんだろうか?』p64
『届かなかったもの。もう二度と触れられないもの。ぜったいに帰