あらすじ
行き場のない母子を守る「のばらのいえ」は、志道さんと実奈子さんが、「かわいそうな子どもを救いたい」と理想を掲げ営む家。そこで育った祐希は、未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出した。十年後のある日、志道さんが突然迎えに来る。しらゆきちゃん、べにばらちゃんと呼ばれ、幼少の頃から一心同体だった紘果を置いてきたことをずっと後悔してきた祐希は、二度と帰らないと出てきた「のばらのいえ」に戻る決意をするが。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
子供が犠牲になるので、中々重い話だった。
バカな大人1人いるだけで、どれだけ周りに迷惑をかけるんだろう。因果応報もなく…お金があるとそれだけで勝ちなのかな。
最後は被害者が救われて良かった。でも心の傷はずっと消えなさそう。
Posted by ブクログ
『のばらのいえ』という子どもやお母さんのためのシェルター(もどき)。その中で、大人から呪いのように『いいこ』でいることを強制され、祐希は高校卒業の前日に逃げ出した。しかし数年後、再び『のばらのいえ』へと連れて行かれることになる。
『仕方ない、は便利な言葉だ。それ以上考えなくていいようになるから。』p41
『Good girls go to heaven ,bad girls go everywhere』p108
『あなたはこのまま逃げ延びて、いつか余裕ができた時に誰かに手を貸す。その誰かがまた誰かに手を貸す。そしてもし将来わたしの娘がなにか困った時、どこかで誰かが彼女を助けてくれるはず。わたしはそういう世界を信じる。』p188
『うぬぼれるな。いつまでも自分が強者の側にいると思いこんでいるのなら、とんだ勘違いだ。わたしたちをいつまでも傷つけられて泣いているだけのか弱い存在だとあなどっているならそれは大間違いだ。』
『あなたからは、もう何ひとつ受け取らない。わたしたちからは、もう何ひとつ奪えない。』p233
ずっと漂う不穏な空気。
いつそれが起きるのか、ヒヤヒヤしながら読んだ。
弱者である子どもや母親を守るため、安心させるための場所であるはず。しかしその立場を利用し、搾取するものたち。
弱くなんかない。
なんでもできる。
どこにだって行ける。
そう信じてくれる人がいたら、人は強くなれる。
わたしも周りに信じていて欲しいし、
わたしも周りの人の力を信じたい、と思いました。
Posted by ブクログ
のばらのいえで何もできないと言われ続けた紘果、召使いのように扱われた祐希、祐希が本当の思いを春日先生に話したことでのばらのいえから逃げることが出来た。そこから祐希の人生が大きく変わっていく。
紘果、祐希の二人がちゃんと自分の道を歩いて行けるよう、頑張って生きてほしい。
Posted by ブクログ
行き場のない母子を引き取り共同生活をする場「のばらのいえ」、理想郷に思えるこの家に澱み沈殿しているヤングケアと未成年少女に対するハラスメント。
どうしようもない絶望感が終始溢れていて読み進めるのが辛い。ここを脱出したらしい主人公祐希は、何故またこの地獄に戻ってきたのか?
志道というサイテイ最悪の男が出てくる。根拠のない自信と捻じれた自己嫌悪と浅薄な差別意識をもつ男が、不労所得を得て成長を拒んだ時、弱くて恐ろしいモンスターが生まれるわけか…。
最後に希望があってよかった。祐希たちだけでなく、保も英輔も、これからはできるだけ幸せに、哀しみはあっても絶望だけはないように生きて行って欲しい。