【感想・ネタバレ】白ゆき紅ばらのレビュー

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Posted by ブクログ

重く暗いものを抱えながら生きる人の闇、強さを感じた作品。
「のばらのいえ」をめぐる様々な話が少しずつ解き明かされていく構成に、最後まで引きつけられました。

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2024年03月19日

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もう何とも言えない気持ち悪さが終始ついて回る。慈善事業というものは決して『心の綺麗な強く優しい人』が、これまた『心の綺麗な困っている弱者』を救済し、感謝に涙を流すといった童話のようなものではない。それをまざまざと見せつけられたように思う。介護や福祉の体制が中々完全に整わないのは仕事の大変さや賃金の問題もあるが、この助ける側と助けられる側の意識の乖離が大きいような気がする。
志道も実奈子も、『偽善者』というのがピッタリの人間だけど、この物語に出てくる全ての人が多かれ少なかれこれにあてはまる。祐希を助けてくれた人達も皆どこか完全ではない。
読後は完全にスッキリとはしないが、少しの希望が救われる。

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2024年05月12日

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初寺地はるな作品。想像以上に現実感があって、「弱い」子どもと大人が描かれていた。

『ゆきばらとべにばら』は読んだことあった。色んな訳があるらしいが、私が幼い頃に読んだのはこれだ。
私もこれを読んだ当時びっくりした記憶がある。物語の最後に急に王子の弟が出てきて、姉妹と結婚する。
なぜ急に弟が出てきたのか。答えはもちろん姉妹がそれぞれ結婚して、両方とも幸せになるためだ。明らかな帳尻合わせで苦笑した。

祐希と紘果も「幸せの条件」を勝手に決められて育てられた。
でも2人は物語のお姫様とは違う。
長い時間をかけてお姫様じゃなくなっていく。

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2024年04月23日

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良かった
寺地さんの作品は人の弱い部分を上手に描く。

対照的な二人の、それぞれの苦しみ、戦い方が印象的だ。
子供の無力さ、子供を子供でいさせない大人、自分の出せない答えを子供に押し付ける大人、搾取する大人…
春日先生のような大人が一人でもいてくれて良かった…

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2024年04月22日

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「のばらのいえ」という母子シェルター的な施設で育った、祐希と絋果。
重くてしんどい中にも時々光が差し込むような、暗く長いトンネルを抜けるような。
言葉は呪いになる。けれどもその呪いを解くこともできる希望が見えた。
2人の道がこの先、別れようとも幸せになれますように。

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2024年03月28日

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行き場のない母子が暮らす「のばらのいえ」。そこで育った祐希は未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出す。それから10年。のばらのいえに連れ戻された祐希は、ずっと心配だった幼馴染の紘果と再会を果たす。

性的虐待、ネグレクト、ヤングケアラー、子どもたちを見下し搾取する大人たちがひたすら悍ましいが、祐希と紘果の優しい想いが僅かな救い。グリム童話の「しらゆきべにばら」が象徴的に引用される。
女性の幸せは男性から与えられるものではない。重苦しい話ですが、どうか祐希と紘果に自由な明るい未来が開けますように。いい子は天国に行ける、悪い子はどこにでも行ける。

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2024年01月25日

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これはダークサイドな寺地はるなさん。
寺地さんのダークな本はあまり好んでいなかったけど、この本はこれまで読んだダークなものの中では一番良かったと思う。

「君は何も出来ない」「出来ない君を守ってあげる」
そういうことを言う男、虫唾が走りませんか?
志道という男に支配された「のばらのいえ」。
そこで育ち、召使いのように障害のある子どもの世話を押し付けられた祐希。なにもできない子と言われ続けた紘果。
色々な方法で、色々なかたちでの束縛。愛のようで、身勝手なもの。

この本の中で、祐希が紘果にナイフを持たせてキウイフルーツをカットさせる場面がある。
なんてことない、多分半分に切っただけ。それをスプーンですくって食べる。でも、はじめて自分でできた、紘果は美味しいと感じる。
このシーン、すごく印象に残って、なんだか心が揺さぶられた。
はじめて自分でできた喜びのようなもの、最近感じることないなぁ・・・という自分についても思ったし、私も息子が「できない」と決めつけて先回りしてしまったり、息子の機会を奪ってしまっているのではないか、と我が身を振り返った。

志道とは種類が違うが、祐希の紘果への執着も、相当強いと思う。
その根っこにあるものは何なのか、刷り込みなのか、友情なのか、愛なのか、最後までよく分からなかったんだけど、そうしたら、最後の祐希の言葉。
「その全部で、それよりももっと良いもの。」
なんか、人と人の関係、つながりに名前をつけよう、ラベルを貼ろうとする自分の了見の狭さに痛み入りました。

個人的に、最後の火事のところがドラマチックすぎて逆に冷静になってしまったけど(断ち切るためにそこまでしなくても良いのではないかと思った)、いい本でした。

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2023年12月01日

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引き取られ、のばらの家に暮らす祐希。6歳の時に同じ歳の紘果と出会う。
自分達をグリム童話の『白ゆき紅ばら』姉妹になぞらえる。のばらの家に別な立場でしばられる2人だが、祐希は高校卒業間際に逃げ出した。

始めはシェルターでの話かと思ったのだが、ドロドロとしたそれぞれの人の気持ちが入れ乱れ、読みながら気持ちが沈みかける。寺地はるなさん作品にしては少し重い。
祐希を助けてくれる人々の深い想いと、⦅白ゆき紅ばら⦆二人の生きる希望が見えるラストに、いつもの安心感を取り戻すことができた。

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2023年10月01日

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のばらのいえというシェルターで生活している祐希と紘果と保。弱者に寄り添っているように見せかけて歪んだ実奈子と志道に色んなものを搾取され続けた幼少期から青年期。
そこから逃げたした祐希が10年ぶりに戻ってきて紘果を取り戻す。
寺地さんにしてはちよっとバイオレンス気味だった。英輔の存在が明るさや希望が持てた。

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2023年09月30日

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ネタバレ

「のばらのいえ」で育った祐希と紘果の物語。
のばらのいえは、困っている母と子を救うという施設なのだけれど、
話を追う中で、真相が明らかになっていき、その真相が読んでいてとてもつらい。

でも、志道のような、悪意なく?対外的には善い人のふりをして搾取してくる人間っているので、
そのリアリティを含めて心に残る小説だった。

リアリティで言えば、悪い大人もいれば、
良い大人も少ないながらいて、
春日先生やホープ・フーズの先代社長の言葉が胸にしみた。
『生き延びる』『生きていく』そのメッセージが強い。

それと子供にいろいろと背負わせてしまう問題点も。


物語の本筋以外では、
自炊とは調理することだけじゃなくて、
食材を買ったり余ったものを使ったりのサイクルが肝だいう部分(142ページ)がその通りだな〜と思った。

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2023年09月05日

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実際に大人に振り回されて身動きが取れなくなっている子どもがいることを再認識させられる作品だった。
大人は「かわいそうな子」とケアや助けが必要な子を同情し、その子の問題であるように言うが、大人の子供への関わり方が大きくその子の人生に影響していると考える。

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2023年08月31日

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夢中で一日で読んでしまった 帯のあらすじを見て買わせていただいたのだけれど、買ってよかった…文体の好き嫌いが多い民なのだけれど、スラスラと読めたー!締め方がとても好きです

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2023年08月09日

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自分勝手であり、偽善者の大人達にふりまわされる子供達
どうやって悪循環から逃げ出せるのかとハラハラしながら読み進めた
主人公に手を貸してくれた理由をたずねられた時の春日先生の言葉にグッときた
「あなたはこのまま逃げ延びて、いつか余裕ができた時に誰かに手を貸す。その誰かがまた誰かに手を貸す。そしてもし将来わたしの娘がなにか困った時、どこかで誰かが彼女を助けてくれるはず。わたしはそういう世界を信じる。理想論ですか?」

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2023年07月28日

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自分の住む世界が絶対だと思っていると、
見えない世界がある。

この話はフィクションだけど、
現実にないわけではない世界。

自分に何ができるか分からなくても、
鈍感ではありたくないと思う。

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2023年07月26日

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暗い海の底を流れる水のような、ものすごくドラマチックに書こうと思えば書けるストーリーを一定の温度を保って書かれています。

生きずらさって何だろう?
読みながら考えてしまう本でした。

この場所でないと生きていけない、という状況に立たされてる人は、ものすごく生きずらいと思います。
いわゆる選択肢のない状況。
子供は親の都合でこういう状況にならざるをえない時がありますよね。自分の人生なのに他人にコントロールされないと生きていけないのは本当にきついな、と。

この本に登場する”紘果”と士道さんの関係。
行き場がない人間の未来を育てるどころか摘んでいく。
士道さんって残酷な大人ですね。
「紘果はできないからいいよ」
やさしさに見せかけて、自分の都合を押し付けている。さらに、紘果の自己肯定感を下げ続けるという。。。
選択肢を広げるどころか狭めて、ずっと自分の元に置こうとする志道さん。

血がつながっているとかつながってないとか、関係なしに他人の選択肢を奪ってはいけないと思いました。

ずっと辛い話が続くのだけど、ラストで救われました。

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2023年07月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人が人を愛するのに、ここまで献身できるものなのか。
愛する人が幸せになるのなら、自分が犠牲になれば良いと思えるのか。

最初は苦手に感じた紘果が、最後には愛おしく不憫でしょうがなかった。と同時に志道さんへの怒りを覚えた。こいつがいなければ、紘果はもう少し早く幸せなることができたと。

志道さんのやっていることは、傍から見れば慈善事業で、少なくとも助かる人達がいる。
私はこういう事業を行う人たちは、何となく心の清らかな人なのだろうと思っていたのだが、志道さんは絶対違う。
自分が庇護してやっている、だから自分は何をしても良いんだと言う感覚だったんだろう。

祐希が「のばらの家」に戻り、過去から現在進行形で起きているやばさ極まる出来事が白日のもとに曝され、物語はいわゆるハッピーエンドで終わる。
祐希が紘果の本当の気持ちに気づかなかったり、紘果の決心がなければ、ずっと紘果は「のばらの家」に囚われたままだっただろうと思うと恐ろしい。
誰かの人生を自分が思うようにできるなんて決して思ってはいけない。

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2023年07月08日

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行き場のない母子を保護する目的で作られた「のばらのいえ」それは、大学のボランティアで知り合った志道と実奈子が運営する慈善施設なのですが、崇高な理想が現実の荒波に削られ少しずつ破綻していく。やがて実奈子は酒浸りの生活に堕ち、志道は見て見ぬふり。
祐希が実質、家事全般を担当し母子たちの世話をする。幼いころに引取られた祐希はそれが当たり前の日常と思い、疑問を隠しつつ成長していく。もう一人の少女の紘果は志道に溺愛されて人形のように扱われる。
ヤングケアラー&性的グルーミングのコンボで、ホラーハウスのようなキモさを感じてしまいました。
弱者を無抵抗にさせるエぐさに思考停止してしまう悪環境。真綿で首を絞められるような薄気味悪さです。学力のある祐希は能力に応じた進学先に行かさせもらえず紘果と同じ高校に通うようにと強制されたり、
自主性のない紘果に気を使いながらサポートする祐希。
高校卒業と同時に一緒に逃げようとしたのに諦めてしまった紘果。
10年後再び祐希は紘果のいる「のばらのいえ」で再会する。
コンプレックスの玉手箱のような結希と人形のような紘果。この二人は一緒にいてもどちらのためにもならない先細りの未来しか想像できませんでした。どろどろした現状から抜け出した先でも再び沼に堕ちそうな因果を感じさせられました。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

うーん、ほんと読んでいて辛くなってくる話。
メンタルやられる話は、正直最近は辛いな。
でも最後は少し希望の見える終わり方でよかった。

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2024年01月30日

Posted by ブクログ

幸も不幸も救済も、どれも中途半端で曖昧に感じた。どこか振り切れるくらいぶっ飛んだ人物、設定だったら、良くも悪くも心の琴線に触れるけどさらりと読み流せる。

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

英輔がいてくれてよかった。
英輔の”背負い方”が格好よかった。

じとっとした嫌な感じ。
グリム童話の嫌な感じと同じだと思った。
しらゆきべにばらのような結末にならなくてよかった。

Good girls go to heaven, bad girls go everywhere.
アメリカの女優、メイ・ウエストの名言。

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2023年11月27日

Posted by ブクログ

主人公盛山祐希(慈善団体を経営する遠縁の親戚のうちで家政婦的扱いを受け、能力に見合った高校にも行かせてもらえなかった女子)の家出を幇助する春日先生がカッコよかった。

慈善と偽善の境目なんてあってないようなものだろうが、『のばらのいえ』オーナーの志道のような、コンプレックスの反動でボランティアに嵌り、内心では、支援対象者のことを侮蔑している、というのは、最悪のパターンだろう。ましてや、施設の子を性的搾取の対象として利用し、とっておきの子を自分のものにするなんて、外道そのもの。

ラストで、祐希と紘果が新しい生活を始められるのが救い。

P187-188 (春日先生による家出幇助シーン)
「もし、わたしの娘が将来なんらかの理由でわたしたちと離れ、ひとりで生きていかなければならないとしたら、その時は誰かに頼ってほしい」
あなたはわたしになにも返さなくていい、と春日先生は運転しながら、前を向いたまま話を続けた。
「あなたはこのまま逃げ延びて、いつか余裕ができた時に誰かに手を貸す。その誰かがまた誰かに手を貸す。そしてもし将来わたしの娘がなにか困った時、どこかで誰かが彼女を助けてくれるはず。わたしはそういう世界を信じる。理想論ですか?」
「そうですね。理想論だと思います。」
助けてもらっているくせに、わたしは春日先生に反発した。間違っている。世界はそんなに美しくない。
「でもわたしは、自分がその世界の一端を担う人間になれると信じたいんですよ」
車を降りる時、先生は「盛山さん、生きてください」とだけ、言った。「さようなら」も「気をつけて」もなしだった。
「生きていてください、お願い」
「•••••• ありがとうございました」
わたしのほうは一度だけそう言うので精いっぱいだった。何度言っても足りないとわかっていたからこそ、一度しか言えなかった。

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

満たされない不満や不安、劣等感を、他人から何かを搾取して充足しようとする人。
搾取され続けることでパワーレスになっていく人。
それぞれ描かれる人が、あまりにも直接的というか想像の余地が無くて、私的には分かりやすすぎた感じ。

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2023年11月22日

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ネタバレ

短いのですぐ読み切れた。
行き場のない母子の為の施設「のばらのいえ」の話。
主人公がすごく芯が強くて、弱さを見せられないようなところが切なかった。
英輔と共に歩んでほしかったなー。

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2023年11月02日

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なんだか常に心がザワザワする感覚が抜けなかった。

みんな何かを間違えていて、総合的に見たら誰もきっと悪くないけど、世の中的には良くないことが起きてるんだよなぁ。上手く言えない。

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2023年10月24日

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すべてのお母さんと子供を守るための家「のばらのいえ」。
でも実際はそんな優しい場所ではなかった。
小間使いのように家事全般を担っていることに嫌気がさした祐希は高校卒業と共に逃げ出した。
だが10年後、自宅アパートが火事になり迎えに来た志道と共にのばらのいえに戻ることに。
そこで知らなかった事実がわかる、という展開。

アパートが火事になったタイミングで、祐希を迎えに来た志道が火をつけたのでは?と最後まで思っているのだが、そういった記述はなかった。

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2023年10月05日

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人の為に生きるって逆に人を傷つける気がする。
人を飼うと言う陰湿さは愛情ではない!

作品の中で春日先生の影は薄いのですが
最高の教師です❗️


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2023年09月24日

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のばらの家という母子のシェルター的な施設での話。
過去と現在が交互に描かれていく。
2人それぞれが、お互いを思ってやっていた行動、でも2人が大人になり、本気になると環境って変えれるんじゃないかと思える作品だった。

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2023年09月20日

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ネタバレ

冒頭から不穏な雰囲気で、続きが気になってどんどん読んでしまった。あの火事は、仕組まれた火事だったのか?

ずっと救いたいと思っていた相手や、重荷に感じていた相手に、実は守られていたんだなぁ。

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2023年09月19日

Posted by ブクログ

のばらの家、という養護施設に関わる話。寺地はるなさんっぽくない平和じゃないストーリーだった。わりと先が気になって読んでしまった。

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どこに着地するのだろう、と。
思って読み進めてました。

よかった。

そして、タイトル、どっちかな⁉︎
赤は紘果のための色。
シンデレラハイツ弍番館

大人たちと、子供たち。
春日先生。

メール。読み返さないとわかんなかった…。

ざらざらと、してたけど。
読み進めなければ、いけない、いきたいぃ
感じも、よかったぁ。

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2023年09月09日

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